量子力学Ⅰ/不確定性原理 のバックアップ差分(No.7)

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[[量子力学Ⅰ/波動関数の解釈]]

#contents

* 不確定性原理 [#q23b2625]
* 同時固有関数 [#hb461116]

これまでことある毎に「量子力学においては位置や運動量などの物理量は確率的にしか決まらない」
と言う話をしてきた。
と話してきた。

ただしこれには例外があって、固有関数のところで学んだように、
ある物理量演算子の固有関数については(測定精度の問題を除いて)物理量が確定値を取るのであった。
ただしこれには例外があって、「物理量演算子の固有関数」 については物理量が確定値を取るのであった。

例えば粒子が &math(x=x_0); に存在する、という状態は、
もし波動関数 &math(\psi); が物理量 &math(\hat\alpha); と &math(\hat\beta); 
の「同時固有関数」(両方の固有関数)であれば、物理量 &math(\alpha,\beta); 
はどちらも確定値を取ることになる。

 &math(\varphi_{x=x_0}(x)=\delta(x-x_0));
>例:~
完全に自由な電子に対する運動量の固有関数は、同時にハミルトニアンの固有関数でもあるから、
&math(\bm p=\hbar \bm k,\epsilon=\hbar^2k^2/2m); は同時に確定値を取る。

であるから、この粒子に関しては &math(x); 座標は確定値を取る。
このデルタ関数を指数関数の積分表示に直せば、
&math(\hat\alpha\psi=\lambda_\alpha);、&math(\hat\beta\psi=\lambda_\beta); とすれば

 &math(
\varphi_{x=x_0}(x)=\frac{1}{2\pi}\int_{-\infty}^\infty e^{ik(x-x_0)} dk
);
 &math(\hat\alpha\hat\beta\psi=\hat\alpha\lambda_\beta\psi=\lambda_\alpha\lambda_\beta\psi);

となるから、この状態はあらゆる運動量 &math(p=\hbar k); の固有関数 &math(e^{ikx});
が均等な重みで重ね合わされた物になっていて、運動量の測定値は完全に不確定になる。
 &math(\hat\beta\hat\alpha\psi=\hat\beta\lambda_\alpha\psi=\lambda_\beta\lambda_\alpha\psi);

すなわち、&math(\sigma_x=0);、&math(\sigma_p=+\infty); となる。
であるから、

逆に運動量が確定値 &math(p=p_0); を取る状態は、
 &math((\hat\alpha\hat\beta-\hat\beta\hat\alpha)\psi=0);

 &math(\varphi_{p=p_0}(x)=e^{ip_0x/\hbar});
となる。

だが、このとき
したがって、任意の &math(\psi); に対して 
&math((\hat\alpha\hat\beta-\hat\beta\hat\alpha)\psi\ne 0); であるならば、同時固有関数は存在しない。

 &math(|\varphi_{p=p_0}(x)|^2=1);
例えば、&math(x,\hat p_x); の同時固有関数や、&math(\hat l_x,\hat l_y); の同時固有関数などは存在しない。
一方、&math(\hat{l^2}); と &math(\hat l_z); は交換するから、これらの同時固有関数は存在する。

より、位置に対する確率密度は全空間で一定値を取り、
&math(x); 座標の測定値は完全に不確定になる。
(そのためこの関数は通常の意味では規格化できない)
* 位置と運動量 [#b3565353]

すなわち、&math(\sigma_x=+\infty);、&math(\sigma_p=0); となる。
 &math(
(x\hat p-\hat px)\psi
&=\left(x\frac{\hbar}{i}\frac{\PD}{\PD x}-\frac{\hbar}{i}\frac{\PD}{\PD x}x\right)\psi\\
&=-i\hbar\left\{x\frac{\PD\psi}{\PD x}-\frac{\PD}{\PD x}(x\psi)\right\}\\
&=-i\hbar\left\{\cancel{x\frac{\PD\psi}{\PD x}}-\psi-\cancel{x\frac{\PD\psi}{\PD x}}\right\}\\
&=i\hbar\psi
);

