箱の中の自由粒子/メモ

(16d) 更新

目次

概要

量子力学Ⅰ/箱の中の自由粒子 のページの補足です。

演習:1次元の箱の中の自由粒子

解答

(1) 箱の内部では V(x)=0 であるから、シュレーディンガー方程式は

  -\frac{\hbar^2}{2m}\frac{d^2}{dx^2}\varphi(x)=\varepsilon\varphi(x)

(2) 与式を代入すれば、

  -\frac{\hbar^2}{2m}\frac{d}{dx}(ikAe^{ikx}-ikBe^{-ikx})=\varepsilon\varphi(x)

  -\frac{\hbar^2}{2m}(-k^2Ae^{ikx}-k^2Be^{-ikx})=\varepsilon\varphi(x)

  \frac{\hbar^2k^2}{2m}\varphi(x)=\varepsilon\varphi(x)

常に \varphi(x)=0 では解にならないから \frac{\hbar^2k^2}{2m}=\varepsilon すなわち k=\frac{\sqrt{2m\varepsilon}}{\hbar} と求まる。

(3) V(x)=+\infty の点で \varphi(x)\ne 0 であれば右辺は有限値、 左辺は \infty となり方程式を満たさないため。

(4) 境界条件は \varphi(0)=\varphi(a)=0 であるから、

  \varphi(0)=A+B=0 すなわち B=-A

  \varphi(a)=A(e^{ika}-e^{-ika})=2iA\sin(ka)=0

A=0 では解にならないから \sin(ka)=0 すなわち n を任意の整数として ka=n\pi つまり

  k=k_n=n\pi/a

であるときに限り境界条件を満たす。

ここで、 n=0 k=0 、 すなわち \varphi が定数となり、境界条件から \varphi(x)=0 となってしまい、解にはならない。 また、 n -n とは解の符号が変わるのみであるから、 独立な解にならない。

そこで、 n を自然数に限ることにより、異なる n がそれぞれ独立な固有関数を表わす。

(5) (2) の式を \varepsilon について解くことにより、

  \varepsilon_n=\frac{\hbar^2 k_n^2}{2m}=\frac{\hbar^2 \pi^2}{2ma^2}n^2

ここまでで、境界条件により k および \epsilon が飛び飛びの実数値しか取れないことが分かった。

(6) 固有関数は \varphi_n(x)=C\sin(n\pi x/a) の形になる。

  \int_0^a|\varphi(x)|^2\,dx &=\int_0^a\big[C\sin(n\pi x/a)\big]^2\,dx\\ &=|C|^2\int_0^a\frac{1-\cos(2n\pi x/a)}{2}\,dx\\ &=\frac{|C|^2}{2}\Big[x-\frac{a}{2n\pi}\sin(2n\pi x/a)\Big]_0^a\\ &=\frac{a|C|^2}{2}\\ &=1\\

より、例えば C=\sqrt{2/a} と置けば良く、

  \varphi_n(x)=\sqrt{2/a}\sin(n\pi x/a)

を得る。

この波動関数に、「絶対値が1となる任意の複素定数」を掛けてもやはり規格化された解を与えることに注意せよ。

(7) \psi_n(x,t)=e^{-i\omega_n t}\varphi_n(x)

ただし、 \hbar\omega_n=\varepsilon_n=\frac{\hbar^2 \pi^2}{2ma^2}n^2 より、

  \psi_n(x,t)=\sqrt{\frac{2}{a}}\exp\Big(-i\underbrace{\frac{\hbar n^2\pi^2}{2ma^2}}_{\omega_n}t\Big)\sin\Big(\underbrace{\frac{n\pi}{a}}_{k_n} x\Big)

(8) \varepsilon=|p|^2/2m より、

  |p|=\frac{\hbar \pi}{a}n

(9)

