球座標を用いた変数分離/MathJax のバックアップの現在との差分(No.1)

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* 目次 [#ibe32ff7]

[[量子力学Ⅰ]]

#contents
&mathjax();

* 中心力場の中での運動 [#c3853c5e]

球対称なポテンシャル $V(\bm r)=V(r)$ の中での運動を考える。

このとき、$x,y,z$ の直交座標ではなく、
$r,\theta,\phi$ を用いた球座標を用いると都合がよい。

* 球座標における微分演算子(まとめ) [#xcdb86c0]

#ref(spherical-coordinate2.svg,right,around);
#ref(量子力学Ⅰ/球座標を用いた変数分離/spherical-coordinate2.svg,right,around);

[[導出方法はこちら>@量子力学Ⅰ/球座標における微分演算子]]

球座標:

 &math(
$$
\begin{cases}
x=r\sin\theta\cos\phi\\
y=r\sin\theta\sin\phi\\
z=r\cos\theta
\end{cases}
);
$$

ラプラシアン:

 &math(\nabla^2=\Delta=&\frac{\PD^2}{\PD x^2}+\frac{\PD^2}{\PD y^2}+\frac{\PD^2}{\PD z^2}\\
=&\frac{1}{r}\frac{\PD^2}{\PD r^2}r+\frac{1}{r^2}\hat\Lambda);
$$
\begin{aligned}
\nabla^2=\Delta=&\frac{\PD^2}{\PD x^2}+\frac{\PD^2}{\PD y^2}+\frac{\PD^2}{\PD z^2}\\
=&\frac{1}{r}\frac{\PD^2}{\PD r^2}r+\frac{1}{r^2}\hat\Lambda
\end{aligned}
$$

 &math(\hat\Lambda=\frac{1}{\sin\theta} \frac{\PD}{\PD \theta}
\Big(\sin\theta\frac{\PD}{\PD \theta}\Big)+\frac{1}{\sin^2\theta} \frac{\PD^2}{\PD \phi^2});
$$
\hat\Lambda=\frac{1}{\sin\theta} \frac{\PD}{\PD \theta}
\Big(\sin\theta\frac{\PD}{\PD \theta}\Big)+\frac{1}{\sin^2\theta} \frac{\PD^2}{\PD \phi^2}
$$

角運動量の大きさの2乗:

 &math(
$$
\hat{\bm l}^2=|\bm r\times\hat{\bm p}|^2=-\hbar^2\hat\Lambda
);
$$

ラプラシアンの &math(1/r^2); の項の係数は、
角運動量の大きさの2乗の演算子 &math(\hat l^2); と &math(-\hbar^2); の係数を除いて等しい。
ラプラシアンの $1/r^2$ の項の係数は、
角運動量の大きさの2乗の演算子 $\hat l^2$ と 
$-\hbar^2$ の係数を除いて等しい。

&math(z); 軸まわりの運動量:
$z$ 軸まわりの運動量:

 &math(
$$
\hat l_z=(\bm r\times\hat{\bm p})_z=-i\hbar\frac{\PD}{\PD\phi}
);
$$

残りの角運動量:

 &math(
$$
\begin{aligned}
\hat l_x^2+\hat l_y^2=&\,\hat{\bm l}^2-\hat l_z^2\\
=&-\hbar^2\left[\frac{1}{\sin\theta} \frac{\PD}{\PD \theta}
\Big(\sin\theta\frac{\PD}{\PD \theta}\Big)+\frac{1}{\sin^2\theta} \frac{\PD^2}{\PD \phi^2}\right]+\hbar^2\frac{\PD^2}{\PD \phi^2}\\
=&-\hbar^2\left[\frac{1}{\sin\theta} \frac{\PD}{\PD \theta}
\Big(\sin\theta\frac{\PD}{\PD \theta}\Big)+\frac{1}{\tan^2\theta} \frac{\PD^2}{\PD \phi^2}\right]\\
);
\end{aligned}
$$

角運動量の上昇・下降演算子(意味は後ほど):

 &math(\hat l_\pm=\hat l_x\pm i\hat l_y=\hbar e^{\pm i\phi}\Big(\pm\frac{\PD}{\PD\theta}+\frac{i}{\tan\theta}\frac{\PD}{\PD\phi}\Big));
$$
\hat l_\pm=\hat l_x\pm i\hat l_y=\hbar e^{\pm i\phi}\Big(\pm\frac{\PD}{\PD\theta}+\frac{i}{\tan\theta}\frac{\PD}{\PD\phi}\Big)
$$

