ベクトル空間と線形写像 のバックアップの現在との差分(No.2)
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[[線形代数I]] #contents &katex(); 培風館「教養の線形代数(五訂版)」に沿って行っている授業の授業ノート(の一部)です。 * ベクトルとは? [#lddf658e] - 縦数ベクトル:&math(\begin{bmatrix}a_1\\a_2\\\vdots\\a_n\end{bmatrix}); - 横数ベクトル:&math(\begin{bmatrix}a_1&a_2&\cdots&a_n\end{bmatrix}); - 幾何ベクトル:&math(\overrightarrow{\rm AB}); - 数ベクトル(縦):$\begin{bmatrix}a_1\\a_2\\\vdots\\a_n\end{bmatrix}$ - 数ベクトル(横):$\begin{bmatrix}a_1&a_2&\cdots&a_n\end{bmatrix}$ - 幾何ベクトル:$\overrightarrow{\rm AB}$ - そのほかにも様々なものをベクトルと見なせる 直交座標の成分表示で幾何ベクトルを数ベクトルと1対1に対応させられる。 * ベクトル空間とベクトル [#g900c89e] 上記のように、 $n$ 次元数ベクトルのように、 - &math(k\bm a); (スカラー倍) - &math(\bm a+\bm b); (和) - $k\bm a$ (スカラー倍) - $\bm a+\bm b$ (和) が内部で定義されている集合を「ベクトル空間」と言い、~ その要素を「ベクトル」と言う。 詳しい定義は線形代数学IIで学ぶことになる。 * n 次元数ベクトル空間 [#y894dd16] ** 集合について [#xe9fe451] - 実数の集合を &math(\mathbb{R}); - &math(n); 次元(縦)実数ベクトル空間を &math(\mathbb{R}^n); 集合とは : 「要素」を含む物 集合については、ある要素を含むか、含まないか、が主な興味となる。 $A,B$ を集合、$x$ を要素とすると、 - $A=\{x_1,x_2,x_3\}$ : $A$ は $x_1,x_2,x_3$ の3つの要素からなる集合である - $A=\set{x|xに対する条件}$ : $A$ は、「条件」を満たすような $x$ をすべて集めた集合である - $x \in A$ : $x$ が $A$ に含まれる - $A \subseteq B$ : $x \in A$ なら $x \in B$ である -- すなわち $A$ が $B$ に含まれる -- あるいは $A$ が $B$ の部分集合である - $A = B$ : $A \subseteq B$ かつ $B \subseteq A$ - $A \subset B$ : $A \subseteq B$ と同じ意味。$A \subseteq B$ かつ $A\ne B$ を表すには $A \subsetneq B$ と書く。 ** 演算が「内部で定義されている」ということ [#z8cc3db5] たとえば、$A=\left\{\begin{bmatrix}1\\2\end{bmatrix}, \begin{bmatrix}-1\\3\end{bmatrix}\right\}$ という集合を考える。 これは2つのベクトルを含む「ベクトルの集合」であるが、スカラー倍や和に対して「閉じていない」。 例:$\begin{bmatrix}1\\2\end{bmatrix}+ \begin{bmatrix}-1\\3\end{bmatrix} \notin A$ したがって、こういう集合はベクトル空間とは言わない。 * $n$ 次元数ベクトル空間 [#y894dd16] - 実数の集合を $\mathbb{R}$ - $n$ 次元(縦)実数ベクトル空間を $\mathbb{R}^n$ と書くことにする。 以下では主に実数ベクトル空間について学ぶが、これらを - 複素数の集合 &math(\mathbb C); - &math(n); 次元複素数の集合 &math(\mathbb C^n); - 複素数の集合 $\mathbb C$ - $n$ 次元複素数の集合 $\mathbb C^n$ に置き換えても、すべての定理が成立することに注意せよ。 に置き換えても、(ほぼ)すべての定理が成立することに注意せよ。((内積が絡んでくると違いが出る)) * 1次結合(線形結合) [#q7562ea7] &math(c_1\bm a_1+c_2 \bm a_2+ \dots+c_r \bm a_r = \sum_{k=1}^r c_k\bm a_k); ベクトル $\bm a_1, \bm a_2, \dots, \bm a_r$ に適当な係数をかけて足し合わせた、 の形を &math(\bm a_1, \bm a_2, \dots, \bm a_r); の「一次結合」と言う。 $$c_1\bm a_1+c_2 \bm a_2+ \dots+c_r \bm a_r = \sum_{k=1}^r c_k\bm a_k$$ の形を $\bm a_1, \bm a_2, \dots, \bm a_r$ の「一次結合」と言う。 例1: &math(\bm a, \bm b); の一次結合: &math(3\bm a+\bm b);, &math(\bm a-\bm b);, &math(-2\bm a); $\bm a, \bm b$ の一次結合: $3\bm a+\bm b$, $\bm a-\bm b$, $-2\bm a$ 例2: &math(\bm a=\begin{bmatrix}a_1\\a_2\\\vdots\\a_n\end{bmatrix}\in \mathbb R^n); は、 基本ベクトル &math(\bm e_1, \bm e_2, \dots, \bm e_n); を用いて、 $\bm b$ を $\bm a_1, \bm a_2, \dots, \bm a_r$ の一次結合で表せるか?という問題は、 &math(\bm a=\sum_{k=1}^ra_k\bm e_k); $\bm b=x_1\bm a_1+x_2 \bm a_2+ \dots+x_r \bm a_r = \Bigg[\bm a_1\ \bm a_2\ \dots\ \bm a_r\Bigg]\begin{bmatrix}x_1\\x_2\\\vdots\\x_r\end{bmatrix}=A\bm x$ と表せる。これを「成分表示」と呼ぶ。 を満たす $\bm x$ は存在するか?という問題と同値である。 例3: &math(\bm b); を &math(\bm a_1, \bm a_2, \dots, \bm a_r); の一次結合で表せるか?というような問題が出されることがある。これは、 任意のベクトル $\bm a=\begin{bmatrix}a_1\\a_2\\\vdots\\a_n\end{bmatrix}\in \mathbb R^n$ は、 基本ベクトル $ \bm e_1=\begin{bmatrix}1\\0\\\vdots\\0\end{bmatrix}, \bm e_2=\begin{bmatrix}0\\1\\\vdots\\0\end{bmatrix}, \dots, \bm e_n=\begin{bmatrix}0\\0\\\vdots\\1\end{bmatrix} $ の一次結合として、 &math(\bm b=x_1\bm a_1+x_2 \bm a_2+ \dots+x_r \bm a_r = \Bigg[\bm a_1\ \bm a_2\ \dots\ \bm a_r\Bigg]\begin{bmatrix}x_1\\x_2\\\vdots\\x_r\end{bmatrix}=A\bm x); $$\bm a=\sum_{k=1}^ra_k\bm e_k$$ を満たす &math(\bm x); は存在するか?という問題と同値である。 と表せる。これを「成分表示」と呼ぶ。 * 一次関係式 [#zc86d62d] * 一次結合により生成される空間 [#v85dcbc2] &math(c_1\bm a_1+c_2 \bm a_2+ \dots+c_r \bm a_r =0); を &math(\bm a_1, \bm a_2, \dots, \bm a_r); の「一次関係式」と呼び、特に &math(c_1=c_2=\dots=c_r=0); の場合を「自明な一次関係式」と呼ぶ。 この項はかなり厳密性を欠く議論になっている。~ ベクトル空間の詳細や次元の概念については線形代数IIで詳しく学ぶ。 ** 1つのベクトル [#v24a633d] 1つのベクトル $\bm a$ の一次結合として表せるベクトルの集合 $$\{\bm p\,|\,\bm p=s\bm a\}$$ ($\bm p$ ただし、$\bm p$ は $s\bm a$ として表される、と読む) は原点を通り $\bm a$ に平行な直線となる。 例外: $\bm a = \bm o$ だとそうならない ** 2つのベクトル [#f6e0ae26] 2つのベクトル $\bm a,\bm b$ の一次結合なら、 $\{\bm p\,|\,\bm p=s\bm a+t\bm b\}$ 原点を通り $\bm a,\bm b$ に平行な平面となる。 例外: $\bm a= \bm o$ あるいは $\bm b= \bm o$ あるいは $\bm a \parallel \bm b$ だとそうならない ** 3つのベクトル [#p85665d2] 3つのベクトル $\bm a,\bm b,\bm c$ なら $\{\bm p\,|\,\bm p=s\bm a+t\bm b+u\bm c\}$ は3次元空間を満たす。 