線形独立、基底及び次元 のバックアップ(No.8)

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線形代数Ⅱ?

線形結合・一次独立・従属

線形代数I で学んだ 線形結合・一次独立・従属の概念を一般の線形空間でも定義できる

\bm v_1,\bm v_2,\dots,\bm v_m\in V の線形結合とは、

\sum_{i=1}^m c_i\bm v_i=c_1\bm v_1+c_2\bm v_2+\dots+c_m\bm v_m

\bm v_1,\bm v_2,\dots,\bm v_m\in V が「一次独立である」とは、

\sum_{i=1}^m c_i\bm v_i=\bm 0 から c_1=c_2=\dots=c_m=0 を導けること

c_1=c_2=\dots=c_m=0 以外でも成り立つなら「一次従属である」という

問:

実数を係数とする2次以下の x の多項式の集合について考える
x^2+3x-2,\ -x^2+2x,\ 3x^2 は線形独立か?

答:

a(x^2+3x-2)+b(-x^2+2x)+c(3x^2)=0 とすると、 (a-b+3c)x^2+(3a+2b)x+(-2a)=0=0x^2+0x+0

ここに現れた等号は、「左辺の多項式と右辺の多項式が等しい」という意味であるから、 左辺と右辺とで、対応する次数にかかる係数がすべて等しくなければならない。

すなわち、 a-b+3c=0,3a+2b=0,-2a=0 となり、 これを満たす a,b,c \{a,b,c\}=\{0,0,0\} しか存在しない。

したがって、与えられた3つのベクトルは線形独立である

張る空間・生成元・部分空間

\bm v_1,\bm v_2,\dots,\bm v_m\in V の「張る空間」は次のように定義され、

W\equiv\set{\bm v=\sum_{i=1}^m c_i\bm v_i| c_1,c_2,\dots,c_m\in K}

W=\big[\bm v_1,\bm v_2,\dots,\bm v_m\big] と書く。(< > で括る流儀もある)

これは 「 \bm v_1,\bm v_2,\dots,\bm v_m\in V の一次結合で表せるベクトルの集合」 と同義である。

このような W は和、スカラー倍に対して閉じており、それ自身も線形空間となる。

\bm v_1 = \sum_{i=1}^m c_{1i}\bm v_i\in W \bm v_2 = \sum_{i=1}^m c_{2i}\bm v_i\in W のとき、

k\bm v_1 = \sum_{i=1}^m (kc_{1i})\bm v_i\in W (\bm v_1+\bm v_2) = \sum_{i=1}^m (c_{1i}+c_{2i})\bm v_i\in W

\bm v_1,\bm v_2,\dots,\bm v_m\in V W の「生成元」という。

一般に、 V の部分集合 W が線形空間となるとき、 W V の「部分空間」という。

多くの場合、

  • W_1=\big[\bm a\big] は直線的である ←→ 直線の方程式 \set{\bm p=s\bm a|s\in \mathbb R}
  • W_2=\big[\bm a,\bm b\big] は平面的である ←→ 平面の方程式 \set{\bm p=s\bm a+t\bm b|s,t\in \mathbb R}
  • W_3=\big[\bm a,\bm b, \bm c\big] は空間的である ←→ 空間の方程式 \set{\bm p=s\bm a+t\bm b+u\bm c|s,t,u\in \mathbb R}

ただし \bm a,\bm b,\bm c が一次従属だと、その限りではない!

4-2 基底・次元

\bm v_1,\bm v_2,\dots,\bm v_m\in V V を張り、なおかつ一次独立であるとき、
\bm v_1,\bm v_2,\dots,\bm v_m\in V V の「基底」である、という。

基底を構成するベクトルの数を線形空間の「次元」と呼ぶ。

ある空間 V について、基底の取り方には任意性があるが、 「次元」は一意に決まる。

これは、

  • n 次元空間を n 個以下のベクトルで張ることはできない。
  • n 次元空間に n 個以上の線形独立なベクトルの組を見つけることはできない。

ことが理由となるが、証明は省略する。

例:
2次以下の x の多項式の集合を V とするとき、 \bm b_1=x,\bm b_2= 3x^2+1,\bm b_3=2\in V V を張り、 また、一次独立であるから、 V の基底となる
すなわち、 V は3次元である

列ベクトル表示(数ベクトル表現)

準備

定理:

\bm v_1,\bm v_2,\dots,\bm v_n\in V V の基底とすれば、 \forall \bm x\in V はこれらの一次結合として一意に表される。

証明:

基底は V を張るから、 \bm x を基底の一次結合として表せる。

だから、その表し方が「一意に決まること」が重要。

もし、

\bm x=\sum c_i\bm v_i=\sum c_i'\bm v_i

であれば、これを変形して、

\sum (c_i-c_i')\bm v_i=\bm 0

基底の線形独立性から、

c_1-c_1'=c_2-c_2'=\dots=c_n-c_n'=0

となる。

数ベクトル空間との1対1対応

上記の線形結合を、ベクトルのかけ算と同様の表示を使って

&math( \bm x=\big(\bm v_1\ \bm v_2\ \dots\ \bm v_n\big) \begin{pmatrix} x_1\\ x_2\\\vdots\\x_n \end{pmatrix} );

の形に書けば、

\forall \bm x\in V に対して、対応するn次元列ベクトル \bm x'=\begin{pmatrix}x_1\\ x_2\\\vdots\\x_n\end{pmatrix} \in \mathbb R^n が1つ決まることになる。

逆に、 \forall \bm x'\in \mathbb R^n に対して、 \bm x=\big(\bm v_1\ \bm v_2\ \dots\ \bm v_n\big)\bm x' \in V が1つ決まるから、

線形空間 V の元1つ1つと \mathbb R^n の元1つ1つとの間に 1対1の対応が付くことになる。

\bm x' を、基底 \bm v_1,\bm v_2,\dots,\bm v_n に対する \bm x の「列ベクトル表示」という。

例:

実数を係数とする2次以下の x の多項式3次実数ベクトル
&math(V=\set{ax^2+bx+c\a,b,c\in \mathbb R});&math(\mathbb R^3=\set{(a,b,c)\a,b,c\in \mathbb R});
V の基底 x^2,x,1 に対する数ベクトル表現になっている
(a_1x^2+b_1x+c_1)+(a_2x^2+b_2x+c_2)\\=(a_1+a_2)x^2+(b_1+b_2)x+(c_1+c_2) (a_1,b_1,c_1)+(a_2,b_2,c_2)\\=(a_1+a_2,b_1+b_2,c_1+c_2)
k(ax^2+bx+c)=(ka)x^2+(kb)x+(kc) k(a,b,c)=(ka,kb,kc)

この対応関係は ベクトル和 や スカラー倍 に対しても保存されることから、 任意の n 次元線形空間 V は、同じ次元を持つ数ベクトル空間 K^n と強い類似性を持つことが分かる。

こういう時、 V K^3 は「同型である」、と言う。

以下で同型を定義する。

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