線形代数II/基底の変換 のバックアップ(No.16)

更新


前の単元 <<<                線形代数II                >>> 次の単元

基底の変換

基底の変換行列

K 上の n 次元線形空間 V に2つの基底を取る

A=\set{\bm a_1,\bm a_2,\dots,\bm a_n}

B=\set{\bm b_1,\bm b_2,\dots,\bm b_n}

これらの基底に対するベクトル \bm x\in V の表現 \bm x_{ A}, \bm x_{ B}\in K^n は、

(1) &math( \bm x=\begin{pmatrix}\bm a_1&\bm a_2&\dots&\bm a_n\end{pmatrix}\bm x_{ A} );

(2) &math( \bm x=\begin{pmatrix}\bm b_1&\bm b_2&\dots&\bm b_n\end{pmatrix}\bm x_{ B} );

の関係を満たす。図に表わせば、

基底の変換.png

\bm x_{ A}\to \bm x および \bm x\to \bm x_{ B} はともに 線形写像となるから、その合成写像 \bm x_{ A}\to \bm x_{ B} も線形写像である。

線形代数I において K^n\to K^n の線形変換は n\times n 行列の積で表せることを学んだ。 すなわち、ある n 次正方行列 P_{ B\to A} を用いて、

(3)  \bm x_{ B}=P_{ B\to A}\bm x_{ A}

と表せる。

このとき、 P_{ B\to A} を 基底 B から 基底 A への基底の変換行列と呼ぶ。

変換の向き

上記を良く読んで「変換の向きは逆じゃないの?」と思うのは正しい感覚。

どうしてこの向きかというと、

(2) に (3) を代入して、

&math( \bm x=\begin{pmatrix}\bm b_1&\bm b_2&\dots&\bm b_n\end{pmatrix}P_{ B\to A}\bm x_{ A} );

と (1) とを比べると、

(4) &math( \begin{pmatrix}\bm a_1&\bm a_2&\dots&\bm a_n\end{pmatrix}= \begin{pmatrix}\bm b_1&\bm b_2&\dots&\bm b_n\end{pmatrix}P_{ B\to A} );

となり、 P_{ B\to A} は基底 B を基底 A に変換する。

基底を変換するのと、数ベクトル表現を変換するのとを区別して覚えよう。

変換行列 $P_{ B\to A}$ の具体的な形

変換行列の列ベクトルを次のように置く。

P_{ B\to A}=\begin{pmatrix}\bm p_1&\bm p_2&\dots&\bm p_n\end{pmatrix}

(4) を列ベクトルごとに見れば、

&math( \bm a_i= \begin{pmatrix}\bm b_1&\bm b_2&\dots&\bm b_n\end{pmatrix}\bm p_i );

一方、 \bm a_i B に対する表現 \bm a_{i B}

&math( \bm a_i= \begin{pmatrix}\bm b_1&\bm b_2&\dots&\bm b_n\end{pmatrix}\bm a_{i B} );

だったから、

\bm p_i=\bm a_{i B}

すなわち、

P_{ B\to A}=\begin{pmatrix}\bm a_{1 B}&\bm a_{2 B}&\dots&\bm a_{n B}\end{pmatrix}

となる。

基底 B から A への変換行列 P_{B\to A} は、 基底 B に対する基底 A の表現ベクトル \bm a_{iB} を並べて作った行列になる。

正則性

当然、逆写像も線形写像であるから、

\bm x_{ A}=P_{ A\to B}\bm x_{ B}

であり、

P_{ A\to B}=P_{ B\to A}^{-1}

の関係がある。すなわち、基底の変換行列は正則行列である。

\mathbb R^2 に、2つの基底を取る。

&math( \bm a_1=\begin{pmatrix}1\\1\end{pmatrix}, \bm a_2=\begin{pmatrix}1\\-1\end{pmatrix} );

&math( \bm b_1=\begin{pmatrix}1\\2\end{pmatrix}, \bm b_2=\begin{pmatrix}2\\1\end{pmatrix} );

\bm a_1,\bm a_2 \bm b_1,\bm b_2 で展開すれば、

\bm a_1=\frac{1}{3}\bm b_1+\frac{1}{3}\bm b_2 \bm a_{1B}=\begin{pmatrix}1/3\\1/3\end{pmatrix}

\bm a_2=-\bm b_1+\bm b_2 \bm a_{2B}=\begin{pmatrix}-1\\1\end{pmatrix}

2つの式をまとめると、

&math( \begin{pmatrix}\bm a_1&\bm a_2\end{pmatrix}&= \begin{pmatrix}\bm b_1&\bm b_2\end{pmatrix} \begin{pmatrix}1/3&-1\\1/3&1\end{pmatrix}\\ &=\begin{pmatrix}\bm b_1&\bm b_2\end{pmatrix} \begin{pmatrix}\bm a_{1B}&\bm a_{2B}\end{pmatrix}\\ &=\begin{pmatrix}\bm b_1&\bm b_2\end{pmatrix}P_{B\to A} );

この表式を用いて、

&math( \bm x&=\begin{pmatrix}\bm a_1&\bm a_2\end{pmatrix}\bm x_A\\ &=\begin{pmatrix}\bm b_1&\bm b_2\end{pmatrix}P_{B\to A}\bm x_A\\ &=\begin{pmatrix}\bm b_1&\bm b_2\end{pmatrix}\bm x_B\\ );

すなわち、

&math( \bm x_B=P_{B\to A}\bm x_A=\begin{pmatrix}1/3&-1\\1/3&1\end{pmatrix}\bm x_A );

演習

\mathbb R^3 に2つの基底 &math(A=\Big\{ \begin{pmatrix}1\\0\\0\end{pmatrix}, \begin{pmatrix}0\\1\\0\end{pmatrix}, \begin{pmatrix}0\\0\\1\end{pmatrix} \Big\}); と &math(B=\Big\{ \begin{pmatrix}1\\0\\0\end{pmatrix}, \begin{pmatrix}1\\1\\0\end{pmatrix}, \begin{pmatrix}1\\1\\1\end{pmatrix} \Big\}); を取る。

(1) A から B への変換行列 P_{A\to B} B から A への変換行列 P_{B\to A} を求めよ。

(2) \big(\bm a_1\ \bm a_2\ \bm a_3\big)=\big(\bm b_1\ \bm b_2\ \bm b_3\big)P_{B\to A} および \bm x_B=P_{B\to A}\bm x_A を確かめよ。


前の単元 <<<                線形代数II                >>> 次の単元

質問・コメント





Counter: 92688 (from 2010/06/03), today: 7, yesterday: 0