相似変換に対するトレース、行列式、固有値の保存

(115d) 更新

線形代数II

相似変換

正則行列 P を用いた A\to A' の変換:

A'=P^{-1}AP

相似変換は階数、トレース、行列式、固有値を保存する

  • 階数: \rank (P^{-1}AP)=\rank A
  • トレース: \tr (P^{-1}AP)=\tr A
  • 行列式: |P^{-1}AP|=|A|
  • 固有方程式: |P^{-1}AP-\lambda E|=|A-\lambda E|
  • 固有値は固有方程式の解

階数

任意の正則行列 P,P' に対して \rank A=\rank PA=\rank AP' であるから、

\rank P^{-1}AP=\rank AP=\rank A

トレース

行列のトレースは、対角要素の和で定義されるのであった。

\tr A=a_{11}+a_{22}+\dots+a_{nn}=\sum_{k=1}^n a_{kk}

まず、トレースはかけ算の入れ替えで変化しない。

\tr AB=\tr BA

なぜなら、 (AB)_{ij}=\sum_{m=1}^n a_{im}b_{mj} より、

\tr AB &=\sum_{k=1}^n \sum_{m=1}^n a_{km}b_{mk}\\ &=\sum_{m=1}^n \sum_{k=1}^n b_{mk}a_{km}\\ &=\tr BA

したがって、

\tr (P^{-1}AP)=\tr \big\{(P^{-1}A)P\big\}=\tr \big\{P(P^{-1}A)\big\}=\tr (PP^{-1}A)=\tr(EA)=\tr A

行列式

|AB|=|A||B| |E|=1 を用いて、

|P^{-1}AP|=|P^{-1}||A||P|=|P^{-1}||P||A|=|P^{-1}P||A|=|E||A|=1|A|=|A|

固有方程式

行列式の性質を使って、

&|P^{-1}AP-\lambda E|\\ &=|P^{-1}AP-\lambda P^{-1}P|\\ &=|P^{-1}(A-\lambda E)P|\\ &=|P^{-1}||A-\lambda E||P|\\ &=|A-\lambda E|

固有値

固有方程式の解が固有値だから、固有方程式が等しければ当然固有値も等しくなる。

質問・コメント




トレースについて

kouki? ()

トレースが掛け算の入れ替えについて不変であるのは、一般にはあくまで二つの行列に対してであるので、
tr{P^(-1)AP}=tr{PP^(-1)A}=tr(EA)=tr(A)
とすべきかと思います。結果は同じですが。

  • ありがとうございます、ご指摘の通りです。本文を修正いたしました。 -- 武内(管理人)?

線形代数のテスト

chihiro? ()

明日、線形代数のテストがあるんですけど、最低押さえておけば良いところうを教えてください。


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