\overline x&=\int_0^a\psi_n^*(x,t)x\psi_n(x,t)dx\\ &=\int_0^a\varphi_n^*(x)\cancel{e^{i\varepsilon_n t/\hbar}}x\varphi_n(x)\cancel{e^{-i\varepsilon_n t/\hbar}}dx\\ &=\int_0^a\varphi_n^*(x)x\varphi_n(x)dx\\ &=\int_0^a\sqrt{\frac{\,2\,}{a}}\sin\Big(\frac{n\pi}{a} x\Big)\ x\ \sqrt{\frac{\,2\,}{a}}\sin\Big(\frac{n\pi}{a} x\Big)\,dx\\ &=\frac{\,2\,}{a}\int_0^a x\sin^2\Big(\frac{n\pi}{a} x\Big)dx\\ &=\frac{\cancel{\,2\,}}{a}\int_0^a x\,\frac{1-\cos\big(2n\pi x/a\big)}{\cancel{\,2\,}}dx\\ &=\frac{\,1\,}{a}\Big[\frac{1}{2}x^2\Big]_0^a-\frac{1}{\cancel a}\Bigl[\cancel{\frac{\cancel a}{2n\pi}x\sin\Bigl(\frac{2n\pi}{a}x\Bigr)}\Bigr]_0^a+\frac{1}{2n\pi}\cancel{\int_0^a \sin\Bigl(\frac{2n\pi}{a}x\Bigr)dx}\\ &=\frac{\,a\,}{2}

\sigma_x^2&=\int_0^a\psi_n^*(x,t)(x-\overline x)^2\psi_n(x,t)dx\\ &=\frac{\,2\,}{a}\int_0^a \Big(x^2-ax+(a/2)^2\Big)\sin^2\Big(\frac{n\pi}{a} x\Big)dx\\ &=\frac{\cancel{\,2\,}}{a}\int_0^a x^2\,\frac{1-\cos\big(2n\pi x/a\big)}{\cancel{\,2\,}}dx-a\cdot\overline x+\frac{a^2}{4}\cdot 1\\ &=\frac{\,1\,}{a}\Big[\frac{1}{3}x^3\Big]_0^a -\frac{\,1\,}{a}\Big[x^2\frac{a}{2n\pi}\,\cancel{\sin(2n\pi x/a)\rule[-0.4em]{0pt}{1.4em}}\ \Big]_0^a +\frac{\,1\,}{\cancel{\,a\,}}\int_0^a 2x\,\frac{\cancel{\,a\,}}{2n\pi}\sin(2n\pi x/a)dx-\frac{a^2}{4}\\ &=\frac{\,a^2\,}{12} +\frac{1}{2n\pi}\Big[-2x\frac{a}{2n\pi}\cos(2n\pi x/a)\Big]_0^a +\frac{\,1\,}{2n\pi}\cancel{\int_0^a \frac{a}{2n\pi}\cos(2n\pi x/a)dx}\\ &=\frac{\,a^2\,}{12}\biggl(1-\frac{6}{n^2\pi^2}\biggr)\\

3つ目の等号は上記の \overline x の表式と、 \varphi_n(x) が規格化されていることを用いた。

\sigma_x=\frac{a}{2}\sqrt{\frac{\,1\,}{3}-\frac{2}{\pi^2}\frac{1}{n^2}}

\overline p&=\int_0^a\psi_n^*(x,t)\,\frac{\hbar}{i}\frac{\PD}{\PD x}\psi_n(x,t)dx\\ &=-\frac{2i\hbar}{a}\int_0^a \sin\Big(\frac{n\pi}{a} x\Big)\frac{n\pi}{a}\cos\Big(\frac{n\pi}{a} x\Big)dx\\ &=-\frac{in\pi\hbar}{a^2}\int_0^a \sin\Big(\frac{2n\pi}{a} x\Big)dx\\ &=0

\sigma_p^2&=\int_0^a\psi_n^*(x,t)\Big(\frac{\hbar}{i}\frac{\PD}{\PD x}-\overline p\Big)^2\psi_n(x,t)dx\\ &=\int_0^a\psi_n^*(x,t)\Big(\frac{\hbar}{i}\frac{\PD}{\PD x}\Big)^2\psi_n(x,t)dx\\ &=\frac{2\hbar^2}{a}\int_0^a \sin\Big(\frac{n\pi}{a} x\Big)\Big(\frac{n\pi}{a}\Big)^2\sin\Big(\frac{n\pi}{a} x\Big)dx\\ &=\Big(\frac{\pi\hbar}{a}\Big)^2n^2

