線形独立、基底及び次元 のバックアップソース(No.13)
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[[前の単元 <<<>線形代数Ⅱ/抽象線形空間]] [[線形代数Ⅱ]] [[>>> 次の単元>線形代数Ⅱ/線形写像・像・核・階数]] #contents * 線形結合・一次独立・従属 [#n644d790] 復習: &math( \begin{pmatrix}1\\2\\3\\4\end{pmatrix},\ \begin{pmatrix}2\\2\\3\\4\end{pmatrix},\ \begin{pmatrix}1\\2\\3\\3\end{pmatrix} ); は一次独立か? 線形代数I で学んだ 線形結合・一次独立・従属の概念を一般の線形空間でも定義できる &math(\bm v_1,\bm v_2,\dots,\bm v_m\in V); の線形結合とは: >&math(\sum_{i=1}^m c_i\bm v_i=c_1\bm v_1+c_2\bm v_2+\dots+c_m\bm v_m); &math(\bm v_1,\bm v_2,\dots,\bm v_m\in V); が「一次独立である」とは: >&math(\sum_{i=1}^m c_i\bm v_i=\bm 0); から &math(c_1=c_2=\dots=c_m=0); を導けること &math(c_1=c_2=\dots=c_m=0); 以外でも成り立つなら「一次従属である」という 問: >実数を係数とする2次以下の &math(x); の多項式からなる線形空間 &math(P(2)); を考える~ >&math(x^2+3x-2,\ -x^2+2x,\ 3x^2); は線形独立か? 答: >&math(a(x^2+3x-2)+b(-x^2+2x)+c(3x^2)=0); とすると、 >&math((a-b+3c)x^2+(3a+2b)x+(-2a)=0=0x^2+0x+0); > >ここに現れた等号は、「左辺の多項式と右辺の多項式が等しい」という意味であるから、 左辺と右辺とで、対応する次数にかかる係数がすべて等しくなければならない。 > >すなわち、&math(a-b+3c=0,3a+2b=0,-2a=0); となり、 これを満たす &math(a,b,c); は &math((a,b,c)=(0,0,0)); しか存在しない。 > >したがって、与えられた3つのベクトルは線形独立である 演習: >&math(P(2)); において次のベクトルは線形独立か? > >[1] &math(2x^2+1,\ 2x-1,\ x^2+x); >[2] &math(x^2+x+1,\ x-4,\ x^2+2x); >[3] &math(x+1,\ x-1); * 張る空間・生成元・部分空間 [#p7f650df] &math(\bm v_1,\bm v_2,\dots,\bm v_m\in V); の「張る空間」は次のように定義され、 > &math(W\equiv\set{\bm v=\sum_{i=1}^m c_i\bm v_i| c_1,c_2,\dots,c_m\in K}); &math(W=\big[\bm v_1,\bm v_2,\dots,\bm v_m\big]); と書く。(< > で括る流儀もある) これは 「&math(\bm v_1,\bm v_2,\dots,\bm v_m); の一次結合で表せるベクトルの集合」 と同義である。 このような &math(W); は和、スカラー倍に対して閉じており、それ自身も線形空間となる。~ すなわち &math(W); は &math(V); の部分空間を為す。 >&math(\bm v_1 = \sum_{i=1}^m c_{1i}\bm v_i\in W);、&math(\bm v_2 = \sum_{i=1}^m c_{2i}\bm v_i\in W); のとき、 >&math(k\bm v_1 = \sum_{i=1}^m (kc_{1i})\bm v_i\in W);、&math((\bm v_1+\bm v_2) = \sum_{i=1}^m (c_{1i}+c_{2i})\bm v_i\in W); &math(\bm v_1,\bm v_2,\dots,\bm v_m\in W\subset V); を &math(W); の「生成元」という。 多くの場合、~ -1つのベクトルにより張られる空間 &math(W_1=\big[\bm a\big]); は直線的である~ ←→ 直線の方程式 &math(\set{\bm p=s\bm a|s\in \mathbb R}); -2つのベクトルにより張られる空間 &math(W_2=\big[\bm a,\bm b\big]); は平面的である~ ←→ 平面の方程式 &math(\set{\bm p=s\bm a+t\bm b|s,t\in \mathbb R}); -3つのベクトルにより張られる空間 &math(W_3=\big[\bm a,\bm b, \bm c\big]); は空間的である~ ←→ 空間の方程式 &math(\set{\bm p=s\bm a+t\bm b+u\bm c|s,t,u\in \mathbb R}); ただし %%%&math(\bm a,\bm b,\bm c); が一次従属だと、その限りではない!%%% * 4-2 基底・次元 [#t268fa3f] &math(\bm v_1,\bm v_2,\dots,\bm v_m\in V); が &math(V); を張り、%%%なおかつ一次独立である%%%とき、~ &math(\bm v_1,\bm v_2,\dots,\bm v_m\in V); は &math(V); の「基底」である、という。 基底を構成するベクトルの数を線形空間の「次元」と呼ぶ。 基底の例: - &math(\begin{pmatrix}1\\0\end{pmatrix}, \begin{pmatrix}0\\1\end{pmatrix}\in \mathbb R^2); - &math(\begin{pmatrix}1\\0\end{pmatrix}, \begin{pmatrix}1\\1\end{pmatrix}\in \mathbb R^2); - &math(x^2+3x-2,\ -x^2+2x,\ 3x^2\in P(2)); ある空間 &math(V); について、基底の取り方には任意性があるが、 「次元」は一意に決まる。 