例外: $\bm a= \bm o$, $\bm c= c_1\bm a+c_2\bm b$ その他いろいろ ** 張る空間 [#i12f5a45] 上で見たような $\bm a_1,\bm a_2,\dots,\bm a_n$ の一次結合で表せるベクトルの集合を これらのベクトルが張る空間と呼ぶ。 和やスカラー倍について閉じているので、これはベクトル空間になる。 例: $\bm p_1=s\bm a+t\bm b$, $\bm p_2=s'\bm a+t'\bm b$ のとき、 $\bm p_1+\bm p_2=(s+s')\bm a+(t+t')\bm b$~ $k\bm p_1=ks\bm a+kt\bm b$ なので、和やスカラー倍は、やはり $\bm a,\bm b$ の一次結合で表せる。 $n$ 本のベクトルは多くの場合 $n$ 次元空間を張るが、例外もある。 「例外」をうまく表現するために「一次独立」の概念を導入する。 * 一次独立 [#n9fdd841] &math(\bm a_1,\bm a_2,\dots,\bm a_r); が非自明な一次関係式を持たないとき、~ すなわち &math(\Bigg[\bm a_1\ \bm a_2\ \dots\ \bm a_n\Bigg]\bm x=\bm o); の解が &math(\bm x=\bm o); しか存在しないとき、~ &math(\bm a_1,\bm a_2,\dots,\bm a_r); は「1次独立(線形独立)」であると言う。 「$\bm a_1, \bm a_2, \dots, \bm a_r$ が1次独立である」とは、 $c_1\bm a_1+c_2 \bm a_2+ \dots+c_r \bm a_r = \bm o$ となるのが、$c_1=c_2=\dots=c_n=0$ の時しかありえない、 という性質である。 すなわち、&math(\bm a_1,\bm a_2,\dots,\bm a_r); が1次独立であるかどうかを調べるには &math(A\bm x=\bm o); を解けばよい。 - どんなベクトルが与えられても $c_1=c_2=\dots=c_n=0$ なら条件を満たすこと - 与えられたベクトルによっては $c_1=c_2=\dots=c_n=0$ でなくても条件を満たすこと に注意せよ。 例: $2\begin{bmatrix}1\\2\end{bmatrix}+(-1)\begin{bmatrix}2\\4\end{bmatrix}+4\begin{bmatrix}0\\0\end{bmatrix}=\bm o$ $n$ 本のベクトルが一次独立であれば、それらは $n$ 次元を張るが、 一次独立でないと張られる空間は $n$ 次元未満になる(上の「例外」に相当)。 * 一次従属 [#i67b37db] 一次独立でないことを「一次従属である」と言う。 * A が正方の時 [#p53f7b35] 例:$\bm a,\bm b,\bm c$ は一次独立か、一次従属か? 例:$\bm a,\bm b,\bm c$ が一次従属であるとき・・・ * 一次独立と行列の階数 [#m34ed33c] 一次独立である、という条件と、 $\Bigg[\bm a_1\ \bm a_2\ \dots\ \bm a_n\Bigg]\bm x=\bm o$ の解が $\bm x=\bm o$ しか存在しない、という条件は書き方を変えただけで同値である。 $\bm x=\bm o$ は常に解であるから、上記の一般解は - $\bm x=\bm o$ のみ - $\bm x=a\bm x_1+b\bm x_2+\dots$ のようにパラメータを含む のどちらかであった。 したがって、 与えられたベクトルが一次従属であることと、 上記方程式の一般解が1以上の自由度(パラメータの数)を持つ、という条件も同値。 さらに、 - $\mathrm{rank}$:掃き出せた列の数 - 解の自由度:掃き出せなかった列の数 であったことを思い出そう。すなわち、 (解の自由度) = ($A$ の列数)−($\mathrm{rank}\, A$) であるから、 - $\bm a_1, \bm a_2, \dots, \bm a_r$ が一次独立 - 方程式 $A\bm x=\bm o$ の解の自由度がゼロ - $A$ の階数が列の数 $n$ (ベクトルの本数)と等しい $(\mathrm{rank}\, A=n)$ が同値な条件となる。 与えられたベクトルが一次独立かどうかを調べるには、 ベクトルを並べて作った行列の $\mathrm{rank}$ を求め、ベクトルの数と等しいかどうか見ればよい。 例: $\begin{bmatrix}1\\2\\2\end{bmatrix},\begin{bmatrix}2\\1\\2\end{bmatrix},\begin{bmatrix}2\\2\\a\end{bmatrix}$ が一次独立になる条件を求めよ。 $\begin{bmatrix}1&2&2\\2&1&2\\2&2&a\end{bmatrix}\sim\begin{bmatrix}1&2&2\\0&-3&-2\\0&-2&a-4\end{bmatrix}\sim\begin{bmatrix}1&2&2\\0&1&-2a+6\\0&-2&a-4\end{bmatrix}\sim\begin{bmatrix}1&2&2\\0&1&-2a+6\\0&0&-3a+8\end{bmatrix}$ したがって、$a=8/3$ の時に一次従属であり、そうでなければ一次独立となる。 - $n$ 次元ベクトルをランダムに $m$ 本集めれば一次独立になることがほとんどである($m\le n$ のとき) - たまたまおかしなベクトルを選んだ時のみ一次従属になる。 - $n$ 次元ベクトルを $n$ 本よりたくさん集めれば必ず一次従属になる * $A$ が正方の時 [#p53f7b35] 以下の条件は同値である。 - &math(\bm a_1,\bm a_2, \dots,\bm a_n); が一次独立 - &math(A\bm x=\bm o); の解が &math(\bm x=\bm o); のみ - &math(\rank A=n); - &math(A); が正則 - &math(|A|\ne 0); - $\bm a_1,\bm a_2, \dots,\bm a_n$ が一次独立 - $A\bm x=\bm o$ の解が $\bm x=\bm o$ のみ - $\mathrm{rank}\, A=n$ - $A$ が正則 - $|A|\ne 0$ すなわち、&math(n); 個の数ベクトルが一次独立であるかどうかを調べるには &math(|A|); を計算してみればよい。 一次独立かどうかを調べるには $|A|$ を計算すればよい。 * 生成される集合 [#v85dcbc2] * 一次独立の重要な性質 [#v39c977c] ** 直線の方程式 [#v24a633d] ● ゼロベクトルを1つでも含めば一次従属 ** 平面の方程式 [#f6e0ae26] ● $\bm a_1,\bm a_2,\dots,\bm a_n$ が一次従属なら、そこにいくつかベクトルを加えた $\bm a_1,\bm a_2,\dots,\bm a_n,\bm a_{n+1},\dots,\bm a_{m}$ も一次従属である ** 空間図形とベクトル [#x090dd87] ∵はじめの $n$ 列のうち1列でも掃き出せなければ、 全体の $\mathrm{rank}$ が列数よりも小さくなるため。 * 線形空間 [#a3d996bb] (別)$c_1\bm a_1+c_2\bm a_2+\dots+c_n\bm a_n=\bm o$ となる非ゼロの係数が存在するなら、~ $c_1\bm a_1+c_2\bm a_2+\dots+c_n\bm a_n+0c_{n+1}+\dots+0c_m=\bm o$ であり、 この係数は全てがゼロではないから、全体も一次従属となる。 線形代数IIで詳しく学ぶ。線形代数Iでは扱わない。 ● $\{\bm a_1,\bm a_2,\dots,\bm a_n\}$ が一次独立なら その部分集合も一次独立である * 線形写像と表現行列 [#b96978d0] ∵上の定理の対偶になっている &math(\bm a\in \mathbb R^n); を与えると &math(\bm a'\in \mathbb R^m); を返すような関数 &math(f:\mathbb R^n\rightarrow\mathbb R^m); を考える。 ● $n$ 次元ベクトルを $n$ 本以上集めたら必ず一次従属になる すなわち &math(\bm a'=f(\bm a)); ∵対応する行列 $A$ のランクは行数 $n$ より大きくならないから。 &math(f); は様々な物が考えられるが、任意の &math(\bm a); に対して、必ず1つだけ &math(\bm a'); が決まることが重要である。&math(\mathbb R^n); のベクトル全てを、対応する &math(\mathbb R^m); のベクトルに変換する、という意味で、このような関数を「写像」と呼ぶこともある。 ● 一次独立と「張る空間」 - $n$ 本のベクトルが一次独立ならば、その一次結合は $n$ 次元空間を張る - 一般には $\mathrm{rank}\, A$ と等しい次元の空間を張る~ → 一次従属なら次元が $n$ より小さくなる * 線形空間(ベクトル空間) [#a3d996bb] 線形代数IIで詳しく学ぶ。線形代数Iでは上で扱った程度にとどめる。 * 写像 [#b96978d0] $\bm a\in \mathbb R^n$ を与えると $\bm a'\in \mathbb R^m$ を返すような関数 $f:\mathbb R^n\rightarrow\mathbb R^m$ を考える。 すなわち $\bm a'=f(\bm a)$ $f$ は様々な物が考えられるが、任意の $\bm a\in \mathbb R^n$ に対して、 必ず1つだけ $\bm a'$ が決まることが重要である。 