一次元箱形障壁のトンネル のバックアップ(No.2)

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量子力学Ⅰ

電子のエネルギーとポテンシャルエネルギー

電子のエネルギーはポテンシャルエネルギーと運動エネルギーの和であるから次式が成り立つ。

  \varepsilon = V(x) + \frac{p^2}{2m}

このため古典力学においては、常に

(1) (電子のエネルギー) > (ポテンシャルエネルギー)

が成り立った。

一方、量子力学では

(2) (電子のエネルギー) < (ポテンシャルエネルギー)

となる領域にも有限の確率密度を取り得ることを見てきた。

(1) では運動エネルギーは正である。これは数学的には運動量が実数であるためである。

(2) では運動エネルギーは負である。すなわち運動量は虚数になる。

これらに対応して、(1) に対応する位置においては波数 k=p/\hbar は実数であり、

  e^{ikx}

は振動する解を与える。 k はポテンシャルエネルギーの関数であるから、場所によって波長も異なる。

一方、(2) に対応する位置においては波数 k=p/\hbar は虚数であるから、

  k=i\lambda

と置けば、

  e^{ikx}=e^{-\lambda x}

となり、指数関数的に減衰する解を与える。

どちらの場合にも、

  p^2=\hbar^2k^2=2m\{\varepsilon-V(r)\}

より、

  k=\pm\frac{1}{\hbar}\sqrt{2m\{\varepsilon-V(r)\}}

と書ける。(1) では √ 内部が正であるが、(2) では負となる。

次は調和振動子に対する波動関数を図示したものである。 上記の関係をこの図にあてはめて理解せよ。

harmonic2.png   harmonic1.png

トンネル現象


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