* 演習:シュレーディンガー方程式の変数分離 [#mfb957f5]

球座標表示におけるラプラシアンは以下のように表される。

 &math(\nabla^2=\frac{\PD^2}{\PD r^2}+\frac{2}{r}\frac{\PD}{\PD r}+\frac{1}{r^2}\hat\Lambda);
$$
\nabla^2=\frac{\PD^2}{\PD r^2}+\frac{2}{r}\frac{\PD}{\PD r}+\frac{1}{r^2}\hat\Lambda
$$

 &math(\hat\Lambda=\frac{1}{\sin\theta} \frac{\PD}{\PD \theta}
\Big(\sin\theta\frac{\PD}{\PD \theta}\Big)+\frac{1}{\sin^2\theta} \frac{\PD^2}{\PD \phi^2});
$$
\hat\Lambda=\frac{1}{\sin\theta} \frac{\PD}{\PD \theta}
\Big(\sin\theta\frac{\PD}{\PD \theta}\Big)+\frac{1}{\sin^2\theta} \frac{\PD^2}{\PD \phi^2}
$$

以下の問いに従って、中心力場 &math(V(\bm r)=V(r)); の中での粒子の運動について考えよ。
以下の問いに従って、中心力場 $V(\bm r)=V(r)$ の中での粒子の運動について考えよ。

(1) &math(\frac{1}{r}\frac{\PD^2}{\PD r^2}r=\frac{\PD^2}{\PD r^2}+\frac{2}{r}\frac{\PD}{\PD r}); を示せ。
(1) $\displaystyle\frac{1}{r}\frac{\PD^2}{\PD r^2}r=\frac{\PD^2}{\PD r^2}+\frac{2}{r}\frac{\PD}{\PD r}$ を示せ。

(2) 与えられたラプラシアンの表式と (1) の結果を用いて、
球座標表示における時間を含まないシュレーディンガー方程式を書き下せ。
解答には &math(\hat\Lambda); を用いて良い。
解答には $\hat\Lambda$ を用いて良い。

(3) 波動関数を &math(\varphi(r,\theta,\phi)=R(r)Y(\theta,\phi)); と置き、
(3) 波動関数を $\varphi(r,\theta,\phi)=R(r)Y(\theta,\phi)$ と置き、
(2) の方程式を変数分離することにより、以下の方程式を導け。
ただし共通の定数を &math(l(l+1)); と置いた。
ただし共通の定数を $l(l+1)$ と置いた。

 &math(
&-\frac{\hbar^2}{2m}\frac{\PD^2}{\PD r^2}rR(r)+\left\{V(r)+\frac{\hbar^2l(l+1)}{2mr^2}\right\}rR(r)=\varepsilon\,rR(r)
);
$$
{}-\frac{\hbar^2}{2m}\frac{\PD^2}{\PD r^2}rR(r)+\left\{V(r)+\frac{\hbar^2l(l+1)}{2mr^2}\right\}rR(r)=\varepsilon\,rR(r)
$$

 &math(
$$
\hat\Lambda Y(\theta,\phi)=-l(l+1)Y(\theta,\phi)
);
$$

(4) (3) の方程式を解いて得られる &math(Y(\theta,\phi)); および &math(\varphi); 
が角運動量の大きさの2乗 &math(\hat l^2); の固有関数であり、その固有値が &math(\hbar^2l(l+1)); 
(4) (3) の方程式を解いて得られる $Y(\theta,\phi)$ および $\varphi$ 
が角運動量の大きさの2乗 $\hat l^2$ の固有関数であり、その固有値が $\hbar^2l(l+1)$ 
となることを確かめよ。

