定理2.10 †
線形写像が1対1であることと、その核がゼロベクトルのみを含むこと、
すなわち
とは同値である。
証明1(教科書のもの) †
まず線形写像の核は必ずゼロベクトルを含むことを示す。
なぜならベクトルと線形写像の性質から、
であるが、両辺に
を加えると、
つまり、
となる。
ところが、
が1対1写像であれば
は
を意味するので、
はゼロベクトル以外の要素を含まない。
逆に、
であるとすると、
を変形して
より、
すなわち
を導くことができ、この対偶として
が1対1写像であること
が示される。
証明2 †
線形写像
が1対1である
の定義は
であるような
について
である
ということであった。これを数学的に書けば
となるが、これの対偶は
である。
さらに両辺を変形すると、
と置けば、
これは
と同値である。
途中の変形はすべて同値変形であるから、定理は証明された。