ベリー位相・ベリー接続・ベリー曲率 のバックアップの現在との差分(No.7)

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[[量子力学Ⅰ]]

* 目次 [#m5a7c0be]

#contents

&katex();


* Berry 位相・Berry 接続・Berry 曲率 [#ubb06455]

このページは [[バンド理論の勉強]] の元になった 2020年の若林先生の授業内容を元に書いたものですが、私の理解が足りない部分につて後から勉強しなおした結果、内容は大幅に再構成されています。そのため内容には誤りが多いかもしれません。ご容赦ください。
このページは [[バンド理論の勉強]] の元になった 2020年の若林先生の授業内容を元に書いたものですが、私の理解が足りない部分について後から勉強しなおした結果、内容は大幅に再構成されています。そのため内容には誤りが多いかもしれません。ご容赦ください。

一次摂動に関しては [[EMANの物理学・量子力学・摂動論>https://eman-physics.net/quantum/perturb.html]] が大変参考になりました。


** 波動関数の位相とパラメータ依存性 [#z87f40ea]

一般に固有値問題を解いて得られる固有ベクトルにはその係数が自由パラメータとして残る。
だからシュレーディンガー方程式を解いて得られた波動関数に任意の複素数をかけてもシュレーディンガー方程式の解となる。
一般に固有値問題を解いて得られる固有ベクトルに非ゼロの係数をかけてもやはり固有ベクトルである。
これを反映して、線形微分方程式であるシュレーディンガー方程式を解いて得られた波動関数に任意の複素係数をかけてもシュレーディンガー方程式の解となる。

ただし量子力学では固有関数を規格化するため、この条件から係数の絶対値が決まる。
そして位相だけが自由に選べる。一方、観測可能な物理量は波動関数の位相の選び方によらないことが知られている。
ただし量子力学で波動関数を規格化する場合には大きさが1でない係数をかけてしまうと規格化条件が崩れてしまうため、大きさ1の係数をかけるという自由度だけが残される。大きさ1の複素数は $\theta$ を実数として $e^{i\theta}$ の形に限られるから、これは波動関数の位相を変えていることに他ならない。

特に、LCOA 近似の上では波数 $\bm k$ を含むハミルトニアンを解いて得られる
異なるパラメータ $\bm k$ に対する解ごとに好き放題に位相を選んだとしても何ら問題ない。
一方、観測可能な物理量は波動関数の位相の選び方によらないことが知られている。量子力学は波動関数の位相を一意に定める手段を提供しないが、それでも物理量を予測するには困らないようにできているのだ(波動関数の位相は観測により決定できるものではないということ)。

そのように任意に取られた位相を持つ波動関数から、位相に影響されない物理量が出てくるあたりの話について議論するのが以下の話なんじゃないかな(急に弱気)。
特に、結晶に LCOA 近似を適用した場合にはハミルトニアンが波数 $\bm k$ を含む形になるが、
そのようなハミルトニアンに対する固有値問題を解いて得られる固有関数として、
異なるパラメータ $\bm k$、$n$ 番目の固有値 $\varepsilon_{\bm k}^{(n)}$ ごとに好き放題に位相を選んだとしても何ら問題ない。

何らかの方法で固有値と固有関数、特に波動関数の位相までをパラメータに依存する形で定めたものを次のように書こう。
通常の物理量の期待値を求める際に結果が位相によらないのは、波動関数で対応する演算子を挟む際に位相が消えるためである。一方、以下で調べたい異常速度や量子ホール抵抗率に対しては対応する「演算子」がないが、やはり位相の取り方によらず値が決まる。これらの期待値はゲージ不変量(位相の取り方によらない量)である Berry 位相や Berry 曲率などといったトポロジカルな量(?)によって記述されるためである。このあたりがこのページで学びたいところ(なのだと思う)。

これらのことを数式で表すために、系のハミルトニアンが何らかのパラメータ $\bm q$ (例えば波数 $\bm k$, 例えばベクトルポテンシャル $\bm A$)に依存しているものとして $\hat H(\bm q)$ と書き、その固有値と固有関数(波動関数の位相を何らかの「人為的なルール」に従ってパラメータに依存する形で適当に1つ定めたもの)を次のように書こう。

$$
\hat H(\bm q)\,|\psi_{\bm q}^{(n)}\rangle=\varepsilon_{\bm q}^{(n)}\,|\psi_{\bm q}^{(n)}\rangle
$$

$(n)$ は $n$ 番目のバンド、つまり小さいほうから $n$ 番目の固有値であることを表す。

上で述べたのは、これにパラメータ $\bm q$ ごとに適当な位相 $\varphi(\bm q)$ を掛けて、
上で述べたのは、これにパラメータ $\bm q$ に依存して滑らかに変化する適当な位相 $\varphi(\bm q)$ を掛けて、

$$
|\tilde\psi_{\bm q}^{(n)}\rangle=e^{-i\varphi(\bm q)}|\psi_{\bm q}^{(n)}\rangle
|\tilde\psi_{\bm q}^{(n)}\rangle=e^{i\varphi(\bm q)}|\psi_{\bm q}^{(n)}\rangle
$$

のように決めた $|\tilde\psi_{\bm q}^{(n)}\rangle$ も、$|\psi_{\bm q}^{(n)}\rangle$ と同様に正しい波動関数である、ということだ。
のように決めた $|\tilde\psi_{\bm q}^{(n)}\rangle$ も、$|\psi_{\bm q}^{(n)}\rangle$ と同じ物理状態を表す正しい波動関数であり、これらについて任意の物理量を求めれば同じ値を取るということ。

** 同じ物理状態に対する解の位相 [#tda67852]
線形演算子 $\hat O$ で記述される物理量であれば行列要素が

上で書いた位相 $\varphi(\bm q)$ の選び方によっては、
$$
\langle\tilde\psi_{\bm q}^{(n')}|\hat O|\tilde\psi_{\bm q}^{(n)}\rangle=
\langle\psi_{\bm q}^{(n')}|\cancel{e^{-i\varphi(\bm q)}}\,\hat O\,\cancel{e^{i\varphi(\bm q)}}|\psi_{\bm q}^{(n)}\rangle=
\langle\psi_{\bm q}^{(n')}|\hat O|\psi_{\bm q}^{(n)}\rangle
$$

+ 異なるパラメータ $\bm q_1$ と $\bm q_2$ とが同じ物理状態を表すにも関わらず
$|\tilde\psi_{\bm q_1}^{(n)}\rangle$ の位相と $|\tilde\psi_{\bm q_2}^{(n)}\rangle$ の位相が異なる。
+ パラメータ $\bm q$ を $\bm q_1$ から連続的に動かして再び $\bm q_1$ に戻した時に位相が変わってしまう($\varphi(\bm q)$ が多値になる)。
のように等しくなるとしてそのことを理解できるけど、以下では「その他の形をした位相に依らない量」である「Berry 位相」や「Berry 曲率」を学ぶ。
** 一次摂動のおさらい [#ubb8b5cd]

といったことが起きる。
基本的に普通の摂動論なのだけれど、通常まるっきり重要視されない ''摂動後の波動関数の、元の波動関数と同じ成分の位相変化'' に注目したいのでさらっと目を通してほしい。

このあたりが電流を求める際などに重要になってくる(?)。

** 例:グラフェンの $K$ 状態の周りの電子 [#ob756f3e]

グラフェンの $K$ 点回りの波動方程式の解は 

$$\bm k=\begin{pmatrix}k\cos\phi\\k\sin\phi\end{pmatrix}$$

と置いたときに

$$
\Phi_{\bm k}=\frac1{\sqrt2}\begin{pmatrix}e^{i\phi}\\1\end{pmatrix}
\hat H|\psi^{(n)}\rangle=\varepsilon^{(n)}|\psi^{(n)}\rangle
$$

と表された。
のハミルトニアン $\hat H$ に小さな摂動項 $\delta\hat H$ が追加され、次のように変化すると考える。

$\phi\to\phi+2\pi$ のように $\bm k$ がK点周りを一周したとき、
上記の表式では

$$
\frac1{\sqrt2}\begin{pmatrix}e^{i\phi+2\pi}\\1\end{pmatrix}
=\frac1{\sqrt2}\begin{pmatrix}e^{i\phi}\\1\end{pmatrix}
(\hat H+\delta\hat H)(|\psi^{(n)}\rangle+|\delta\psi^{(n)}\rangle)=
(\varepsilon^{(n)}+\delta\varepsilon^{(n)})
(|\psi^{(n)}\rangle+|\delta\psi^{(n)}\rangle)
$$

となって波動関数は位相を含めて元に戻る。
二次の微少量を無視すると、

これに位相 $e^{-i\phi/2}$ を掛けると($\varphi(\bm k)=\phi/2$)、

$$
\tilde\Phi_{\bm k}=\frac1{\sqrt2}\begin{pmatrix}e^{i\phi/2}\\e^{-i\phi/2}\end{pmatrix}
\hat H|\delta\psi^{(n)}\rangle+\delta\hat H|\psi^{(n)}\rangle=
\varepsilon^{(n)}|\delta\psi^{(n)}\rangle+\delta\varepsilon^{(n)}|\psi^{(n)}\rangle
$$

