量子力学/汎関数微分 のバックアップソース(No.1)

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[[量子力学Ⅰ]]

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* 関数の関数=汎関数 [#k6553aeb]

$F$ に関数 $\phi$ を与えると何らかの数値 $F[\phi]$ が得られる、とすれば、そのような $F$ は汎関数と呼ばれる。関数の関数だから汎関数。

例えばこんなの。

$$
F[\phi]=\int f\big(\phi(x)\big)\ dx
$$

$f(y)$ は始めから決まった関数だとすれば、「関数 $\phi$ を定めると $F[\phi]$ の値が定まる」という感覚を理解できるだろうか。

もっと簡単な例として、

$$
F[\phi]=\phi(0)
$$

なんてすれば、これも立派な汎関数だ。$\phi(x)$ を決めてやれば $F[\phi]$ の値がちゃんと決まる。$\phi(x)$ の定義を変えると $F[\phi]$ の値も変わる(ことがある)。

* 汎関数微分 [#a84f1228]

関数 $\phi$ を 

$$
\phi(x)\to\phi(x)+\delta\phi(x)
$$ 

のように少し変化させたときに、汎関数 $F[\phi]$ の値が

$$
F[\phi]\to F[\phi]+\int \frac{\delta F}{\delta \phi} \delta\phi(x)\ dx
$$

のように変化した、と書けるときの、

$$
\frac{\delta F}{\delta \phi}
$$

のことで、これ自体が $x$ の関数となる。

$$
\phi(x)\to\phi(x)+\delta\phi(x)
$$ 

のときに

$$
F[\phi]\to F[\phi]+\delta F[\delta \phi]
$$

と書くとして、

$$
\delta F[\delta \phi]=\int \frac{\delta F}{\delta \phi} \delta\phi(x)\ dx
$$

と書いてもいい。

** どうして積分が必要なのか? [#x83a1625]

どうして

$$
\delta F[\delta \phi]=\frac{\delta F}{\delta \phi} \delta\phi
$$

ではなく、

$$
\delta F[\delta \phi]=\int \frac{\delta F}{\delta \phi} \delta\phi(x)\ dx
$$

のように積分が必要なのか?

これは、$n$ 変数関数 $f(x_1,x_2,\dots,x_n)$ の

$$
x_i\to x_i+\delta x_i
$$

に対する変化が、

$$
f\to f+\sum_{i=1}^n \frac{\partial f}{\partial x_i}\delta x_i
$$

であったことと対応している。$F[\phi]$ では $\sum$ の代りに $\int$ が現れたわけだ。

言ってしまえば、汎関数 $F[\phi]$ は無限個の変数 $\phi(x)$ に依存する超多変数関数なのである。

$F[\phi]$ は $\phi(0)$ にも $\phi(0.1)$ にも $\phi(0.11)$ にも依存している(可能性がある)。というか、定義域に含まれるすべての $x$ に対する $\phi(x)$ に依存している(可能性がある)のだから、それぞれに対する変化量である $(\delta F/\delta\phi)\delta\phi(x)$ をすべて足したものが $\delta F[\delta\phi]$ になる。$x$ が連続なので「すべて足したもの」を計算するのに $\sum$ ではなくて $\int $ が必要になるわけだ。

* 汎関数微分の例 [#fa68847a]

** 例1 [#z5c871d6]

$$
F[\phi]=\int f\big(x,\phi(x)\big)\ dx
$$

のときは単純に、

$$
\delta F[\delta \phi]=\int \frac{\partial f}{\partial \phi} \delta\phi(x)\ dx
$$

であるから、

$$
\frac{\delta F}{\delta \phi}=\frac{\partial f}{\partial \phi}
$$

となる。これは一般に $x$ の関数である。

めでたしめでたし?

** 例2 [#y773c2f4]

$$
\phi'=\frac{d\phi}{dx}
$$

などと書くことにして、

$$
F[\phi]=\int f(\phi(x),\phi'(x))\ dx
$$

のとき、

$$
\delta F[\delta\phi]=\int \Big[\frac{\partial f}{\partial \phi}\delta \phi+\frac{\partial f}{\partial \phi'}\delta \phi'\Big] dx
$$

部分積分すると、

$$
\delta F[\delta\phi]=\Big[\frac{\partial f}{\partial \phi'}\delta \phi\Big]+\int \Big[\frac{\partial f}{\partial \phi}-\Big(\frac{\partial f}{\partial \phi'}\Big)'\Big]\delta \phi\ dx
$$

積分区間の端で $\frac{\partial f}{\partial \phi'}=0$ または $\delta \phi=0$ となる場合には1項目は消えて、

$$
\frac{\delta F}{\delta \phi}=\frac{\partial f}{\partial \phi}-\Big(\frac{\partial f}{\partial \phi'}\Big)'
$$

と書ける。微分をちゃんと書いておくと、

$$
\frac{\delta F}{\delta \phi}=\frac{\partial f}{\partial \phi}-\frac{d}{dx}\Big(\frac{\partial f}{\partial (d\phi/dx)}\Big)
$$

である。この形はラグランジアン密度を考える際などに頻出する。

* 参考 [#x7ea3e5f]

ー [EMANの物理学・解析力学・汎関数微分](http://eman-physics.net/analytic/functional.html)

* 質問・コメント [#n228804f]

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