(5) 古典論において、質量 &math(m); の粒子が原点から &math(r); の距離を角速度 &math(\omega); 
で回転するときの角運動量は &math(L=mr^2\omega); であり、遠心力は &math(f_c=mr\omega^2); 
(5) 古典論において、質量 $m$ の粒子が原点から $r$ の距離を角速度 $\omega$ 
で回転するときの角運動量は $L=mr^2\omega$ であり、遠心力は $f_c=mr\omega^2$ 
で与えられる。~
ここから遠心力に対するポテンシャルエネルギーが &math(V_c(r)=\frac{L^2}{2mr^2});
と書けることを示し、(3) で得た &math(R(r)); の方程式に現れる &math(\frac{\hbar^2l(l+1)}{2mr^2}); 
ここから遠心力に対するポテンシャルエネルギーが $V_c(r)=\frac{L^2}{2mr^2}$
と書けることを示し、(3) で得た $R(r)$ の方程式に現れる $\frac{\hbar^2l(l+1)}{2mr^2}$ 
の項が遠心力の寄与を表わすことを理解せよ。中心力場内では角運動量が保存量となるため、
遠心力とポテンシャルエネルギーとの関係は &math(L); 一定の元で &math(\frac{\PD V_c}{\PD r}=-f_c); 
遠心力とポテンシャルエネルギーとの関係は $L$ 一定の元で $\frac{\PD V_c}{\PD r}=-f_c$ 
であることに注意せよ。

(6) &math(Y(\theta,\phi)=\Theta(\theta)\Phi(\phi)); と置いて (3) の第2式を変数分離すると以下の式が得られることを確かめよ。
(6) $Y(\theta,\phi)=\Theta(\theta)\Phi(\phi)$ と置いて (3) の第2式を変数分離すると以下の式が得られることを確かめよ。

 &math(\left\{\sin\theta \frac{\PD}{\PD \theta}\Big(\sin\theta\frac{\PD}{\PD \theta}\Big)+
l(l+1)\sin^2\theta-m^2\right\}\Theta(\theta)=0);
$$
\left\{\sin\theta \frac{\PD}{\PD \theta}\Big(\sin\theta\frac{\PD}{\PD \theta}\Big)+
l(l+1)\sin^2\theta-m^2\right\}\Theta(\theta)=0
$$

 &math(\frac{\PD^2}{\PD \phi^2}\Phi(\phi)=-m^2\Phi(\phi));
$$
\frac{\PD^2}{\PD \phi^2}\Phi(\phi)=-m^2\Phi(\phi)
$$

ただし、共通の定数を &math(-m^2); と置いた(質量 &math(m); と紛らわしいが慣例に従った)。
ただし、共通の定数を $-m^2$ と置いた(質量 $m$ と紛らわしいが慣例に従った)。

(7) &math(\Phi); に対する方程式は、&math(\Phi); が &math(\frac{\PD}{\PD \phi}\Phi(\phi)=im\Phi(\phi)); を満たせば自動的に満たされる。この方程式を解き、連続の条件 &math(\Phi(2\pi)=\Phi(0)); を満たすためには 
&math(m); が整数値を取らなければならないことを確かめよ。
(7) $\Phi$ に対する方程式は、$\Phi$ が $\frac{\PD}{\PD \phi}\Phi(\phi)=im\Phi(\phi)$ を満たせば自動的に満たされる。この方程式を解き、連続の条件 $\Phi(2\pi)=\Phi(0)$ を満たすためには 
$m$ が整数値を取らなければならないことを確かめよ。

(8) (7), (3) を解いて得られた &math(\Phi(\phi)); および &math(\varphi(r,\theta,\phi)); は
&math(\hat l_z); の固有関数であり、その固有値が &math(\hbar m); であることを確かめよ。
(8) (7), (3) を解いて得られた $\Phi(\phi)$ および $\varphi(r,\theta,\phi)$ は
$\hat l_z$ の固有関数であり、その固有値が $\hbar m$ であることを確かめよ。

[[●解答はこちら>@量子力学Ⅰ/球座標を用いた変数分離/メモ#cabc7bba]]

** 解説 [#zf4c1722]

球対称ポテンシャル &math(V(\bm r)=V(r)); に対する時間を含まないシュレーディンガー方程式:
球対称ポテンシャル $V(\bm r)=V(r)$ に対する時間を含まないシュレーディンガー方程式:

 &math(
$$
\hat H\varphi(\bm r)=\left[-\frac{\hbar^2}{2m}\frac{\partial^2}{\partial x^2}+V(r)\right]\varphi(\bm r)=\varepsilon \varphi(\bm r)
);
$$

は球座標

 &math(
$$
\begin{cases}
x=r\sin\theta\cos\phi\\
y=r\sin\theta\sin\phi\\
z=r\cos\theta
\end{cases}
);
$$

を用いて &math(\varphi=R(r)Y(\theta,\phi)); のように変数分離できることを仮定すると、
を用いて $\varphi=R(r)Y(\theta,\phi)$ のように変数分離できることを仮定すると、