\sigma_p=\frac{\pi\hbar}{a}n

波動関数の形:偶関数と奇関数

x=0 に対して対称なポテンシャルに対するエネルギーの固有関数は必ず偶関数あるいは奇関数の形に書ける。

縮退のない場合、すなわちある固有値 \varepsilon_k に対して一次独立な固有関数が それぞれ1つだけしか無い場合については以下のように簡単に証明できる。

  \left(-\frac{\hbar^2}{2m}\frac{\PD^2}{\PD x^2}+V(x)\right)\varphi_k(x)=\varepsilon_k\varphi_k(x)

において、ポテンシャルが原点に対して対称、つまり V(-x)=V(x) とする。

上の式の x x\to -x と変数変換すると、

\frac{\PD}{\PD x}\to -\frac{\PD}{\PD x} \frac{\PD^2}{\PD x^2}\to \frac{\PD^2}{\PD x^2} V(x)\to V(-x)=V(x) より、

  \left(-\frac{\hbar^2}{2m}\frac{\PD^2}{\PD x^2}+V(x)\right)\varphi_k(-x)=\varepsilon_k\varphi_k(-x)

を得る。すなわち、 \varphi_k(-x) も固有値 \varepsilon_k に属する固有関数である。

縮退していない場合、 \varphi_k(-x)=A\varphi_k(x) と書けることになるが、 同様に \varphi_k(-(-x))=A\varphi_k(-x) であるから、

  \varphi_k(x)=\varphi_k(-(-x))=A\varphi_k(-x)=A^2\varphi_k(x)

となって、 A=\pm 1 でなければならない。

これは \varphi_k(-x)=\pm\varphi_k(x) を意味しており、 エネルギー固有関数が必ず偶関数あるいは奇関数となることを意味している。

以下に見るとおり1次元の束縛状態に関する限り、エネルギー固有値が縮退することはないため、 上記の通り自動的に偶関数あるいは奇関数の固有関数が得られることになる。

1次元の束縛状態が縮退することはない

時間に依存しないシュレーディンガー方程式は2階の微分方程式であるから、 あるエネルギー値を指定して方程式を解けばその一般解には2つの独立なパラメータが含まれる。

その両方のパラメータを自由に取ることができる場合には2つの独立な固有関数が得られて、 それらは縮退していることになる。

しかし束縛状態では最低限 |\varphi(\pm \infty)|^2=0 なる境界条件を満たさなければならないため、 2つのパラメータを独立に決めることができなくなり、結果的に独立なパラメータは1つになってしまう。

さらにそのパラメータは波動関数を規格化する際に絶対値が決まってしまうため、 実質的な自由パラメータは初期位相 \theta のみになってしまう。

以下これを数学的に検証しよう。

1つのエネルギー固有値 \varepsilon に対して2つの固有関数 \varphi_1(x),\varphi_2(x) があったとする。

  \Big(-\frac{\hbar^2}{2m}\frac{d^2}{dx^2}+V(x)\Big)\varphi_1(x)&=\varepsilon\varphi_1(x)\\ \Big(-\frac{\hbar^2}{2m}\frac{d^2}{dx^2}+V(x)\Big)\varphi_2(x)&=\varepsilon\varphi_2(x)

それぞれ \varphi_2(x),\varphi_1(x) を掛けて辺々引き算すると、

  -\frac{\hbar^2}{2m}\Big(\varphi_2(x)\frac{d^2}{dx^2}\varphi_1(x)-\varphi_1(x)\frac{d^2}{dx^2}\varphi_2(x)\Big)=0

  \varphi_2(x)\varphi_1''(x)-\varphi_1(x)\varphi_2''(x)&=\\ \Big(\varphi_2(x)\varphi_1'(x)-\varphi_1(x)\varphi_2'(x)\Big)'&=0

すなわち、

  \varphi_2(x)\varphi_1'(x)-\varphi_1(x)\varphi_2'(x)=\mathit{const.}

\varphi_1(\pm\infty)=\varphi_2(\pm\infty)=0 ならば右辺はゼロでなければならず、

  \varphi_2(x)\varphi_1'(x)-\varphi_1(x)\varphi_2'(x)=0

このとき*1上式の左辺は2次のロンスキー行列式であり、本来はこれがゼロであるかどうかを見るだけで線型独立性の判別ができる(→ Wikipedia:ロンスキー行列式(http://ja.wikipedia.org/wiki/%...))。以下は初等的に理解するための蛇足。

