線形空間の公理から基本的な定理を導く †
以下に示すようなほぼ自明に見える線形空間の性質を、
公理から導かれる定理として証明できる。
- ゼロ元はただ1つだけ存在する
- 逆元はただ1つだけ存在する
- 引き算を定義できる
線形空間の公理 †
ゼロ元はただ1つだけ存在する †
線形空間の公理には「ゼロ元が存在すること」が書かれているが、「1つしかないこと」は書かれていない。
「ゼロ元が1つしかないこと」は他の公理を組み合わせて証明可能な定理である。
がどちらもゼロ元であったとすると、
より、
である。
逆元はただ1つだけ存在する †
の逆元が、
の2つ存在したとすると、
引き算 †
について、
の逆元を
として、
のようにベクトルの引き算を導入する。
当然、
は引き算について閉じている。
$\bm x-\bm x=\bm 0$ †
$\bm a+\bm b=\bm a+\bm c \to \bm b=\bm c$ †
の時、両辺から
を引くと、
同様に
となって、
を得る。
$-\bm 0=\bm 0$ †
$(-(-x))=x$ †
$(-x)=(-1)x$ †
$0x = 0$ †