広義固有空間の構造とジョルダン標準形 のバックアップ(No.1)

更新


線形代数I

概要

ジョルダン標準形とは、対角化できない行列を「準対角化」した形である。

ここは発展項目なので、線形代数IIの内容を先取りして使う。
実のところ、線形代数IIでも扱わない内容なので、線形代数IIを学んでから戻ってきても良い。

固有空間とその次元

n 次正方行列 A の、固有値 \lambda に対する固有空間 V(\lambda) (固有ベクトルの集合が作る線形空間)は、

  V(\lambda)=\mathrm{Ker}\,(A-\lambda I)

と表せる。

\lambda の重複度と同数の一次独立な固有ベクトルを見つけられることが A を対角化できる必要条件だった。これは固有空間の次元が重複度と等しいことと同値である。 (重複度を超えることはない)

固有空間の次元は (A-\lambda I)\bm x=\bm 0 の解の自由度(パラメータの数)だから、

  \mathrm{dim}\,V(\lambda)=n-\mathrm{rank}\,(A-\lambda I)

→ 解の自由度は掃出せなかった列の数に等しいこと、 掃出せた列の数が階数と等しいこと、を思い出せ。

対角化できない場合

対角化できない場合には、 \lambda の重複度を r とすれば、

  n-\mathrm{rank}\,(A-\lambda I)<r

となる \lambda が存在することになる。

広義固有空間

三角化可能定理 において、 初めに \lambda r 解選ぶと、左上から r 個の \lambda が並び、その後、他の固有値が並ぶ形に対角化ができる。

そこに ケーリーハミルトンの定理 と同じ操作を

  f_\lambda(A)=(\lambda I-A)^r

に対して行えば、 f_\lambda(A) の階数が n-r となることが分かる。

すなわち、

  n-\mathrm{rank}\,(A-\lambda I)<r

であるが、

  n-\mathrm{rank}\,(A-\lambda I)^r=r

となるのである。

これは、

  W(\lambda)=\mathrm{Ker}(A-\lambda I)^r

\lambda に属する広義固有空間と定義すれば、 その次元がぴったり重複度と等しくなることを意味する。

広義固有空間の基底


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