となって、こちらは
$\langle\psi^{(n')}|$ をかけると、
$\langle\psi^{(n')}|\hat H=\langle\psi^{(n')}|\varepsilon^{(n')}$ に注意して、

$$
\frac{1}{\sqrt 2}\begin{pmatrix}
e^{i(\phi+2\pi)/2}\\e^{-i(\phi+2\pi)/2}
\end{pmatrix}=\frac{1}{\sqrt 2}\begin{pmatrix}
{}-e^{i\phi/2}\\-e^{-i\phi/2}
\end{pmatrix}
\varepsilon^{(n')}\langle\psi^{(n')}|\delta\psi^{(n)}\rangle+
\underbrace{\langle\psi^{(n')}|\delta\hat H|\psi^{(n)}\rangle}_{\delta H_{n'n}}=
\varepsilon^{(n)}\langle\psi^{(n')}|\delta\psi^{(n)}\rangle+\delta\varepsilon^{(n)}\underbrace{\langle\psi^{(n')}|\psi^{(n)}\rangle}_{\delta_{n'n}}
$$

のように一周回ると符号が反転してしまう。
この式は $n'=n$ では $\varepsilon$ の項が打ち消しあって消えるため、

これ、$k,\phi$ をパラメータとして見れば、同一の物理状態を表す異なるパラメータ $\phi,\phi+2\pi$ に対する解が異なる位相を持つ、という話で、ベクトル $\bm k$ をパラメータとして見れば連続的に動かして同じパラメータに戻ってきたときに異なる位相を持つ、という話になる。

** 例:マグネティックモノポールとスピンの系(1) [#o443d249]

原点に大きさ $M$ のマグネティックモノポールの存在を仮定し、

$$
\bm B=\frac{M}{r^2}\frac{\bm r}{r}
\delta\varepsilon^{(n)}=\delta H_{nn}
$$

$\bm r=(r,\theta,\phi)$ に大きさ $s$ のスピンを置く。
$n'\ne n$ では $\delta_{n'n}$ の項が消えるため、

$$
\bm s=s\bm\sigma
\langle\psi^{(n')}|\delta\psi^{(n)}\rangle=\frac{-\delta H_{n'n}}{\varepsilon^{(n')}-\varepsilon^{(n)}}
$$

相互作用を表すハミルトニアンは $r,\theta,\phi$ をパラメータとして含み、
を表す。$|\delta\psi^{(n)}\rangle$ を $|\psi^{(n')}\rangle$ で展開した形に代入すると、

$$
\begin{aligned}
\hat H(r,\theta,\phi)
&=-\bm B\cdot\hat\bm s\\
&=-\underbrace{\frac{sM}{r^2}}_{\varepsilon_0}\Big(\frac{\bm r}{r}\Big)\cdot\hat\bm\sigma\\
&=-\varepsilon_0(\hat\sigma_x\sin\theta\cos\phi+\hat\sigma_y\sin\theta\sin\phi+\hat\sigma_z\cos\theta)\\
&=-\varepsilon_0\begin{pmatrix}
\cos\theta&\sin\theta e^{-i\phi}\\
\sin\theta e^{-i\phi}&-\cos\theta
\end{pmatrix}
|\delta\psi^{(n)}\rangle
&=\sum_{n'}\langle\psi^{(n')}|\delta\psi^{(n)}\rangle\cdot|\psi^{(n')}\rangle\\
&=\langle\psi^{(n)}|\delta\psi^{(n)}\rangle\cdot|\psi^{(n)}\rangle+\sum_{n'\ne n}\frac{-\delta H_{n'n}}{\varepsilon^{(n')}-\varepsilon^{(n)}}\cdot|\psi^{(n')}\rangle\\
\end{aligned}
$$

これを解くと、
二行目第1項は、$|\delta\psi^{(n)}\rangle$ の $|\psi^{(n)}\rangle$ 成分がまだ求まっていないためそのまま残してある。

$$
\varepsilon^{(1)}=+\varepsilon_0,
\ \psi^{(1)}=\begin{pmatrix}
\sin(\theta/2) e^{-i\phi}\\
{}-\cos(\theta/2)
\end{pmatrix}
$$
ここではこの係数 $\langle\psi^{(n)}|\delta\psi^{(n)}\rangle$ が1次近似の範囲で純虚数になることを指摘しておく。

というのも、あるベクトル $\bm v$ がそのノルムを変えずに $\bm v+\delta\bm v$ 
になったとすると、2次の微少量を無視して

$$
\varepsilon^{(2)}=-\varepsilon_0,
\ \psi^{(2)}=\begin{pmatrix}
\cos(\theta/2)\\
\sin(\theta/2) e^{i\phi}
\end{pmatrix}
\begin{aligned}
&\|\bm v\|^2=\|\bm v+\delta\bm v\|^2=\\
&\|\bm v\|^2+\text{Re}\,(\bm v,\delta\bm v)+\cancel{\|\delta\bm v\|^2}
\end{aligned}
$$

が求まるが、この波動関数は
$\theta=0$ において
が成り立たなければならないから、$\text{Re}\,(\bm v,\delta\bm v)=0$ 
すなわち $\delta\bm v$ の $\bm v$ 成分は1次近似の範囲では純虚数でなければならないのだ。

$$
\psi^{(1)}=\begin{pmatrix}
0\\-1
\end{pmatrix},
\ \psi^{(2)}=\begin{pmatrix}
1\\0
\end{pmatrix}
$$
そこで、

であるのに対して、
$\theta=\pi$ においては
$$-i\langle\psi^{(n)}|\delta\psi^{(n)}\rangle=\delta A$$ 

$$
\psi^{(1)}=\begin{pmatrix}
e^{-i\phi}\\0
\end{pmatrix},
\ \psi^{(2)}=\begin{pmatrix}
0\\e^{i\phi}
\end{pmatrix}
$$
と書くと、一次近似の範囲で

となって、波動関数の位相が $\phi$ によって異なる値を取るような解となっている。

$$
\begin{cases}
r_x=r\sin\theta\cos\phi\\
r_y=r\sin\theta\sin\phi\\
r_z=r\cos\theta\\
\end{cases}
\begin{aligned}
|\psi^{(n)}\rangle+|\delta\psi^{(n)}\rangle
&=(1+i\delta A)\cdot|\psi^{(n)}\rangle+\sum_{n'\ne n}\frac{-\delta H_{n'n}}{\varepsilon^{(n')}-\varepsilon^{(n)}}\cdot|\psi^{(n')}\rangle\\
&\sim\hspace{8mm}e^{i\delta A}\cdot|\psi^{(n)}\rangle+\sum_{n'\ne n}\frac{-\delta H_{n'n}}{\varepsilon^{(n')}-\varepsilon^{(n)}}\cdot|\psi^{(n')}\rangle\\
\end{aligned}
$$

の値は $\theta=\pi$ において $\phi$ が異なっても等しいから、
$\theta=\pi$ においては $\phi$ が異なっても物理的には同一の系を表す。
となる。

実際、得られる解は位相を除いて等しい。
すなわち摂動項の導入による $|\psi^{(n)}\rangle$ 成分の変化は一次近似の範囲で位相の回転として表せる。

すなわち $\theta,\phi$ をパラメータとして見ると、
** Adiabatic dynamics (断熱的運動)と Berry 接続 [#z35dea0d]

1. パラメータ $(\theta,\phi)=(\pi,\phi_1)$ と $(\theta,\phi)=(\pi,\phi_2)$ とが同じ物理状態を表すにも関わらず
$|\tilde\psi_{(\pi,\phi_1)}^{(n)}\rangle$ の位相と $|\tilde\psi_{(\pi,\phi_2)}^{(n)}\rangle$ の位相が異なる
(https://www.sci.hokudai.ac.jp/~ishikawa/ryoushirikigaku4.pdf#page=227 を参考にしながら、気になる部分を直しながら)

あるいは、
異なるパラメータに対する固有関数同士の「自然な相対位相」について考えるため、
ハミルトニアンが含むパラメータ $\bm q$ がゆっくりと時間変化する状況を考える。

2. パラメータ $\bm r$ を $\bm r_1=(0,0,-1)$ から連続的に動かして再び $\bm r_1=(0,0,-1)$ に戻した時に位相が変わってしまう(前者が $(\theta,\phi)=(\pi,\phi_1)$ に後者が $(\theta,\phi)=(\pi,\phi_2)$ に対応していると考える)

の例になっている。

** 同じ物理状態を表すパラメータに対する解の位相差を求める方法 [#w7ca8617]

以下に詳しく見る通り、パラメータ $\bm q_1$ と $\bm q_2$ とが同じ物理状態を表すとき、ある適当な経路に沿って $\bm q$ を動かして

$$
\gamma=i\int_{\bm q_1}^{\bm q_2}\langle\psi_{\bm q}|\bm\nabla_{\bm q}|\psi_{\bm q}\rangle \cdot d\bm q
i\hbar\frac{\partial}{\partial t}|\psi\rangle=\hat H(\bm q(t))|\psi\rangle
$$

を計算して求まる $\gamma$ が $|\psi_{\bm q_1}\rangle$ と $|\psi_{\bm q_2}\rangle$ との間の位相差を表すことが知られている($\bm q_1=\bm q_2$ でも構わない)。上でも述べた通り、2つの波動関数は同じ物理状態に対する解なので位相を除いて一致するのを思い出そう。
十分にゆっくりなため、各時刻ごとに固有値問題が解けて、

すなわち、

$$
|\psi_{\bm q_2}\rangle=e^{-i\gamma}\,|\psi_{\bm q_1}\rangle
\hat H(\bm q(t))\,|u^{(n)}_{\bm q(t)}\rangle=\varepsilon^{(n)}_{\bm q(t)}\,|u^{(n)}_{\bm q(t)}\rangle
$$

