スピントロニクス理論の基礎/4 のバックアップ(No.2)

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スピントロニクス理論の基礎

強磁性体の微視的記述

4-1 強磁性ラグランジアンと磁化の運動

(2.12) を極座標表示に直す。

\bm S(\bm r) は空間的に大きさは一定で( |\bm S(\bm r)|=S(\bm r)=S )、 その方向のみが変化するとすれば、 \bm S の方向を表す \theta(\bm r) \phi(\bm r) を空間座標の関数として、(4.2)

&math( \bm S(\bm r) \equiv S\bm n = \begin{pmatrix} S \sin\theta(\bm r) \cos\phi(\bm r)\\ S\sin\theta(\bm r) \sin\phi(\bm r) \\ S\cos\theta(\bm r) \end{pmatrix} );

と表せる。このとき、

&math( \Delta \theta=\theta(\bm r+\bm a)-\theta(\bm r)=\bm a\cdot \nabla\theta(\bm r) );

&math( \Delta \phi=\phi(\bm r+\bm a)-\phi(\bm r)=\bm a\cdot \nabla\phi(\bm r) );

そして、

\theta \rightarrow \theta+\Delta\theta のとき  |\Delta \bm S| = S \Delta\theta

\phi \rightarrow \phi+\Delta\phi のとき  |\Delta \bm S| = S \sin\theta \Delta\phi

より、

&math( \sum_{\bm a=a \bm e_x, a\bm e_y, a\bm e_z} &\{\bm S(\bm r+\bm a)-\bm S(\bm r)\}^2\\ &=a^2S^2\{(\nabla\theta)^2+\sin^2\theta(\nabla\phi)^2\}^2 );

したがって、(4.1)

&math( H_J=&\,\frac{J}{2}\sum_{\bm r}\{\nabla \bm S(\bm r)\}^2\\ =&\,\frac{J}{2}\int\frac{d^3r}{a^3}\{\nabla \bm S(\bm r)\}^2\\ =&\,\red{+}\frac{J}{2}\int\frac{d^3r}{a^3}S^2\{(\nabla\theta)^2+\sin^2\theta(\nabla\phi)^2\}^2 );

を得る。(空間的に一様の時に最もエネルギーが低いはずで、教科書の符号は誤り)

磁気異方性

(2.12) は物質が等方的な場合の話で、容易軸・困難軸等がある場合には

-\frac{K}{2}S_z^2 z軸に向きやすい

や、

\frac{K_\perp}{2}S_y^2 y軸に向きにくい

などの項を含める場合もある。

例えば前者の場合が (4.3)

ラグランジアンの導出

ハミルトニアンからラグランジアンを求めるには、 スピンを記述する力学変数と、その共役運動量を知る必要がある。

しかしスピンの力学変数 \bm S は、半径 S の球面上の束縛されているため、 簡単にラグランジアンを求めることができない。

別の言い方をすれば、スピンの量子自由度は SU(2) の交換関係

[\hat S_x,\hat S_j]=i\hbar\sum_k \epsilon_{ijk}\hat S_k

を満たしており、通常の 通常の [\hat p,\hat x]=-\hbar 型の交換関係ではないことが 困難の原因となる。

このような場合、簡単にラグランジアンを導出するには経路積分表示をすることになる(らしい)。

そこから求まるのが、(4.5) らしい。

&math( L_S=\int\frac{d^3r}{a^3}\hbar S\dot \phi(\cos\theta-1)-H_S\equiv L_B-H_S );

以下に見るように、スピンのダイナミクスは H_S よりもむしろここで出てくる L_B で規定されるので、本来であれば (4.5) の導出がとても重要なんだけれど・・・ここでは飛ばされている。

運動方程式

実際に運動方程式を見てみよう。(4.7)

&math( \frac{d}{dt}\left(\frac{\delta L_S}{\delta \dot \theta}\right)-\frac{\delta L_S}{\delta \theta}=0 );

&math( \frac{d}{dt}\left(\frac{\delta L_S}{\delta \dot \phi}\right)-\frac{\delta L_S}{\delta \phi}=0 );

より、(4.8)

&math( &0-\left(-\hbar S\sin\theta\dot\phi-\frac{\delta H_S}{\delta \theta}\right )=0\\ &\hbar S\sin\theta\dot\phi=-\frac{\delta H_S}{\delta \theta} );

&math( &\frac{d}{dt}(\hbar S(\cos\theta-1))-\frac{\delta H_S}{\delta\phi}=0\\ &\hbar S\sin\theta\dot\theta=-\frac{\delta H_S}{\delta \phi} );