このように、ある集合 $V$ の任意の元 $\bm x$ に対して集合 $W$ の元を1つ $f(\bm x)\in W$ 対応させるような演算規則 $f$ のことを集合 $V$ から集合 $W$ への写像と呼び $f:V\to W$ と書く。 $\bm x$ を $f(\bm x)$ に対応させることを強調するときは $f:\bm x\mapsto f(\bm x)$ とも書く(矢印の形が異なることに注意)。 例: &math(\bm a=\begin{bmatrix}x\\y\end{bmatrix}\in \mathbb R^2);, &math(\bm a'=\begin{bmatrix}x'\\y'\\z'\end{bmatrix}\in \mathbb R^3); $\bm a=\begin{bmatrix}x\\y\end{bmatrix}\in \mathbb R^2$, $\bm a'=\begin{bmatrix}x'\\y'\\z'\end{bmatrix}\in \mathbb R^3$ の時、例えば &math(\begin{bmatrix}x'\\y'\\z'\end{bmatrix}=f(\bm a)=\begin{bmatrix}2+x\sin y\\2^y\end{bmatrix}); $\begin{bmatrix}x'\\y'\\z'\end{bmatrix}=f(\bm a)=\begin{bmatrix}2+x\sin y\\2^y\\-1\end{bmatrix}$ として定義される &math(f); は、&math(x,y); を1組決めれば &math(x',y',z'); が決まるため、&math(\mathbb R^2\rightarrow\mathbb R^3); の写像となる。 として定義される $f$ は、$x,y$ を1組決めれば $x',y',z'$ が決まるため、$\mathbb R^2\rightarrow\mathbb R^3$ の写像となる。 * 線形写像 [#t0ef2d8b] ある写像 &math(f); が線形であるとは、任意の &math(\bm a, \bm b\in \mathbb R^n); および &math(c\in \mathbb R); に対して、 ある写像 $f$ が線形であるとは、任意の $\bm a, \bm b\in \mathbb R^n$ および $c\in \mathbb R$ に対して、 - &math(f(\bm a+\bm b)=f(\bm a)+f(\bm b)); - &math(f(c\bm a)=cf(\bm a)); - $f(\bm a+\bm b)=f(\bm a)+f(\bm b)$ - $f(c\bm a)=cf(\bm a)$ が成り立つことを言う。 すぐ分かるように $f$ が線形なら - $f(\bm o)=\bm o$~ $\because f(\bm o)=f(0\bm o)=0f(\bm o)=\bm o$ - $f(-\bm a)=-f(\bm a)$ となる。 - $f$ がベクトルの次元を変えないとき、すなわち $\mathbb R^n\rightarrow\mathbb R^n$ のとき、線形変換(一次変換)と呼ぶこともある * 線形写像は $f(\bm x)=A\bm x$ の形に書ける [#va8ffb2b] スカラー関数 $f(x)$ が線形ならば、 $f(x)=f(x\cdot 1)=xf(1)=f(1)x$ であるから、 $f(1)=A$ と置くことで $f(x)=Ax$ の形に書けることが分かる。 同様に、$f(\bm x)$ が線形なら、ある行列 $A$ を用いて $f(\bm x)=A\bm x$ と書ける。 ∵ 任意のベクトル $\bm x$ を $$\bm x=\begin{bmatrix}x_1\\x_2\\\vdots\\x_n\end{bmatrix}=\sum_{i=1}^nx_i\bm e_i$$ として基本ベクトルの一次結合で表せば、 $$f(\bm x)=f(\sum_{i=1}^nx_i\bm e_i)=\sum_{i=1}^nx_if(\bm e_i)$$ そこで、$\bm a_i=f(\bm e_i)\in \mathbb R^m$ と置けばこれは定数ベクトルである。 これを並べて $A$ を作れば、 $$f(\bm x)=\sum_{i=1}^nx_i\bm a_i=\Bigg[\begin{matrix}\bm a_1&\bm a_2&\cdots&\bm a_n\end{matrix}\Bigg]\bm x=A\bm x$$ となる。また逆に $f(\bm x)=A\bm x$ と書ければこれは必ず線形となる。 - $A$ を $f$ の表現行列と呼ぶ - $f(\bm x)=A\bm x$ を $A$ の定める線形写像と呼ぶ 例: 次の条件を満たす線形写像 $f(\bm x)$ の表現行列を求めよ。 $f\left(\begin{bmatrix}3\\2\end{bmatrix}\right)=\begin{bmatrix}-1\\3\end{bmatrix}$、 $f\left(\begin{bmatrix}1\\1\end{bmatrix}\right)=\begin{bmatrix}4\\2\end{bmatrix}$ (解答) $\left\{\begin{matrix}A\begin{bmatrix}3\\2\end{bmatrix}=\begin{bmatrix}-1\\3\end{bmatrix}\\A\begin{bmatrix}1\\1\end{bmatrix}=\begin{bmatrix}4\\2\end{bmatrix}\end{matrix}\right.$ より、 $A\begin{bmatrix}3&1\\2&1\end{bmatrix}=\begin{bmatrix}-1&4\\3&2\end{bmatrix}$ $A=\begin{bmatrix}-1&4\\3&2\end{bmatrix}\begin{bmatrix}3&1\\2&1\end{bmatrix}^{-1}$ $=\frac{1}{3\cdot 1-1\cdot 2}\begin{bmatrix}-1&4\\3&2\end{bmatrix}\begin{bmatrix}1&-1\\-2&3\end{bmatrix}$ $=\begin{bmatrix}-9&13\\-1&3\end{bmatrix}$ * 合成写像 [#l38b65dd] $f(\bm x):\mathbb R^n\rightarrow\mathbb R^m$ $g(\bm y):\mathbb R^m\rightarrow\mathbb R^l$ のとき、その合成写像を定義できる。 $h(\bm x)=g\!\circ\!f(\bm x)=g\left(f(\bm x)\right):\mathbb R^n\rightarrow\mathbb R^l$ ($h=g\!\circ\!f$ などと書く) その表現行列は、 $f(\bm x)=A\bm x,g(\bm y)=B\bm y$ であれば、 $g\!\circ\!f(\bm x)=BA\bm x$ より $BA$ である。 例: 2次元ベクトル $\bm x\in \mathbb R^2$ をx座標方向に3倍してから 反時計回りに45度回転する線形写像を考える。 x方向に3倍する:$f(\bm x)=\begin{bmatrix}3&0\\0&1\end{bmatrix}\bm x$ 45度回転する:$g(\bm x)=\begin{bmatrix}1/\sqrt{2}&-1/\sqrt{2}\\1/\sqrt{2}&1/\sqrt{2}\end{bmatrix}\bm x$ 合成すると、 $g\!\circ\!f(\bm x)=\begin{bmatrix}1/\sqrt{2}&-1/\sqrt{2}\\1/\sqrt{2}&1/\sqrt{2}\end{bmatrix}\begin{bmatrix}3&0\\0&1\end{bmatrix}\bm x=\begin{bmatrix}3/\sqrt{2}&-1/\sqrt{2}\\3/\sqrt{2}&1/\sqrt{2}\end{bmatrix}\bm x$ * コメント [#l5139346] #article_kcaptcha **線型写像 f(O)=Oの導出 [#t7ba825b] >[[筒美 章]] (&timetag(2020-04-10T14:31:05+09:00, 2020-04-10 (金) 23:31:05);)~ ~ 放送大学の学生です。~ f(O)=Oの導出についてですが、上の線形性の定義から~ f(O)=f(O+O)=2f(O)よりf(O)=Oとなるとしてもよいですか~ // - はい、問題ないと思います。 -- [[武内(管理人)]] &new{2020-04-11 (土) 00:32:51}; #comment_kcaptcha **無題 [#t9096213] >[[てっしー]] (&timetag(2018-07-15T14:11:32+09:00, 2018-07-15 (日) 23:11:32);)~ ~ 慶応の学生です。わかりやすくてとても試験対策に役立ちました!~ // #comment_kcaptcha **線形写像の例 [#xa8a2fa2] >[[濱口数馬]] (&timetag(2015-10-13T21:57:23+09:00, 2015-10-14 (水) 06:57:23);)~ ~ 逆行列を求めた後さらに逆行列表示となっています。~ // - ご指摘ありがとうございます。修正いたしました。 -- [[武内(管理人)]] &new{2015-10-18 (日) 01:32:45}; #comment_kcaptcha
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