量子力学Ⅰ/群速度と波束の崩壊 のバックアップソース(No.1)

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[[量子力学Ⅰ]]

* 波束 [#ua2593c7]

これまで、
-位置が完全に確定しており運動量が完全に未確定な状態
-運動量が完全に確定しており位置が完全に未確定な状態

については具体系を見てきたが、

-位置も運動量もそこそこ決まっているような状態

がどのような形をしているか、見てこなかった。

ここではそのような「波束」の時間発展を調べる。

* ある点の付近に局在する、有限の運動量を持った状態 [#b0c6b8f8]

点 &math(x=x_0); の付近に局在する、運動量 &math(p=\hbar k_0); を持つ状態を考える。

運動量が確定している場合の波動関数は

 &math(
\varphi_{p=\hbar k_0}(x)=\frac{1}{\sqrt{2\pi}}e^{ik_0x}
);

であるが、これは空間的に無限に広がっているので、
「波束」にするため &math(x=x_0); を中心としたガウス関数を掛けてみる。

 &math(
\varphi(x)
&=\frac{1}{\sqrt{\sqrt{2\pi}\sigma_{x0}}}e^{-(x-x_0)^2/4\sigma_{x0}^2}\varphi_{p=\hbar k_0}(x)\\
&=\frac{1}{\sqrt{2\pi\sqrt{2\pi}\sigma_{x0}}}e^{-(x-x_0)^2/4\sigma_{x0}^2}e^{ik_0x}\\
);

このとき、

 &math(
|\varphi(x)|^2=\frac{1}{\sqrt{2\pi}\sigma_{x0}}e^{-(x-x_0)^2/2\sigma_{x0}^2}
);

であるから、
空間分布は &math(x=x_0); を中心とした標準偏差 &math(\sigma_{x0}); のガウス関数になっている。

これで、&math(<x>=x_0,\ \sigma_x=\sigma_{x0},\ <p>=\hbar k_0,\ \sigma_p=0); の波動関数ができた!

かというと、そうはうまく行かない。上記の関数をフーリエ変換すると、

 &math(
\varphi(k)&=\int_{-\infty}^\infty \frac{1}{\sqrt{2\pi}}e^{-ikx}\varphi(x)dx\\
&=\frac{1}{2\pi\sqrt{\sqrt{2\pi}\sigma_x}}\int_{-\infty}^\infty e^{-(x-x_0)^2/4\sigma_x^2}e^{-i(k-k_0)x}dx\\
&=\frac{1}{2\pi\sqrt{\sqrt{2\pi}\sigma_x}}\int_{-\infty}^\infty e^{-x^2/4\sigma_x^2}e^{-i(k-k_0)(x+x_0)}dx\\
&=\frac{e^{-i(k-k_0)x_0}}{2\pi\sqrt{\sqrt{2\pi}\sigma_x}}\int_{-\infty}^\infty e^{-x^2/4\sigma_x^2}e^{-i(k-k_0)x}dx\\
&=\frac{\sqrt{\sigma_{x0}}e^{-i(k-k_0)x_0}}{\pi\sqrt{\sqrt{2\pi}}}\int_{-\infty}^\infty e^{-\{x/2\sigma_{x0}+i\sqrt{2}\sigma_{x0}(k-k_0)\}^2}e^{-2\sigma_{x0}^2(k-k_0)^2}\frac{dx}{2\sigma_{x0}}\\
&=\sqrt{\frac{\sigma_{x0}}{\pi\sqrt{2\pi}}}e^{-i(k-k_0)x_0}e^{-2\sigma_{x0}^2(k-k_0)^2}
);

より、

 &math(
|\varphi(k)|^2&=\frac{1}{\sqrt{2\pi}\frac{\pi}{\sigma_{x0}}}e^{-4\sigma_{x0}^2(k-k_0)^2}
);

となって、&math(p=\hbar k_0); を中心に、

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