射影・直和・直交直和/メモ

(68d) 更新


線形代数II/射影・直和・直交直和

正射影演算子の必要十分条件

計量線形空間 $V$ に定義された線形変換 $P$ が正射影演算子である為の必要十分条件は

$P^2 = P$ かつ $P^\dagger=P$ である。

前提

$P$ が $V$ から $W\subset V$ への正射影演算子であるというのは、

$\forall \bm x\in V$ に対して $P\bm x\in W$ かつ $\bm x-P\bm x\in W^\perp$ であるということ。

必要性

1)

$\forall \bm x\in V$ に対して $P\bm x\in V$ より $P\bm x-P^2\bm x\in W^\perp$ である。一方、$P\bm x\in W$ かつ $P^2\bm x\in W$ であるから $P\bm x-P^2\bm x\in W$ である。$W\cap W^\perp=\{\bm 0\}$ より $P\bm x-P^2\bm x=\bm 0$ すなわち $P^2=P$ である。


2)

$\bm x,\bm y\in V$ が $\bm x=\underbrace{P\bm x}_{\in W}+\underbrace{\bm x^\perp}_{\in W^\perp}, \bm y=P\bm y+\bm y^\perp$ と書けるとき、$(\bm x^\perp, P\bm y)=(P\bm x,\bm y^\perp)=0$ に注意して、

$$(P\bm x,\bm y)=(P\bm x,P\bm y+\bm y^\perp)=(P\bm x,P\bm y)=(P\bm x+\bm x^\perp,P\bm y)=(\bm x,P\bm y)$$

が任意の $\bm x,\bm y\in V$ に対して成り立つ。すなわち $P=P^\dagger$。

十分性

$P$ の像を $P(V)=W$ と書けば、$\forall \bm x\in V$ に対して $P\bm x\in W$ であり、 $\forall\bm y\in W$ は $\exists\bm z\in V$ に対して $\bm y=P\bm z$ と書けるから、 $P^\dagger=P$ および $P^2=P$ を用いれば、

$$ (\bm x-P\bm x,\bm y)=(\bm x-P\bm x,P\bm z)=(P\bm x-P^2\bm x,\bm z)=(P\bm x-P\bm x,\bm z)=(\bm 0,\bm z)=0 $$

すなわち、$\bm x-P\bm x$ は $\forall\bm y\in W$ と直交するから $\bm x-P\bm x\in W^\perp$ である。

$\forall \bm x\in V$ に対して $P\bm x\in W$ かつ $\bm x-P\bm x\in W^\perp$、 すなわち $P$ は $W$ への正射影演算子である。


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