固有値問題・固有空間・スペクトル分解 の履歴(No.2)
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$n$次正方行列$A$†
固有値問題†
ただし ( :固有値、 :固有ベクトル)
もし が正則なら となってしまってダメなので、
これは の 次方程式(固有方程式と呼ぶ) となるので、重複度を含めて 個の が求まる
それぞれの について、
に代入して について解くことで、
1コ以上、重複度コ以下の一次独立な固有ベクトル が求まる。
練習†
&math( A=\begin{pmatrix} \cos\theta&-\sin\theta\\ \sin\theta&\cos\theta\\ \end{pmatrix} ); について固有値問題を解け。ただし
は回転を表わす行列。一方で、固有値問題は で、 を掛けても向きの変わらないベクトルを探す問題だから、解無しになるのでは? と思うのが正しい感覚。
実際、実数の範囲では固有値は存在しない。ただし、複素数の範囲ではどんな行列にも必ず重複度を含めて コの固有値が存在し、それぞれの固有値に対して最低1コの固有ベクトルが見付かる。回転を表わす上記の に対しても、複素数の範囲ならばちゃんと固有値・固有ベクトルが見付かるはずである。
対角化†
すべての固有値に対してちょうど重複度コの一次独立な固有ベクトルが求まる場合には、 それらをすべて集めると コの一次独立な固有ベクトルが見つかる。
これらをまとめて書くと、
&math( A\underbrace{\Big(\bm x_1\ \bm x_2\ \dots\ \bm x_n\Big)}_P &=\Big(\lambda_1\bm x_1\ \lambda_2\bm x_2\ \dots\ \lambda_n\bm x_n\Big)\\ &=\underbrace{\Big(\bm x_1\ \bm x_2\ \dots\ \bm x_n\Big)}_P \underbrace{\begin{pmatrix} \lambda_1\\ &\lambda_2\\ &&\ddots\\ &&&\lambda_n \end{pmatrix}}_\Lambda );
の列ベクトルが一次独立であることから は正則で、
として、正則行列 により を対角化可能。
対称行列の場合†
- 固有値 はすべて実数
- 直交行列 により対角化可能
1年生の時に証明した。
一般の線形変換の固有値問題†
ただし ( :固有値、 :固有ベクトル)
ある基底 に対する表現は
ただし
であるから、行列 の固有値問題を解けば の固有値問題が解ける。
特に、
ただし基底 は別の基底。
基底 から基底 への基底の変換行列を とすると、
であり、異なる基底に対する の表現 は 互いに相似の関係にあるから、固有値が等しいのは当然
一方、固有ベクトル に対する表現 は 当然基底の取り方に依存するが、その場合も 自体は基底の取り方に寄らず決まる。
練習†
の2次以下の多項式からなる線形空間 で定義された線形変換
の固有値、固有ベクトルを求めよ。
&math( T(ax^2+bx+c) &=a(x+1)^2+b(x+1)+c\\ &=ax^2+(2a+b)x+(a+b+c) );
基底を と取れば、
&math( T_B=\begin{pmatrix} 1&0&0\\ 2&1&0\\ 1&1&1\\ \end{pmatrix} );
であるから、
&math( |T_B-\lambda E|= \begin{vmatrix} 1-\lambda&0&0\\ 2&1-\lambda&0\\ 1&1&1-\lambda\\ \end{vmatrix}=(1-\lambda)^3=0 );