まず、上記が本当に成り立ちそうな雰囲気を見ておこう。
を満たすものとする(ここが断熱近似)。

$|\psi_{\bm q}\rangle$ に $\bm q$ に依存する位相を掛けた
これらの正規直交固有関数は時刻 $t$ の近辺で

$$
|\tilde\psi_{\bm q}\rangle=e^{-i\varphi(\bm q)}|\psi_{\bm q}\rangle
|u^{(n)}_{\bm q(t)}(t+\delta t)\rangle=
e^{-i\varepsilon^{(n)}_{\bm q(t)}(t+\delta t)/\hbar}|u^{(n)}_{\bm q(t)}\rangle=
e^{-i\varepsilon^{(n)}_{\bm q(t)}\delta t/\hbar}|u^{(n)}_{\bm q(t)}(t)\rangle
$$

に対して $\tilde\gamma$ を計算すると、
のように時間発展するため、この固有関数を使って時間変化する任意の波動関数を「力学的位相(dynamical phase)」をあらわに書いて、

$$
\bm\nabla_{\bm q}|\tilde\psi_{\bm q}\rangle=
{}-i\big[\bm\nabla_{\bm q}\varphi(\bm q)\big]e^{-i\varphi(\bm q)}|\psi_{\bm q}\rangle+
e^{-i\varphi(\bm q)}\big[\bm\nabla_{\bm q}|\psi_{\bm q}\rangle\big]
|\psi(t)\rangle=\sum_nc^{(n)}(t)\underbrace{e^{-i\int^t \varepsilon^{(n)}_{\bm q(t')}dt'/\hbar}}_{\text{力学的位相}}\,|u^{(n)}_{\bm q(t)}\rangle
$$

であるから、
と展開した時の $c^{(n)}(t)$ の変化を求めたい。シュレーディンガー方程式に代入し、

$$
\begin{aligned}
\tilde\gamma
&=i\int_{\bm q_1}^{\bm q_2}\langle\tilde\psi_{\bm q}|\bm\nabla_{\bm q}|\tilde\psi_{\bm q}\rangle \cdot d\bm q\\
&=\int_{\bm q_1}^{\bm q_2}\underbrace{\bm\nabla_{\bm q}\varphi(\bm q)\cdot d\bm q\rule[-9pt]{0pt}{0pt}}_{d\varphi_{\bm q}}+
\underbrace{i\int_{\bm q_1}^{\bm q_2}\langle\psi_{\bm q}|\bm\nabla_{\bm q}|\psi_{\bm q}\rangle d\bm q}_{\gamma}\\
&=\gamma+\varphi(\bm q_2)-\varphi(\bm q_1)
i\hbar\frac{\partial}{\partial t}|\psi(t)\rangle=i\hbar\sum_n\Big[
&\dot c^{(n)}(t)e^{-i\int^t \varepsilon^{(n)}_{\bm q(t')}dt'/\hbar}\,|u^{(n)}_{\bm q(t)}\rangle\\
&+\cancel{(1/i\hbar)c^{(n)}(t)\varepsilon^{(n)}_{\bm q(t)}e^{-i\int^t \varepsilon^{(n)}_{\bm q(t')}dt'/\hbar}\,|u^{(n)}_{\bm q(t)}\rangle}\\
&+c^{(n)}(t)e^{-i\int^t \varepsilon^{(n)}_{\bm q(t')}dt'/\hbar}\,\bm\nabla_{\bm q(t)}|u^{(n)}_{\bm q(t)}\rangle\cdot \dot \bm q(t)\\
&\hspace{-15mm}=\sum_n\cancel{c^{(n)}(t)\varepsilon^{(n)}_{\bm q(t')}e^{-i\int^t \varepsilon^{(n)}_{\bm q(t')}dt'/\hbar}\,|u^{(n)}_{\bm q(t)}\rangle}
\end{aligned}
$$

となり、$\gamma$ は確かに始点と終点との位相差を反映しそうだ。
$\langle u^{(n)}_{\bm q(t)}|$ をかけ $i\hbar e^{-i\int^t \varepsilon^{(n)}_{\bm q(t')}dt'/\hbar}$ で割ると、

あとは位相差がゼロの時にちゃんと $\gamma=0$ になることを示せれば、
確かに $\gamma$ が位相差そのものであることを言える。

** Berry 接続 [#q4ead05d]

上で定義した $\gamma$ では $\langle\psi_{\bm q}|\bm\nabla_{\bm q}|\psi_{\bm q}\rangle \cdot d\bm q$ を線積分したが、この意味についてもう少し詳しく考えてみる。

$|\psi_{\bm q}^{(n)}\rangle$ の周囲で $\bm q$ を少し変えたときに波動関数がどう変わるか調べてみよう。

$$
\hat H(\bm q+\delta \bm q)\,|\psi_{\bm q}^{(n)}+\delta \psi_{\bm q}^{(n)}\rangle=(\varepsilon_{\bm q}^{(n)}+\delta\varepsilon_{\bm q}^{(n)})\,|\psi_{\bm q}^{(n)}+\delta\psi_{\bm q}^{(n)}\rangle
\begin{aligned}
&\dot c^{(n)}(t)=-\sum_{n'}c^{(n')}(t)e^{-i\int^t (\varepsilon^{(n')}_{\bm q(t')}-\varepsilon^{(n)}_{\bm q(t')})dt'/\hbar}\, \langle u^{(n)}_{\bm q(t)}|\underbrace{\bm\nabla_{\bm q(t)}|u^{(n')}_{\bm q(t)}\rangle\cdot d\bm q(t)}_{\text{この部分}}/dt
\end{aligned}
$$

これを一次まででばらしてみる、
を得る。「この部分」はハミルトニアン中のパラメータ $\bm q$ が微少量 $d\bm q$ だけ変化したときの波動関数 $|u^{(n')}_{\bm q(t)}\rangle$ の変化であるから摂動を使ってこれを評価できて、

$$\hat H(\bm q+\delta \bm q)=\hat H(\bm q)+\underbrace{\bm\nabla_{\bm q}\hat H(\bm q)\cdot \delta\bm q}_{\text{摂動項}}$$

$$
\delta\varepsilon_{\bm q}^{(n)}=\bm\nabla_{\bm q}\varepsilon_{\bm q}^{(n)}\cdot\delta\bm q
\bm\nabla_{\bm q}|\psi_{\bm q}^{(n)}\rangle\cdot d\bm q(t)=
\underbrace{\langle\psi_{\bm q}^{(n)}|\bm\nabla_{\bm q}|\psi_{\bm q}^{(n)}\rangle}_{=\,i\bm A}\cdot d\bm q(t)\ |\psi_{\bm q}^{(n)}\rangle+
\sum_{n'\ne n}-
\frac{\langle\psi_{\bm q}^{(n')}|
\bm\nabla_{\bm q}\hat H(\bm q)\,
|\psi_{\bm q}^{(n)}\rangle\cdot d\bm q(t)}{\varepsilon_{\bm q}^{(n')}-\varepsilon_{\bm q}^{(n)}}\ |\psi_{\bm q}^{(n')}\rangle
$$
を使って、

$$
\big(\hat H(\bm q)+\bm\nabla_{\bm q}\hat H(\bm q)\cdot \delta\bm q\big)\,
|\psi_{\bm q}^{(n)}+\delta \psi_{\bm q}^{(n)}\rangle=(\varepsilon_{\bm q}^{(n)}+\bm\nabla_{\bm q}\varepsilon_{\bm q}^{(n)}\cdot\delta\bm q)\,|\psi_{\bm q}^{(n)}+\delta\psi_{\bm q}^{(n)}\rangle
$$
と書ける。ここで、上の摂動論のおさらいでやったように

$$
\hat H(\bm q)\,|\delta \psi_{\bm q}^{(n)}\rangle
{}+\bm\nabla_{\bm q}\hat H(\bm q)\cdot \delta\bm q\,
|\psi_{\bm q}^{(n)}\rangle
=\varepsilon_{\bm q}^{(n)}\,|\delta\psi_{\bm q}^{(n)}\rangle+
\bm\nabla_{\bm q}\varepsilon_{\bm q}^{(n)}\cdot\delta\bm q\,|\psi_{\bm q}^{(n)}\rangle
\bm A=-i\langle\psi_{\bm q}^{(n)}|\bm\nabla_{\bm q}|\psi_{\bm q}^{(n)}\rangle
$$

左から $\langle\psi_{\bm q}^{(n')}|$ をかけると、
は1次近似の範囲で実ベクトルとなり、これが「Berry 接続」と呼ばれる。
得られた形を上記の式へ代入すると、

$$
(\varepsilon_{\bm q}^{(n')}-\varepsilon_{\bm q}^{(n)})\,\langle\psi_{\bm q}^{(n')}|\delta \psi_{\bm q}^{(n)}\rangle=-\langle\psi_{\bm q}^{(n')}|
\bm\nabla_{\bm q}\hat H(\bm q)\cdot \delta\bm q\,
|\psi_{\bm q}^{(n)}\rangle+
\bm\nabla_{\bm q}\varepsilon_{\bm q}^{(n)}\cdot\delta\bm q\,\delta_{n'n}
\begin{aligned}
\dot c^{(n)}(t)
=&-c^{(n)}(t)\, i\bm A^{(n)}_{\bm q(t)}\cdot \dot \bm q(t)\\
&+\sum_{n'\ne n}c^{(n')}(t)e^{-i\int^t (\varepsilon^{(n')}_{\bm q(t')}-\varepsilon^{(n)}_{\bm q(t')})dt'/\hbar}\, \frac{\langle u^{(n)}_{\bm q(t)}|\bm\nabla_{\bm q(t)}\hat H(\bm q(t))|u^{(n')}_{\bm q(t)}\rangle}{\varepsilon_{\bm q}^{(n)}-\varepsilon_{\bm q}^{(n')}}\cdot \dot \bm q(t)
\end{aligned}
$$

