エネルギー保存・運動量保存 のバックアップ差分(No.3)

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[[電磁気学]]

#contents

* 点電荷の系 [#bf432b37]

[[電磁ポテンシャルの導入>電磁気学/電磁ポテンシャルの導入]] では、
&math(\bm i(\bm x,t),\rho(\bm x,t)); を与えて、そこから生まれる
&math(\bm E(\bm x,t),\bm B(\bm x,t)); を求める問題について考えた。

ここでは、&math(\bm E(\bm x,t),\bm B(\bm x,t)); ばかりでなく
&math(\bm i(\bm x,t),\rho(\bm x,t)); も未知であり
電荷が電磁場と相互作用しながら共に時間発展していく様子を記述することを考える。

系は &math(n); 個の点電荷からなり、それぞれ
- 電荷 &math(e_k);
- 質量 &math(m_k);
- 位置座標 &math(\bm z_k(t));

を持つとする。

** 電荷密度 [#bea7282b]

1つの点電荷 &math(e); が作る電荷密度を考えよう。

&math(\bm x=\bm z(t)); に電荷があり、
それ以外で電荷密度はゼロであるから、
電荷密度は Dirac のデルタ関数を用いて、

&math(\rho(\bm x,t)=e\delta^3(\bm x-\bm z(t)));

と表せる。この式から時間と共に点電荷が移動し、
電荷密度が変化する様子を思い浮かべてみよう。

ここで、&math(\delta^3(\bm x)=\delta(x)\delta(y)\delta(z)); であり、
&math(\delta(x)); は

&math(\delta(x)=\begin{cases}0&x\ne 0\\+\infty&x=0\end{cases});

&math(\delta(-x)=\delta(x));

&math(\int_{-\infty}^\infty\delta(x)dx=1);

を満たす。

** 電流密度 [#ofa7192e]

点電荷 &math(e); の電流密度は次のように書ける。

&math(\bm i(\bm x,t)=e\dot{\bm z}(t)\delta^3(\bm x-\bm z(t)));

と言われても、

電流密度が点電荷の存在する位置 &math(\bm z(t)); 以外でゼロになること、~
大きさが電荷 &math(e); およびその速度 &math(\dot{\bm z}(t)); に比例すること、~
は納得できるが、他に係数が必要ないのかちょっと心配になるかもしれない。

この点は、電荷保存則が成り立っていることを確認すれば納得できる。

&math(
\frac{\PD}{\PD t}\rho(\bm x,t)
&=-e\dot{\bm z}(t)\cdot\GRAD\delta^3(\bm x-\bm z(t))\\
&=-e\sum_{a=x,y,z}\dot z_a(t)\frac{\PD}{\PD a}\delta^3(\bm x-\bm z(t))
);

&math(
\DIV \bm i(\bm x,t)
&=e\,\DIV\{\dot{\bm z}(t)\delta^3(\bm x-\bm z(t))\}\\
&=\sum_{a=x,y,z}\frac{\PD}{\PD a}\dot z_a(t)\delta^3(\bm x-\bm z(t))\\
&=\sum_{a=x,y,z}\dot z_a(t)\frac{\PD}{\PD a}\delta^3(\bm x-\bm z(t))
);

&math(
\therefore \frac{\PD}{\PD t}\rho(\bm x,t)+\DIV \bm i(\bm x,t)=0
);

として、上記の電流密度の式が正しいことが分かる。

** ローレンツ力 [#g37f342c]

点電荷 &math(e); に働く力は、

&math(
\bm f(t)&=m\ddot{\bm z}(t)\\
&=\int\Big[\rho(\bm x,t)\bm E(\bm x,t)+\bm i(\bm x,t)\times\bm B(\bm x,t)\Big]d^3x\\
&=\int\Big[e\delta^3(\bm x-\bm z(t))\bm E(\bm x,t)+e\delta^3(\bm x-\bm z(t))\dot{\bm z}(t)\times\bm B(\bm x,t)\Big]d^3x\\
&=e\bm E(\bm z(t),t)+e\dot{\bm z}(t)\times\bm B(\bm z(t),t)
);

