8-7 自由電子の場合の具体例 †
この章では、
という表示が用いられている。
自由な電子の時間発展 †
(8.80)
(8.29) の
を代入し (8.23) を用いて (8.29)→(8.30) と同様の変形をする。
(8.81)
これを積分すると、
に注意。
通常の表示との比較 †
(8.82)
一方で、
(8.81) と (8.82) が「等価である」という点についてちょっと厳密性を欠いた検証:
は消滅演算子なので、波数
を持つ粒子が1ついる状態
に作用させるとその粒子が消滅して波数
を持つ粒子が1つもいない状態
を生じる。その際の係数は 1 である。
→ フェルミオンの交換関係
元がゼロの時も考えると、
この
に
を作用させてみると、
、
より、
矛盾しない。
任意の波動関数を考えると話はここまで簡単ではないけれど、
右側の
が掛かる時点に比べて左側の
が掛かる時点では粒子が1つ減っていて、
その分のエネルギー差が現われるという点では同じなのだと思う。
(元々粒子がいない時には両辺がゼロになるので、式としては成立する)
$G^<$ について †
グリーン関数が実際に使われるときは
のような和が取られることを先取りして、
を使う。
(8.83)
すなわち、
フェルミ分布関数 †
ただしここで、
本当は分母・分子ともに
の粒子の状態以外の状態数がかけ算されたり、
の粒子以外のエネルギーに対応する重みが掛かったりするはずだけれど、
それらは分母・分子で括りだした上で通分できて、必要な因子は上記の通りとなる。
詳しく見てみる †
全部まじめにやるならば、
を持つ電子を
個ずつ持つ波動関数を
と書く。すなわちすべての
に対して、
が成り立つとする。電子はフェルミオンなので、実際には
である。
このとき、
であり、分子に現われる
は、
となる。
を使うと、
のように通分できて、上記の1つの
のみを考えた場合に帰着する。
$G^>$ について †
同様に、
すなわち、
ただし、
このように詳細に計算しても求まるが、もともとの反交換関係が
なので、
としてしまえば計算の必要は無い。
→ フェルミオンの交換関係
(8.84)
$\delta_{\bm k,\bm k'}$ の意味 †
(8.83) で
が出るのは、
すなわち
の時、
となるためである。
$t, \omega$ のフーリエ変換 †
(8.85)
および
を使った。
の表式は
を
に対して Fourier 変換しても求まる。
同様にして、
$G^r$ および $G^a$ について †
(8.88)
これを評価するには、超関数をある程度分かっていないといけないようなのだけれど・・・
Wikipedia/ディラックのデルタ関数
だそうで、
を認めれば、
とすると (8.88) が出てくる。
※(2011.9.5 追記) 上記の計算の仕方を植田先生の授業で教えていただいた。
積分の中が
の時に位相が決まらないことが問題なので、
以下のように
の部分を
を用いて
とすることで、
の時に収束するようにしておいて、
最後に
に持って行けば良い。
※ここまで追記
もう一方は、
なので、
(8.89)
(8.87) の
をこれで置き換えると
(8.90)
さらに、
があるため
を仮定できて、
(8.91)
とも書ける。
$G^t$ について †
(8.70) に (8.83) を代入すると、
(8.92)
(8.93)
フーリエ変換すると (8.88) などと同様に、
(8.94), (8.95)
では
となるため、