8-11 不純物散乱のもとでの lesser Green 関数 †
この部分、11/7 のセミナーでの議論を元に見直しました。
(8.111) を波数表示に直すと、
(8.145), (8.114) より
したがって、8-10 の最後に (8-10.8) でやったように近似を用いれば、
右辺に左辺を繰り返し代入すると
が得られることから、
(8.124)
を得る。
本来であれば 8-10 で行ったのと同様に、
高次に現れる項がここで取り入れた項に比べて十分に小さいことを
についても確認しなければならないが・・・
ここでは教科書を信じて先に進むことにする。
念のため †
(8-10.11) での失敗で学んだとおり、(8-10.8) では "たまたま" うまく行った上記のような近似は、
何にも考えずに使うと痛い目に遭う。
上で行った近似から得られた
に含まれる項と、元の
に含まれる項とを比べてみる。
元の式の右辺を順次展開していくと、詳しくは (9.1B) で見るように
-
← 1次:無視できる
-
← 1次:無視できる
-
← 2次
-
← 2次
-
← 2次
-
← 3次:たぶん無視できる
-
← 3次:たぶん無視できる
-
← 3次:たぶん無視できる
-
← 3次:たぶん無視できる
-
← 4次:2次+2次の項以外無視できる
-
← 4次:2次+2次の項以外無視できる
-
← 4次:2次+2次の項以外無視できる
-
← 4次:2次+2次の項以外無視できる
-
← 4次:2次+2次の項以外無視できる
- ・・・
といった項が出てくる。
一方で、上記近似式が含む項は
- 1次:無視された
- 1次:無視された
-
← 2次
-
← 2次
-
← 2次
- 3次:無視された
- 3次:無視された
- 3次:無視された
- 3次:無視された
-
← 4次:2次+2次の項のみ現われる
-
← 4次:2次+2次の項のみ現われる
-
← 4次:2次+2次の項のみ現われる
-
← 4次:2次+2次の項のみ現われる
-
← 4次:2次+2次の項のみ現われる
- ・・・
となって、思った通りの項を含んでいそうなことが確認できる。
高次の項を入れるには? †
(8-10.15) でやったように3次や4次の効果を取り入れるにはどうするか。
(8-10.15) の操作をまねすると、
4次までで打ち切った表現に現われる各項の、最後の
を
に置き換えれば良いので、
んー、
の部分もまったくまねしてみたけどこれでいいのかな???
これで良ければ、
として、2次までの時と非常に似た形に表せる。
ただし、自己エネルギーに3次及び4次から来る補正項が入ってきて、
である。
で括った部分が2次の項。
この
および
の定義は 8-10 で見た物と同じになっている。
対照的に、
は和の部分が少し複雑になっていることに注意が必要。
どちらもちょうど、元の Green 関数の表示を1次や3次で打ち切った形になっている。
閑話休題 †
以下、再び教科書を追っていく。
上で見たとおり、高次の項をより正確に取り込んだ場合にも
と置き換えれば、
以下の議論はそのまま成り立つのだと思う。
(8.148)
(8-10.9) より
(8.149)
(8.150)
式を整理すると、
ここで、(8.148), (8.91) より
したがって、
はフェルミレベルのぼけによりなまったδ関数である。