「不確定性原理」は上記のように、
「&math(x); と &math(p_x); が同時に正確に定まるような状態は存在しない」という原理である。
すなわち、

ただし、この言葉は3つの異なる意味で使われるため注意せよ。
 &math(x\hat p-\hat px=i\hbar\ne 0);

+ &math(x); と &math(p_x); が両方とも正確に定まるような量子状態は存在しない
+ 粒子の &math(x); と &math(p_x); を両方とも正確に設定することはできない
+ 測定前の状態に対して &math(x); と &math(p_x); を両方とも正確に測定する手段が存在しない
であるから、&math(x); と &math(\hat p); の同時固有関数は存在せず、
両者が同時に決定されるような状態は存在しない。

1. について、計算の詳細は後述するとして、
シュレーディンガー方程式より導かれる結果は次のようになる。
例えば粒子が &math(x=x_0); に存在する、という位置の固有状態は、

 &math(\varphi_{x=x_0}(x)=\delta(x-x_0));

であるが、このデルタ関数を指数関数の積分表示に直せば、

 &math(
\sigma_x\cdot\sigma_{p_x} = 
\sqrt{\big\langle (x-\langle x\rangle)^2\big\rangle}
\sqrt{\big\langle (p_x-\langle p_x\rangle)^2\big\rangle} \ge \frac{\hbar}{2}
\varphi_{x=x_0}(x)=\frac{1}{2\pi}\int_{-\infty}^\infty e^{ik(x-x_0)} dk
);

どんな波動関数に対してもこの不等式が成り立つことは、
そもそも電子自身が「上記の不等式以上に定まった位置や運動量を持つことがない」
ことを示している。
となり、この状態はあらゆる運動量 &math(p=\hbar k); の固有関数 &math(e^{ikx});
が均等な重みで重ね合わされた物になっている。つまり運動量の測定値は '''完全に''' 不確定になる。

これは 2. と密接に関係していて、
すなわち、この状態について &math(\sigma_x=0);、&math(\sigma_p=+\infty); である。

3. は例えば、粒子の位置を測定するためにどんな優れた手法を採用したとしても、
その測定は粒子の運動量にある一定の撹乱を与えてしまうため、
続けて運動量を測定した際に誤差を生じる。
といった内容で、 1., 2. とは別の問題であるがしばしば混同されてきた。
逆に運動量が確定値 &math(p=p_0); を取る状態は、

実際、この不確定性原理はハイゼンベルグが提唱した物であるが、
当初彼が議論したのは位置 &math(x); を測定する際の測定誤差 &math(\epsilon_x); と、
その位置の測定により運動量 &math(p); が受ける撹乱 &math(\eta_p); の積 &math(\epsilon_x\eta_p); 
に関ついてであり、ハイゼンベルグの思考実験においては &math(\epsilon_x\eta_p\ge\hbar/2); 
が得られた。
 &math(\varphi_{p=p_0}(x)=e^{ip_0x/\hbar}/\sqrt\{2\pi\});

1. で見た量子ゆらぎに関する不確定性  &math(\sigma_x\cdot\sigma_{p_x}\ge\hbar/2); と、~
3. で見た測定の及ぼす撹乱に関する不確定性 &math(\epsilon_x\eta_p\ge\hbar/2); とは長い間混同されてきたが、~
特に後者については測定のしかたによっては正しくなく、
上記の不等式を下回る実験が可能であることが近年報告されている。
((http://dx.doi.org/10.1103/PhysRevA.67.042105))
だが、このとき

 &math(|\varphi_{p=p_0}(x)|^2=1/2\pi);

* 不確定性原理の導出 [#g5fe668e]
より、位置に対する確率密度は全空間で一定値を取り、
&math(x); 座標の測定値は '''完全に''' 不確定になる。
(そのためこの関数は通常の意味では規格化できない)

定義より、
すなわち、&math(\sigma_x=+\infty);、&math(\sigma_p=0); である。

 &math(\sigma_x=\sqrt{\big\langle (x-\langle x\rangle)^2\big\rangle});
この両極端の場合を除けば &math(\sigma_x); も &math(\sigma_p); も有限値を取る。
以下のように、このとき必ず

