8-6 実際の時刻で表した Green 関数 †
τ表示から t 表示への変換:lesser †
(8.65) これは (8.56), (8.57) でやった内容。
(8.66), (8.67), (8.68)
では、
であることに注意。
これを lesser Green 関数と呼ぶ。
τ表示から t 表示への変換:greater †
同様に、
では、
であることに注意。
これを greater Green 関数と呼ぶ。
Green 関数の性質1 †
このように経路 C 上の G は Dyson 方程式 (8.63) を満たし、それを実の時間上に射影すると
の4つの成分が現れる。ただし、
それら自身は本来の意味での Green にはなっていない(実時間上の Dyson 方程式を満たさない) ことに注意が必要である。
(8.69)
4つの Green 関数は独立ではなく、3つが決まれば残りの1つが決まることが分かる。
平衡状態では
と
が複素共役となり、
これらの情報のみで系を記述できる。
平衡状態からずれた状況では3つの Green 関数がフルに必要となる。
ただし、平衡状態からのずれを線形応答に限ってしまえば、
係数を平衡状態の性質で表すことができるため、
と
の情報のみで十分となる。
Green 関数の定義まとめ †
定義をまとめると、
(8.70)〜(8.73)
Green 関数の性質2 †
これらに、
を使って、
Fourier 係数の定義 †
以下は物理量に対する Fourier 係数の定義。
これらの定義は数学的な一律の定義にはなっていなくて、
個々の物理量に対して係数の付け方や
と
の区別などが1つ1つ異なっているため、非常にややこしい。
このようなややこしい定義は (8.117)
の式に余計な係数が出てこないように工夫されたために生まれた物。
おかげで、途中計算は常に定義に戻って慎重に行わないとならず、かなり大変。
・・・・なのかと思ったら、第1刷の係数は Green 関数の定義で
が抜けていたのをつじつまを合わせるために入った物だったみたいで、
第2刷の定義によればそれほど複雑怪奇ではないみたい。(2012.06.01追記)
(8.74)
数学的には時間の Fourier 変換の係数に
が掛かったりしないが、ここでは上記の工夫のために入れてある。
(8.74A)
これ結構重要 →
は
のエルミート共役であって、
のフーリエ係数ではない。
このために指数関数の肩に乗る
の符号が逆転している。
(8.75)
(8.76)
(8.74A) のために、
,
に対する変換は
が
になる。
として、
(8.77)
δ関数に関する基本式は
→ δ関数について
自由な場合の Green 関数では †
(8.79)
自由な場合など、個々の電子の運動量と振動数が保存されている場合には、
のように、Fourier 成分が
と
に対して対角になる。
この場合、
(8.78)
のように、Green 関数は相対座標および相対時刻の関数となる。
またこのとき、Green 関数の Fourier 成分は
や
ではなく、
や
に対する変換係数になっているとも言える。