$n'=n$ では
を得る。右辺第1項は $n$ 番目の準位にいた電子がそのまま $n$ 番目に居続けるときの位相の変化を表しており、第2項以降は他の準位から $n$ 番目の準位に遷移してくる確率と、その位相を表している。

$$
\langle\psi_{\bm q}^{(n)}|\bm\nabla_{\bm q}\hat H(\bm q)\,|\psi_{\bm q}^{(n)}\rangle=
\bm\nabla_{\bm q}\varepsilon_{\bm q}^{(n)}
$$

$n'\ne n$ では
** Berry 位相 [#z565ce91]

$$
\langle\psi_{\bm q}^{(n')}|\delta \psi_{\bm q}^{(n)}\rangle=
\langle\psi_{\bm q}^{(n')}|\bm\nabla_{\bm q}|\psi_{\bm q}^{(n)}\rangle\cdot \delta\bm q=-
\frac{\langle\psi_{\bm q}^{(n')}|
\bm\nabla_{\bm q}\hat H(\bm q)\,
|\psi_{\bm q}^{(n)}\rangle}{\varepsilon_{\bm q}^{(n')}-\varepsilon_{\bm q}^{(n)}}\cdot \delta\bm q
$$
もしそれぞれのバンドが十分に離れていてバンド間遷移がないと仮定すると1項目だけ考えれば良く、このとき

すなわち一次摂動でおなじみの形、

$$
\langle\psi_{\bm q}^{(n')}|\bm\nabla_{\bm q}|\psi_{\bm q}^{(n)}\rangle=-
\frac{\langle\psi_{\bm q}^{(n')}|
\bm\nabla_{\bm q}\hat H(\bm q)\,
|\psi_{\bm q}^{(n)}\rangle}{\varepsilon_{\bm q}^{(n')}-\varepsilon_{\bm q}^{(n)}}
\frac{\dot c^{(n)}(t)}{c^{(n)}(t)}
=-i\bm A^{(n)}_{\bm q(t)}\cdot \dot \bm q(t)
$$

が出る。これで $\bm\nabla_{\bm q}|\psi_{\bm q}^{(n)}\rangle$ を $|\psi_{\bm q}^{(n')}\rangle$
で展開した際の係数が $n'=n$ を除き求まったので、
両辺積分すれば、

$$
\bm\nabla_{\bm q}|\psi_{\bm q}^{(n)}\rangle=
\underbrace{\langle\psi_{\bm q}^{(n)}|\bm\nabla_{\bm q}|\psi_{\bm q}^{(n)}\rangle}_{=-i\bm A}\ |\psi_{\bm q}^{(n)}\rangle+
\sum_{n'\ne n}-
\frac{\langle\psi_{\bm q}^{(n')}|
\bm\nabla_{\bm q}\hat H(\bm q)\,
|\psi_{\bm q}^{(n)}\rangle}{\varepsilon_{\bm q}^{(n')}-\varepsilon_{\bm q}^{(n)}}\ |\psi_{\bm q}^{(n')}\rangle
c^{(n)}(t)=c^{(n)}(t_0)\,e^{-i\int_{t_0}^t \bm A^{(n)}_{\bm q(t)}\cdot \dot\bm q(t)dt}
$$

と書ける。$n'=n$ の成分の係数はわからないので、形式的に $\langle\psi_{\bm q}^{(n)}|\bm\nabla_{\bm q}|\psi_{\bm q}^{(n)}\rangle$ と書いている。上のように定義した
ここで出てくる、ある $\bm q_1$ から $\bm q_2$ へのある決まった経路に沿った積分

$$
\bm A=i\langle\psi_{\bm q}^{(n)}|\bm\nabla_{\bm q}|\psi_{\bm q}^{(n)}\rangle
$$

は Berry 接続と呼ばれる実ベクトルになる。

なぜ実数になるかというと、

$$
\begin{aligned}
|\psi_{\bm q+\delta\bm q}^{(n)}\rangle
&=|\psi_{\bm q}^{(n)}\rangle+|\delta\psi_{\bm q}^{(n)}\rangle\\
&=(1+\delta_n)|\psi_{\bm q}^{(n)}\rangle+\sum_{n'\ne n} \delta_{n'}|\psi_{\bm q}^{(n')}\rangle
\gamma&=-\int_{\bm t_1}^{\bm t_2} \bm A^{(n)}(\bm q)\cdot \dot\bm q(t)\, dt\\
&=-\int_{\bm q_1}^{\bm q_2} \bm A^{(n)}(\bm q)\cdot d\bm q
\end{aligned}
$$

と書けるとき、$|\psi_{\bm q+\delta\bm q}^{(n)}\rangle$ が規格化されている条件は、
はパラメータ空間内の経路のみで決まり、変化速度 $\dot\bm q(t)$ によらず定義される。そのためこれを上記の力学的位相に対して「幾何学的位相(geometrical phase)」と呼ぶ。

$$
\langle\psi_{\bm q+\delta\bm q}^{(n)}|\psi_{\bm q+\delta\bm q}^{(n)}\rangle=(1+\delta_n^*)(1+\delta_n)+\sum_{n'\ne n} |\delta_{n'}|^2=1
$$
断熱過程の始点と終点とにおける波動関数の位相差は時間経過に依存する力学的位相 $-\int^t \varepsilon^{(n)}_{\bm q(t')}dt'/\hbar$ と、パラメータ空間内の経路のみに依存する幾何学的位相 $-\int_{\bm q_1}^{\bm q_2} \bm A^{(n)}(\bm q)\cdot d\bm q$ の和になる。

であり、2次の項を落とすと、
基本的には、

$$
\delta_n^*+\delta_n=0
$$
- エネルギー $\varepsilon$ を持つ量子状態の位相が角振動数 $\omega=\varepsilon/\hbar$ 
で進むのに対応するのが 力学的位相 

が得られる。これは $\delta_n$ が純虚数であることを表し、すなわち $\bm A$ が実数であることを表す。
((もっと簡単に書くと、あるベクトル $\bm v$ がノルムを変えず変化して $\bm v+\delta\bm v$ となったとすると、$$\begin{aligned}&\|\bm v\|^2=\|\bm v+\delta\bm v\|^2=\\&\|\bm v\|^2+2\,\text{Re}\,(\bm v,\delta\bm v)+\|\delta\bm v\|^2\end{aligned}$$2次の微少量を無視すると$$\,\text{Re}\,(\bm v,\delta\bm v)=0$$すなわち、$\delta\bm v$ の $\bm v$ 成分は純虚数でなければならない。ということ。))
であり、

** 上の $\gamma$ が位相差そのものを表す理由 [#x7e45f0d]
- それぞれの $\bm q$ に応じた固有関数 $|\psi_{\bm q}\rangle$ の位相をどういうゲージを使って人為的に選んだかに応じて決まる、「$\bm q$ の変化に対する波動関数の位相変化」が 幾何学的位相 

上で $\delta_n\ll 1$ のとき、
と考えればいい。

$$
1+\delta_n\sim e^{\delta_n}
$$
力学的位相が物理学を強く反映していそうなのに対して、人為的に決めたゲージに依存してしまう幾何学的位相に深い意味などなさそうに思えるところなのだけれど、幾何学的位相にもゲージに依存しない「物理系の情報」は確かに含まれていて、それを取り出したのが以下に述べる Berry 位相などになる。

つまり、
$\bm q_1$ と $\bm q_2$ とが同じ物理状態を表すとき($\bm q_1=\bm q_2$ のとき、あるいは、$\bm q_1\ne \bm q_2$ ではあっても対称性等により同じと見なせるとき)、ここで計算した位相は「同じ波動関数」同士の間の位相の差を表すことになる($|\psi_{\bm q_1}^{(n)}\rangle\propto |\psi_{\bm q_2}^{(n)}\rangle$)。

$$
1-i\bm A\cdot\delta\bm q\sim e^{-i\bm A\cdot\delta\bm q}
$$
特に、$\bm q_1=\bm q_2$ の場合の幾何学的位相 $\gamma$ を Berry 位相と呼ぶ。((始点と終点が異なっても Berry 位相と呼んでいいのかもしれなくて、そこのところよくわかっていない))下に見るように Berry 位相はゲージ不変量であり、物理系の情報を反映したものとなる。

であるから、$\bm q\to\bm q+\delta\bm q$ の変化により、$|\psi_{\bm q}^{(n)}\rangle$ 方向の成分は大きさを変えず位相のみ $-\delta\gamma=-\bm A\cdot\delta\bm q$ だけ回転することになる。
力学的位相、幾何学的位相については http://mercury.yukawa.kyoto-u.ac.jp/~bussei.kenkyu/wp/wp-content/uploads/6300-072210.pdf#page=2 を参考にした。

$$
|\psi_{\bm q+\delta\bm q}^{(n)}\rangle
=\underbrace{e^{-i\bm A\cdot\delta\bm q}\rule[-10pt]{0pt}{0pt}}_{\text{位相変化}}\,|\psi_{\bm q}^{(n)}\rangle+\sum_{n'\ne n} \delta_{n'}|\psi_{\bm q}^{(n')}\rangle
$$
幾何学的位相については、https://en.wikipedia.org/wiki/Adiabatic_theorem にもあるように、