 &math(\sigma_p=\sqrt{\big\langle (p-\langle p\rangle)^2\big\rangle});

であるから、

 &math(
(\sigma_x\cdot\sigma_p)^2
=\sigma_x^2\sigma_p^2=\big\langle (x-\langle x\rangle)^2\big\rangle \big\langle (p-\langle p\rangle)^2\big\rangle
\sigma_x\cdot\sigma_{p_x} \ge \frac{\hbar}{2}
);

演算子 &math(\alpha=x-\langle x\rangle);、
&math(\beta=p-\langle p\rangle=-i\hbar\frac{d}{dx}-\langle p\rangle); を導入すると、
どちらもエルミートである。
となることを示せる。

これは、
* 不確定性の導出 [#g5fe668e]

 &math(\int \psi^*(x\psi)\,d\bm r=\int (x\psi)^*\psi\,d\bm r);
一般に、エルミート演算子 &math(\hat\alpha,\hat\beta); に対して、

 &math(
\int \psi^*\hat p\psi)\,d\bm r
&=\int \psi^*(\frac{\hbar}{i}\frac{\PD}{\PD x}\psi)\,d\bm r\\
&=-\int \frac{\hbar}{i}\frac{\PD}{\PD x}\psi^*\psi\,d\bm r
+\underbrace{\Big[\psi^*\psi\Big]_{-\infty}^{+\infty}}_{=0}\\
&=\int \hat p^*\psi^*\psi\,d\bm r\\
&=\int (\hat p\psi)^*\psi\,d\bm r\\
);
 &math(\sigma_\alpha\sigma_\beta\geqq \left|\frac{\langle\hat\alpha\hat\beta-\hat\beta\hat\alpha\rangle}{2}\right|);

より、&math(x,\hat p); がどちらもエルミートであることと、
定数もエルミートであること、エルミート同士の和がエルミートになること、から導かれる。
であること、すなわち、

&math(\alpha,\beta); のエルミート性を用いることで、
 &math(\langle\hat\alpha\hat\beta-\hat\beta\hat\alpha\rangle\ne 0);

のとき、&math(\sigma_\alpha); と &math(\sigma_\beta); を同時にゼロにはできないことを証明する。

 &math(
(\sigma_x\cdot\sigma_p)^2
&=\int \psi^*\alpha^2\psi\,dx\int \psi^*\beta^2\psi\,dx\\
&=\int (\alpha\psi)^*(\alpha\psi)\,dx\int (\beta\psi)^*(\beta\psi)\,dx\\
&=\int |\alpha\psi|^2\,dx\int |\beta\psi|^2\,dx\\
I(\lambda)
&\equiv\int \left|\Delta \alpha\psi+i\lambda\Delta \beta\psi\right|^2dx\\
);

を得る。最後の積分を関数の内積として考えれば、それぞれ関数 &math(\alpha\psi); 
と &math(\beta\psi); のノルムの2乗を表わしている。
2つのベクトル &math(\bm x,\bm y); に対して一般に、
と置けば、

 &math(|\bm x|^2|\bm y|^2\ge|(\bm x,\bm y)|^2);
 &math(I(\lambda)&=\int \left\{(\Delta \alpha+i\lambda\Delta \beta)\psi\right\}^*\left\{(\Delta \alpha+i\lambda\Delta \beta)\psi\right\}dx\\
&=\int \psi^*(\Delta \alpha-i\lambda\Delta \beta)(\Delta \alpha+i\lambda\Delta \beta)\psi\,dx\\
&=\int \psi^*\left\{\Delta \alpha^2+i\lambda(\Delta \alpha\Delta \beta-\Delta \beta\Delta \alpha)+\lambda^2\Delta \beta^2\right\}\psi\,dx\\
&=\langle\Delta\alpha^2\rangle+i\lambda\langle\Delta\alpha\Delta\beta-\Delta\beta\Delta\alpha\rangle+\lambda^2\langle\Delta\beta^2\rangle\\
&\geqq 0
);

