線形システム入門 のバックアップ(No.2)

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線形システムって何?

あるシステムに入力と出力があるとします。

&uml( skinparam handwritten true skinparam componentStyle rectangle 入力 -> [システム] [システム]-right-> 出力 );

$a$ を入れると $A$ が出て、$b$ を入れると $B$ が出るとき、

&uml( skinparam handwritten true skinparam componentStyle rectangle a -> [システム] [システム]-right-> A );

&uml( skinparam handwritten true skinparam componentStyle rectangle b -> [システム] [システム]-right-> B );

$a+b$ を入れれば必ず $A+B$ が出る、そして $ka$ つまり $a$ の $k$ 倍を入れると必ず $kA$ が出る、の両方を満たすシステムを「線形なシステム」と言い、そのような性質を「線形性」と呼びます。

&uml( skinparam handwritten true skinparam componentStyle rectangle () "a+b" as IN () "A+B" as OUT IN -> [システム] [システム]-right-> OUT );

&uml( skinparam handwritten true skinparam componentStyle rectangle () "ka" as IN () "kA" as OUT IN -> [システム] [システム]-right-> OUT );

どうして「線形」と呼ぶの?

上記のシステムに $1$ を入れた時の出力を $D$ とすると、
線形性により任意の入力 $x=x\cdot 1$ に対する出力は $xD$ になります。

つまり、このシステムは単に入力に $D$ を掛けて出力するだけの機能しかないことが分かります。

これ、入力を横軸に、出力を縦軸に取ると比例のグラフ = 原点を通る直線のグラフになるので、「まあ確かに線形だねぇ」と納得できるはずです。

linear-system.png

え、それだけ?

ということで、入力が1つ、出力が1つしかない線形システムは「単なる掛け算」なので、入門も何もなくこれだけで話は終わりになってしまいます。

でも、入力がたくさん、出力がたくさんあると途端に話が複雑かつ面白くなり、さらにとても幅広く応用の効く内容が現れます。線形システムを扱う数学は線形代数と呼ばれます。

&uml( skinparam handwritten true skinparam componentStyle rectangle () "‥‥" as IN () "‥‥" as OUT 入力1 -> [システム] 入力2 -> [システム] IN -> [システム] 入力n -> [システム] [システム]-right-> 出力1 [システム]-right-> 出力2 [システム]-right-> OUT [システム]-right-> 出力m );

どんなところに線形システムが現れる?

もうほとんどありとあらゆるところに線形システムが現れます。

電気回路をはじめとした信号処理、光や音などの波動、量子力学で中心的な役割を果たしますし、 本来は非線形なシステムに対しても、入力を少しだけ変えた際の応答を線形と見なす「線形近似」を用いた解析が行われることが多いです。

行列やベクトルとの関係

線形代数を数学で学ぶと、まず行列やベクトルが出てきて、 良く分からないままその足し算、掛け算、逆行列、ランク、固有値問題などを学んでいくことになりますが、 ここでは線形システムを考える際に自然に「行列」が必要になることを見ておきます。

多入出力システムの線形性

上記の $n$ 入力 $m$ 出力のシステムが線形だとします。


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