線形独立、基底及び次元 のバックアップ差分(No.9)
更新- バックアップ一覧
- 現在との差分 を表示
- ソース を表示
- バックアップ を表示
- 線形代数II/線形独立、基底及び次元 へ行く。
- 追加された行はこの色です。
- 削除された行はこの色です。
[[線形代数Ⅱ]] [[前の単元 <<<>線形代数Ⅱ/抽象線形空間]] [[線形代数Ⅱ]] [[>>> 次の単元>線形代数Ⅱ/線形写像・像・核・階数]] #contents * 線形結合・一次独立・従属 [#n644d790] 線形代数I で学んだ 線形結合・一次独立・従属の概念を一般の線形空間でも定義できる &math(\bm v_1,\bm v_2,\dots,\bm v_m\in V); の線形結合とは、 >&math(\sum_{i=1}^m c_i\bm v_i=c_1\bm v_1+c_2\bm v_2+\dots+c_m\bm v_m); &math(\bm v_1,\bm v_2,\dots,\bm v_m\in V); が「一次独立である」とは、 >&math(\sum_{i=1}^m c_i\bm v_i=\bm 0); から &math(c_1=c_2=\dots=c_m=0); を導けること &math(c_1=c_2=\dots=c_m=0); 以外でも成り立つなら「一次従属である」という 問: 実数を係数とする2次以下の &math(x); の多項式の集合について考える~ &math(x^2+3x-2,\ -x^2+2x,\ 3x^2); は線形独立か? 答: &math(a(x^2+3x-2)+b(-x^2+2x)+c(3x^2)=0); とすると、 &math((a-b+3c)x^2+(3a+2b)x+(-2a)=0=0x^2+0x+0); ここに現れた等号は、「左辺の多項式と右辺の多項式が等しい」という意味であるから、 左辺と右辺とで、対応する次数にかかる係数がすべて等しくなければならない。 すなわち、&math(a-b+3c=0,3a+2b=0,-2a=0); となり、 これを満たす &math(a,b,c); は &math(\{a,b,c\}=\{0,0,0\}); しか存在しない。 したがって、与えられた3つのベクトルは線形独立である * 張る空間・生成元・部分空間 [#p7f650df] &math(\bm v_1,\bm v_2,\dots,\bm v_m\in V); の「張る空間」は次のように定義され、 > &math(W\equiv\set{\bm v=\sum_{i=1}^m c_i\bm v_i| c_1,c_2,\dots,c_m\in K}); &math(W=\big[\bm v_1,\bm v_2,\dots,\bm v_m\big]); と書く。(< > で括る流儀もある) これは 「&math(\bm v_1,\bm v_2,\dots,\bm v_m\in V); の一次結合で表せるベクトルの集合」 と同義である。 このような &math(W); は和、スカラー倍に対して閉じており、それ自身も線形空間となる。 >&math(\bm v_1 = \sum_{i=1}^m c_{1i}\bm v_i\in W);、&math(\bm v_2 = \sum_{i=1}^m c_{2i}\bm v_i\in W); のとき、 >&math(k\bm v_1 = \sum_{i=1}^m (kc_{1i})\bm v_i\in W);、&math((\bm v_1+\bm v_2) = \sum_{i=1}^m (c_{1i}+c_{2i})\bm v_i\in W); &math(\bm v_1,\bm v_2,\dots,\bm v_m\in V); を &math(W); の「生成元」という。 一般に、&math(V); の部分集合 &math(W); が線形空間となるとき、&math(W); は &math(V); の「部分空間」という。 多くの場合、~ -&math(W_1=\big[\bm a\big]); は直線的である ←→ 直線の方程式 &math(\set{\bm p=s\bm a|s\in \mathbb R}); -&math(W_2=\big[\bm a,\bm b\big]); は平面的である ←→ 平面の方程式 &math(\set{\bm p=s\bm a+t\bm b|s,t\in \mathbb R}); -&math(W_3=\big[\bm a,\bm b, \bm c\big]); は空間的である ←→ 空間の方程式 &math(\set{\bm p=s\bm a+t\bm b+u\bm c|s,t,u\in \mathbb R}); ただし %%%&math(\bm a,\bm b,\bm c); が一次従属だと、その限りではない!%%% * 4-2 基底・次元 [#t268fa3f] &math(\bm v_1,\bm v_2,\dots,\bm v_m\in V); が &math(V); を張り、%%%なおかつ一次独立である%%%とき、~ &math(\bm v_1,\bm v_2,\dots,\bm v_m\in V); は &math(V); の「基底」である、という。 