復習:連立方程式と逆行列 のバックアップ差分(No.2)

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[[線形代数II]]

* 演習 [#h06d6faf]

(1)

次の連立方程式について、

&math(
\begin{cases}
ax+by=c\\
dx+ey=f
\end{cases}
);

 (a) ただ1つの解を持つような &math(a,b,c,d,e,f); を1つ答えよ~
 (b) 複数の解を持つような &math(a,b,c,d,e,f); を1つ答えよ~
 (c) 1つも解が存在しないような &math(a,b,c,d,e,f); を1つ答えよ~
 (a) ただ1つの解を持つような &math(a,b,c,d,e,f); を1つ答えよ~
 (b) 複数の解を持つような &math(a,b,c,d,e,f); を1つ答えよ~
 (c) 1つも解が存在しないような &math(a,b,c,d,e,f); を1つ答えよ~

(2)

次の連立方程式を、掃き出し法を用いて解け。

(a) &math(
\begin{cases}
2x+4y-2z=6\\
x-y+3z=2
\end{cases}\\
);
* 解答 [#zcc467ae]

(1)-(a)

規則性無く係数を選べばほぼ必ず解は1つに定まるが、分かりやすい形を答えるのであれば、
変数と同じ数の式が与えられていることから係数行列は正方行列となり、
規則性無く係数を選べば多くの場合正則な行列が得られ、解は1つに定まる。

(b) や (c) のようになるのは特殊な場合である(係数行列が非正則)。

分かりやすい形を答えるのであれば、
例えば &math(a=1,\ b=0,\ c=1,\ d=0,\ e=1,\ f=2); とすれば、

&math(
\begin{cases}
x+0y=1\\
0x+y=2
\end{cases}
);

&math(x=1,\ y=2); だけが解となる。
であるから、明らかに &math(x=1,\ y=2); だけが解となる。

(1)-(b)

2つの式が独立な条件になっていないとき、解は無数に存在する。

たとえば、&math(a=b=c=d=e=f=1); とすれば、

&math(
\begin{cases}
x+y=1\\
x+y=1
\end{cases}
);

であるから、&math(y=s); と置けば 
であるから、実質的には2つの変数に対して1つの条件式しか与えられていないのと同じことになる。

&math(y=s); と置けば、任意のパラメータ &math(s); に対して 
&math(\begin{pmatrix}x\\y\end{pmatrix}=s\begin{pmatrix}-1\\1\end{pmatrix}+
\begin{pmatrix}1\\0\end{pmatrix});
\begin{pmatrix}1\\0\end{pmatrix}); が解となることが分かる。

あるいは、&math(a=b=c=d=e=f=0); と置けば、任意の &math(x,y); が方程式の解となる。
あるいは、&math(a=b=c=d=e=f=0); と置けば、実質的には条件式は何もないことになり、
任意の &math(x,y); が方程式の解となる。

(1)-(c)

絶対に成り立たない方程式を作ればいいから、

例えば &math(a=b=0,\ c=1); と置けば、

&math(
\begin{cases}
0x+0y=1\\
dx+ey=f
\end{cases}
);

となって、&math(d,e,f); によらず第1式を満たす &math(x,y); は存在しないから、
解なし、となる。
となって、&math(d,e,f); によらず第1式を満たす &math(x,y); は存在しない。
すなわち、解なし、である。

あるいは、&math(a=b=c=d=e=1,\ f=2); と置けば、

&math(
\begin{cases}
x+y=1\\
x+y=2
\end{cases}
);

となって、やはりこれらを同時に満たす &math(x,y); は存在しない。

(2)-(a) 拡大係数行列に次に与える「行に対する基本変形」を適用し、
左から順に「掃き出し」を行うことにより、最終的に「階段行列」の形にする。

- ある行に他の行の定数倍を加える
- ある行に定数をかける
- 2つの行を入れ替える

&math(
\begin{pmatrix}
2&4&-2&6\\
1&-1&5&0
\end{pmatrix}\sim
\begin{pmatrix}
1&2&-1&3\\
1&-1&5&0
\end{pmatrix}\sim
\begin{pmatrix}
1&2&-1&3\\
0&-3&6&-3
\end{pmatrix}\sim
\begin{pmatrix}
1&2&-1&3\\
0&1&-2&1
\end{pmatrix}\sim
\begin{pmatrix}
1&0&3&1\\
0&1&-2&1
\end{pmatrix}
);

より、与式は

&math(
\begin{cases}
x+3z=1\\
y-2z=1
\end{cases});

と同値である。

掃き出しの行えなかった列に対応する変数 &math(z); をパラメータに置いて、
&math(z=s); とすれば、求める解は任意のパラメータ &math(s); に対して

&math(
\begin{pmatrix}x\\y\\z\end{pmatrix}=
s\begin{pmatrix}-3\\2\\1\end{pmatrix}+
\begin{pmatrix}1\\1\\0\end{pmatrix}
);

と表せることが分かる。

このように、&math(A\bm x=\bm b); の形に表せる連立方程式の解が
任意パラメータ &math(c_1,c_2,\dots,c_r); を用いて
&math(\bm x=c_1\bm x_1+c_2\bm x_2+\dots+c_r\bm x_r+\bm x_0); の形に表せるとき、

&math(\begin{cases}
A\bm x_0=\bm b\\
A\bm x_1=\bm 0\\
A\bm x_2=\bm 0\\
\hspace{1cm}\vdots\\
A\bm x_r=\bm 0\\
\end{cases});

である。

線形代数で学ぶ「掃き出し法」は、「効率の良い問題の解き方」を学ぶためのものではなく、
どんな問題もこのとき方で解けること、解いた結果がどのような形になるかを分類できること、
が重要なので、「別にこの方法でも解けるし、」などと考えず、しっかり手順を身に着ける必要がある。


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