線形独立、基底及び次元 のバックアップ差分(No.7)

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[[線形代数Ⅱ]]

#contents

* 線形結合・一次独立・従属 [#n644d790]

線形代数I で学んだ 線形結合・一次独立・従属の概念を一般の線形空間でも使う
線形代数I で学んだ 線形結合・一次独立・従属の概念を一般の線形空間でも定義できる

&math(\bm v_1,\bm v_2,\dots,\bm v_m\in V); の線形結合とは、
>&math(\sum_{i=1}^m c_i\bm v_i=c_1\bm v_1+c_2\bm v_2+\dots+c_m\bm v_m);

&math(\bm v_1,\bm v_2,\dots,\bm v_m\in V); が「一次独立である」とは、

>&math(\sum_{i=1}^m c_i\bm v_i=\bm 0); から &math(c_1=c_2=\dots=c_m=0); を導けること

&math(c_1=c_2=\dots=c_m=0); 以外でも成り立つなら「一次従属である」という

問:

実数を係数とする2次以下の &math(x); の多項式の集合について考える~
&math(x^2+3x-2, -x^2+2x, 3x^2); は線形独立か?
&math(x^2+3x-2,\ -x^2+2x,\ 3x^2); は線形独立か?

答:

&math(a(x^2+3x-2)+b(-x^2+2x)+c(3x^2)=0); とすると、
&math((a-b+3c)x^2+(3a+2b)x+(-2a)=0);
&math((a-b+3c)x^2+(3a+2b)x+(-2a)=0=0x^2+0x+0);

ここに現れた等号は、「左辺の多項式と右辺の多項式が等しい」という意味であるから、
左辺と右辺とで、対応する次数にかかる係数がすべて等しくなければならない。

すなわち、&math(a-b+3c=0,3a+2b=0,-2a=0); となり、
これを満たす &math(a,b,c); は &math(\{a,b,c\}=\{0,0,0\}); しか存在しない。

したがって、与えられた3つのベクトルは線形独立である

* 張る空間・生成元・部分空間 [#p7f650df]

&math(\bm v_1,\bm v_2,\dots,\bm v_m\in V); の「張る空間」は次のように定義され、
> &math(W\equiv\set{\bm v=\sum_{i=1}^m c_i\bm v_i| c_1,c_2,\dots,c_m\in K});

&math(W=\big<\bm v_1,\bm v_2,\dots,\bm v_m\big>); と書く。

これは 「&math(\bm v_1,\bm v_2,\dots,\bm v_m\in V); の一次結合で表せるベクトルの集合」 と同義である。

このような &math(W); は和、スカラー倍に対して閉じており、それ自身も線形空間となる。

>&math(\bm v_1 = \sum_{i=1}^m c_{1i}\bm v_i\in W);、&math(\bm v_2 = \sum_{i=1}^m c_{2i}\bm v_i\in W); のとき、
>&math(k\bm v_1 = \sum_{i=1}^m (kc_{1i})\bm v_i\in W);、&math((\bm v_1+\bm v_2) = \sum_{i=1}^m (c_{1i}+c_{2i})\bm v_i\in W);

&math(\bm v_1,\bm v_2,\dots,\bm v_m\in V); を &math(W); の「生成元」という。

一般に、&math(V); の部分集合 &math(W); が線形空間となるとき、&math(W); は &math(V); の「部分空間」という。

多くの場合、~
-&math(W_1=\big<\bm a\big>); は直線的である 
-&math(W_2=\big<\bm a,\bm b\big>); は平面的である 
-&math(W_3=\big<\bm a,\bm b, \bm c\big>); は空間的である
-&math(W_1=\big<\bm a\big>); は直線的である ←→ 直線の方程式 &math(\set{\bm p=s\bm a|s\in \mathbb R}); 
-&math(W_2=\big<\bm a,\bm b\big>); は平面的である ←→ 平面の方程式 &math(\set{\bm p=s\bm a+t\bm b|s,t\in \mathbb R}); 
-&math(W_3=\big<\bm a,\bm b, \bm c\big>); は空間的である ←→ 空間の方程式 &math(\set{\bm p=s\bm a+t\bm b+u\bm c|s,t,u\in \mathbb R}); 

%%%&math(\bm a,\bm b,\bm c); が一次従属だと、その限りではない!%%%
ただし %%%&math(\bm a,\bm b,\bm c); が一次従属だと、その限りではない!%%%

* 4-2 基底・次元 [#t268fa3f]

&math(\bm v_1,\bm v_2,\dots,\bm v_m\in V); が &math(V); を張り、~
%%%なおかつ一次独立である%%%とき、~
&math(\bm v_1,\bm v_2,\dots,\bm v_m\in V); が &math(V); を張り、%%%なおかつ一次独立である%%%とき、~
&math(\bm v_1,\bm v_2,\dots,\bm v_m\in V); は &math(V); の「基底」である、という。