  \left(\frac{\varphi_1(x)}{\varphi_2(x)}\right)' &=\frac{\varphi_1'(x)}{\varphi_2(x)}-\frac{\varphi_1(x)\varphi_2'(x)}{\varphi_2(x)^2}\\ &=\frac{\varphi_2(x)\varphi_1'(x)-\varphi_1(x)\varphi_2'(x)}{\varphi_2(x)^2}\\ &=0

であるから、定数 A を用いて

  \frac{\varphi_1(x)}{\varphi_2(x)}=A

すなわち \varphi_2(x)\ne 0 となる点で

  \varphi_1(x)=A\varphi_2(x)

逆に \left(\varphi_2(x)/\varphi_1(x)\right)' から始めれば \varphi_1(x)\ne 0 となる点で

  \varphi_2(x)=B\varphi_1(x)

それ以外の点では \varphi_1(x)=\varphi_2(x)=0 であるから、 結局全範囲で

  \varphi_1(x)=A\varphi_2(x)

と書け、 \varphi_1(x) \varphi_2(x) は一次従属である。

非定常状態の解

LANG:mathematica
Subscript[\[Psi], n_][x_, t_] := Sqrt[2] Exp[I n^2 t] Sin[n Pi x]

\[Psi][x_, t_] := 
 1/Sqrt[2] (Subscript[\[Psi], 1][x, t] + Subscript[\[Psi], 2][x, t])

Module[{t = 0},
  Show[{
    Plot[{
        Abs[\[Psi][x, t]]^2, \[Psi][x, t], 
        Subscript[\[Psi], 1][x, t], 
        Subscript[\[Psi], 2][x, t]
      }, {x, 0, 1}, 
      BaseStyle -> {FontSize -> 18}, ImageSize -> Large, 
      PlotRange -> {-1.5, 3.5}, PlotStyle -> {Thick, Thick, Thin, Thin},
      PlotLegends -> "Expressions"], 
    Graphics[Text["t = " <> ToString[t], {0.8, 2.8}, {-1, 0}]]
  }]
]

ComplexToXY[z_] := {Re[z], Im[z]}

animation = Table[
  Grid[{{
    Show[{
      Plot[{
          Abs[\[Psi][x, t]^2], Abs[\[Psi][x, t]], 
          Abs[Subscript[\[Psi], 1][x, t]], 
          Abs[Subscript[\[Psi], 2][x, t]]
        }, {x, 0, 1}, 
        BaseStyle -> {FontSize -> 18}, ImageSize -> Medium, 
        PlotRange -> {-1.5, 3.5}, PlotStyle -> {Thick, Thick, Thin, Thin}, 
        PlotLegends -> {
          "\[LeftBracketingBar]\[Psi](x,t)\!\(\*SuperscriptBox[\(\[RightBracketingBar]\), \(2\)]\)", 
          "|\[Psi](x,t)|", 
          "\[LeftBracketingBar]\!\(\*SubscriptBox[\(\[Psi]\), \(1\)]\)(x,t)\[RightBracketingBar]", 
          "|\!\(\*SubscriptBox[\(\[Psi]\), \(2\)]\)(x,t)|"
        }], 
      Graphics[Text["t = " <> ToString[t], {0.1, 3.3}, {-1, 0}]]}
    ]
  }, {
    Show[{
      ParametricPlot3D[
        ({x, #[[1]], #[[2]]} & /@ 
          ComplexToXY /@ {
            a \[Psi][x, t], 
            a Subscript[\[Psi], 1][x, t], 
            a Subscript[\[Psi], 2][x, t]}
        ) // Evaluate, {x, 0, 1}, {a, 0, 1}, 
        PlotPoints -> 40, BaseStyle -> {FontSize -> 18}, 
        ImageSize -> Medium, PlotRange -> {{0, 1}, {-2, 2}, {-2, 2}}, 
        BoxRatios -> {1, 0.5, 0.5}, PlotStyle -> Opacity[0.5], MeshStyle -> None
      ],
      ParametricPlot3D[
        ({x, #[[1]], #[[2]]} & /@ ComplexToXY /@ {
          \[Psi][x, t], 
          Subscript[\[Psi], 1][x, t], 
          Subscript[\[Psi], 2][x, t]}
        ) // Evaluate, {x, 0, 1}, 
        PlotPoints -> 40, BaseStyle -> {FontSize -> 18}, ImageSize -> Medium, 
        PlotRange -> {{0, 1}, {-2, 2}, {-2, 2}}, BoxRatios -> {1, 0.5, 0.5}, 
        PlotStyle -> {{Thick, Purple}, {Thin, Darker[Yellow]}, {Thin, Darker[Darker[Green]]}}
      ]}]
  }}], {t, 0, 2 Pi, 0.02}
];

