量子力学Ⅰ/3次元調和振動子 のバックアップ差分(No.6)
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[[前の単元 <<<>量子力学Ⅰ/球対称井戸型ポテンシャル]] [[量子力学Ⅰ]] [[>>> 次の単元>量子力学Ⅰ/一次元箱形障壁のトンネル]]~ #mathjax * $x,y,z$ 座標形で求めた解と球座標解との対応 [#r859e16f] 3次元調和振動子を &math(x,y,z); 座標で説いた結果得られた解をエネルギーの低いものから並べれば、 |CENTER:|LEFT:|CENTER:|c |&math(n=n_x+n_y+n_z);| &math((n_xn_yn_z)); |縮退度| |0|(0 0 0)|1| |1|(1 0 0), (0 1 0), (0 0 1)|3| |2|(2 0 0), (0 2 0), (0 0 2)|6| |~|(1 1 0), (1 0 1), (0 1 1)|~| |3|(3 0 0), (0 3 0), (0 0 3)|10| |~|(2 1 0), (0 2 1), (1 0 2)|~| |~|(1 2 0), (0 1 2), (2 0 1)|~| |~|(1 1 1) |~| などとなる。 すなわち、&math(n=0,1,2,3,\dots); のそれぞれに対して 独立な解が &math(1,3,6,10,\dots); 個存在することになる。 一方、同じ系を球座標で解けばその角度依存性は先に見たとおり球面調和関数で表され、 |CENTER:60|CENTER:60|CENTER:200|CENTER:60|c |状態|l|m|縮退度| |s|0|0|1| |p|1|-1, 0, +1|3| |d|2|-2, -1, 0, 1, 2|5| |f|3|-3, -2, -1, 0, 1, 2, 3|7| のように、&math(l=0); の解は縮退がなく、&math(l=1); の解は3重に、&math(l=2); は5重に縮退する。 水素原子のところでも見たとおり、ポテンシャルの形状によっては &math(m); のように、&math(l=0); の解は縮退がなく、&math(l=1); の解は3重に、&math(l=2); は5重に縮退するはずである。 また、水素原子のところでも見たとおり、ポテンシャルの形状によっては &math(m); に対する縮退以外にも、異なる &math(l); を持つ状態が縮退することがある。 したがって、 - 縮退のない &math(n=0); は &math(l=0); の s 状態 - 3重に縮退した &math(n=1); は &math(l=1); の p 状態、あるいは3つの s 状態が縮退した状態(今の場合前者が正解) - 6重に縮退した &math(n=2); は s 状態と d 状態が1つずつ、あるいは p 状態が2つ、縮退した状態(今の場合前者が正解) - 10重に縮退した &math(n=3); は p 状態と f 状態の縮退した状態、あるいは・・・ これはどういうことだろう? - 縮退のない &math(n=0); は s 状態であるべき -- もし p 状態なら縮退した3つの独立な解があるはず! - 3重に縮退した &math(n=1); は3重に縮退した p 状態であるか、あるいは3つの s 状態が縮退した状態である(今の場合前者が正解) - 6重に縮退した &math(n=2); は縮退のない s 状態と5重に縮退した d 状態が縮退した状態、あるいは3重に縮退した p 状態が2つ縮退した状態である(今の場合前者が正解) - 10重に縮退した &math(n=3); は3重に縮退した p 状態と7重に縮退した f 状態が縮退した状態、あるいは・・・ にそれぞれ対応していることが期待され、以下に見るように確かにそのようになっている。 * $n=0$ の解 [#d4bfce50] &math( \varphi_{000}(\bm r) &=\left(\frac{4\pi m\omega}{\hbar}\right)^{3/4}\exp\left(-\frac{m\omega}{2\hbar}r^2\right)\\ &\propto e^{-\frac{r^2}{2r_0^2}}\\ &=\left(\frac{4\pi}{r_0}\right)^{3/4}e^{-\frac{r^2}{2r_0^2}} ); は &math(\theta,\phi); に依存していない。ここで、&math(r_0=\sqrt{\frac{\hbar}{m\omega}}); と置いた。 球面調和関数 &math(Y_0{}^0=1/\sqrt{4\pi}); も &math(\theta,\phi); に依存していないので、 &math( \varphi_{000}(\bm r) &\propto e^{-\frac{r^2}{r_0^2}}\,Y_0{}^0\\ ); と書ける。 すなわち &math(n=0); の解は s 状態であり、&math(\hat l^2=0,\hbar l_z=0); であることが分かる。 