このことは、 - &math(n); 個のベクトルにより張られる空間から、&math(n); を越える個数の線形独立なベクトルを取り出せない ことから導かれる。また同様に、この定理から、 - &math(n); 次元空間を &math(n); 個未満のベクトルで張ることはできない - &math(n); 次元空間に &math(n); 個を越える個数の線形独立なベクトルの組を見つけることはできない ことが分かるが、これらの証明は省略する。 → [[(これらの証明)>線形代数Ⅱ/線形独立、基底及び次元/次元の一意性]] 演習: &math(V=\set{\bm x=(x,y,z)\in \mathbb R^3 | x+y+2z=0}); は &math(\mathbb R^3); の部分空間となる。&math(V); の基底を1つ定めよ。 * 列ベクトル表示(数ベクトル表現) [#b391d31c] ** 準備 [#rca6d364] 定理: &math(\bm v_1,\bm v_2,\dots,\bm v_n\in V); を &math(V); の基底とすれば、 &math(\forall \bm x\in V); はこれらの一次結合として一意に表される。 証明: 基底は &math(V); を張るから、&math(\bm x); を基底の一次結合として表せることは証明不要。 その表し方が「一意に決まること」を証明する。 もし、 &math(\bm x=\sum x_i\bm v_i=\sum x_i'\bm v_i); であれば、これを変形して、 &math(\sum (x_i-x_i')\bm v_i=\bm 0); 基底の線形独立性から、 &math(x_1-x_1'=x_2-x_2'=\dots=x_n-x_n'=0); として一意性が示される。 ** 数ベクトル空間との1対1対応 [#k774687f] 上記の線形結合を、行列のかけ算と同様の表示を使って &math( \bm x=\Big(\bm v_1\ \bm v_2\ \dots\ \bm v_n\Big) \underbrace{\begin{pmatrix} x_1\\ x_2\\\vdots\\x_n \end{pmatrix}}_{\bm x'}=\Big(\bm v_1\ \bm v_2\ \dots\ \bm v_n\Big)\bm x' ); の形に書けば、 &math(\forall \bm x\in V); に対して、対応する &math(n); 次元列ベクトル &math(\bm x'=\begin{pmatrix}x_1\\ x_2\\\vdots\\x_n\end{pmatrix} \in \mathbb R^n); が1つ決まることになる。 逆に、&math(\forall \bm x'\in \mathbb R^n); に対して、 &math(\bm x=\big(\bm v_1\ \bm v_2\ \dots\ \bm v_n\big)\bm x' \in V); が1つ決まるから、 線形空間 &math(V); の元1つ1つと &math(\mathbb R^n); の元1つ1つとの間に 1対1の対応が付くことになる。 &math(\bm x'); を、基底 &math(\bm v_1,\bm v_2,\dots,\bm v_n); に対する &math(\bm x); の「列ベクトル表示」という。~ (列ベクトル表示は基底の取り方に依存することに注意せよ) この対応関係は ベクトル和 や スカラー倍 に対しても保存されることから、 すべての &math(K); 上の &math(n); 次元線形空間 &math(V); は、 同じ次元を持つ数ベクトル空間 &math(K^n); と強い類似性を持つことが分かる。 こういう時、&math(V); と &math(K^n); は「同型である」、と言う。 以下で同型を厳密に定義する。 例: 実数を係数とする2次以下の &math(x); の多項式からなる線形空間 &math(P(2)=\{ax^2+bx+c|a,b,c\in \mathbb R\}); に、基底 &math(\bm e_1=x^2-1,\bm e_2=x+1,\bm e_3=1); を取る。 任意の &math(\bm x=ax^2+bx+c\in P(2)); に対して、 &math(\bm x'=\begin{pmatrix}a\\b\\a-b+c\end{pmatrix}); と取れば、 &math(\bm x=\begin{pmatrix}\bm e_1&\bm e_2&\bm e_3\end{pmatrix}\bm x'); が成り立ち、&math(\bm x); の基底 &math(\{e_i\}); に対する数ベクトル表現 &math(\bm x'\in \mathbb R^3); がただ一つ求まることになる。 逆に、任意の &math(\bm x'=\begin{pmatrix}a'\\b'\\c'\end{pmatrix}\in \mathbb R^3); に対して、 &math(\bm x=ax^2+bx+(-a+b+c)\in P(2)); が求まる。 &math(\bm x=ax^2+bx+c\in P(2));, &math(\bm y=a'x^2+b'x+c'\in P(2)); の数ベクトル表現は &math(\bm x'=\begin{pmatrix}a\\b\\a-b+c\end{pmatrix});, &math(\bm y'=\begin{pmatrix}a'\\b'\\a'-b'+c'\end{pmatrix}); ですので、 - &math(k\bm x); のベクトル表現が &math(k\bm x'); となること、 - &math(\bm x+\bm y); のベクトル表現が &math(\bm x'+\bm y'); となること、 を、容易に確認できる。 [[前の単元 <<<>線形代数Ⅱ/抽象線形空間]] [[線形代数Ⅱ]] [[>>> 次の単元>線形代数Ⅱ/線形写像・像・核・階数]] * 質問・コメント [#jf7db8ee] #article_kcaptcha
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