電磁気学/Coulomb の法則

(64d) 更新


電磁気学

目次

§3 Coulomb (クーロン) の法則

電場の大きさ

距離 $R$ だけ離れた位置にある電荷 $e'$ から及ぼされる力と電場

  • 電荷に比例
  • 距離の二乗に反比例

$$\begin{aligned} F=k\frac{ee'}{R^2}=\frac{1}{4\pi\epsilon_0}\frac{ee'}{R^2}\hspace{10mm} E=\frac{1}{4\pi\epsilon_0}\frac{e'}{R^2} \end{aligned}$$

比例係数を $\epsilon_0$ : 真空の誘電率 を用いて表わし、電荷の単位を決定した。

電場の向き

electric_field_direction.png

$$R=|\bm x-\bm x'|$$

$$\begin{aligned}E=\frac{1}{4\pi\epsilon_0}\frac{e'}{|\bm x-\bm x'|^2}\end{aligned}$$

$$\begin{aligned}\bm e_R=\frac{\bm x-\bm x'}{|\bm x-\bm x'|}\end{aligned}$$

$$\begin{aligned}\bm E=E\bm e_R=\frac{1}{4\pi\epsilon_0}\frac{e'}{|\bm x-\bm x'|^2}\frac{\bm x-\bm x'}{|\bm x-\bm x'|}\end{aligned}$$

$e'>0$ かつ $e>0$ としたときに $e'$ から遠ざかる向きの力(斥力)を受けるよう、正しく符号が決まっていることを確認せよ。

複数の電荷があった場合

$\bm x_1$ に $e_1$、$\bm x_2$ に $e_2$、・・・、$\bm x_n$ に $e_n$ があるとき、 全体の電場は個々の電場の重ね合わせで求められる。

$$\begin{aligned}\bm E(\bm x)=\sum_i\bm E_i(\bm x)=\frac{1}{4\pi\epsilon_0}\sum_i\frac{e_i}{|\bm x-\bm x_i|^2}\frac{\bm x-\bm x_i}{|\bm x-\bm x_i|}\end{aligned}$$

電気力線

複数の電荷からなる電場の様子を思い浮かべやすいよう、電気力線を導入する。

電気力線は、

  • 方向は各点での電場と平行になるように、
  • 密度は電場の強さに比例するように、

空間中に引かれた有向曲線。

線の密度と電場の強さとの間の比例係数は特に決まっていないため、 電場の様子が分かりやすい程度の密度を選んで表示すればよい。

electric_flux1.png

     electric_flux2.png

以下では、上記のルールに従って引いた電気力線が次の性質を持つことを見ていく。

  • 正電荷は電気力線の湧き出し点となる
  • 負電荷は電気力線の吸い込み点となる
  • 電荷のない場所で電気力線は途切れない

点電荷から湧き出す電気力線の数

点電荷 $e$ を中心とした半径 $R$ の球面から出て行く電気力線の本数を次のようにして求める。

$$\begin{aligned} \text{(電気力線の本数)}&=\text{(電気力線の密度)}\times \text{(面積)}\\ &\propto\text{(電場の強さ)}\times \text{(面積)}\\ &=\Big(\frac{1}{\cancel{4\pi}\epsilon_0}\frac{e'}{\cancel{R^2}}\Big)\times \Big(\cancel{4\pi R^2}\Big)\\ &=\frac{e'}{\epsilon_0} \end{aligned}$$

$1\,\mathrm{C}$ あたり $1/\epsilon_0$ の湧き出しがあることになる (実際に図にする際には比例係数は任意に選べる)。

$R$ に依らず一定値であることは、 電気力線が電荷のない場所で途切れないことに対応している。

一般の閉曲面からの湧き出し

coulomb1.png

必ずしも電場と垂直ではない面素 $dS$ を通る電気力線の本数はどのように求められるだろうか。

「電気力線の密度」は「電場に垂直な面内での密度」なので、 「密度=電場強度」に掛けるべき「面積」は「電場に垂直な面積」である必要がある。

法線 $\bm n$ を持つ面素 $dS$ において電場 $\bm E$ が存在するとして、 $\bm E$ に平行な、法線 $\bm n'$ を持つ面への $dS$ の射影を $dS'$ とする。

$\bm n$ と $\bm n'$ とのなす角を $\theta$ とすれば

$$ dS'=\cos\theta\ dS=\bm n'\cdot\bm n\ dS $$

であるから、

$$\begin{aligned} (dS\,\text{を貫く電気力線の本数})&=\underbrace{|E|}_\text{密度}\ \underbrace{dS'\vphantom{|E|}}_\text{面積}\\[5mm] &=\underbrace{|E|\bm n'}_{=\,\bm E}\cdot \bm n\,dS\\ &=\bm E\cdot \bm n\,dS\\ \end{aligned}$$