が成り立つから(シュバルツの不等式)、
が任意の &math(\lambda); に対して成り立つことになり、判別式は負になるはずである。

 &math(
(\sigma_x\cdot\sigma_p)^2
&\ge\left|\int (\alpha\psi)^*(\beta\psi)\,dx\right|^2\\
&=\left|\int \psi^*\alpha\beta\psi\,dx\right|^2\\
&=\left|\int \psi^*\left(\frac{\alpha\beta-\beta\alpha}{2}+\frac{\alpha\beta+\beta\alpha}{2}\right)\psi\,dx\right|^2\\
&=\frac{1}{4}\left|\int \psi^*(\alpha\beta-\beta\alpha)\psi\,dx\right|^2
 +\frac{1}{4}\left|\int \psi^*(\alpha\beta+\beta\alpha)\psi\,dx\right|^2\\
&-\langle\Delta\alpha\Delta\beta+\Delta\beta\Delta\alpha\rangle^2
-4\langle\Delta\alpha^2\rangle\langle\Delta\beta^2\rangle\leqq 0\\
);

と変形できる。最後の等式で落とした項は、
&math(\langle\Delta\alpha\Delta\beta+\Delta\beta\Delta\alpha\rangle); は純虚数になるので、

 &math(
&\phantom{+}
  \frac{1}{4}\left(\int \psi^*(\alpha\beta-\beta\alpha)\psi\,dx\right)^*
            \left(\int \psi^*(\alpha\beta+\beta\alpha)\psi\,dx\right)\\
&+\frac{1}{4}\left(\int \psi^*(\alpha\beta+\beta\alpha)\psi\,dx\right)^*
            \left(\int \psi^*(\alpha\beta-\beta\alpha)\psi\,dx\right)\\
&=\frac{1}{4}\int \psi(\alpha^*\beta^*-\beta^*\alpha^*)\psi^*\,dx
            \int \psi^*(\alpha\beta+\beta\alpha)\psi\,dx\\
&+\frac{1}{4}\int \psi(\alpha^*\beta^*+\beta^*\alpha^*)\psi^*\,dx
            \int \psi^*(\alpha\beta-\beta\alpha)\psi\,dx\\
&=\frac{1}{2}\int \psi(\alpha^*\beta^*\psi^*)\,dx
            \int \psi^*(\alpha\beta\psi)\,dx
 -\frac{1}{2}\int \psi(\beta^*\alpha^*\psi^*)\,dx
            \int \psi^*(\beta\alpha\psi)\,dx\\
&=\frac{1}{2}\int (\alpha\beta\psi)^*\psi\,dx
            \int \psi^*(\alpha\beta\psi)\,dx
 -\frac{1}{2}\int (\beta\alpha\psi)^*\psi\,dx
            \int \psi^*(\beta\alpha\psi)\,dx\\
&=\frac{1}{2}\int (\beta\psi)^*(\alpha\psi)\,dx
            \int \psi^*(\alpha\beta\psi)\,dx
 -\frac{1}{2}\int (\alpha\psi)^*(\beta\psi)\,dx
            \int \psi^*(\beta\alpha\psi)\,dx\\
&=\frac{1}{2}\int \psi^*(\beta\alpha\psi)\,dx
            \int \psi^*(\alpha\beta\psi)\,dx
 -\frac{1}{2}\int \psi^*(\alpha\beta\psi)\,dx
            \int \psi^*(\beta\alpha\psi)\,dx\\
&=0
&4\langle\Delta\alpha^2\rangle\langle\Delta\beta^2\rangle\geqq 
|\langle\Delta\alpha\Delta\beta+\Delta\beta\Delta\alpha\rangle|^2
);

