8-3 数学的に便利な微分方程式を満たす関数 †
自由電子のハミルトニアン(フェルミエネルギー分をシフト済み) †
ポテンシャル成分を含まない自由な電子のハミルトニアン(波数表示)
(8.29)
これは実空間で言えば、
(8.29A)
ということ。実⇔波数 の変換は (8.74) あたりでちゃんと出てくる。
Green 関数導出の試行(失敗) †
電子密度
の括弧の中の2つの
の位置と時刻をずらしてみる。(
は
で記述される系における期待値を表す。
本当なら
を
のように書いた方が分かりやすいと思うのだが、ここでは教科書に沿って進めることとする コメント欄でご指摘の通り
の H はハイゼンベルク表示の H なので、
で正しいですね)
(8.30)
ここで、
に含まれる
の項の交換関係を調べると、
(8.30A)
したがって (8.24) と合わせれば、
では
の符号は負であったが、
ここでは交換関係により正になっている。
しかしこれは Green 関数として利用可能な形(右辺にδ関数が現われる)になっていない。
時間順序を使って Green 関数を導く †
(8.31)
そこで「時間順序」を導入する。
ここで、
すなわち、
と
の時刻の早いほうを右側に来るように並べた形になっている。
(8.32)
途中で
、
および
を使った。
次元について:
-
は 1/(時間) の次元
-
は (エネルギー) の次元
-
や
は 1/(体積) の次元
-
も 1/(体積) の次元
ということで、右辺のδ関数には
が必須。
(8.34)
この期待値に
を掛けた物が時間順序 Green 関数:
(8.35)
(8.36)
(ここまでに現われた
は
のことであった)
自由でない場合 †
自由でない場合も含めて、以下の様に
を定義する。(
)
(8.37)
(8.38A)
(8.38B)
(8.38C)
(8.32) と同様にして
のすべてが (8.36) の形の方程式を満たすことが確認できる。
有限の
を持つ場合の
では右辺に
に起因した項が現われる → (8.103)
すぐ分かるように、
(8.38D)
の関係が成り立っている。
-
: 時間順序(time order)
-
: 逆時間順序(anti time order)
-
: 遅延(retarded)
-
: 先進(advanced)
Green 関数を用いて電子数密度を表す †
(8.39)
の条件により
の項のみを残しておいて、
最終的に
を
に近づける。