と表せることになる。

これを使って孤立電荷 $e'$ を囲む一般の閉曲面 $S$ からの湧き出し量を計算してみよう。

$$ (S\,\text{からの湧き出し})=\int_S \bm E\cdot\bm n\,dS $$

$dS$ と $e'$ との距離を $R$ とすると、

$$ |E|=\frac{1}{4\pi\epsilon_0}\frac{e'}{R^2} $$

であり、$e'$ から $dS$ を望む立体角を $d\Omega$ とすれば、

$$ \cos\theta\ dS=dS'=R^2d\Omega $$

であるから、

$$\begin{aligned} \int_S\bm E\cdot\bm n\,dS &=\int_S|E|\,dS'\\ &=\int_{4\pi}\frac{1}{4\pi\epsilon_0}\frac{e'}{\cancel{R^2}}\ \cancel{R^2}d\Omega\\ &=\frac{e'}{\cancel{4\pi}\epsilon_0}\underbrace{\cancel{\int_{4\pi}d\Omega}}_{4\pi}\\ &=\frac{e'}{\epsilon_0} \end{aligned}$$

を得る。

これは点電荷から湧き出した $e'/\epsilon_0$ 本の電気力線が途切れず無限遠まで伸びることを考えれば当然と言える。

むしろ、ある面 $S$ を貫く電気力線の本数を、

$$\begin{aligned}\int_S\bm E\cdot\bm n\,dS\end{aligned}$$

として求められることをしっかりと理解せよ。

点電荷が閉曲面の外にあるとき

coulomb2.png

$e$ が閉曲面 $S$ の外にあるとき、$S$ 上の面素 $dS'$ と $dS''$ とを通過する湧き出し量は、どちらも図の球面上の面素 $dS$ (立体角を共有する)と等しくなる。

ただし、$dS'$ における湧き出しは逆向きであるから、 $dS''$ からの湧き出しと $dS'$ からの湧き出しを加えると打ち消し合ってゼロになる。

同様に、$S$ 上のすべての領域は、ちょうどそれを打ち消す「裏側の」面素を持つため、 $S$ 全体からの湧き出しはゼロになる。

$$\begin{aligned}\int_S\bm E\cdot\bm ndS=0\end{aligned}$$

閉曲面内に電荷がなければそこで電気力線は途切れないから、 入った電気力線は必ずどこかから出て行くのだから、 この結果は当たり前だと思えるのが正しい理解である。

点電荷が複数あるとき

ここまで点電荷が1つだけある、という特殊な場合について考えてきたが、 上記の結果から以下の重要な法則が導ける。

点電荷が複数ある場合の湧き出しを、個々の点電荷の作る電場に分解して求めれば、

$$\begin{aligned} \int_S\bm E(\bm x)\cdot\bm n(\bm x)dS &=\sum_i\int_S\bm E_i(\bm x)\cdot\bm n(\bm x)dS\\ &=\Big(\sum_\text{S の内部}\frac{1}{\epsilon_0}e_i\Big) + \Big(\sum_\text{S の外部} 0\Big)\\ &=\frac{1}{\epsilon_0}\Big(\sum_\text{S の内部}e_i\Big)=\frac{1}{\epsilon_0}\Big(\text{S の内部の総電荷}\Big) \end{aligned}$$

となり、湧き出し量を $S$ 内部の総電荷量だけで表せることが分かる。

$\bm E(\bm x)$ は外部にある電荷の寄与を含むにもかかわらず、 積分値には外部の電荷が寄与しないところが重要。

電荷が連続分布するとき

電荷密度 $\rho(\bm x)$ :

$\bm x$ の周辺に $d^3x=dx\times dy\times dz$ の体積要素を取れば、 その中に含まれる電荷量は

$$\begin{aligned}\rho(\bm x)d^3x\end{aligned}$$

このとき、

$$\begin{aligned}\int_S\bm E(\bm x)\cdot\bm n(\bm x)dS=\frac{1}{\epsilon_0}\underbrace{\int_V\rho(\bm x)d^3x}_{S\,\text{内部の総電荷}}\end{aligned}$$

ただし、$V$ は閉曲面 $S$ に囲まれる体積。

これが積分形式の Coulomb の法則である。

Gauss の定理

任意の滑らかなベクトル場 $\bm E(\bm x)$ に対して、 ある体積 $V$ を囲む閉曲面 $S$ からの湧き出しが、 $\bm E$ の発散 $\DIV \bm E$ の体積積分で表わされるという定理。

$$ \begin{aligned}\int_S \bm E\cdot\bm n \,dS=\int_V\DIV\bm E\,d^3x\end{aligned} $$

解説は → Gauss の定理

Coulomb の法則(静電場)

上記より、

$$\begin{aligned}\int_V\DIV\bm E(\bm x)\,d^3x=\frac{1}{\epsilon_0}\int_V\rho(\bm x)d^3x\end{aligned}$$

これが任意の $V$ に対して成り立つには、積分の中身が等しくなければならない。

$$\begin{aligned}\DIV\bm E(\bm x)=\frac{1}{\epsilon_0}\rho(\bm x)\end{aligned}$$

この式を見て「電場の湧き出しは内部の電荷を誘電率で割った値になる」と読めるように復習しておくこと。

電位

後に詳しく見るが、静電場では以下の式で電位 $\phi(\bm x)$ が定義可能。

$$\begin{aligned}\phi(\bm x)-\phi(\bm 0)=-\int_{\bm 0}^{\bm x}\bm E(\bm x)\cdot d\bm r =-\int_{\bm 0}^{\bm x}E_xdx+E_ydy+E_zdz\end{aligned}$$

