線形独立、基底及び次元/次元の一意性 のバックアップ差分(No.6)
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[[線形代数II/線形独立、基底及び次元]]
* 目次 [#lefd6462]
#contents
&mathjax();
* 次元の一意性 [#a90cc8f1]
基底を構成するベクトルの数を線形空間の「次元」と呼ぶ。
ある空間 &math(V); について、基底の取り方には任意性があるが、「次元」は一意に決まる。
これは、
- &math(n); 個のベクトルにより張られる空間から、&math(n); を越える個数の線形独立なベクトルを取り出せない
すなわち、
- &math(n); 個のベクトルにより張られる空間から、&math(n); 個を越える個数のベクトルを取り出せば、
それらは必ず線形従属になる
ことから導かれる。同様にこの定理から、
- &math(n); 次元空間を &math(n); 個未満のベクトルで張ることはできない
- &math(n); 次元空間に &math(n); 個を越える線形独立なベクトルの組を見つけることはできない
が導ける。
* $n$ 個のベクトルにより張られる空間から、$n$ 個を越える個数のベクトルを取り出せば、それらは必ず線形従属になる [#af812613]
&math(m>n); として、&math(\bm a_1,\bm a_2,\dots,\bm a_m); がすべて
&math(\bm b_1,\bm b_2,\dots,\bm b_n); の線形結合で表せるとする。
すなわち、
&math(\bm a_i=\sum_{j=1}^n c_{ij}\bm b_j); &math((i=1\dots m));
である。
&math(\sum_{i=1}^m d_i \bm a_i=\bm 0); (*)
に上式を代入すると、
&math(
\sum_{i=1}^m d_i \sum_{j=1}^n c_{ij}\bm b_j=\bm 0\\
\sum_{j=1}^n\left(\sum_{i=1}^m d_i c_{ij}\right)\bm b_j=\bm 0\\
);
この式は、すべての &math(j); について、
&math(
\sum_{i=1}^m d_i c_{ij}=
\begin{pmatrix}c_{1j}&&c_{2j}&&\dots&&c_{mj}\end{pmatrix}
\begin{pmatrix}d_1\\d_2\\\vdots\\d_m\end{pmatrix}=0
);
を満たせば必ず成り立つ。
それら &math(j); 個のの条件をまとめて書くと、
&math(
\begin{pmatrix}
c_{11}&&c_{21}&&\dots&&c_{m1}\\
c_{12}&&c_{22}&& &&\vdots\\
\vdots&& &&\ddots&&\vdots\\
c_{1n}&&\dots&&\dots&&c_{mn}\\
\end{pmatrix}
\begin{pmatrix}d_1\\d_2\\\vdots\\d_m\end{pmatrix}=
\begin{pmatrix}0\\0\\\vdots\\0\end{pmatrix}
);
となるが、左辺の行列は &math(n); 行 &math(m); 列 ただし &math(n<m);
であるから、その階数は &math(n); を越えない。
線形代数I で学んだように ([[線形代数I/行列の階数#r53ca169]])、
&math(m); 変数の連立方程式の係数行列の階数が &math(n); であれば、
その解は自由度 &math(m-n); を持つ(&math(m-n); 個のパラメータを含む)。
今の場合には係数行列の階数は &math(n); ''以下''であるから、
上記方程式の解は &math(m-n); 個''以上''のパラメータを含む。
すなわち方程式 (*) の一般解は最低1つのパラメータを含むことになり、
&math(d_1=d_2=\dots=d_m=0); 以外にも解を持つ。したがって、
&math(n); 個のベクトルにより張られる空間から、&math(n); 個以上のベクトルを
取り出せば、必ず線形従属になることが示された。
* ある線形空間の次元は基底の取り方に依らず一意に定まる [#hdcc31f5]
線形空間 &math(V); の2つの基底を
&math(\bm a_1,\bm a_2,\dots,\bm a_n); および
&math(\bm b_1,\bm b_2,\dots,\bm b_m); とする。
&math(n>m); であれば &math(m); 個のベクトル &math(\bm b_1,\bm b_2,\dots,\bm b_m);
で張られる空間から &math(n); 個の線形独立なベクトル &math(\bm a_1,\bm a_2,\dots,\bm a_n);
が取れることになり、上記定理と矛盾する。
&math(n<m); であれば &math(n); 個のベクトル &math(\bm a_1,\bm a_2,\dots,\bm a_n);
で張られる空間から &math(m); 個の線形独立なベクトル &math(\bm b_1,\bm b_2,\dots,\bm b_m);
が取れることになり、上記定理と矛盾する。
したがって、&math(m=n); である。
* $n$ 次元空間を $n$ 個未満のベクトルで張ることはできない [#qf6ceb4b]
&math(n); 個未満の個数、&math(m); 個のベクトルで張った空間から
&math(n); 個の基底ベクトル(線形独立)を取ることはできない。
* $n$ 次元空間に $n$ 個を越える線形独立なベクトルの組を見つけることはできない [#sf904ddf]
&math(n); 個の基底で張られた空間に &math(n); 個を越える数の線形独立なベクトルの組を見つけることはできない
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