すなわち &math(n=0); の解は s 状態であり、&math(\varphi_{000}); に対して &math(\hat l^2=0,\hbar l_z=0); であることが分かる。 * $n=1$ の解 [#zc579fdf] &math(\varphi_{100}(\bm r)=\left(\frac{4\pi m\omega}{\hbar}\right)^{3/4}\sqrt{\frac{2m\omega}{\hbar}}\,x\exp\left(-\frac{m\omega}{2\hbar}r^2\right)); &math( \varphi_{100}(\bm r)= \left(\frac{4\pi}{r_0}\right)^{3/4} \sqrt{2}\,\frac{x}{r_0}e^{-\frac{r^2}{2r_0^2}} ); &math(\varphi_{010}(\bm r)=\left(\frac{4\pi m\omega}{\hbar}\right)^{3/4}\sqrt{\frac{2m\omega}{\hbar}}\,y\exp\left(-\frac{m\omega}{2\hbar}r^2\right)); &math( \varphi_{010}(\bm r)= \left(\frac{4\pi}{r_0}\right)^{3/4} \sqrt{2}\,\frac{y}{r_0}e^{-\frac{r^2}{2r_0^2}} ); &math(\varphi_{001}(\bm r)=\left(\frac{4\pi m\omega}{\hbar}\right)^{3/4}\sqrt{\frac{2m\omega}{\hbar}}\,z\exp\left(-\frac{m\omega}{2\hbar}r^2\right)); &math( \varphi_{001}(\bm r)= \left(\frac{4\pi}{r_0}\right)^{3/4} \sqrt{2}\,\frac{z}{r_0}e^{-\frac{r^2}{2r_0^2}} ); ここで、 &math( \begin{cases} x=r\sin\theta\cos\phi\\ y=r\sin\theta\sin\phi\\ z=r\cos\theta \end{cases} ); であるから、 &math(\varphi_{100}(\bm r)\propto \frac{r}{r_0}e^{-\frac{r^2}{2r_0^2}}\,\sin\theta\cos\phi\propto \frac{r}{r_0}e^{-\frac{r^2}{2r_0^2}}\,(Y_1{}^1-Y_1{}^{-1})/2); &math( \varphi_{100}(\bm r)\propto \frac{r}{r_0}e^{-\frac{r^2}{2r_0^2}}\,\sin\theta\cos\phi\propto \frac{r}{r_0}e^{-\frac{r^2}{2r_0^2}}\,(Y_1{}^1-Y_1{}^{-1})/2 ); &math(\varphi_{010}(\bm r)\propto \frac{r}{r_0}e^{-\frac{r^2}{2r_0^2}}\,\sin\theta\sin\phi\propto \frac{r}{r_0}e^{-\frac{r^2}{2r_0^2}}\,(Y_1{}^1+Y_1{}^{-1})/2i); &math( \varphi_{010}(\bm r)\propto \frac{r}{r_0}e^{-\frac{r^2}{2r_0^2}}\,\sin\theta\sin\phi\propto \frac{r}{r_0}e^{-\frac{r^2}{2r_0^2}}\,(Y_1{}^1+Y_1{}^{-1})/2i ); &math(\varphi_{001}(\bm r)\propto \frac{r}{r_0}e^{-\frac{r^2}{2r_0^2}}\,\cos\theta\propto=-\frac{r}{r_0}e^{-\frac{r^2}{2r_0^2}}\,Y_1{}^0); &math( \varphi_{001}(\bm r)\propto \frac{r}{r_0}e^{-\frac{r^2}{2r_0^2}}\,\cos\theta\propto=-\frac{r}{r_0}e^{-\frac{r^2}{2r_0^2}}\,Y_1{}^0 ); これらはすべて &math(l=1); つまり p 状態であることが分かる。 これらはすべて、 ここから &math(\varphi_{001}); が &math(\hat l_z); の &math(m=0); に対する固有関数であることが分かる。 &math(\frac{r}{r_0}e^{-\frac{r^2}{2r_0^2}}\,Y_1{}^m(\theta,\phi)); &math(\varphi_{100},\varphi_{010}); に対してはそのままでは &math(\hat l_z); の固有関数ではないが、 の形の関数の線形結合で表されることが分かる。 