Export["oscillation.gif", animation, "GIF"]

Integrate[x Abs[\[Psi][x, t]]^2, {x, 0, 1}] // FullSimplify

Show[{
  DensityPlot[
    Abs[\[Psi][x, t]^2], {x, 0, 1}, {t, 0, 2 Pi}, 
    BaseStyle -> {FontSize -> 18}, ImageSize -> Large, PlotPoints -> 150, 
    FrameLabel -> {x, t}, LabelStyle -> Directive[FontFamily -> "Times", FontSize -> 22]
  ],
  ParametricPlot[
    {(E^(-2 Im[t]) (9 \[Pi]^2 - 32 Cos[3 t]))/(18 \[Pi]^2), t}, 
    {t, 0, 2 Pi}, PlotStyle -> {Thick, Red}
  ]
}]

1次元の箱の中の自由粒子(有限ポテンシャル)

波動関数の微係数の連続性

現実的なポテンシャルに対応するシュレーディンガー方程式を満たす波動関数は

  • いたる所連続で
  • なおかつその一次微分も連続となる

特に、ポテンシャルに有限の飛びを持つ不連続点がある場合にも、 その点の近傍で波動関数はその1次微分まで連続となる。

このことを確かめるため、 V(x) x=x_0 において有限の飛びを持つとして、 x_0 の近傍 [x_0-\delta,x_0+\delta] で 時間に依存しないシュレーディンガー方程式を積分してみる。

  \int_{x_0-\delta}^{x_0+\delta}\left(-\frac{\hbar^2}{2m}\frac{d^2}{dx^2}\varphi(x)+V(x)\varphi(x)-\varepsilon\varphi(x)\right)\,dx=0

  \left[\frac{\hbar^2}{2m}\frac{d}{dx}\varphi(x)\right]_{x_0-\delta}^{x_0+\delta} =\int_{x_0-\delta}^{x_0+\delta}\Big(V(x)-\varepsilon\Big)\varphi(x)\,dx

  \frac{\hbar^2}{2m}\Big(\varphi'(x_0-\delta)-\varphi'(x_0+\delta)\Big) &=\overline{\Big(V(x)-\varepsilon\Big)\varphi(x)}\int_{x_0-\delta}^{x_0+\delta}\,dx\\ &=\overline{\Big(V(x)-\varepsilon\Big)\varphi(x)}\cdot 2\delta

ただし、 \overline{\Big(V(x)-\varepsilon\Big)\varphi(x)} は積分区間内での \Big(V(x)-\varepsilon\Big)\varphi(x) の平均値である。

もしこの区間で V(x) \varphi(x) に不連続性があったとしても、 その値が有限である限り、平均値も有限であるため、 \delta\to 0 の極限では 右辺はゼロとなり、

  \varphi'(x_0-\delta)-\varphi'(x_0+\delta)\to 0

を得る。

すなわち \varphi'(x) は連続であり、当然 \varphi(x) も連続である。

導出過程からも分かるとおり、 V(x) が無限大に発散する点ではこの限りではない。

詳しい導出過程

continuous.png

k=\sqrt{2m\varepsilon}/\hbar k'=\sqrt{2m(V-\varepsilon)}/\hbar に対して、

  • 箱の左: \psi_l(x)=C_le^{k'x}
  • 箱の中: \psi_m(x)=Ae^{ikx}+Be^{-ikx}
  • 箱の右: \psi_r(x)=D_re^{-k'x}