このとき、

$$\begin{aligned}\bm E(\bm x)=-\grad \phi(\bm x)\end{aligned}$$

電場は電位の傾きのようなもの。1次元ではそれれぞれ、

$$\begin{aligned}\phi(x)-\phi(0)=-\int_0^x E(x)dx\end{aligned}$$

$$\begin{aligned}E(x)=-\frac{d\phi}{dx}\end{aligned}$$

(後でちゃんとやるので、ここでは深入りしない。念のため復習した)

次元と電場・電位

点電荷 (3次元系)

点電荷 $e$ を中心とする半径 $r$ の球面からの発散を考えれば、

3d.png

$|\bm E(r)|\cdot \underbrace{4\pi r^2\vphantom{\frac{1}{\epsilon_0}}}_{球面積}=\frac{1}{\epsilon_0}e$

より、

$$\begin{aligned}\bm E(r)=\frac{1}{4\pi\epsilon_0}\frac{e}{r^2}\end{aligned}$$

$$\begin{aligned}\phi(r)=\phi(r)-\phi(\infty)=-\int_{\infty}^r E(r)dr=\frac{1}{2\pi\epsilon_0}\frac{e}{r}\end{aligned}$$

  • 電場は半径の2乗に反比例する
  • 電位は半径に反比例する

線電荷 (2次元系)

線電荷密度 $\sigma_1$ の線電荷を中心とする半径 $r$、長さ $L$ の円柱からの発散を考えれば、

2d.png

$$ \begin{aligned}|\bm E(r)|\cdot \underbrace{2\pi rL\vphantom\frac0{0_0}}_\text{側面積}= \frac{1}{\epsilon_0}\underbrace{\sigma_1L\vphantom\frac0{0_0}}_\text{電荷}\end{aligned} $$

より、

$$\begin{aligned}\bm E(r)=\frac{1}{2\pi\epsilon_0}\frac{\sigma_1}{r}\end{aligned}$$

$$\begin{aligned}\phi(r)=\phi(r)-\phi(r_0)=-\int_{r_0}^r E(r)dr=\frac{\sigma_1}{2\pi\epsilon_0}\ln \frac{r_0}{r}\end{aligned}$$

  • 電場は半径に反比例する
  • 電位は半径に対して対数的になる
  • 電位は円筒中心($r=0$)でも、無限遠($r=\infty$)でも発散する

面電荷 (1次元系)

面電荷密度 $\sigma_2$ の面電荷を挟んで底面積 $S$、高さ $2h$ の柱を考え、 その発散を考えれば、

1d.png

$$\begin{aligned}|\bm E(h)|\cdot\hspace{-5mm}\underbrace{2S\vphantom\frac{1}{\epsilon_0}}_\text{両側の底面積}\hspace{-5mm}= \frac{1}{\epsilon_0}\underbrace{\sigma_2S\vphantom\frac{1}{\epsilon_0}}_\text{電荷}\end{aligned}$$

より、

$$\begin{aligned}\bm E(h)=\frac{1}{2\epsilon_0}\sigma_1\end{aligned}$$

$$\begin{aligned}\phi(h)=\phi(h)-\phi(0)=-\int_0^h E(h)dh=\frac{1}{2\epsilon_0}\sigma_1h\end{aligned}$$

  • 電場は面からの距離によらない
  • 電位は面からの距離に比例する

Coulomb の法則(動電場)

これまでは静電場での話をしていたのであるが、実は電場が時間に依存するときにも、

$$\begin{aligned}\DIV\bm E(\bm x,t)=\frac{1}{\epsilon_0}\rho(\bm x,t)\end{aligned}$$

が成り立つ。

この拡張は見た目よりもずっと重大な内容を含んでいる。 聞いたことがあるだろうが、 電荷が動いたときにその影響が遠くまで届くには有限の時間がかかる。 つまり動く電荷の周りの電場は $1/R^2$ に比例するとは限らない。

そのような状況においても Coulomb 則は成り立つのである。

磁場に対する Coulomb 則

磁束密度に対しても Coulomb 則が成り立つが、 「磁荷」は存在しないため湧き出しはゼロになる。

$$\begin{aligned}\DIV\bm B(\bm x,t)=0\end{aligned}$$

磁場はN極から出てS極に入るのだから、 N極に正の、S極に負の「磁荷」があるんじゃないの???

magnet1.png

実は中で繋がってるんです。

magnet2.png

湧き出しが存在しないベクトル場では、 始点・終点が存在しないため、常にループ状になる。

系が時間に依存するときには必ずしも電荷が無くても電場生じる。 そのような電荷によらない電場も湧き出し・吸い込みを持たないため、必ずループ状になる。

質問・コメント





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