線形代数II/関数空間 のバックアップ(No.6)

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線形代数Ⅱ?

関数の線形空間 = 関数空間

閉区間 [a,b] ただし a,b\in \mathbb R で定義された任意の複素関数を要素とする集合 U は、 通常の和と定数倍に対して線形空間を為す。

すなわち、 f,g\in U のとき、

u=f+g   ただし u(x)=f(x)+g(x)

v=kf   ただし v(x)=kf(x)

とすれば、 u,v\in U であり、 U はこれらの演算に対して閉じている。

以下、数ベクトル空間と対比させながら関数空間について学んでいこう。

ベクトルの値

\bm a={}^t\!(a_1\ a_2\ \dots\ a_n)\in\mathbb R^n のとき、

添字 k に対して a_k をプロットすれば、 「ベクトルのグラフ」を表示できる。

vector1.png

k から a_k への対応関係を1つ決めると、 それが1つのベクトルを決めることに相当する。

u(x)\in U のとき、

変数 x に対して u(x) をプロットすれば、 「関数のグラフ」を表示できる。

function.png

x から u(x) への対応関係を1つ決めると、 それが1つの関数を決めることに相当する。

ただし本来、ベクトルや関数の値は複素数を想定しているので、 上記グラフはあくまで概念的な物である。

  • ベクトルの和はグラフの重ね合わせに
  • ベクトルの定数倍はグラフの上下方向の引き延ばしに

それぞれ対応する。

内積

標準内積:

&math((\bm a,\bm b)\equiv\bm a^\dagger\bm b =\sum_{k=1}^n \overline{a_k}b_k);

少し一般化して、

(\bm a,\bm b)&\equiv\sum_{k=1}^n w_k\overline{a_k}b_k

としても内積の公理を満たす。ただし w_k>0 はある決まった正の数列で、 個々の成分に付けられた重みに相当する。

標準内積:

(u,v)\equiv\int_a^bdx\,\overline{u(x)}v(x)

少し一般化して、

(u,v)\equiv\int_a^bdx\,\rho(x)\overline{u(x)}v(x)

としても良い。ただし、 \rho(x)>0 は「重み関数」と呼ばれる。

正規・直交

正規性:

(\bm x,\bm x)=\|x\|^2=1

直交:

(\bm x,\bm y)=0


正規直交:

ベクトルの組 \set{\bm e_k} に対して

(\bm e_i,\bm e_j)=\delta_{ij}

正規性:

\int_a^bdx\,\rho(x)\|u(x)\|^2=1

直交:

\int_a^bdx\,\rho(x)\overline{u(x)}v(x)=0

正規直交:

関数の組 \set{\phi_k(x)} に対して

\int_a^bdx\,\rho(x)\overline{\phi_i(x)}\phi_j(x)=\delta_{ij}

完全性・成分表示

あるベクトルの組 \set{\bm b_k} が線形空間 V を張るとは、 任意の \bm x\in V を次の形に表せること。

\bm x=\sum_{k=1}^n x_k\bm b_k

ある関数系 \set{\phi_k(x)} が完全であるとは、 任意の関数 f(x) を次の形に表せること。

f(x)=\sum_{k=1}^\infty f_k\phi_k(x)

実際には k \infty までの和を取るわけには行かないため、 この表示は N\to \infty のときに

\Big\|f(x)-\sum_{k=1}^N f_k\phi_k(x)\Big\|^2=\int_a^bdx\,\rho(x)\Big\|f(x)-\sum_{k=1}^N f_k\phi_k(x)\Big\|^2\to 0

となることを意味する。

正規直交基底 \set{\bm e_k} により \bm x=\sum_{k=1}^n x_k\bm e_k と分解するとき、 その \bm e_k 成分を

x_k=(\bm e_k,\bm x)

