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機能性有機分子

背景

これまでのナノテクノロジーは主に Si の表面に微細加工を施して機能を実現することでデバイスの機能を実現してきました。このような手法はトップダウン的な手法と呼ばれます。近年、素子サイズが極端に小さくなってきており、トップダウン的手法によるデバイス作成の限界が危惧されています。

これに対して、有用な機能を持つ分子を合成し、それらの分子を適当に組み合わせてデバイスを作成する、ボトムアップ的な手法が、次世代の微細素子作成の鍵となることが期待されています。このようなデバイスの実現には、(1) 分子の合成方法の確立、(2) 分子の特性評価、(3) 分子によるデバイスの組み立て方法の確立、と言った要素技術を確立する必要があります。

重川研究室では、このうち (2)、(3) について顕微鏡的手法を用いた以下のような研究を進めています。

単一分子間相互作用

  1. 動的分子間力分光法   
  2. ナノスケールでの表面張力

単分子伝導特性評価
自己組織化膜の制御と物性評価(定在波と分散関係)
分子ネックレス
低次元有機伝導体
人工酵素によるDNAの切断
DNAパターニングと電気伝導測定


単一分子間力相互作用

1. 動的分子間力分光法

抗原分子と抗体分子、酵素分子と反応化合物など、特定の分子を認識し、強い反応を示す分子反応について、原子間力顕微鏡(AFM)を利用した単分子単位の結合力測定を行い、分子機能の評価、分子の組み立て手法の実現を目指しています













2. ナノスケールでの表面張力










単分子伝導特性評価

分子1本1本の伝導特性を測定する技術を確立し、分子によるスイッチ、整流器の実現を狙っています












自己組織化膜の制御と物性評価(定在波と分散関係)

分子の自己組織化により、新しい特性(機能)の実現をはかる試みが進められていますが、こうした機構の解明や応用を展開するための基礎研究を行います。  例えば、最も簡単なアミノ酸であるグリシンをCu表面に自己組織化させると、異方的な伝導特性を持つ2次元の構造が形成されることを見出し、金属表面などで観察されてきた電子の定在波を、有機分子の自己組織化膜で初めて観察することに成功しました。定在波のバイアス依存性を解析すると、分散関係(バンド構造)を求めることができます。分子間相互作用と得られる電子物性の関係をナノスケールで解析することで、こうした機構に対し理解を深めることができるとともに、分子設計を通じて、新しい機能(物性)を生み出すことが可能になります。






分子ネックレス

シクロデキストリンという環状の分子とひも状の分子とを組み合わせてネックレス構造を持つ複合分子を作ることができます。STM を使ってそろばんの珠ようにシクロデキストリンを動かすことが可能であることを示しました。






低次元有機伝導体







人工酵素によるDNAの切断

DNAを切断する人工酵素の開発とメカニズムの解析

DNAパターニングと電気伝導測定