 &math(
$$
\hat {\bm l}^2 \,Y_l(\theta,\phi)=\hbar^2l(l+1)\,Y_l(\theta,\phi)
);
$$

 &math(
$$
\displaystyle\underbrace{\bigg[-\frac{\hbar^2}{2m}\frac{d^2}{dr^2}+\bigg\{V(r)+\overbrace{\frac{\hbar^2l(l+1)}{2mr^2}}^{遠心力ポテンシャル}\bigg\}\bigg]}_{\textstyle \hat H^l}\Big\{rR_n{}^l(r)\Big\}=\varepsilon_n{}^l\Big\{rR_n{}^l(r)\Big\}
);
$$

を得る。

第2式は &math(Y(\theta,\phi)); が全角運動量の二乗 &math(\hat{\bm l}^2); 
の固有関数であることを示しているが、これは波動関数 &math(\varphi); 自体が 
&math(\hat{\bm l}^2); の固有関数ということと同義である。
(&math(\hat{\bm l}^2); は &math(R(r)); に作用しないことに注意せよ)
第2式は $Y(\theta,\phi)$ が全角運動量の二乗 $\hat{\bm l}^2$ 
の固有関数であることを示しているが、これは波動関数 $\varphi$ 自体が 
$\hat{\bm l}^2$ の固有関数ということと同義である。
($\hat{\bm l}^2$ は $R(r)$ に作用しないことに注意せよ)

そこで上式は、全角運動量の二乗が &math(\hbar^2l(l+1)); と確定した波動関数に対しては、
&math(rR(r)); が遠心力に対するポテンシャル &math(\hbar^2l(l+1)/2mr^2); 
を含めた1次元ハミルトニアン &math(\hat H^l); に対するシュレーディンガー方程式の解となる
そこで上式は、全角運動量の二乗が $\hbar^2l(l+1)$ と確定した波動関数に対しては、
$rR(r)$ が遠心力に対するポテンシャル $\hbar^2l(l+1)/2mr^2$ 
を含めた1次元ハミルトニアン $\hat H^l$ に対するシュレーディンガー方程式の解となる
ことを示している。(遠心力が外向きに働くことに対応して、原点から遠ざかる向きにポテンシャルが減少することを確認せよ)

なぜ &math(R(r)); でなく &math(rR(r)); に対する方程式となるかについては後に見る
なぜ $R(r)$ でなく $rR(r)$ に対する方程式となるかについては後に見る

全角運動量を決める量子数 &math(l); (後にこれがゼロ以上の整数となることを見る)
が変わると &math(rR(r)); に対する方程式も変化する。
各 &math(l); に対して複数の固有値 &math(\varepsilon_n^l); と固有関数 &math(R_n^l(r)); 
が見つかるため、エネルギーは2つの量子数 &math(n, l); で指定される。
全角運動量を決める量子数 $l$ (後にこれがゼロ以上の整数となることを見る)
が変わると $rR(r)$ に対する方程式も変化する。
各 $l$ に対して複数の固有値 $\varepsilon_n^l$ と固有関数 $R_n^l(r)$ 
が見つかるため、エネルギーは2つの量子数 $n, l$ で指定される。

&math(Y); に対する方程式は &math(V(r)); を含まない。
$Y$ に対する方程式は $V(r)$ を含まない。
すなわち中心力でさえあれば、具体的なポテンシャル形状を与えずに解ける。

&math(Y=\Theta(\theta)\Phi(\phi)); のように変数分離できることを仮定すると、
$Y=\Theta(\theta)\Phi(\phi)$ のように変数分離できることを仮定すると、

 &math(
$$
\hat l_z^2\Phi(\phi)=-\hbar^2\frac{\PD^2}{\PD \phi^2}\Phi(\phi)=\hbar^2m^2\Phi(\phi)
);
$$