そこでこれを積分した値を使って位相を補償してやると、

$$
\varphi(\bm q)=-\int_{\bm q_A}^{\bm q}d\gamma=-\int_{\bm q_A}^{\bm q}\bm A\cdot d\bm q'
\begin{aligned}
\gamma
&=-\int_{\bm t_1}^{\bm t_2} \bm A^{(n)}(\bm q(t))\cdot \dot\bm q(t)\, dt\\
&=i\int_{\bm t_1}^{\bm t_2} \langle\psi^{(n)}_{\bm q(t)}|\bm\nabla_{\bm q(t)}|\psi^{(n)}_{\bm q(t)}\rangle\cdot \dot\bm q(t)\, dt\\
&=i\int_{\bm t_1}^{\bm t_2} \langle\psi^{(n)}_{\bm q(t)}|\tfrac{\partial\psi^{(n)}_{\bm q(t)}}{\partial t}\rangle\, dt\\
\end{aligned}
$$
$$
|\tilde\psi_{\bm q}^{(n)}\rangle=e^{-i\varphi(\bm q)}\,|\psi_{\bm q}^{(n)}\rangle
$$

この $|\tilde\psi_{\bm q}^{(n)}\rangle$ は $\bm q$ の変化に伴う位相変化が打ち消され、位相が一定に保たれる。このとき上記の $\tilde \gamma$ は
という意味で、

$$
\tilde\gamma=\gamma+\underbrace{\varphi(\bm q_2)-\varphi(\bm q_1)}_{=\,-\,\gamma}=0
d\gamma=i\langle\psi^{(n)}_{\bm q(t)}|\tfrac{\partial}{\partial t}|\psi^{(n)}_{\bm q(t)}\rangle\, dt
$$

となるから、確かに上で定義された $\gamma$ は位相差のないときにゼロとなるから、位相差のある時を含めて
同じ物理的状況を表すパラメータ $\bm q_1$ と $\bm q_2$ に対する波動関数の位相差そのものを表すことがわかる。
のようにも書かれる。というか「パラメータ」を時刻そのものと考えれば Berry 接続自体が

** Berry 位相 [#c2967d78]

特に始点と終点が等しいとき($\bm q_A=\bm q_B$)、上記の $\gamma$ を Berry 位相という(?)。このとき線積分は周回積分となる。

$$
\gamma=\oint_C \bm A\cdot d\bm q
A_t^{(n)}=-i\langle\psi^{(n)}_{\bm q(t)}|\tfrac{\partial}{\partial t}|\psi^{(n)}_{\bm q(t)}\rangle
$$

多くの場合、戻ってきたときの位相差はゼロになるが、上でも見たようにグラフェンの $K$ 点回りなど特殊な条件下で有限の値となる場合がある。
となる。

** Berry 曲率 [#w45316af]

Berry 位相の定義で出てくる
始点と終点とが一致する Berry 位相は周回積分として表されるが、

$$
\gamma=\oint_C \bm A\cdot d\bm q
$$

という式は電磁気学で出てくる
これは電磁気学で出てくる

$$
(\text{磁束})=\oint_C (\text{ベクトルポテンシャル})\cdot d\bm r
$$

とクリソツだなあ、などと思いつつ、ストークスの定理を使って、

$$
\begin{aligned}
\gamma&=\oint_C \bm A\cdot d\bm q\\
&=\int_S(\underbrace{\bm\nabla\times A}_{=\,\bm\Omega})\cdot d\bm S\\
&=\int_S\bm\Omega\cdot d\bm S\\
\end{aligned}
$$

と書き直すと、ここに出てくる Berry 曲率 

$$\Omega=\bm\nabla\times A$$

は電磁気学における磁束密度に相当する量となる。

|ベリー曲率 $\bm \Omega$|磁束密度 $\bm B$|
|ベリー曲率 $\bm \Omega=\bm\nabla\times\bm A$|磁束密度 $\bm B=\bm\nabla\times\bm A$|
|ベリー接続 $\bm A$|ベクトルポテンシャル $\bm A$|
|ベリー位相 $\gamma$|磁束 $N$|
|ベリー位相 $\gamma=\oint\bm A\cdot d\bm r$|磁束  $N=\oint\bm A\cdot d\bm r$|

磁束密度のない場所では必ず磁束がゼロになるのと同様に、
Berry 曲率がゼロであれば Berry 位相も必ずゼロになる。

*** 具体的な表式 [#i72a8d2b]

Berry 曲率の具体的な形としては例えば、

$$
\begin{aligned}
\Omega_z
&=\frac{\partial A_y}{\partial x}-\frac{\partial A_x}{\partial y}\\
&=i\frac{\partial}{\partial x}\Big(\langle\psi_{\bm q}^{(n)}|\frac{\partial}{\partial y}|\psi_{\bm q}^{(n)}\rangle\Big)-
i\frac{\partial}{\partial y}\Big(\langle\psi_{\bm q}^{(n)}|\frac{\partial}{\partial x}|\psi_{\bm q}^{(n)}\rangle\Big)\\
&=i\langle\tfrac{\partial\psi_{\bm q}^{(n)}}{\partial x}|\tfrac{\partial\psi_{\bm q}^{(n)}}{\partial y}\rangle+
\cancel{i\langle\psi_{\bm q}^{(n)}|\frac{\partial^2}{\partial x\partial y}|\psi_{\bm q}^{(n)}\rangle}-
\cancel{i\langle\psi_{\bm q}^{(n)}|\frac{\partial^2}{\partial y\partial x}|\psi_{\bm q}^{(n)}\rangle}-
i\langle\tfrac{\partial\psi_{\bm q}^{(n)}}{\partial y}|\tfrac{\partial\psi_{\bm q}^{(n)}}{\partial x}\rangle\\
&=-2\,\text{Im}\,\langle\tfrac{\partial\psi_{\bm q}^{(n)}}{\partial x}|\tfrac{\partial\psi_{\bm q}^{(n)}}{\partial y}\rangle\\
&=\frac{\partial A_y}{\partial q_x}-\frac{\partial A_x}{\partial q_y}\\
&=i\frac{\partial}{\partial q_x}\Big(\langle\psi_{\bm q}^{(n)}|\frac{\partial}{\partial q_y}|\psi_{\bm q}^{(n)}\rangle\Big)-
i\frac{\partial}{\partial q_y}\Big(\langle\psi_{\bm q}^{(n)}|\frac{\partial}{\partial q_x}|\psi_{\bm q}^{(n)}\rangle\Big)\\
&=i\langle\tfrac{\partial\psi_{\bm q}^{(n)}}{\partial q_x}|\tfrac{\partial\psi_{\bm q}^{(n)}}{\partial q_y}\rangle+
\cancel{i\langle\psi_{\bm q}^{(n)}|\frac{\partial^2}{\partial q_x\partial q_y}|\psi_{\bm q}^{(n)}\rangle}-
\cancel{i\langle\psi_{\bm q}^{(n)}|\frac{\partial^2}{\partial q_y\partial q_x}|\psi_{\bm q}^{(n)}\rangle}-
i\langle\tfrac{\partial\psi_{\bm q}^{(n)}}{\partial q_y}|\tfrac{\partial\psi_{\bm q}^{(n)}}{\partial q_x}\rangle\\
\bigg(&=\Big(i\langle\bm\nabla_{\bm q}\psi_{\bm q}^{(n)}|\times|\bm\nabla_{\bm q}\psi_{\bm q}^{(n)}\rangle\Big)_z\bigg)\\
&=-2\,\text{Im}\,\langle\tfrac{\partial\psi_{\bm q}^{(n)}}{\partial q_x}|\tfrac{\partial\psi_{\bm q}^{(n)}}{\partial q_y}\rangle\\
\end{aligned}
$$

などとなる。

$$
\langle\tfrac{\partial\psi_{\bm q}^{(n)}}{\partial x}|\tfrac{\partial\psi_{\bm q}^{(n)}}{\partial y}\rangle=
\langle\tfrac{\partial\psi_{\bm q}^{(n)}}{\partial q_x}|\tfrac{\partial\psi_{\bm q}^{(n)}}{\partial q_y}\rangle=
\sum_{n'}
\langle\tfrac{\partial\psi_{\bm q}^{(n)}}{\partial x}|\psi_{\bm q}^{(n')}\rangle
\langle\psi_{\bm q}^{(n')}|\tfrac{\partial\psi_{\bm q}^{(n)}}{\partial y}\rangle
\langle\tfrac{\partial\psi_{\bm q}^{(n)}}{\partial q_x}|\psi_{\bm q}^{(n')}\rangle
\langle\psi_{\bm q}^{(n')}|\tfrac{\partial\psi_{\bm q}^{(n)}}{\partial q_y}\rangle
$$

の形に上で求めた

$$
\bm\nabla_{\bm q}|\psi_{\bm q}^{(n)}\rangle=
{}-i\bm A\ |\psi_{\bm q}^{(n)}\rangle+
\sum_{n'\ne n}-
\frac{\langle\psi_{\bm q}^{(n')}|
\bm\nabla_{\bm q}\hat H(\bm q)\,|\psi_{\bm q}^{(n)}\rangle}{\varepsilon_{\bm q}^{(n')}-\varepsilon_{\bm q}^{(n)}}\ |\psi_{\bm q}^{(n')}\rangle
$$