境界条件は、

  • \psi_l(0)=\psi_m(0) \psi_l'(0)=\psi_m'(0)
  • \psi_m(a)=\psi_r(a) \psi_m'(a)=\psi_r'(a)

方程式から求めるべきパラメータは A, B, C_l, D_r, \varepsilon の5つ。
式は4つなので1つを除いて値が決まることになる。

ただし方程式の中に周期関数が入っているので複数の解が存在する。

代入すると、

C_l=A+B k'C_l=ik(A-B) より \frac{A-B}{A+B}=\frac{k'}{ik}

Ae^{ika}+Be^{-ika}=D_re^{-k'a} ik(Ae^{ika}-Be^{-ika})=-k'D_re^{-k'a} より \frac{Ae^{ika}-Be^{-ika}}{Ae^{ika}+Be^{-ika}}=-\frac{k'}{ik}

したがって、

  -\frac{A-B}{A+B}=\frac{Ae^{ika}-Be^{-ika}}{Ae^{ika}+Be^{-ika}}

  -(A-B)(Ae^{ika}+Be^{-ika})=(A+B)(Ae^{ika}-Be^{-ika})

  A^2e^{i2ka}=B^2

  B=\pm Ae^{ika}

これを上の式に代入すれば、

  C_l=A(1\pm e^{ika})

  D_r=Ae^{k'a}(e^{ika}\pm 1)

であり、さらに k'C_l=ik(A-B) より

  k'(1\pm e^{ika})=ik(1\mp e^{ika})

を得る。

  \psi_m(x)&=A(e^{ikx}\pm e^{ka}e^{-ikx})\\ &=Ae^{ka/2}(e^{ik(x-a/2)}\pm e^{-ik(x-a/2)})\\ &=2Ae^{ka/2}\frac{e^{ik(x-a/2)}\pm e^{-ik(x-a/2)}}{2}\\

  C_l=2Ae^{ka/2}\frac{e^{-ika/2}\pm e^{ika/2}}{2}

  D_r=2Ae^{ka/2}\,e^{k'a}\frac{e^{ika/2}\pm e^{-ika/2}}{2}

  (k'a/2)\frac{e^{-ika/2}\pm e^{ika/2}}{2}=i(ka/2)\frac{e^{-ika/2}\mp e^{ika/2}}{2}

より 2Ae^{ka/2}=A' と置いて、

[複号の上を取れば]

  \psi_l(x)=A'\cos(-ka/2)e^{k'x}

  \psi_m(x)=A'\cos\big(k(x-a/2)\big)

  \psi_r(x)=A'\cos(ka/2)e^{-k'(x-a)}

  (k'a/2)\cos(ka/2)=(ka/2)\sin(ka/2)

[複号の下を取れば]

  \psi_l(x)=iA'\sin(-ka/2)e^{k'x}

  \psi_m(x)=iA'\sin\big(k(x-a/2)\big)

  \psi_r(x)=iA'\sin(ka/2)e^{-k'(x-a)}

  -(k'a/2)\sin(ka/2)=(ka/2)\cos(ka/2)

のように、それぞれ x=a/2 を中心に \cos 的、 \sin 的な波動関数となる。

k,k' についての条件式の両辺を二乗した上で k'^2+k^2=\frac{2mV}{\hbar^2} の関係を使って書き直せば、

[ \cos 的な関数について]

  (ka/2)^2(1+\tan^2(ka/2))=\frac{mVa^2}{2\hbar^2} ただし \tan(ka/2)>0

[ \sin 的な関数について]

  (ka/2)^2(1+\cot^2(ka/2))=\frac{mVa^2}{2\hbar^2} ただし \tan(ka/2)<0

を得る。

時間に依存しないシュレーディンガー方程式の束縛解は実数関数として与えることできる

時間に依存しないシュレーディンガー方程式の複素共役を取れば、

  \Big(-\frac{\hbar^2}{2m}\frac{d^2}{dx^2}+V(x)\Big)\varphi^*(x)=\varepsilon\varphi^*(x)

であるから、 \varphi^*(x) も同じ固有値 \varepsilon の固有関数となる。

縮退のない場合*2上で見たように一次元の束縛状態に縮退はおきない A を定数として \varphi^*(x)=A\varphi(x) と書けることになるが、 固有関数が規格化されているならば |A|=1 すなわち A=e^{i\theta} と書ける。