 &math(
$$
\begin{align}
&\bigg\{\frac{\hbar^2}{\sin\theta} \frac{\PD}{\PD \theta}\Big(\sin\theta\frac{\PD}{\PD \theta}\Big)
+\frac{\hbar^2 m^2}{\sin^2\theta}\bigg\}\Theta(\theta)=\\
{}+\frac{\hbar^2 m^2}{\sin^2\theta}\bigg\}\Theta(\theta)=\\
&\bigg\{\underbrace{\frac{\hbar^2}{\sin\theta} \frac{\PD}{\PD \theta}\Big(\sin\theta\frac{\PD}{\PD \theta}\Big)+\frac{\hbar^2m^2}{\tan^2\theta}\rule[-11pt]{0pt}{0pt}}_{\displaystyle l_x^2+l_y^2}+
\underbrace{\hbar^2 m^2\rule[-11pt]{0pt}{0pt}}_{\displaystyle l_z^2}\bigg\}\Theta(\theta)=\underbrace{\hbar^2l(l+1)\rule[-11pt]{0pt}{0pt}}_{\displaystyle l^2}\,\Theta(\theta)
);
\end{align}
$$

を得る。

&math(\phi); は &math(z); 軸周りの回転を表すから、
&math(\Phi); には &math(\Phi(\phi+2\pi)=\Phi(\phi)); の周期性が要求される。
ここから、&math(m); が整数であることが必要となる(&math(m=\dots,-2,-1,0,1,2,\dots);)。
このとき、&math(\Phi(\phi)); は &math(\hat l_z); の固有値 &math(\hbar m); 
$\phi$ は $z$ 軸周りの回転を表すから、
$\Phi$ には $\Phi(\phi+2\pi)=\Phi(\phi)$ の周期性が要求される。
ここから、$m$ が整数であることが必要となる($m=\dots,-2,-1,0,1,2,\dots$)。
このとき、$\Phi(\phi)$ は $\hat l_z$ の固有値 $\hbar m$ 
の固有関数となる。

&math(\hbar m); が &math(z); 軸周りの角運動量を表し、
&math(\hbar^2l(l+1)); が全角運動量の2乗を表すことを考えれば、
第2式の左辺で &math(\hbar^2 m^2); を除いた部分が &math(\hat l_x^2+\hat l_y^2); 
$\hbar m$ が $z$ 軸周りの角運動量を表し、
$\hbar^2l(l+1)$ が全角運動量の2乗を表すことを考えれば、
第2式の左辺で $\hbar^2 m^2$ を除いた部分が $\hat l_x^2+\hat l_y^2$ 
を表すことが分かる。

第2式は &math(l_z); が決定している状況で &math(l^2); の固有値を求める問題になっており、
第2式は $l_z$ が決定している状況で $l^2$ の固有値を求める問題になっており、

 &math(l\ge |m|);
$$
l\ge |m|
$$

を満たす整数値 &math(l); に対してのみ解を持つことが知られている。
を満たす整数値 $l$ に対してのみ解を持つことが知られている。

逆に、ある &math(l); に対しては &math(-l\le m \le l); となるため、
逆に、ある $l$ に対しては $-l\le m \le l$ となるため、

| 全角運動量 &math(l\sim\hbar l); | &math(z); 軸周り角運動量 &math(l_z=\hbar m); | 状態 |
| &math(l=0); | &math(m=0); | &math(s); 状態 |
| &math(l=1); | &math(m=-1,0,1); | &math(p); 状態 |
| &math(l=2); | &math(m=-2,-1,0,1,2); | &math(d); 状態 |
| &math(l=3); | &math(m=-3,-2,-1,0,1,2,3); | &math(f); 状態 |
| &math(\vdots); | &math(\vdots); | &math(\vdots); |
| 全角運動量 $l\sim\hbar l$ | $z$ 軸周り角運動量 $l_z=\hbar m$ | 状態 |
| $l=0$ | $m=0$ | $s$ 状態 |
| $l=1$ | $m=-1,0,1$ | $p$ 状態 |
| $l=2$ | $m=-2,-1,0,1,2$ | $d$ 状態 |
| $l=3$ | $m=-3,-2,-1,0,1,2,3$ | $f$ 状態 |
| $\vdots$ | $\vdots$ | $\vdots$ |

原子の軌道を表す場合には、量子数 &math(l); をそのまま用いる代わりに &math(s,p,d,f,g,\dots); のアルファベットを用いる方が一般的である。&math(l); とアルファベットの対応は以下の通り。原子の軌道を考える際には多くの場合 f 軌道までで十分である。現在知られている最も重い原子でも、基底状態では g, h などの電子軌道に電子が入ることはない。
原子の軌道を表す場合には、量子数 $l$ をそのまま用いる代わりに $s,p,d,f,g,\dots$ のアルファベットを用いる方が一般的である。$l$ とアルファベットの対応は以下の通り。原子の軌道を考える際には多くの場合 f 軌道までで十分である。現在知られている最も重い原子でも、基底状態では g, h などの電子軌道に電子が入ることはない。

|~ &math(l);   | 0  | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | … |
|~ $l$   | 0  | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | … |
|~文字          | s | p | d | f | g | h | … |

