9-2 スカラー場により誘起される電流密度 †
電流密度を lesser Green 関数で表す †
(8.28) に (8.73) を代入し、(8.76) を使う
ここで以下の変数変換を行えば、
、
、
スカラーポテンシャルを反映した Green 関数を代入する †
vertex 補正無し、つまり不純物散乱のみの Green 関数を元に
への線形応答成分を
とすると、
(9.4) より、
(9.5) と比べると、
で
に掛かっていた
の部分を
に置き換えた形になっている。
(9.6) 以下で
などの評価をしたが、これらの評価をすべて
に置き換えて評価すればよいことになる。
主項を取り出す †
9-1 章を見直してみると、
と変形し、下線部の2項が支配項であった。
同様にして、
を評価すると、
の項は
に対する和を取る際に空間の対称性によってゼロとなり、
の項のみが残る。
(9.47)
Iq,Ω の評価 †
についての和を
の2乗となる項を除いて評価すると(外から
が掛かっているので、
以下では
のゼロ次で評価することになる)、
(9.48), (9.49)
下線を付けた
は空間の対称性によりゼロとなり、第2項だけが残る。
ちゃんと評価するなら、
この式の最後、係数を
にまとめる直前の式と
(9.50) とを比べると、(9.50) が
だけ小さいことが一目瞭然である。
vertex 補正 †
(9.49) を (9.47) に代入すれば、
(9.51)
(9.52), (9.53) より、vertex 補正を入れた場合に
となって、全部含めると、
(9.54)
を得る。
電荷保存則の確認 †
に対して、
より、
(9.55)
が確かめられる。(電荷保存則)
vertex 補正を入れないと、電荷保存則が成り立たない †
この電荷保存則が成り立つのは vertex 補正のおかげ、と書いてあるのだが・・・
補正がないときには、
となって、確かに両者は一致しない。
vertex 補正による係数が
では一部分に、
では全体に掛かることにより、これらが一致するよう補正が掛かる。
局所的な成分と非局所的な成分 †
(9.45) を変形して、
に直接比例する成分(局所的な成分)と、
それ以外(非局所的な成分)に分離できる。
(9.56)
(9.54) を変形して、
に直接比例する成分(局所的な成分)と、
それ以外(非局所的な成分)に分離できる。
(9.57)
上で出てきた、
および
は、次の通りである。
(9.58)
(9.59)
オーミック電流と拡散電流 j(D) †
電流密度
が電界すなわち電位の勾配
に比例するというのがオームの法則であるから、(9.57)
の第1項はオーミックな電流である。
と比較すると、コンダクタンスを
と書ける。
これに対し、第2項は電荷密度の勾配に比例する拡散項になっている。
ここから、拡散電流
は全電荷の偏りを打ち消す方向
に流れていること、
が拡散係数であること、を確認できる。
全電流と非局所的電荷 †
(9.57) と (9.58) を見比べると、
(9.60)
が成り立つことが分かる。
すなわち、電流密度は電荷の非局所成分の勾配を打ち消すように流れることが分かる。
上記の2つの式、両方成り立つことから何が言えるだろう?
を合わせると、
すなわち、
あれ、負号が逆になる???
オーミックな成分と拡散成分と、なんだか不思議な関係がありそうだけど、
まだ全体像が見えていない。