を入れると、

$$
\langle\tfrac{\partial\psi_{\bm q}^{(n)}}{\partial x}|\tfrac{\partial\psi_{\bm q}^{(n)}}{\partial y}\rangle=
\langle\tfrac{\partial\psi_{\bm q}^{(n)}}{\partial q_x}|\tfrac{\partial\psi_{\bm q}^{(n)}}{\partial q_y}\rangle=
\underbrace{A_xA_y}_{\text{実数}}+
\sum_{n'\ne n}
\frac{\langle\psi_{\bm q}^{(n)}|
\tfrac{\partial}{\partial x}\hat H(\bm q)\,|\psi_{\bm q}^{(n')}\rangle\langle\psi_{\bm q}^{(n')}|
\tfrac{\partial}{\partial y}\hat H(\bm q)\,|\psi_{\bm q}^{(n)}\rangle}{\big(\varepsilon_{\bm q}^{(n')}-\varepsilon_{\bm q}^{(n)}\big)^2}
$$

より、

$$
\Omega_z=-2\,\text{Im}\,\sum_{n'\ne n}
\frac{\langle\psi_{\bm q}^{(n)}|
\tfrac{\partial}{\partial x}\hat H(\bm q)\,|\psi_{\bm q}^{(n')}\rangle\langle\psi_{\bm q}^{(n')}|
\tfrac{\partial}{\partial y}\hat H(\bm q)\,|\psi_{\bm q}^{(n)}\rangle}{\big(\varepsilon_{\bm q}^{(n')}-\varepsilon_{\bm q}^{(n)}\big)^2}
$$

を得る。

** Berry 位相の重要性 [#le3e30ba]
また、この節の初めの式のカッコで括った行から、

なぜ Berry 位相が重要かというと、
$\bm q$ として $\bm k$ を取るとき、

$$
\bm\nabla_{\bm k} \hat H
\bm\Omega^{(n)}(\bm q)=i\langle\bm\nabla_{\bm q}\psi_{\bm q}^{(n)}|\times|\bm\nabla_{\bm q}\psi_{\bm q}^{(n)}\rangle
$$

は群速度 $v_g=\frac{\partial\omega}{\partial k}=\frac1\hbar\frac{\partial E}{\partial k}$ に相当する演算子
と書けることもわかる(https://kats.issp.u-tokyo.ac.jp/kats/semicon3/note/note7.pdf#page=9 にこの形があった)。

$$
\hat\bm v_g=\frac{1}{\hbar}\bm\nabla_{\bm k}\hat H
$$
** Berry 位相とBerry 曲率のゲージ不変性 [#v014c4b8]

に $\hbar$ をかけたものとなる。
http://mercury.yukawa.kyoto-u.ac.jp/~bussei.kenkyu/wp/wp-content/uploads/6300-072210.pdf#page=4 を参考に、

逆に、群速度と関連する「電流」などを求めようとすると、その過程で Berry 位相が出てくるため学んでおく必要がある。ということなのだと思う。
波動関数に異なるゲージを適用して、

** 例:マグネティックモノポールとスピンの系(2) [#u950dc6c]

上記の例について、

Berry 接続:

$$
\begin{aligned}
A_\theta^{(1)}
&=i\langle\psi^{(1)}|\frac{\partial}{\partial\theta}|\psi^{(1)}\rangle\\
&=i\begin{pmatrix}
\sin(\theta/2) e^{i\phi}&
{}-\cos(\theta/2)\rule{0pt}{10pt}
\end{pmatrix}\begin{pmatrix}
\cos(\theta/2) e^{-i\phi}/2\\
\sin(\theta/2)/2
\end{pmatrix}\\
&=0\hspace{5mm}(\,=A_\theta^{(2)})
\end{aligned}
|\tilde\psi_{\bm p}\rangle=e^{i\varphi(\bm p)}|\psi_{\bm p}\rangle
$$

としたものに対して Berry 接続を計算すると、

$$
\begin{aligned}
A_\phi^{(1)}
&=i\langle\psi^{(1)}|\frac{\partial}{\partial\phi}|\psi^{(1)}\rangle\\
&=i\begin{pmatrix}
\sin(\theta/2) e^{i\phi}&
\cos(\theta/2)\rule{0pt}{10pt}
\end{pmatrix}\begin{pmatrix}
{}-i\sin(\theta/2) e^{-i\phi}\\
0
\end{pmatrix}\\
&=\sin^2\theta/2=\frac{1-\cos\theta}2\hspace{5mm}(\,=-A_\phi^{(2)})
\end{aligned}
\tilde\bm A=-i\langle\tilde\psi_{\bm p}|\bm\nabla_{\bm p}|\tilde\psi_{\bm p}\rangle=\bm A+\bm\nabla_{\bm p}\,\varphi(\bm p)
$$

Berry 曲率:
であるから、幾何学的位相は

$$
\begin{aligned}
\Omega_{\theta\phi}^{(1)}
&=-2\,\text{Im}\,\langle\tfrac{\partial\psi^{(1)}}{\partial\theta}|\tfrac{\partial\psi^{(1)}}{\partial\phi}\rangle\\
&=-2\,\text{Im}\,\begin{pmatrix}
\cos(\theta/2) e^{i\phi}/2&\rule{0pt}{10pt}
\sin(\theta/2)/2
\end{pmatrix}\begin{pmatrix}
{}-i\sin(\theta/2) e^{-i\phi}\\
0
\end{pmatrix}\\
&=\frac12\sin\theta\hspace{5mm}(\,=-\Omega_{\theta\phi}^{(2)})
\tilde\gamma&=\int_{\bm p_1}^{\bm p_2}\tilde\bm A\cdot d\bm p\\
&=\int_{\bm p_1}^{\bm p_2}\bm A\cdot d\bm p+\int_{\varphi(\bm p_1)}^{\varphi(\bm p_2)}d\varphi\\
&=\gamma+\varphi(\bm p_1)-\varphi(\bm p_2)
\end{aligned}
$$

Berry 位相:($\theta$ を一定にして $\phi$ を1周させる経路)
となってゲージの変化を正しく反映するが、Berry 位相では $\bm p_1=\bm p_2$ であるから $\varphi(\bm p)$ が一価である限り $\varphi(\bm p_1)-\varphi(\bm p_2)=0$ すなわち $\tilde\gamma=\gamma$ となって Berry 位相がゲージ不変であることを確認できる。

同様に Berry 曲率も、

$$
\begin{aligned}
\gamma^{(1)}(\theta)&=\oint_{C(\theta)}\bm A\cdot d\bm q\\
&=\int_0^{2\pi}d\phi\int_0^\theta d\theta'\,\bm\Omega_{\theta'\phi}\\
&=2\pi\int_0^\theta d\theta'\,\frac12\sin\theta\\
&=\pi(1-\cos\theta)
\tilde\bm\Omega=\bm\nabla_{\bm p}\times\tilde \bm A=\bm\nabla_{\bm p}\times\bm A=\bm\Omega
\end{aligned}
$$

となる。
となって、常にゲージ不変量であることがわかる。

このとき $\theta$ を $\pi$ にもっていくと $2\pi$ になる。
これは、ゲージの取り方によってベクトルポテンシャルの値は変わってくるとしても、磁場や磁束はゲージによらない、という電磁気学の常識と対応している。

$$
\lim_{\theta\to\pi}\gamma^{(1)}(\theta)=2\pi
$$

** Berry 束と Chern 数 [#qb54a0ce]

一般に、閉じた二次元多様体上でベリー曲率を積分した値は「Berry 束」と呼ばれ(?)
、この値は $2\pi$ の整数倍となることが知られている(Chern の定理?)。
** 例:グラフェンの $K$ 状態の周りの電子 [#ob756f3e]

上の例で $\theta\to\pi$ は積分範囲がパラメータ空間全域にわたっており、この条件が満たされている。(二次元系において「閉じた二次元多様体」はパラメータ空間全体を覆うものしかないということ(?))
http://mercury.yukawa.kyoto-u.ac.jp/~bussei.kenkyu/wp/wp-content/uploads/6300-072210.pdf#page=6 を参考に、

また、この「整数値」を Chern 数と呼ぶ。
グラフェンの $K$ 点周りの波動方程式の解は 

上記の例では Chern 数は 1 である。
$$\bm k=\begin{pmatrix}k\cos\phi\\k\sin\phi\end{pmatrix}$$

* Zak 位相 [#cc464553]
と置いたときに

Berry 位相の線積分は始点と終点が同じとなる「周回積分」だったが、ある $\bm k$ から隣のブリルアンゾーンの対応する $\bm k+\bm G$ まで Berry 接続を線積分した値は Zak 位相と呼ばれる。$\bm k$ と $\bm k+\bm G$ は物理的には同じ状態であるから、両者に対する波動関数は位相以外同一のものとなるが、その位相差が Zak 位相である。
$$
\Phi_{\bm k}=\frac1{\sqrt2}\begin{pmatrix}e^{i\phi}\\1\end{pmatrix}
$$

実は Berry 曲率 $\bm\Omega$ には
と表された。$\bm k$ をパラメータと見た際の Berry 接続は $\bm k\ne\bm 0$ に対して