と表せる。

** 解くべき方程式 [#vf10d26d]

以上を合わせると、
- Maxwell 方程式
- 電荷密度、電流密度
- 運動方程式

をすべて連立させることで、系の時間発展を記述できる。

&math(
\left\{\begin{array}{l}
\displaystyle\ROT\bm E(\bm x,t)+\frac{\PD}{\PD t}\bm B(\bm x,t)=\bm 0\vspace{2mm}\\
\displaystyle\DIV\bm B(\bm x,t)=0\vspace{2mm}\\
\displaystyle\frac{1}{\mu_0}\ROT \bm B(\bm x,t)-\varepsilon_0\frac{\PD}{\PD t}\bm E(\bm x,t)=\bm i(\bm x,t)\vspace{2mm}\\
\displaystyle\varepsilon_0\DIV\bm E(\bm x,t)=\rho(\bm x,t)\vspace{2mm}\\
\displaystyle\rho(\bm x,t)=\sum_{k=1}^n e_k\delta^3(\bm x-\bm z_k(t))\vspace{2mm}\\
\displaystyle\bm i(\bm x,t)=\sum_{k=1}^n e_k\dot{\bm z}_k(t)\delta^3(\bm x-\bm z_k(t))\vspace{2mm}\\
m_1\ddot{\bm z}_1(t)=e_1\Big[\bm E(\bm z_1(t),t)+\dot{\bm z}_1(t)\times\bm B(\bm z_1(t),t)\Big]\vspace{2mm}\\
m_2\ddot{\bm z}_2(t)=e_2\Big[\bm E(\bm z_2(t),t)+\dot{\bm z}_2(t)\times\bm B(\bm z_2(t),t)\Big]\vspace{2mm}\\
m_3\ddot{\bm z}_3(t)=e_3\Big[\bm E(\bm z_3(t),t)+\dot{\bm z}_3(t)\times\bm B(\bm z_3(t),t)\Big]\vspace{2mm}\\
\vdots\\
\end{array}\right.
);

実際にこれを解くのは難しいが・・・

** ガリレイの相対性について [#x12ab098]

ニュートン方程式では、
- 静止した人から見た物理現象と、
- 等速直線運動をしている人から見た物理現象は、

どちらも同じ方程式、つまりニュートン方程式を満たすことになる。~
このことをガリレイの相対性と呼ぶ。~
→ 絶対的な静止系は存在せず、静止・運動は相対的であるということ

上記の方程式に対して同様の相対性が成り立つだろうか?

ある座標で見て電荷が一点で静止していれば、その周りには球対象な電場のみが存在する。

同じ状況を等速直線運動する人から見れば、
電荷は移動しており、その周りには電場だけではなく磁場も発生しているはずである。

このことは、磁場の大きさ・方向、あるいは有無自体が観測者の運動に依存することを
示しており、直感的な意味でのガリレイの相対性が失われていることを示している。

このあたりをしっかり考えていくことで、特殊相対性理論にたどり着くことになる。

* エネルギー保存則 [#lbc6ad31]

遠隔相互作用では:
- 静電ポテンシャル &math(\frac{1}{4\pi\varepsilon_0}\frac{e_1e_2}{r^2});
- コイルの電流 &math(\frac{L}{2}I^2);
- コンデンサの電荷 &math(\frac{Q^2}{2C});
- ジュール熱 &math(\int_0^\infty IV\,dt);
- 光の運ぶエネルギー &math((太陽定数)=1366\,\mathrm{W/m^2});

というように、個々の問題に対して別々の方法でエネルギーを測っていた。

近接相互作用の考え方で:
- 電磁場の存在する空間の持つエネルギー
- 電磁場により運ばれるエネルギー

を、局所的な電磁場の値のみによって定義しようというのが以下の目標である。

これらは同じエネルギーを別々の形で表わそうという物なので、
ある意味排他的である。すなわち、両方でエネルギーを記述してしまうと、
同じエネルギーを2度測ってしまうことになる。

** 基本 [#e0ab9bd8]

エネルギー保存則を式で書けば:

 &math(\frac{d}{dt}(エネルギー)=0);

あるいは、

 &math(\frac{d}{dt}(エネルギー)=(単位時間あたりに入ってくるエネルギー));

となるはず。

一般に、このような式は Newton 方程式に速度を掛けることで得られる。

&math(
&\bm f=m\ddot{\bm z}\\
&\bm f\cdot\dot{\bm z}=m\ddot{\bm z}\cdot\dot{\bm z}=
\frac{d}{dt}\Big(\frac{1}{2}m|\dot{\bm z}|^2\Big)\\
);

この左辺 &math(\bm f\cdot\dot{\bm z}); は系に「加えられた仕事」を表わし、~
右辺は運動エネルギー &math(\frac{1}{2}m|\dot{\bm z}|^2); の時間変化を表わす。