なる、 \theta,\phi に対して対称性の良い式を得る。

\delta は汎関数微分を表す。すなわち、 H_S \theta(\bm r) \phi(\bm r) の関数であり、 \theta(\bm r) \phi(\bm r) 自体が \bm r の関数である。

言うなれば、 H_S \bm r 座標上のすべての点での \theta 値や \phi 値に依存する多変数関数であり、さらに、 L_B \dot\phi にも陽に依存している。このような無限個の変数に依存する関数に対する「偏微分」のようなものを書くために汎関数微分が用いられる(そうです)。参照 → http://homepage2.nifty.com/eman/analytic/functional.html

Landau-Lifshitz方程式

もう少し見通しを良くするために、ベクトル \bm S を用いて書き直す。

&math( \bm S=S\bm n=S\begin{pmatrix}\sin\theta\cos\phi\\ \sin\theta\sin\phi\\ \cos\theta\end{pmatrix} );

より、(4.9), (4,10)

&math( \frac{d\bm S}{dt} &=S\dot\theta\begin{pmatrix}\cos\theta\cos\phi\\ \cos\theta\sin\phi\\ -\sin\theta\end{pmatrix}

  1. S\dot\phi\begin{pmatrix}-sin\theta\sin\phi\\ \sin\theta\cos\phi\\ 0\end{pmatrix}\\ &\equiv S(\dot\theta\bm e_\theta+\sin\theta\dot\phi\bm e_\phi) );

同様に、

\theta\rightarrow\theta+\delta\theta に対して \Delta \bm S=S\delta\theta\bm e_\theta
\phi\rightarrow\theta+\delta\phi に対して \Delta \bm S=S\sin\theta\delta\phi\bm e_\phi

ここから、任意の関数 F(\theta,\phi) に対して(4.11)

&math( \frac{\delta F}{\delta\theta}=S\left(\bm e_\theta\cdot\frac{\delta F}{\delta\bm S}\right) );

&math( \frac{\delta F}{\delta\phi}=S\sin\theta\left(\bm e_\phi\cdot\frac{\delta F}{\delta\bm S}\right) );

ただし、 \frac{\delta F}{\delta\bm S} \bm S の変化に対する F の勾配 \bm\nabla_{\bm S}\,F の汎関数微分表示である。すなわち、 \delta\bm S の変化に対する F の変化量が \Delta F=\delta \bm S\cdot\frac{\delta F}{\delta\bm S} と書けるものとしている。

(4.9) に (4.8) を代入すると、

&math( \hbar \dot{\bm S} &=\left(\frac{1}{\sin\theta}\frac{\delta H_S}{\delta \phi}{\bm e}_\theta-\frac{\delta H_S}{\delta\theta}{\bm e}_\phi\right)\\ &=S\left\{\bm e_\theta\left(\bm e_\phi\cdot\frac{\delta H_S}{\delta\bm S}\right)

  • \bm e_\phi\left(\bm e_\theta\cdot\frac{\delta H_S}{\delta\bm S}\right)\right\}\\ );

ベクトル3重積の公式から、一般に

\bm A\times(\bm B\times\bm C)=(\bm A\cdot\bm C)\bm B-(\bm A\cdot \bm B)\bm C

が成り立つので、(4.12)

&math( \hbar \dot{\bm S} &=S\left(\frac{\delta H_S}{\delta\bm S}\times(\bm e_\theta\times\bm e_\phi)\right)\\ &=\frac{\delta H_S}{\delta\bm S}\times \bm S );

ここで、 \bm e_\theta\times\bm e_\phi=\bm n を用いた。

(4.12) は、ある点 \bm r に存在するスピン \bm S(\bm r) の運動が、 他のスピン(ここでは隣接するスピン?)の作る \frac{\delta H_S}{\delta \bm S} に比例する有効磁場の下での歳差運動として記述されることを表している。

ある時刻において、 \bm r に存在する有効磁場は(4.13)

\bm B_S(\bm r)\equiv\frac{1}{\hbar\gamma}\frac{\delta H_S}{\delta \bm S}

と定義される。 \gamma\equiv\frac{g\mu_B}{\hbar}>0 は磁気回転比と呼ばれる定数。

これを用いると、(4.14)

\hbar\dot{\bm S}=\hbar\gamma\bm B_S\times\bm S

となって、一様磁化を持つマクロな強磁性体に対する Landau-Lifshitz 方程式に一致する。

スピンの共役関係

(4.5) より、 \phi に共役な変数(運動量) \hat P_\phi を求めてみる。

\hat P_\phi\equiv \frac{\delta L_B}{\dot\phi}=\hbar S(\cos\theta\, \red{-1})

ではないのか???

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