広義固有空間の構造とジョルダン標準形 の履歴(No.2)
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概要†
ジョルダン標準形とは、対角化できない行列を「準対角化」した形である。
ここは発展項目なので、線形代数IIの内容を先取りして使う。
実のところ、線形代数IIでも扱わない内容なので、線形代数IIを学んでから戻ってきても良い。
固有空間とその次元†
次正方行列 の、固有値 に対する固有空間 (固有ベクトルの集合が作る線形空間)は、
と表せる。
の重複度と同数の一次独立な固有ベクトルを見つけられることが を対角化できる必要条件だった。これは固有空間の次元が重複度と等しいことと同値である。 (重複度を超えることはない)
固有空間の次元は の解の自由度(パラメータの数)だから、
→ 解の自由度は掃出せなかった列の数に等しいこと、 掃出せた列の数が階数と等しいこと、を思い出せ。
対角化できない場合†
対角化できない場合には、 の重複度を とすれば、
となる が存在することになる。
広義固有空間†
三角化可能定理 において、 初めに を 解選ぶと、左上から 個の が並び、その後、他の固有値が並ぶ形に対角化ができる。
そこに ケーリーハミルトンの定理 と同じ操作を
に対して行えば、 の階数が となることが分かる。
すなわち、
であるが、
となるのである。
これは、
を に属する広義固有空間と定義すれば、 その次元がぴったり重複度と等しくなることを意味する。
例†
&math(A=\begin{pmatrix}
4 & -2 & 0 \\ -3 & 4 & -2 \\ -11 & 9 & -2 \\
\end{pmatrix}
);
&math(|A-\lambda I|= \begin{vmatrix}
4-\lambda & -2 & 0 \\ -3 & 4-\lambda & -2 \\ -11 & 9 & -2-\lambda \\
\end{vmatrix}= 8-12\lambda+6\lambda^2-\lambda^3=(2-\lambda)^3 );
(3重解)
&math( \begin{pmatrix}
2 & -2 & 0 \\ -3 & 2 & -2 \\ -11 & 9 & -4 \\
\end{pmatrix}\sim \begin{pmatrix}
1 & -1 & 0 \\ 0 & -1 & -2 \\ 0 & -2 & -4 \\
\end{pmatrix}\sim \begin{pmatrix}
1 & 0 & 2 \\ 0 & 1 & 2 \\ 0 & 0 & 0 \\
\end{pmatrix} );
掃出せなかった をパラメータとして、
&math(\bm x=z\begin{pmatrix}
- 2\\-2\\1 \end{pmatrix});
3重解なのに だ。 基底として &math(\bm b_1=\begin{pmatrix}
- 2\\-2\\1 \end{pmatrix}); を取れる。
を求めるために
の拡大係数行列を変形して、
&math( (A-\lambda I)\bm x=\bm b_1\\ \begin{pmatrix}
2 & -2 & 0 & -2\\ -3 & 2 & -2 & -2\\ -11 & 9 & -4 & 1\\
\end{pmatrix}\sim \begin{pmatrix}
1 & -1 & 0 & -1\\ 0 & -1 & -2 & -5\\ 0 & -2 & -4 & -10\\
\end{pmatrix}\sim \begin{pmatrix}
1 & 0 & 2 & 4\\ 0 & 1 & 2 & -5\\ 0 & 0 & 0 & 0\\
\end{pmatrix} );
掃出せなかった をパラメータとして、