** Lorentz 力に適用する [#r3bd3169]

&math(
&m_k\dot{\bm z}_k(t)\cdot\ddot{\bm z}_k(t)=\frac{d}{dt}\Big(\frac{1}{2}m_k|\dot{\bm z}_k(t)|^2\Big)\\
&=e_k\dot{\bm z}_k(t)\cdot\bm E(\bm z_k(t),t)+e_k\underbrace{\dot{\bm z}_k(t)\cdot\big[\dot{\bm z}_k(t)\times\bm B(\bm z_k(t),t)\big]}_{\displaystyle \bm a\cdot(\bm a\times\bm b) の形なのでゼロ}
);

すべての粒子について足し合わせると、

&math(
&\frac{d}{dt}\left(\sum_{k=1}^n\frac{1}{2}m_k|\dot{\bm z}_k(t)|^2\right)\\
&=\sum_{k=1}^n e_k\dot{\bm z}_k(t)\cdot\bm E(\bm z_k(t),t)\\
&=\sum_{k=1}^ne_k\dot{\bm z}_k(t)\cdot\int d^3x\ \delta^3(\bm x-\bm z_k(t))\bm E(\bm x,t)\\
&=\int d^3x\ \left(\sum_{k=1}^ne_k\dot{\bm z}_k(t)\delta^3(\bm x-\bm z_k(t))\right)\cdot\bm E(\bm x,t)\\
&=\int d^3x\ \bm i(\bm x,t)\cdot\bm E(\bm x,t)
);

Maxwell 方程式を用いて &math(\bm i(\bm x,t)); を書き直すと、

&math(
&=\int d^3x\ \left(\frac{1}{\mu_0}\ROT B-\varepsilon_0\frac{\PD\bm E}{\PD t}\right)\cdot\bm E(\bm x,t)\\
);

Maxwell 方程式より &math(\frac{1}{\mu_0}\bm B\cdot\underbrace{\left(\frac{\PD\bm B}{\PD t}+\ROT\bm E\right)}_{=\bm 0}=0); を加えると、

&math(
&=\int d^3x\ \left[\frac{1}{\mu_0}\ROT\bm B\cdot\bm E-\frac{1}{\mu_0}\bm B\cdot\ROT\bm E-\frac{1}{\mu_0}\bm B\cdot\frac{\PD\bm B}{\PD t}-\varepsilon_0\bm E\cdot\frac{\PD\bm E}{\PD t}\right]\\
);

ベクトル解析の公式から、&math(\DIV(\bm E\times\bm B)=\bm B\cdot\ROT\bm E-\bm E\cdot\ROT\bm B); なので、

&math(
&=\int d^3x\ \left[
-\frac{1}{\mu_0}\DIV(\bm E\times\bm B)
-\frac{\PD}{\PD t}\left\{\frac{1}{\mu_0}|\bm B|^2-\varepsilon_0|\bm E|^2\right\}\right]\\
&=\int_S \underbrace{\frac{1}{\mu_0}(\bm E\times\bm B)}_{=\,\bm S(\bm x,t)}\cdot\bm ndS
-\frac{d}{dt}\int d^3x\ \underbrace{\left\{\frac{1}{\mu_0}|\bm B|^2-\varepsilon_0|\bm E|^2\right\}}_{=\,w(\bm x,t)}\\
);

結果として、

&math(
\frac{d}{dt}\Bigg[\underbrace{\sum_{k=1}^n\frac{1}{2}m_k|\dot{\bm z}_k(t)|^2}_{全運動エネルギー}+\underbrace{\rule[-2.8ex]{0pt}{1ex}\int d^3x\,w(\bm x,t)}_{電磁場のエネルギー}\Bigg]=
\underbrace{\rule[-2.8ex]{0pt}{0pt}\int_S\bm S(\bm x,t)\cdot\bm ndS}_{界面から入ってくる量}
);

の形を得る。

ここで、

- 電磁場のエネルギー密度~
&math(
w(\bm x,t)&=\frac{1}{2}\bigg[\varepsilon_0|\bm E|^2+\frac{1}{\mu_0}|\bm B|^2\bigg]\\
&=\frac{1}{2}\bigg[\bm E\cdot\bm D+\bm B\cdot\bm H\bigg]
);
- 電磁場によるエネルギーフラックス密度 (ポインティングベクトル)~
&math(
\bm S(\bm x,t)&=\frac{1}{\mu_0}\bm E\times\bm B\\
&=\bm E\times\bm H
);

ただし、&math(\bm D=\varepsilon\bm E,\bm H=\frac{1}{\mu_0}B);
ただし、&math(\bm D=\varepsilon\bm E,\bm H=\frac{1}{\mu_0}B); を導入することにより係数を消した。

** 例 [#n338ca84]

&attachref(energy.png,,33%);

* 運動量保存則 [#p300e62b]


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