X-3 δ関数 †
定義 †
δ関数を解析関数の極限として定義する方法はいくつかあるみたいだけれど、
以下の定義は使い勝手が良いらしい。
と置くと、この関数はδ関数となる。
は自明。
も、以下のようにして成り立つ。
ただし、途中に現われる
は
の符号を表す関数である。
の積分範囲に
が含まれるかどうか、
含まれるときに正負どちら向きに積分しているかによって、
ちゃんと正しい値が得られることが確認できる。
フーリエ変換・逆フーリエ変換 †
は良いとして、逆フーリエ変換はちょっと工夫が必要。
正側と負側とでδを同時にゼロに近づけないと最後の答えにたどり着かないので、
その意味でこの積分は 「主値」
を取っていることになるのだと思うけれど、
そのあたりの考え方があまり良く理解できていない。
δ関数の「半身」について †
上記計算の途中に現われる表現を使うと、
逆フーリエ変換の上半分と下半分に現われるそれぞれの関数をそれぞれ別個に評価できる。
したがって、
という表式を得る。
において実部だけでなく虚部も発散してしまうように見えるが、
物理学でこれらの関数を用いるときは恐らく常に上下合わせて使うことになる
のだと思うので、虚部は消えて実部のδ関数だけが現われる・・・のだと思う。
1/(x+i0) について †
上記の式を変形すると、
を得る。
1/(a-x+i0)^2 の積分 †
を求めたい。
→ (9.18)〜(9.22) で解説されている内容です
と置けば、
は
にゼロ点を持ち、
に1次の極を持つ。
そこで、
- 実軸上(上反面)を原点から無限大まで進み
- 無限大の半径で反時計回りに1回転して実軸まで戻り
- 実軸上(下反面)を無限大からゼロまで戻り
- 原点を時計回りに回転して上反面に戻る
という経路
を考える。この経路は、
と置けば、
-
、
-
、
-
、
-
、
と表せる。
は2価関数で、実軸の正の部分にカットを持つ。
このため、
1. では
であるが、
3. では
である。
すなわち、
1. では
であり、
3. では
である。
また、
2., 4. の上では
であるばかりか、
である。
そこで、
について、
が成り立つ。
閉曲線
内で、
は
を除いて正則であるため、
したがって、
の方は実軸正部分のカットのために、最後の計算で
となるため、
である。
教科書は、いきなり (9.18) から右辺が
に対応する式になっていて、
急に (9.21) で
に戻っているため注意が必要。図も
に対応しているので、
(9.18)〜(9.20) を
とすれば良いのだと思う。