上記を線形代数的な言葉でまとめるならば、

 &math(\hat{\bm l}^2Y_l{}^m(\theta, \phi)=\hbar^2l(l+1) Y_l{}^m(\theta, \phi));
$$
\hat{\bm l}^2Y_l{}^m(\theta, \phi)=\hbar^2l(l+1) Y_l{}^m(\theta, \phi)
$$

なる固有値問題において、固有値 &math(\hbar^2l(l+1)); に対する 
&math(Y); の固有空間は &math(2l+1); 次元になる。
そして、この固有空間に角運動量の &math(z); 成分を表す演算子 &math(\hat l_z); に対する 
&math(2l+1); 個の独立な固有関数を取ったのが
&math(Y_l{}^m(\theta, \phi)=\Theta_l{}^m(\theta)\Phi_m(\phi)); である。
なる固有値問題において、固有値 $\hbar^2l(l+1)$ に対する 
$Y$ の固有空間は $2l+1$ 次元になる。
そして、この固有空間に角運動量の $z$ 成分を表す演算子 $\hat l_z$ に対する 
$2l+1$ 個の独立な固有関数を取ったのが
$Y_l{}^m(\theta, \phi)=\Theta_l{}^m(\theta)\Phi_m(\phi)$ である。

 &math(l_zY_l{}^m(\theta, \phi)=\hbar m Y_l{}^m(\theta, \phi));
$$
l_zY_l{}^m(\theta, \phi)=\hbar m Y_l{}^m(\theta, \phi)
$$

ただし、

 &math(l=0,1,2,\dots); 
$$
l=0,1,2,\dots
$$

 &math(m=-l,-l+1,\dots,-1,0,1,\dots,l-1,l); 
$$
m=-l,-l+1,\dots,-1,0,1,\dots,l-1,l
$$

この関数は 球面調和関数 と呼ばれ、具体的には次の形を取る。

 &math(
$$
Y_l^m(\theta,\phi)=
\underbrace{(-1)^{(m+|m|)/2}\sqrt{\frac{2l+1}{2}\frac{(l-|m|)!}{(l+|m|)!}}P_l^{|m|}(\cos\theta)}_{\Theta(\theta)}
\underbrace{\frac{1}{\sqrt{2\pi}}e^{im\phi}}_{\Phi(\phi)}
);
$$

結果的に3次元の固有関数は3つの量子数 &math(l,m,n); でラベル付けされ、
結果的に3次元の固有関数は3つの量子数 $l,m,n$ でラベル付けされ、

 &math(\varphi_{lmn}(r,\theta,\phi)=R_n^l(r)Y_l^m(\theta,\phi)=R_n^l(r)\Theta_l^m(\theta)\Phi_m(\phi));
$$
\varphi_{lmn}(r,\theta,\phi)=R_n^l(r)Y_l^m(\theta,\phi)=R_n^l(r)\Theta_l^m(\theta)\Phi_m(\phi)
$$

 &math(\hat H\varphi_{lmn}(r,\theta,\phi)=\varepsilon_n{}^l\varphi_{lmn}(r,\theta,\phi));
$$
\hat H\varphi_{lmn}(r,\theta,\phi)=\varepsilon_n{}^l\varphi_{lmn}(r,\theta,\phi)
$$

すなわち、この系のエネルギー固有値は2つの量子数 &math(l,n); により指定される。
すなわち、この系のエネルギー固有値は2つの量子数 $l,n$ により指定される。

&math(n); を主量子数、&math(l); を方位量子数、&math(m); を磁気量子数、と呼ぶ。
$n$ を主量子数、$l$ を方位量子数、$m$ を磁気量子数、と呼ぶ。

&math(\varphi_{lmn}); に対して &math(\hat l^2 \varphi_{lmn}= \hbar^2l(l+1)\varphi_{lmn}); 
であるから、この関数の角運動量の大きさ &math(|\bm l|); は &math(\hbar\sqrt{l(l+1)}); であるが、
慣例として「角運動量の大きさが &math(\hbar l); のとき」などという。
$\varphi_{lmn}$ に対して $\hat l^2 \varphi_{lmn}= \hbar^2l(l+1)\varphi_{lmn}$ 
であるから、この関数の角運動量の大きさ $|\bm l|$ は $\hbar\sqrt{l(l+1)}$ であるが、
慣例として「角運動量の大きさが $\hbar l$ のとき」などという。