- 系が時間反転対称性($i\to-i$ に対して対称)を持つと $\bm\Omega(-\bm k)=-\bm\Omega(\bm k)$ 
- 系が空間反転対称性($\bm r\to-\bm r$ に対して対称)を持つと $\bm\Omega(-\bm k)=\bm\Omega(\bm k)$ 
$$
\begin{aligned}
\bm A_{\bm k}=-i\langle\Phi_{\bm k}|\bm\nabla_{\bm k}|\Phi_{\bm k}\rangle
&=-i\frac12e^{-i\phi}\cdot\bm\nabla_{\bm k}e^{i\phi}-i\frac121\cdot\cancel{\bm\nabla_{\bm k}1}\\
&=-i\frac12\cancel{e^{-i\phi}}\cdot(i\bm\nabla_{\bm k}\phi) \cancel{e^{i\phi}}\\
&=\frac12\bm\nabla_{\bm k}\phi
\end{aligned}
$$

という性質があるため、空間反転対称性の両方を持つような普通の物質の中では $\bm\Omega=0$ になり、Berry 位相はゼロになる(磁束密度がゼロの時の磁束に対応)。
であるから、経路 $C$ 内の面積を $S$ として、

一方、そのような場合にも Berry 接続自体は有限になり、Zak 位相が有限となる場合が生じる(磁場がなくてもベクトルポテンシャルは存在する可能性あり)。
$$
\begin{aligned}
\gamma&=-\oint_C\bm A_{\bm k}\cdot d\bm k\\
&=\int_S\bm\nabla_{\bm k}\times \bm A_{\bm k}\cdot d\bm S\\
&=\frac12\int_S\bm\nabla_{\bm k}\times (\bm\nabla_{\bm k}\phi)\cdot d\bm S\\
\end{aligned}
$$

この議論は磁場がない空間でもベクトルポテンシャルは有限になっており、その空間での波動関数に影響を及ぼしうるというアハラノフ=ボーム効果(AB 効果)のアナロジーとして理解できるとのこと。
となって、$S$ 内で $\bm\phi$ が微分可能であれば必ず $\gamma=0$ となる。

* Adiabatic dynamics (断熱的運動)としての理解 [#z35dea0d]
$\bm\nabla_\bm k\phi$ は $\tan\phi=k_y/k_x$ を $k_x,k_y$ で偏微分して、

https://www.sci.hokudai.ac.jp/~ishikawa/ryoushirikigaku4.pdf#page=227 を参考に、
$$
\frac1{\cos^2\phi}\frac{\partial\phi}{\partial k_x}=-\frac{k_y}{k_x^2}=-\frac{k\sin\phi}{k^2\cos^2\phi}
$$
$$
\frac1{\cos^2\phi}\frac{\partial\phi}{\partial k_y}=\frac1{k_x}=\frac{1}{k\cos\phi}
$$

ハミルトニアンがゆっくりと時間変化するパラメータ $\bm q(t)$ を含んでいるとする。
であるから、

$$
i\hbar\frac{\partial}{\partial t}|\psi\rangle=\hat H(\bm q(t))|\psi\rangle
\frac{\partial \phi}{\partial k_x}=-\frac{\sin\phi}{k},
\ \ \frac{\partial \phi}{\partial k_y}=\frac{\cos\phi}{k}
$$

十分にゆっくりなため、各時刻ごとに固有値問題が解けて、
を得る。

$\phi$ は $\bm k=\bm 0$ 以外で微分可能であるため、経路が原点を周回しなければ $\gamma=0$ になる。

一方、$\bm k=\bm 0$ を反時計回りに一周する経路 $\bm k=(k\cos\phi,k\sin\phi)$ ただし $\phi=0\to2\pi$ を取れば、$d\bm k=k(-\sin\phi,\cos\phi)d\phi$ であるから、

$$
\hat H(\bm q(t))\,|u^{(n)}_{\bm q(t)}\rangle=\varepsilon^{(n)}_{\bm q(t)}\,|u^{(n)}_{\bm q(t)}\rangle
\begin{aligned}
\gamma
&=-\frac12\int_0^{2\pi}\Big[\Big(-\frac{\sin\phi}{k}\Big)\Big(-k\sin\phi\Big)+\Big(\frac{\cos\phi}{k}\Big)\Big(k\cos\phi\Big)\Big]d\phi\\
&=-\frac12\int_0^{2\pi}d\phi=-\pi\\
\end{aligned}
$$

を満たすものとする(ここが断熱近似)。
のように有限の値を取る。

これらの正規直交固有関数は時刻 $t$ の近辺で
この結果を理解するために Berry 曲率を求めると $\bm k\ne\bm 0$ において

$$
|\psi^{(n)}_{\bm q(t)}(t+\delta t)\rangle=e^{-i\varepsilon^{(n)}_{\bm q(t)}\delta t/\hbar}|u^{(n)}_{\bm q(t)}\rangle
\begin{aligned}
\Omega_{\bm k,z}
&=-2\text{Im}\,\langle\tfrac{\partial}{\partial k_x}\bm\Phi_{\bm k}|\tfrac{\partial}{\partial k_y}\bm\Phi_{\bm k}\rangle_z\\
&=\text{Im}\,\frac{\sin\phi}{k}\cancel{e^{-i\phi}}\frac{\cos\phi}{k}\cancel{e^{i\phi}}\\
&=0
\end{aligned}
$$

のように時間発展するため、この固有関数を使って時間変化する任意の波動関数を
となって、確かに原点以外でゼロになる。

えーと、原点での値を求める方法は・・・あるんだろうか???

*** ゲージの効果 [#na0e1401]

同じことを

$$
|\psi(t)\rangle=\sum_nc^{(n)}(t)e^{-i\int^t \varepsilon^{(n)}_{\bm q(t')}dt'/\hbar}\,|u^{(n)}_{\bm q(t)}\rangle
\tilde\Phi_{\bm k}=e^{-i\alpha\phi}\Phi_{\bm k}=\frac1{\sqrt2}\begin{pmatrix}e^{i(1-\alpha)\phi}\\e^{-i\alpha\phi}\end{pmatrix}
$$

と展開した時の $c^{(n)}(t)$ の変化を求めたい。シュレーディンガー方程式に代入し、
に対して行うとどうなるか?

Berry 接続は $\bm k\ne\bm 0$ に対して

$$
\begin{aligned}
i\hbar\frac{\partial}{\partial t}|\psi(t)\rangle=i\hbar\sum_n\Big[
&\dot c^{(n)}(t)e^{-i\int^t \varepsilon^{(n)}_{\bm q(t')}dt'/\hbar}\,|u^{(n)}_{\bm q(t)}\rangle\\
&+\cancel{(1/i\hbar)c^{(n)}(t)\varepsilon^{(n)}_{\bm q(t)}e^{-i\int^t \varepsilon^{(n)}_{\bm q(t')}dt'/\hbar}\,|u^{(n)}_{\bm q(t)}\rangle}\\
&+c^{(n)}(t)e^{-i\int^t \varepsilon^{(n)}_{\bm q(t')}dt'/\hbar}\,\bm\nabla_{\bm q(t)}|u^{(n)}_{\bm q(t)}\rangle\cdot \dot \bm q(t)\\
&\hspace{-15mm}=\cancel{\sum_nc^{(n)}(t)\varepsilon^{(n)}_{\bm q(t')}e^{-i\int^t \varepsilon^{(n)}_{\bm q(t')}dt'/\hbar}\,|u^{(n)}_{\bm q(t)}\rangle}
\bm A_{\bm k}=-i\langle\tilde\Phi_{\bm k}|\bm\nabla_{\bm k}|\tilde\Phi_{\bm k}\rangle
&=-i\frac12e^{-i(1-\alpha)\phi}\cdot\bm\nabla_{\bm k}e^{i(1-\alpha)\phi}-
i\frac12e^{i\alpha\phi}\cdot\bm\nabla_{\bm k}e^{-i\alpha\phi}\\
&=-i\frac12e^{-i(1-\alpha)\phi}\cdot\big(i(1-\alpha)\bm\nabla_{\bm k}\phi\big)e^{i(1-\alpha)\phi}-
i\frac12e^{i\alpha\phi}\cdot\big(-i\alpha\bm\nabla_{\bm k}\phi\big)e^{-i\alpha\phi}\\
&=(\tfrac12-\alpha)\bm\nabla_{\bm k}\phi
\end{aligned}
$$

$\langle u^{(n)}_{\bm q(t)}|$ をかけ $i\hbar e^{-i\int^t \varepsilon^{(n)}_{\bm q(t')}dt'/\hbar}$ で割ると、
となるから、経路が原点を周回しなければやはり $\gamma=0$。

$\bm k=\bm 0$ を反時計回りに一周する経路 $\bm k=(k\cos\phi,k\sin\phi)$ ただし $\phi=0\to2\pi$ に対しては、$d\bm k=k(-\sin\phi,\cos\phi)d\phi$ であるから、

$$
\begin{aligned}
&\dot c^{(n)}(t)=-\sum_{n'}c^{(n')}(t)e^{-i\int^t (\varepsilon^{(n')}_{\bm q(t')}-\varepsilon^{(n)}_{\bm q(t')})dt'/\hbar}\, \langle u^{(n)}_{\bm q(t)}|\underbrace{\bm\nabla_{\bm q(t)}|u^{(n')}_{\bm q(t)}\rangle\cdot  d\bm q(t)}_{\text{この部分}}/dt
\gamma
&=-(\tfrac12-\alpha)\int_0^{2\pi}\Big[\Big(-\frac{\sin\phi}{k}\Big)\Big(-k\sin\phi\Big)+\Big(\frac{\cos\phi}{k}\Big)\Big(k\cos\phi\Big)\Big]d\phi\\
&=-(\tfrac12-\alpha)\int_0^{2\pi}d\phi=-\pi+2\pi\alpha\\
\end{aligned}
$$