基底を構成するベクトルの数を線形空間の「次元」と呼ぶ。

ある空間 &math(V); について、基底の取り方には任意性があるが、
次元は一意に決まることを後に証明する。
「次元」は一意に決まる。

例:2次以下の &math(x); の多項式の集合を &math(V); とするとき、
これは、

- &math(n); 次元空間を &math(n); 個以下のベクトルで張ることはできない。
- &math(n); 次元空間に &math(n); 個以上の線形独立なベクトルの組を見つけることはできない。

ことが理由となるが、証明は(時間が許せば)後述する。

例:~
2次以下の &math(x); の多項式の集合を &math(V); とするとき、
&math(\bm b_1=x,\bm b_2= 3x^2+1,\bm b_3=2\in V); は &math(V); を張り、
また、一次独立であるから、&math(V); の基底となる~
すなわち、&math(V); は3次元である

* 列ベクトル表示(数ベクトル表現) [#b391d31c]

** 準備 [#rca6d364]

定理:

&math(\bm v_1,\bm v_2,\dots,\bm v_n\in V); を &math(V); の基底とすれば、
&math(\forall \bm x\in V); はこれらの一次結合として一意に表される。

証明:

基底は &math(V); を張るから、&math(\bm x); は必ず基底の一次結合として表せる。
基底は &math(V); を張るから、&math(\bm x); を基底の一次結合として表せすことができる。

もし2つの異なる形の一次結合として表せるとすれば、
だから、その表し方が「一意に決まること」が重要。

もし2つの表し方があるなら、

&math(\bm x=\sum c_i\bm v_i=\sum c_i'\bm v_i);

変形して、
これを変形すれば、

&math(\sum (c_i-c_i')\bm v_i=\bm 0);

基底の線形独立性から、

&math(c_1-c_1'=c_2-c_2'=\dots=c_n-c_n'=0);

となる。

** 数ベクトル空間との1対1対応 [#k774687f]

上記の線形結合を、ベクトルのかけ算表示を使って

&math(
\bm x=\big(\bm v_1\ \bm v_2\ \dots\ \bm v_n\big)
\begin{pmatrix}
x_1\\ x_2\\\vdots\\x_n
\end{pmatrix}
);

の形に書けば、

&math(\forall \bm x\in V); に対して、対応するn次元列ベクトル
&math(\bm x'=\begin{pmatrix}x_1\\ x_2\\\vdots\\x_n\end{pmatrix} \in \mathbb R^n);
が1つ決まることになる。

逆に、&math(\forall \bm x'\in \mathbb R^n); に対して、
&math(\bm x=\big(\bm v_1\ \bm v_2\ \dots\ \bm v_n\big)\bm x' \in V); が1つ決まるから、

線形空間 &math(V); の元1つ1つと &math(\mathbb R^n); の元1つ1つとの間に
1対1の対応が付くことになる。

&math(\bm x'); を、基底 &math(\bm v_1,\bm v_2,\dots,\bm v_n); に対する 
&math(\bm x); の「列ベクトル表示」という。

例:

|実数を係数とする2次以下の &math(x); の多項式|3次実数ベクトル|
|&math(V=\set{ax^2+bx+c\|a,b,c\in \mathbb R}); |&math(\mathbb R^3=\set{(a,b,c)\|a,b,c\in \mathbb R});|
|>|&math(V); の基底 &math(x^2,x,1); に対する数ベクトル表現になっている|
|&math((a_1x^2+b_1x+c_1)+(a_2x^2+b_2x+c_2)\\=(a_1+a_2)x^2+(b_1+b_2)x+(c_1+c_2));|&math((a_1,b_1,c_1)+(a_2,b_2,c_2)=(a_1+a_2,b_1+b_2,c_1+c_2));|
|&math((a_1x^2+b_1x+c_1)+(a_2x^2+b_2x+c_2)\\=(a_1+a_2)x^2+(b_1+b_2)x+(c_1+c_2));|&math((a_1,b_1,c_1)+(a_2,b_2,c_2)\\=(a_1+a_2,b_1+b_2,c_1+c_2));|
|&math(k(ax^2+bx+c)=(ka)x^2+(kb)x+(kc));|&math(k(a,b,c)=(ka,kb,kc));|

このような対応関係は ベクトル和 や スカラー倍 に対しても保存されることから、
任意の線形空間 &math(V); は、同じ次元を持つ数ベクトル空間 &math(\mathbb R^n); 
任意の &math(n); 次元線形空間 &math(V); は、同じ次元を持つ数ベクトル空間 &math(K^n); 
と強い類似性を持つことが分かる。

こういう時、&math(V); と &math(\mathbb R^3); は「同型である」、と言う。
こういう時、&math(V); と &math(K^3); は「同型である」、と言う。

以下で同型を定義する。

* 質問・コメント [#jf7db8ee]

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