このとき \varphi^*(x)=e^{i\theta}\varphi(x) の両辺を e^{i\theta/2} で割れば、

  e^{-i\theta/2}\varphi^*(x)=e^{i\theta/2}\varphi(x)

  \Big(e^{i\theta/2}\varphi(x)\Big)^*=e^{i\theta/2}\varphi(x)

であるから、

  \varphi_\mathrm{real}(x)=e^{i\theta/2}\varphi(x)

と書けばこれは固有関数であり、なおかつ実数値関数である。

LANG:mathematica
Plot[{x^2,
    If[Tan[x] < 0, Infinity, x^2 (1 + Tan[x]^2)],
    If[Cot[x] > 0, Infinity, x^2 (1 + Cot[x]^2)]
  }, {x, 0, 14}, PlotRange -> {0, 200}, 
  PlotLegends -> Placed[{"連続限界", "cos 的", "sin 的"}, Above],
  BaseStyle -> {FontSize -> 18}, ImageSize -> Large,
  PlotStyle -> {{Gray, Dashed}, Blue, Purple},
  Filling -> {1 -> Axis}, FillingStyle -> {1 -> {Black, Opacity[0.05]}},
  AxesLabel -> {ka/2, mVa^2/(2 \[HBar]^2)}
]

NSolve[x^2 (1 + Tan[x]^2) == 50 && Tan[x] > 0 && 0 < x < 10, x, WorkingPrecision -> 15]
(* {{x -> 1.37508316964374}, {x -> 4.09477807780528}, {x -> 6.63585976688118}} *)

NSolve[x^2 (1 + Cot[x]^2) == 50 && Cot[x] < 0 && 0 < x < 10, x, WorkingPrecision -> 15]
(* {{x -> 2.74319088650076}, {x -> 5.41164383515459}} *)

coslike[x_, k_] := Module[{k2 = Sqrt[4 50 - k^2]},
  Sign[k] If[x < 0, Cos[k/2] Exp[k2 x], 
     If[x < 1, Cos[k (x - 1/2)], Cos[k/2] Exp[-k2 (x - 1)]]] 10 + k^2
 ]

sinlike[x_, k_] := Module[{k2 = Sqrt[4 50 - k^2]},
  If[x < 0, -Sin[k/2] Exp[k2 x], 
     If[x < 1, Sin[k (x - 1/2)], Sin[k/2] Exp[-k2 (x - 1)]]] 10 + k^2
]
 
Plot[{
 coslike[x, 2 1.37508316964374341419334462792217407823`15.],
 sinlike[x, -2 2.74319088650075787031867823175879453346`15.],
 coslike[x, -2 4.0947780778052791609523226938312581713`15.],
 sinlike[x, 2 5.41164383515459114436056269363192749999`15.],
 coslike[x, 2 6.63585976688118310914259741089030967404`15.]
 },
 {x, -0.5, 1.5}, PlotRange -> {0, 300}, ImageSize -> Large, 
  BaseStyle -> {FontSize -> 20},
  Axes -> {True, False}, 
  PlotStyle -> {Thick, Thin, Thin, Thin, Thin, Thin},
  AspectRatio -> 1
]

sin[x_, n_] := If[x < 0, 0, If[x > 1, 0, Sin[n Pi x]]] 10 + (n Pi)^2

Plot[{If[x < 0, 500, If[x < 1, 0, 500]],
 sin[x, 1], sin[x, 2], sin[x, 3], sin[x, 4], sin[x, 5] },
 {x, -0.5, 1.5}, PlotRange -> {0, 300}, ImageSize -> Large, 
 BaseStyle -> {FontSize -> 20},
 Axes -> {True, False}, 
 PlotStyle -> {Thick, Thin, Thin, Thin, Thin, Thin}, 
 AspectRatio -> 1
]

*1 上式の左辺は2次のロンスキー行列式であり、本来はこれがゼロであるかどうかを見るだけで線型独立性の判別ができる(→ Wikipedia:ロンスキー行列式)。以下は初等的に理解するための蛇足。
*2 上で見たように一次元の束縛状態に縮退はおきない

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