経路積分の時間分割†
上記のような
を定義できるとすれば、
時刻
に
にあった系が、
時刻
に
にある確率は、
途中の時刻
にいる点
を考えることで、
と表すことができる。
これを推し進めると、
時刻
に
にあった系が、
時刻
に
にある確率は、
時間を
個の区間に分割することにより、
と表せることになる。
が十分に大きく、
を十分に小さいと見なせる場合には、
その間にラグランジアン
が大きく変化することはないであろう。(そのような確率を無視して計算を進めるということで、
本当ならもう少しちゃんとした議論が必要だが、直感的には受け入れられよう。)
したがって、
と書ける。ここで
は規格化定数で、後でまた議論する。
これを代入した
により、経路積分の具体的な計算方法が判明した。
慣用的にこの積分を、
と書き表す。
シュレーディンガー方程式の導出†
上式を用いて無限小時間後の変化を考えよう。
簡単のため、ラグランジアンとしては単純な1粒子系の物とする。
代入すると、
となり、
としたときには第1項が支配的となる。
この項は
に比べて
が大きいときには
位相の変化が激しくなって打ち消し合い、有意な寄与を与えないことから、
すなわち、
の部分だけが重要となる。
そこで、以下では
が小さいとして
の1次までを考えるが、
についてはその2次までを考えることにする。
多少技巧的ではあるが、これまで
時刻
で
にあった系が
時刻
で
にある確率を考えていた物を、
時刻
で
にあった系が
時刻
で
にある確率を考えることとして、
ここに、
の形の積分が3つ (
) 現れるが、これらはそれぞれ
と評価できて、
の時、両辺が等しくなるはずであるから、
すなわち、
として、未定だった(
依存の)係数
が決定される。
これを代入すると、
として、シュレーディンガー方程式が得られた。
一般のラグランジアンの場合にも同様の導出が可能であり、
経路積分の考え方は、
ラグランジアンおよび作用を用いた古典力学の定式化を
自然な形で量子力学へ拡張するものであることが分かる。