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線形代数II
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線形写像の行列表現†
線形写像
を考える。ただし、
すなわち
に対して
の基底
の基底
を考えれば、
や
の表現を定められる。
これらの関係は図のようになる。

、
、
はそれぞれ線形写像なので、
それらの合成写像である
も線形写像となる。
すなわち、
行列
を使って、
と表せる。この行列
を、線形写像
の行列表現と呼ぶ。
$T_{BA}$ の具体的な形†
と置くと、当然
&math(\bm t_i=T_{BA}
\begin{pmatrix}0\\\vdots\\1\\\vdots\\0\end{pmatrix}
\begin{matrix}\phantom 0\\\phantom 0\\←\,i\,行目\\\phantom 0\\\phantom 0\end{matrix}
);
これと、
とを比べると、
のとき、
の定義より、
だから、
すなわち、
&math(T_{BA}=
\begin{pmatrix}T(\bm a_1)_B&T(\bm a_2)_B&\dots&T(\bm a_n)_B\end{pmatrix}
);
線形写像の行列表現は、
元となる空間の基底ベクトルに線形写像を施して、
先となる空間の基底で表現したものを列ベクトルとする。
基底の変換行列との関係†
先にやった基底の変換行列
は、
上記
を恒等変換
に置き換えた形と等しい(
)
すなわち、
行列表現の基底変換†
から
および、
から
の基底の変換を考える。
に、
、
を適用すれば、
&math(
\bm y_{B'}&=T_{B'A'}\bm x_{A'}\\
&=\underbrace{(P_{B\to B'})^{-1}}_{P_{B'\to B}}\ \underbrace{T_{BA}\ \underbrace{(P_{A\to A'})\bm x_{A'}}_{\bm x_A}}_{\bm y_B}
);
したがって、
基底変換と階数†
行列の階数は正則行列のかけ算では変化しないことを1年生で学んだ。
すなわち、
が正則の時、
したがって、線形写像の行列表現の階数も任意の基底変換で保存する。
基底変換の例†
が
で与えられるものとする。
すなわち、
のとき、
これを、
、
を使って表わせば、
&math(
\begin{pmatrix}2a\\b\end{pmatrix}=T_{BA}
\begin{pmatrix}a\\b\\c\end{pmatrix});
より、
一方、
、
を使って表わせば、
のとき、
より、
&math(
\begin{pmatrix}2a\\-a+b\end{pmatrix}=T_{B'A'}
\begin{pmatrix}a\\b\\c\end{pmatrix});
より、
また、
より、
より、
これらを用いて、
&math(=\begin{pmatrix}1&0\\1&1\end{pmatrix}^{-1}
\begin{pmatrix}2&0&0\\0&1&0\end{pmatrix}
\begin{pmatrix}1&0&0\\1&1&0\\1&1&1\end{pmatrix});
&math(=\begin{pmatrix}1&0\\-1&1\end{pmatrix}
\begin{pmatrix}2&0&0\\0&1&0\end{pmatrix}
\begin{pmatrix}1&0&0\\1&1&0\\1&1&1\end{pmatrix});
&math(=\begin{pmatrix}2&0&0\\-2&1&0\end{pmatrix}
\begin{pmatrix}1&0&0\\1&1&0\\1&1&1\end{pmatrix});
を確かめられる。
が
で与えられる。
(1) 上記の基底
に対する
の表現
、
を求めよ
(2)
から
への変換行列
に対して下記を確かめよ
線形変換である場合†
すなわち「線形変換」であるときは
なので、このとき
と書けば、
すなわち、
と
とは 線形代数I で学んだ「相似」の関係にある。
トレース、行列式、固有値†
相似な行列
では、
- トレース:
- 行列式:
- 階数:
- 固有方程式:
が等しくなることを1年生で学んだ。→ 相似変換に対するトレース、行列式、固有値の保存
すなわち線形変換
を定めれば、基底を指定しなくてもこれらの値が定まることになる。
したがって、線形変換の
トレース
、デターミナント
、
階数
、固有値
を具体的な基底を与えることなく定義できる。
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