静止物体中の Maxwell の方程式 のバックアップ(No.1)

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電磁気学

静止物体

非常に多数の荷電粒子(電子および原子核)から構成される。
→ すべてを連立して解くのは大変すぎる。

そこで、

  • 空間的に平均すると打ち消される電荷を無視する
  • 打ち消されずに残った電荷や電流のみを取り出して考える

負電荷である電子と正電荷である原子核は空間的に重なって存在するため、 通常ほぼすべてが互いに打ち消し合って、遠くから見た際には存在を無視できる。

例)1kgの鉄球に含まれる電子のうち、1兆個に1個ずつを取り出して、 もう1つの鉄球に移したとする。 2つの鉄球を1m 離して置くと、40トン以上の力で互いに引き合います。

普段、正の電荷と負の電荷がどれほど精密に打ち消し合っているかが分かりますね。

打ち消されずに残るもの

  • 真電荷 \rho_e 、伝導電流 \bm i_e : 伝導電子やホールによる
  • 分極電荷 \rho_d 、分極電流 \bm i_d : 正電荷と負電荷が空間的に少しだけずれることによる
  • 磁化電流 \bm i_m : 電荷が位置を変えずに回転する

後ろの2つは主に外場 \bm E, \bm B によって誘起される。

  • \rho_d, \bm i_d \bm E を弱める方向に生じる
  • \bm i_m \bm B を強めることも弱めることもある
    • 強める場合を「常磁性」
    • 弱める場合を「反磁性」
    • [Math Conversion Error]

      が無くても存在する場合を「永久磁石」

このように分類すると、

  • 全電荷 \rho=\rho_e+\rho_d+ (打ち消されてゼロになるため無視する電荷)
  • 全電流 \bm i=\bm i_e+\bm i_d+\bm i_m+ (打ち消されてゼロになるため無視する電流)

と書くことができる。

本章では、打ち消されてゼロになる成分を無視するほか、 \rho_d, \bm i_d, \bm i_m の各成分を \varepsilon,\mu に押し込めて、 物質中での Maxwell 方程式を \rho_e, \bm i_e のみで記述することを目指す。

分極

通常、原子や分子内の 負電荷(電子雲) -e の中心は、 正電荷(原子核) +e の中心と一致しており、 分子から離れると、両者の電場は打ち消し合う。

ここに外場 \bm E がかかり、両者の中心が \bm s だけずれたと考える。

負電荷の中心を \bm x_- 、正電荷の中心を \bm x_+ として \bm s=\bm x_+-\bm x_- である。

このとき、 \bm x における電位は

\phi(\bm x)=\frac{1}{e\pi\varepsilon_0}\left(\frac{+e}{|x-x_+|}+\frac{-e}{|x-x_-|}\right)


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