角運動量の大きさが &math(\hbar l); であるとき、その &math(z); 成分 &math(l_z); が 
&math(-\hbar l\le \hbar m\le \hbar l); を満たすのは当然と思えるはずである。
&math(m=\pm l); のときも、不確定性により &math(l_x,l_y); は完全にはゼロとならず、
&math(l_x^2+l_y^2=\hbar^2 l); となる。これが &math(|\bm l|^2=\hbar^2l^2); とはならず、
&math(|\bm l|^2=\hbar^2l(l+1)); となる理由である。
角運動量の大きさが $\hbar l$ であるとき、その $z$ 成分 $l_z$ が 
$-\hbar l\le \hbar m\le \hbar l$ を満たすのは当然と思えるはずである。
$m=\pm l$ のときも、不確定性により $l_x,l_y$ は完全にはゼロとならず、
$l_x^2+l_y^2=\hbar^2 l$ となる。これが $|\bm l|^2=\hbar^2l^2$ とはならず、
$|\bm l|^2=\hbar^2l(l+1)$ となる理由である。

波動関数 &math(\varphi_{nml}(\bm r)=R_n{}^l(r)Y_l{}^m(\theta,\phi)); 
を全空間で積分した際に1となるよう規格化するためには、&math(R(r),\Theta(\theta),\Phi(\phi)); をそれぞれ、
波動関数 $\varphi_{nml}(\bm r)=R_n{}^l(r)Y_l{}^m(\theta,\phi)$ 
を全空間で積分した際に1となるよう規格化するためには、$R(r),\Theta(\theta),\Phi(\phi)$ をそれぞれ、

 &math(
$$
\begin{align}
&\iiint|\varphi(\bm r)|^2d^3r=\\
&\int_0^\infty dr\int_0^\pi r\sin\theta\,d\theta\int_0^{2\pi}r\,d\phi\ |\varphi(\bm r)|^2=\\
&\underbrace{\int_0^\infty r^2|R(r)|^2dr}_{\displaystyle=1}\ 
\underbrace{\int_0^\pi \sin\theta|\Theta(\theta)|^2 d\theta}_{\displaystyle=1}\ 
\underbrace{\int_0^{2\pi}|\Phi(\phi)|^2 d\phi}_{\displaystyle=1}=1
);
\end{align}
$$

となるように規格化すればよい。((これを &math(1\times 1\times 1); ではなく &math(1/4\pi\times 2\times 2\pi); となるよう規格化しても構わないのだが、球面調和関数の定義が上記の規格化を採用しているため、ここでもこれに従う))
となるように規格化すればよい。((これを $1\times 1\times 1$ ではなく $1/4\pi\times 2\times 2\pi$ となるよう規格化しても構わないのだが、球面調和関数の定義が上記の規格化を採用しているため、ここでもこれに従う))

&math(R(r)); に対する積分に &math(r^2);、
&math(\Theta(\theta)); に対する積分に &math(\sin\theta); の重みが
$R(r)$ に対する積分に $r^2$、
$\Theta(\theta)$ に対する積分に $\sin\theta$ の重みが
それぞれかかることに注意せよ。

それぞれの正規直交性は、

 &math(
$$
\int_0^\infty \big\{rR_n{}^l(r)\big\}^*\big\{rR_{n'}{}^l(r)\big\}\,dr=\delta_{nn'}
);
$$

 &math(
$$
\int_0^\pi \sin\theta\ \Theta_l^m(\theta)^*\Theta_{l'}^m(\theta) d\theta=\delta_{ll'}
);
$$

 &math(
$$
\int_0^{2\pi}\Phi_m(\phi)^*\Phi_{m'}(\phi) d\phi=\delta_{mm'}
);
$$

であり、このとき

 &math(
$$
\begin{align}
\iiint\varphi_{lmn}^*(\bm r)\varphi_{l'm'n'}(\bm r)d^3r
&=\delta_{ll'}\delta_{mm'}\delta_{nn'}\\
&=\begin{cases}
\ 1&(l=l',\, m=m',\, n=n')\\
\ 0&(それ以外)\\
\end{cases}
);
\end{align}
$$

が成り立つ。

~
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