として求められる。(あるいは x_k=\overline{(\bm x,\bm e_k)}

すなわち、

\bm x=\sum_{k=1}^n (\bm e_k,\bm x)\bm e_k

正規直交関数形 \set{\phi_k(x)} により f(x)=\sum_{k=1}^n f_k\phi_k(x) と分解するとき、 その \phi_k(x) の係数を

f_k=\int_a^bdx\,\rho(x)\overline{\phi_k(x)}f(x)

として求められる。すなわち、

f(x)=\sum_{k=1}^n \Bigg[\int_a^bdx\,\rho(x)\overline{\phi_k(x)}f(x)\Bigg]\phi_k(x)

与えられた関数をこのように正規直交な完全関数系で展開することを、 「フーリエ式展開」と呼ぶ。

正規直交な完全関数系の例1:ルジャンドル(Legendre)多項式

ルジャンドル多項式は、内積の積分範囲を [-1,1] に、また、重み関数 \rho(x)=1 において \set{1,x,x^2,x^3,\dots} をシュミットの直交化法を用いて直交化して得られる関数系である。 (厳密には係数分だけ異なるが)

1)

\bm f_0=1

(\bm f_0,\bm f_0)=\int_{-1}^1 dx=[x]_{-1}^1=2

\therefore \bm e_0=\frac{1}{\|\bm f_0\|}\bm f_0=\frac{1}{\sqrt 2}

2)

&math(\bm f_1&=x-(\bm e_0,x)\bm e_0\\ &=x-\frac{1}{2}\int_{-1}^1dx\,x\\ &=x-\frac{1}{2}\Big[\frac{x^2}{2}\Big]_{-1}^1\\ &=x);

(\bm f_1,\bm f_1)=\int_{-1}^1 dx\,x^2=[\frac{1}{3}x^3]_{-1}^1=\frac{2}{3}

\therefore \bm e_1=\frac{1}{\|\bm f_1\|}\bm f_1=\sqrt{\frac{3}{2}}x

3)

&math(\bm f_2&=x^2-(\bm e_0,x^2)\bm e_0-(\bm e_1,x^2)\bm e_1\\ &=x^2-\frac{1}{2}\int_{-1}^1dx\,x^2-\frac{3}{2}\int_{-1}^1dx\,x^3\\ &=x^2-\frac{1}{2}\Big[\frac{x^3}{3}\Big]_{-1}^1-\frac{3}{2}\Big[\frac{x^4}{4}\Big]_{-1}^1\\ &=x^2-\frac{1}{3});

&math((\bm f_2,\bm f_2)&=\int_{-1}^1 dx\,\Big(x^4-\frac{2}{3}x^2+\frac{1}{9}\Big)\\ &=\Big[\frac{1}{5}x^5-\frac{2}{9}x^3+\frac{1}{9}x\Big]_{-1}^1\\ &=\frac{2}{5}-\frac{2}{9}=\frac{8}{45});

&math(\therefore \bm e_2&=\frac{1}{\|\bm f_2\|}\bm f_2\\ &=\sqrt{\frac{5}{2}}\cdot\sqrt{3}{2}(x^2-\frac{1}{3})\\ &=\sqrt{\frac{5}{2}}\cdot\frac{1}{2}(3x^2-1));

これを続けると、一般に

\bm e_n=\sqrt{\frac{2n+1}{2}}\cdot\underbrace{\frac{1}{2^nn!}\frac{d^n}{dx^n}(x^2-1)^n}_{\displaystyle P_n(x)}

の形が得られる。式中で P_n(x) として表わした部分がルジャンドル多項式と呼ばれる。

具体的な形は、

P_0(x)=1

P_1(x)=x

P_2(x)=\frac{1}{2}(3x^2-1)

P_3(x)=\frac{1}{2}(5x^3-3x)

P_4(x)=\frac{1}{8}(35x^4-30x^2+3)

P_5(x)=\frac{1}{8}(63x^5-70x^3+15x)

P_6(x)=\frac{1}{16}(231x^6-315x^4+105x^2-5)

などとなる。

フーリエ級数展開


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