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線形代数Ⅱ
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線形結合・一次独立・従属†
線形代数I で学んだ 線形結合・一次独立・従属の概念を一般の線形空間でも定義できる
の線形結合とは、
が「一次独立である」とは、
から
を導けること
以外でも成り立つなら「一次従属である」という
問:
実数を係数とする2次以下の
の多項式の集合について考える
は線形独立か?
答:
とすると、
ここに現れた等号は、「左辺の多項式と右辺の多項式が等しい」という意味であるから、
左辺と右辺とで、対応する次数にかかる係数がすべて等しくなければならない。
すなわち、
となり、
これを満たす
は
しか存在しない。
したがって、与えられた3つのベクトルは線形独立である
張る空間・生成元・部分空間†
の「張る空間」は次のように定義され、
と書く。(< > で括る流儀もある)
これは 「
の一次結合で表せるベクトルの集合」 と同義である。
このような
は和、スカラー倍に対して閉じており、それ自身も線形空間となる。
、
のとき、
、
を
の「生成元」という。
一般に、
の部分集合
が線形空間となるとき、
は
の「部分空間」という。
多くの場合、
-
は直線的である ←→ 直線の方程式
-
は平面的である ←→ 平面の方程式
-
は空間的である ←→ 空間の方程式
ただし
が一次従属だと、その限りではない!
4-2 基底・次元†
が
を張り、なおかつ一次独立であるとき、
は
の「基底」である、という。
基底を構成するベクトルの数を線形空間の「次元」と呼ぶ。
ある空間
について、基底の取り方には任意性があるが、
「次元」は一意に決まる。
これは、
-
次元空間を
個以下のベクトルで張ることはできない。
-
次元空間に
個以上の線形独立なベクトルの組を見つけることはできない。
ことが理由となるが、証明は省略する。
例:
2次以下の
の多項式の集合を
とするとき、
は
を張り、
また、一次独立であるから、
の基底となる
すなわち、
は3次元である
列ベクトル表示(数ベクトル表現)†
定理:
を
の基底とすれば、
はこれらの一次結合として一意に表される。
証明:
基底は
を張るから、
を基底の一次結合として表せる。
だから、その表し方が「一意に決まること」が重要。
もし、
であれば、これを変形して、
基底の線形独立性から、
となる。
数ベクトル空間との1対1対応†
上記の線形結合を、ベクトルのかけ算と同様の表示を使って
&math(
\bm x=\big(\bm v_1\ \bm v_2\ \dots\ \bm v_n\big)
\begin{pmatrix}
x_1\\ x_2\\\vdots\\x_n
\end{pmatrix}
);
の形に書けば、
に対して、対応するn次元列ベクトル
が1つ決まることになる。
逆に、
に対して、
が1つ決まるから、
線形空間
の元1つ1つと
の元1つ1つとの間に
1対1の対応が付くことになる。
を、基底
に対する
の「列ベクトル表示」という。
例:
実数を係数とする2次以下の
の多項式 | 3次実数ベクトル |
&math(V=\set{ax^2+bx+c\ | a,b,c\in \mathbb R}); | &math(\mathbb R^3=\set{(a,b,c)\ | a,b,c\in \mathbb R}); |
の基底
に対する数ベクトル表現になっている |
| |
| |
この対応関係は ベクトル和 や スカラー倍 に対しても保存されることから、
任意の
次元線形空間
は、同じ次元を持つ数ベクトル空間
と強い類似性を持つことが分かる。
こういう時、
と
は「同型である」、と言う。
以下で同型を定義する。
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