となって消える。

&math(
(\alpha\beta-\beta\alpha)\psi
&= x\frac{\hbar}{i}\frac{\PD}{\PD x}\psi-\frac{\hbar}{i}\frac{\PD}{\PD x}(x\psi)\\
&= x\frac{\hbar}{i}\frac{\PD}{\PD x}\psi-x\frac{\hbar}{i}\frac{\PD}{\PD x}(x\psi)-\frac{\hbar}{i}\psi\\
&= -\frac{\hbar}{i}\psi\\
 &math(
\sigma_\alpha\sigma_\beta=\sqrt{\langle\Delta\alpha^2\rangle\langle\Delta\beta^2\rangle}\geqq \left|\frac{\langle\Delta\alpha\Delta\beta-\Delta\beta\Delta\alpha\rangle}{2}\right|
);

より、
さらに、

 &math(
(\sigma_x\cdot\sigma_p)^2
&\ge\frac{1}{4}\left|\int \psi^*(i\hbar)\psi\,dx\right|^2
 +\frac{1}{4}\left|\int \psi^*(\alpha\beta+\beta\alpha)\psi\,dx\right|^2\\
&\ge\frac{\hbar^2}{4}
 +\frac{1}{4}\left|\int \psi^*(\alpha\beta+\beta\alpha)\psi\,dx\right|^2\\
&\ge\frac{\hbar^2}{4}
\Delta\alpha\Delta\beta-\Delta\beta\Delta\alpha&=
(\hat\alpha-\langle\alpha\rangle)(\hat\beta-\langle\beta\rangle)-
(\hat\beta-\langle\beta\rangle)(\hat\alpha-\langle\alpha\rangle)\\
&=\hat\alpha\hat\beta-\hat\beta\hat\alpha
);

すなわち、
であるから、

 &math(\sigma_x\cdot\sigma_p\ge\frac{\hbar}{2});
 &math(\sigma_\alpha\sigma_\beta\geqq \left|\frac{\langle\hat\alpha\hat\beta-\hat\beta\hat\alpha\rangle}{2}\right|);

を得る。
&math(\hat\alpha=x,\hat\beta=p); のとき、&math(\hat\alpha\hat\beta-\hat\beta\hat\alpha=i\hbar); より、

** 波動関数から理解する不確定性の意味 [#d6a6e62e]
 &math(\sigma_x\sigma_p\geqq \frac{\hbar}{2});

運動量の標準偏差がゼロであるような波動関数はどのようなものであろうか?
同様に、

&math(\hat p-\langle p\rangle); がエルミートであることを用いて式変形すれば、
 &math(\sigma_{l_x}\sigma_{l_y}\geqq \left|\frac{\hbar\langle l_z\rangle}{2}\right|);

 &math(
\sigma_p^2
&=\iiint\psi^*\left(\hat p-\langle p\rangle\right)^2\psi\,d\bm r\\
&=\iiint\left(\hat p\psi-\langle p\rangle\psi\right)^*
        \left(\hat p\psi-\langle p\rangle\psi\right)\,d\bm r\\
&=\iiint\left|\hat p\psi-\langle p\rangle\psi\right|^2\,d\bm r\\
&=0
);

となり、すなわち至る所で
* 不確定性原理 [#u6bedd3d]

 &math(\hat p\psi=\frac{\hbar}{i}\frac{\PD\psi}{\PD x}=\langle p\rangle\psi);
「不確定性原理」は上記のように、
「&math(x); と &math(p_x); が同時に正確に定まるような状態は存在しない」という原理である。

が要求される。これは、
ただし、この言葉は3つの異なる意味で使われるため注意せよ。

 &math(\psi(\bm x,t)=\psi(\bm 0,t)e^{i\langle p\rangle x/\hbar});
+ &math(x); と &math(p_x); が両方とも正確に定まるような量子状態は存在しない
+ 粒子の &math(x); と &math(p_x); を両方とも正確に設定することはできない
+ 測定前の状態に対して &math(x); と &math(p_x); を両方とも正確に測定する手段が存在しない

を表わしており、このとき &math(|\psi(\bm x,t)|^2=|\psi(\bm 0,t)|^2); となり
波動関数の絶対値は &math(x); によらず一定値を取る。すなわち波動関数は &math(x); の全範囲に広がってしまう。
1. について、計算の詳細は後述するとして、
シュレーディンガー方程式より導かれる結果は次のようになる。

