ソフトウェア/Igor のバックアップ(No.8)

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公開メモ

Igor とは

測定したデータの解析に Wave Metrics 社の Igor Pro を頻繁に使っています。

なかなか癖のあるソフトですが、 Igor 上でプログラムを組むことでかなり複雑なデータ解析も自動化できていろいろ捗ります。

ここには使い回しの効きそうなコード例を上げていこうと思います。

公式のオンラインヘルプはこちらです。
http://www.hulinks.co.jp/support/igor/programming/index.html

分野別記事へのリンク

Igor のマルチスレッド対応

Igor Pro 6.1 から、マルチスレッド対応が強化されたそうです。

LANG:Igor
wave0 = any_expression(x)

のような代入文で時間がかかっている場合、

LANG:Igor
MultiThread wave0 = any_expression(x)

とするだけで、個々の座標値に対する計算を異なるスレッドで行ってくれます。

当然、wave の個々の座標の値の間に依存関係がある場合にはうまくいきませんが、 独立に計算できる場合にはこれだけでかなり速度が上がります。

より高度なマルチスレッド

もっと複雑なことをしたい場合には、 ThreadGroupCreate / ThreadStart / ThreadGroupPutDF / ThreadGroupGetDF / ThreadGroupWait / ThreadGroupRelease といった関数を使うことで、きめ細やかなマルチスレッド制御を行えます。

実際やってみると、メモリ確保などに時間がかかっていることも多いようで、 単純にスレッド数倍もの速度向上は望めませんが、シングルスレッド比で 2倍くらいの速度は簡単に出せるようでした。

例えば、Intel Core i7-3520M @ 2.9GHz + Windows 7 (64bit) で 1024 本のスペクトルに対して解析を行った結果、

  • シングルスレッド = 11.0 秒
  • マルチスレッド = 4.3秒

という結果が得られました。

注意点

このようにマルチスレッドで使う関数、例えば SomeMutiThreadableFunction(x) には ThreadSafe というキーワードを付けて定義する必要があります。

LANG:Igor
ThreadSafe function SomeMutiThreadableFunction(x)

    // マルチスレッド対応コード

end

このような ThreadSafe な関数からは、同じく ThreadSafe とマークされた関数以外を呼び出せません。

やってみるとすぐ分かるのですが、現在のところ ThreadSafe とマークした関数には デバッガ機能が働かず、ブレークやステップ実行ができません。

シングルスレッドで十分にテストしてからマルチスレッドに移行しないと、 うまく動かないときに面倒なことになります。

デバッグ環境設定のようなところで「Multithread 機能をオフにして、 すべてをシングルスレッド(ノンプリエンプティブマルチスレッド)で動作させる」 なんていうのを選べると、デバッグが楽になって良いんですけどね・・・

幸い、print や printf は ThreadSafe 関数からも呼べるので、 デバッグにはこれらを使って頑張るしか今のところ手はないようです?

SetScale 関連

SetScale でウェーブの縦横軸スケールを決められます。
CopyScales というのもあって、あるウェーブの縦横軸スケール情報を別のウェーブにコピーできます。

逆に、ウェーブから縦横軸スケールを読み取るには、

  • DimOffset(wave0, 0) : wave0 の x 軸の左端 = LeftX(wave0)
  • DimDelta(wave0, 0) : wave0 の x 軸の刻み幅 = DeltaX(wave0)
  • DimSize(wave0, 0) : wave0 の x 軸方向の点数 = 一次元ウェーブなら NumPnts(wave0) と等しい
  • WaveUnits(wave0, 0) : wave0 の x 軸の単位
  • WaveUnits(wave0, 1) : 1次元ウェーブでは wave0 の値の単位
  • DimOffset(wave0, 1) : 2次元以上のウェーブでは wave0 の y 軸の左端
  • DimDelta(wave0, 1) : 2次元以上のウェーブでは wave0 の y 軸の刻み幅
  • DimSize(wave0, 1) : 2次元以上のウェーブでは wave0 の y 軸方向の点数
  • WaveUnits(wave0, 1) : 2次元以上のウェーブでは wave0 の y 軸の単位
  • WaveUnits(wave0, 2) : 2次元ウェーブでは wave0 の値の単位
  • ...
  • StringByKey("DUNITS", WaveInfo(wave0, 0)) : 次元数に関係なく wave0 の値の単位が得られる

といった関数を使います。
これらと合わせて、以下の関数もよく使いますね。

  • Pnt2X(wave0, p) : p 番目の点の x 座標を求める( p は丸められて、必ず DeltaX の整数倍が返る)
  • X2Pnt(wave0, x) : x 座標を点のインデックスに直す(必ず整数が返る)
  • NumPnts(wave0) : wave0 の総点数を返す(多次元でも使える)
  • Note wave0, <str> : wave0 にノート文字列を付加する
  • note(wave0) : wave0 に付加したノート文字列を取得する

SetScale/I の罠

SetScale には /P と /I の2種類の指定の仕方がありますが、 /I についてはかなり注意が必要です。

LANG:Igor
* Make/N=100 wave0
* SetScale/I x, 0, 100, wave0
* Print LeftX(wave0), DeltaX(wave0), Pnt2X(wave0, 99), RightX(wave0)
 0  1.0101  100  101.01

この場合、DeltaX(wave0) は 1 ではなく 1.0101 になります。
これは、wave0 の右端の点、すなわち wave0[99] の x 座標が 100 になるようにするためです。

RightX も危険

また、この場合の RightX(wave0) は 100 ではなく 101.01 になります。
すなわち、RightX(wave0) は一番右の点ではなくて、一番右の、さらに次の点の x 座標を返します。

かなり覚えにくいので、SetScale は /P で使うことをお勧めします。

LANG:Igor
* Make/N=100 wave0
* SetScale/P x, 0, 1, wave0
* Print LeftX(wave0), DeltaX(wave0), Pnt2X(wave0, 99), RightX(wave0)
 0  1  99  100

これなら驚きが少ないですよね。

ヒストグラムの罠

Igor の Histogram は癖があるので、正しく使わないとおかしな結果を導いてしまいます。

詳しくは、棒グラフの罠 - Histogram との組み合わせ をご覧下さい。

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