基底を構成するベクトルの数を線形空間の「次元」と呼ぶ。 ある空間 &math(V); について、基底の取り方には任意性があるが、 「次元」は一意に決まる。 これは、 - &math(n); 次元空間を &math(n); 個以下のベクトルで張ることはできない。 - &math(n); 次元空間に &math(n); 個以上の線形独立なベクトルの組を見つけることはできない。 ことが理由となるが、証明は省略する。 例:~ 2次以下の &math(x); の多項式の集合を &math(V); とするとき、 &math(\bm b_1=x,\bm b_2= 3x^2+1,\bm b_3=2\in V); は &math(V); を張り、 また、一次独立であるから、&math(V); の基底となる~ すなわち、&math(V); は3次元である * 列ベクトル表示(数ベクトル表現) [#b391d31c] ** 準備 [#rca6d364] 定理: &math(\bm v_1,\bm v_2,\dots,\bm v_n\in V); を &math(V); の基底とすれば、 &math(\forall \bm x\in V); はこれらの一次結合として一意に表される。 証明: 基底は &math(V); を張るから、&math(\bm x); を基底の一次結合として表せる。 だから、その表し方が「一意に決まること」が重要。 もし、 &math(\bm x=\sum c_i\bm v_i=\sum c_i'\bm v_i); であれば、これを変形して、 &math(\sum (c_i-c_i')\bm v_i=\bm 0); 基底の線形独立性から、 &math(c_1-c_1'=c_2-c_2'=\dots=c_n-c_n'=0); となる。 ** 数ベクトル空間との1対1対応 [#k774687f] 上記の線形結合を、ベクトルのかけ算と同様の表示を使って &math( \bm x=\big(\bm v_1\ \bm v_2\ \dots\ \bm v_n\big) \begin{pmatrix} x_1\\ x_2\\\vdots\\x_n \end{pmatrix} ); の形に書けば、 &math(\forall \bm x\in V); に対して、対応するn次元列ベクトル &math(\bm x'=\begin{pmatrix}x_1\\ x_2\\\vdots\\x_n\end{pmatrix} \in \mathbb R^n); が1つ決まることになる。 逆に、&math(\forall \bm x'\in \mathbb R^n); に対して、 &math(\bm x=\big(\bm v_1\ \bm v_2\ \dots\ \bm v_n\big)\bm x' \in V); が1つ決まるから、 線形空間 &math(V); の元1つ1つと &math(\mathbb R^n); の元1つ1つとの間に 1対1の対応が付くことになる。 &math(\bm x'); を、基底 &math(\bm v_1,\bm v_2,\dots,\bm v_n); に対する &math(\bm x); の「列ベクトル表示」という。 例: |実数を係数とする2次以下の &math(x); の多項式|3次実数ベクトル| |&math(V=\set{ax^2+bx+c\|a,b,c\in \mathbb R}); |&math(\mathbb R^3=\set{(a,b,c)\|a,b,c\in \mathbb R});| |>|&math(V); の基底 &math(x^2,x,1); に対する数ベクトル表現になっている| |&math((a_1x^2+b_1x+c_1)+(a_2x^2+b_2x+c_2)\\=(a_1+a_2)x^2+(b_1+b_2)x+(c_1+c_2));|&math((a_1,b_1,c_1)+(a_2,b_2,c_2)\\=(a_1+a_2,b_1+b_2,c_1+c_2));| |&math(k(ax^2+bx+c)=(ka)x^2+(kb)x+(kc));|&math(k(a,b,c)=(ka,kb,kc));| この対応関係は ベクトル和 や スカラー倍 に対しても保存されることから、 任意の &math(n); 次元線形空間 &math(V); は、同じ次元を持つ数ベクトル空間 &math(K^n); と強い類似性を持つことが分かる。 こういう時、&math(V); と &math(K^3); は「同型である」、と言う。 以下で同型を定義する。 [[前の単元 <<<>線形代数Ⅱ/抽象線形空間]] [[線形代数Ⅱ]] [[>>> 次の単元>線形代数Ⅱ/線形写像・像・核・階数]] * 質問・コメント [#jf7db8ee] #article_kcaptcha
Counter: 63438 (from 2010/06/03),
today: 10,
yesterday: 0