当然この関数は &math(l=1); つまり p 状態である。 p 状態の関数の線形結合はやはり p 状態(&math(l=2); の固有関数)であるから、 &math(n=1); に対応する3重に縮退した &math(\varphi_{100},\varphi_{010},\varphi_{001}); はどれも p 状態であると言える。 &math(\varphi_{001}); はそのまま &math(\hat l_z); の &math(m=0); に対する固有関数でもある。 &math(\varphi_{100},\varphi_{010}); はそのままでは &math(\hat l_z); の固有関数ではないが、 &math(\varphi_{100}+i\varphi_{010}\propto Y_1{}^1); &math(\varphi_{100}-i\varphi_{010}\propto Y_1{}^{-1}); とすることにより &math(\hat l_z); のそれぞれ &math(m=1,-1); の固有関数となることが分かる。 とすることにより &math(\hat l_z); のそれぞれ &math(m=1,-1); の固有関数となる。 物理的には、&math(z); 方向に振動する &math(\varphi_{001}); については &math(z); 軸周りの角運動量はゼロであり、&math(x,y); 方向に振動する &math(\varphi_{100},\varphi_{010}); についてもそれら単独ではやはり &math(z); 軸周りの角運動量はゼロである。 しかし、&math(x); 方向に振動しつつ同時に &math(y); 方向にも振動する場合、 それらの位相によっては &math(z); 軸周りの各運動量が生じる、ということになる。 * $n=2$ および $n=3$ の解 [#d984bf3e] 同様な対応により、 - 6重に縮退した &math(n=2); は s 状態と d 状態が1つずつ縮退した状態 - 10重に縮退した &math(n=3); は p 状態と f 状態の縮退した状態 になっていることを確かめられる。 &math(n=2); の解は、 &math(\left(-1+\frac{2}{3}\frac{r^2}{r_0^2}\right)e^{-\frac{r^2}{2r_0^2}}\,Y_{0}^{0}); と、 &math(\frac{r^2}{r_0^2}e^{-\frac{r^2}{2r_0^2}}\,Y_{2}^{m}); の線形結合で、 &math(n=3); の解は、 &math(\left(1-\frac{2}{5}\frac{r^2}{r_0^2}\right)\frac{r}{r_0}e^{-\frac{r^2}{2r_0^2}}\,Y_1^m); と、 &math(\frac{r^3}{r_0^3}e^{-\frac{r^2}{2r_0^2}}\,Y_3^m); の線形結合で、それぞれ表せる。[[詳しい計算はこちら>@量子力学Ⅰ/3次元調和振動子/メモ]] * 演習:3次元調和振動子の動径方向の方程式 [#jd93721a] 上で出てきた動径方向の関数が、対応する &math(l); の値に対して3次元調和振動子の方程式の解になっていることと、 その固有値が与えられた &math(n); から予想されるエネルギー値に等しいことを確かめたい。 (1) 3次元調和振動子に対する動径方向の方程式は、 &math(r/r_0=\xi); と書き換え、&math(rR(r)=X(\xi)); と置けば、 &math( -\frac{X''(\xi)}{X(\xi)}+\xi^2+\frac{l(l+1)}{\xi^2}=\frac{2\varepsilon}{\hbar\omega}\\ ); となることを示せ。 (2) &math(-\frac{d^2}{d\xi^2}\left(\xi^n e^{-\xi^2/2}\right)=\left(-\xi^2+(2n+1)-\frac{(n-1)n}{\xi^2}\right)\xi^n e^{-\xi^2/2}); となることを確かめよ。 (3) &math(X(\xi)=\xi^{l+1} e^{-\frac{\xi^2}{2}}); が &math(\varepsilon=\left(l+\frac{3}{2}\right)\hbar\omega); に対する固有関数となることを示せ。 (4) &math(X(\xi)=\left\{\xi^{l+1}-\frac{2}{2(l+1)+1}\xi^{l+3}\right\}e^{-\xi^2/2}); が &math(\varepsilon=\left(l+\frac{7}{2}\right)\hbar\omega); に対する固有関数となることを示せ。 ~ [[前の単元 <<<>量子力学Ⅰ/球対称井戸型ポテンシャル]] [[量子力学Ⅰ]] [[>>> 次の単元>量子力学Ⅰ/一次元箱形障壁のトンネル]]~
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