** 最小波束 [#y416874e]
どんな波動関数に対してもこの不等式が成り立つことは、
そもそも電子自身が「上記の不等式以上に定まった位置や運動量を持つことがない」
ことを示している。

これは 2. と密接に関係していて、

3. は例えば、粒子の位置を測定するためにどんな優れた手法を採用したとしても、
その測定は粒子の運動量にある一定の撹乱を与えてしまうため、
続けて運動量を測定した際に誤差を生じる。
といった内容で、 1., 2. とは別の問題であるがしばしば混同されてきた。

実際、この不確定性原理はハイゼンベルグが提唱した物であるが、
当初彼が議論したのは位置 &math(x); を測定する際の測定誤差 &math(\epsilon_x); と、
その位置の測定により運動量 &math(p); が受ける撹乱 &math(\eta_p); の積 &math(\epsilon_x\eta_p); 
に関ついてであり、ハイゼンベルグの思考実験においては &math(\epsilon_x\eta_p\ge\hbar/2); 
が得られた。

1. で見た量子ゆらぎに関する不確定性  &math(\sigma_x\cdot\sigma_{p_x}\ge\hbar/2); と、~
3. で見た測定の及ぼす撹乱に関する不確定性 &math(\epsilon_x\eta_p\ge\hbar/2); とは長い間混同されてきたが、~
特に後者については測定のしかたによっては正しくなく、
上記の不等式を下回る実験が可能であることが近年報告されている。
((http://dx.doi.org/10.1103/PhysRevA.67.042105))

* 最小波束 [#y416874e]

2つの不等号で等号が成り立つ条件は、

+ シュバルツの不等式で2つのベクトルが平行であること~
すなわち &math(\gamma); を定数として &math(\alpha\psi=\gamma\beta\psi);
+ &math(\int \psi^*(\alpha\beta+\beta\alpha)\psi\,dx=0);

1. より、

 &math(
(x-<x>)\psi=\gamma(\frac{\hbar}{i}\frac{\PD}{\PD x}-<p>)\psi
);

 &math(
\frac{\PD\psi}{\PD x}=\frac{i}{\hbar}\left(\frac{x-<x>}{\gamma}+<p>\right)\psi
);

 &math(
\psi(x,t)=\psi_0e^{\frac{i}{\hbar}\left(\frac{(x-<x>)^2}{2\gamma}+<p>x\right]}
);

また、1. の式を 2. に代入すれば、

&math(
0&=\int \psi^*\frac{\alpha^2}{\gamma}\psi\,dx+\int (\beta\psi)^*\alpha\psi\,dx\\
&=\int \psi^*\frac{\alpha^2}{\gamma}\psi\,dx+\int (\frac{\alpha}{\gamma}\psi)^*\alpha\psi\,dx\\
&=\left(\frac{1}{\gamma}+\frac{1}{\gamma^*}\right)\int \alpha^2|\psi|^2\,dx\\
);

&math(\int \alpha^2|\psi|^2\,dx>0); より、&math(1/\gamma+1/\gamma^*=0); 
すなわち &math(\gamma+\gamma^*=0); となり、&math(\gamma); は純虚数でなければならない。

&math(x); の絶対値が大きいところで &math(\psi); が有限となるためには
&math(\gamma); は負の虚数でなければならない。
実際、&math(\gamma=-2i\sigma_x^2/\hbar);、&math(\psi_0=1/\sqrt{2\pi\sigma_x^2}); とすることにより

 &math(
\psi(x,t)=\frac{1}{\sqrt{2\pi\sigma_x^2}}\exp\left[\frac{(x-\langle x\rangle)^2}{4\sigma_x^2}+\frac{i\langle p\rangle}{\hbar}x\right]
);

が得られ、この式は &math(\sigma_x^2 = \langle \alpha^2\rangle); を満足する、
規格化された波動関数を与える。

* 要検討 [#n66e6b52]

http://www.phys.asa.hokkyodai.ac.jp/osamu/lectures/qm/node31.html

のような技巧的な証明の方が簡単か?

* 観測の不確定性 [#x4da8807]


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