を得る。「この部分」はハミルトニアン中のパラメータ $\bm q$ が微少量 $d\bm q$ だけ変化したときの波動関数 $|u^{(n')}_{\bm q(t)}\rangle$ の変化であるから摂動を使ってこれを評価しよう。
$2\pi\alpha$ は新たに付加した位相項 $e^{-i\alpha\phi}$ によるものである。

$|\psi_{\bm q}^{(n)}\rangle$ の周囲で $\bm q$ を少し変えたときに波動関数がどう変わるか調べる。
$\alpha$ が整数以外のとき $\bm k$ から $\tilde\Phi_{\bm k}$ へのマッピングが多価になってしまうためにおかしな位相が残る。

$\alpha$ が整数で $\bm k$ から $\tilde\Phi_{\bm k}$ へのマッピングが一価の時、$\gamma$ は $2\pi$ を法として $\pi$ に等しくなる。

結局、Berry 曲率は

$$
\hat H(\bm q+\delta \bm q)\,|\psi_{\bm q}^{(n)}+\delta \psi_{\bm q}^{(n)}\rangle=(\varepsilon_{\bm q}^{(n)}+\delta\varepsilon_{\bm q}^{(n)})\,|\psi_{\bm q}^{(n)}+\delta\psi_{\bm q}^{(n)}\rangle
\bm\Omega_{\bm k}=\pi\delta^3(\bm k)
$$

これを一次まででばらしてみる、
のように、原点に $\pi$ 分の Berry 接続が局在する形をとると考えてよいことを理解できる。

$$\hat H(\bm q+\delta \bm q)=\hat H(\bm q)+\underbrace{\bm\nabla_{\bm q}\hat H(\bm q)\cdot \delta\bm q}_{\text{摂動項}}$$
下で述べる通り、Berry 曲率が原点以外でゼロになり、原点だけで値を持ちうるのは、グラフェンのバンドが原点で縮退していることに対応している。
** 例:マグネティックモノポールとスピンの系 [#o443d249]

$$
\delta\varepsilon_{\bm q}^{(n)}=\bm\nabla_{\bm q}\varepsilon_{\bm q}^{(n)}\cdot\delta\bm q
$$
を使って、
原点に大きさ $M$ のマグネティックモノポールの存在を仮定し、

$$
\big(\hat H(\bm q)+\bm\nabla_{\bm q}\hat H(\bm q)\cdot \delta\bm q\big)\,
|\psi_{\bm q}^{(n)}+\delta \psi_{\bm q}^{(n)}\rangle=(\varepsilon_{\bm q}^{(n)}+\bm\nabla_{\bm q}\varepsilon_{\bm q}^{(n)}\cdot\delta\bm q)\,|\psi_{\bm q}^{(n)}+\delta\psi_{\bm q}^{(n)}\rangle
\bm B=\frac{M}{r^2}\frac{\bm r}{r}
$$

$\bm r=(r,\theta,\phi)$ に大きさ $s$ のスピンを置く。

$$
\hat H(\bm q)\,|\delta \psi_{\bm q}^{(n)}\rangle
{}+\bm\nabla_{\bm q}\hat H(\bm q)\cdot \delta\bm q\,
|\psi_{\bm q}^{(n)}\rangle
=\varepsilon_{\bm q}^{(n)}\,|\delta\psi_{\bm q}^{(n)}\rangle+
\bm\nabla_{\bm q}\varepsilon_{\bm q}^{(n)}\cdot\delta\bm q\,|\psi_{\bm q}^{(n)}\rangle
\bm s=s\bm\sigma
$$

左から $\langle\psi_{\bm q}^{(n')}|$ をかけると、
相互作用を表すハミルトニアンは $r,\theta,\phi$ をパラメータとして含み、

$$
(\varepsilon_{\bm q}^{(n')}-\varepsilon_{\bm q}^{(n)})\,\langle\psi_{\bm q}^{(n')}|\delta \psi_{\bm q}^{(n)}\rangle=-\langle\psi_{\bm q}^{(n')}|
\bm\nabla_{\bm q}\hat H(\bm q)\cdot \delta\bm q\,
|\psi_{\bm q}^{(n)}\rangle+
\bm\nabla_{\bm q}\varepsilon_{\bm q}^{(n)}\cdot\delta\bm q\,\delta_{n'n}
\begin{aligned}
\hat H(r,\theta,\phi)
&=-\bm B\cdot\hat\bm s\\
&=-\underbrace{\frac{sM}{r^2}}_{\varepsilon_0}\Big(\frac{\bm r}{r}\Big)\cdot\hat\bm\sigma\\
&=-\varepsilon_0(\hat\sigma_x\sin\theta\cos\phi+\hat\sigma_y\sin\theta\sin\phi+\hat\sigma_z\cos\theta)\\
&=-\varepsilon_0\begin{pmatrix}
\cos\theta&\sin\theta e^{-i\phi}\\
\sin\theta e^{i\phi}&-\cos\theta
\end{pmatrix}
\end{aligned}
$$

$n'=n$ では
これを解くと、

$$
\langle\psi_{\bm q}^{(n)}|\bm\nabla_{\bm q}\hat H(\bm q)\,|\psi_{\bm q}^{(n)}\rangle=
\bm\nabla_{\bm q}\varepsilon_{\bm q}^{(n)}
\varepsilon^{(1)}=+\varepsilon_0,
\ \psi^{(1)}=\begin{pmatrix}
\sin(\theta/2) e^{-i\phi}\\
{}-\cos(\theta/2)
\end{pmatrix}
$$

$n'\ne n$ では

$$
\langle\psi_{\bm q}^{(n')}|\delta \psi_{\bm q}^{(n)}\rangle=
\langle\psi_{\bm q}^{(n')}|\bm\nabla_{\bm q}|\psi_{\bm q}^{(n)}\rangle\cdot \delta\bm q=-
\frac{\langle\psi_{\bm q}^{(n')}|
\bm\nabla_{\bm q}\hat H(\bm q)\,
|\psi_{\bm q}^{(n)}\rangle}{\varepsilon_{\bm q}^{(n')}-\varepsilon_{\bm q}^{(n)}}\cdot \delta\bm q
\varepsilon^{(2)}=-\varepsilon_0,
\ \psi^{(2)}=\begin{pmatrix}
\cos(\theta/2)\\
\sin(\theta/2) e^{i\phi}
\end{pmatrix}
$$

すなわち一次摂動でおなじみの形、
が求まるが、この波動関数は
$\theta=0$ において

$$
\langle\psi_{\bm q}^{(n')}|\bm\nabla_{\bm q}|\psi_{\bm q}^{(n)}\rangle=-
\frac{\langle\psi_{\bm q}^{(n')}|
\bm\nabla_{\bm q}\hat H(\bm q)\,
|\psi_{\bm q}^{(n)}\rangle}{\varepsilon_{\bm q}^{(n')}-\varepsilon_{\bm q}^{(n)}}
\psi^{(1)}=\begin{pmatrix}
0\\-1
\end{pmatrix},
\ \psi^{(2)}=\begin{pmatrix}
1\\0
\end{pmatrix}
$$

が出る。これで $\bm\nabla_{\bm q}|\psi_{\bm q}^{(n)}\rangle$ を $|\psi_{\bm q}^{(n')}\rangle$
で展開した際の係数が $n'=n$ を除き求まったので、
であるのに対して、
$\theta=\pi$ においては

$$
\bm\nabla_{\bm q}|\psi_{\bm q}^{(n)}\rangle=
\underbrace{\langle\psi_{\bm q}^{(n)}|\bm\nabla_{\bm q}|\psi_{\bm q}^{(n)}\rangle}_{=-i\bm A}\ |\psi_{\bm q}^{(n)}\rangle+
\sum_{n'\ne n}-
\frac{\langle\psi_{\bm q}^{(n')}|
\bm\nabla_{\bm q}\hat H(\bm q)\,
|\psi_{\bm q}^{(n)}\rangle}{\varepsilon_{\bm q}^{(n')}-\varepsilon_{\bm q}^{(n)}}\ |\psi_{\bm q}^{(n')}\rangle
\psi^{(1)}=\begin{pmatrix}
e^{-i\phi}\\0
\end{pmatrix},
\ \psi^{(2)}=\begin{pmatrix}
0\\e^{i\phi}
\end{pmatrix}
$$

と書ける。$n'=n$ の成分の係数はわからないので、形式的に $\langle\psi_{\bm q}^{(n)}|\bm\nabla_{\bm q}|\psi_{\bm q}^{(n)}\rangle$ と書いている。上のように定義した
となって、波動関数の位相が $\phi$ によって異なる値を取るような解となっている。

$$
\bm A=i\langle\psi_{\bm q}^{(n)}|\bm\nabla_{\bm q}|\psi_{\bm q}^{(n)}\rangle
\begin{cases}
r_x=r\sin\theta\cos\phi\\
r_y=r\sin\theta\sin\phi\\
r_z=r\cos\theta\\
\end{cases}
$$

は Berry 接続と呼ばれる実ベクトルになる。
の値は $\theta=0,\pi$ において $\phi$ が異なっても等しいから、
$\theta=0,\pi$ においては $\phi$ が異なっても物理的には同一の系を表す。

なぜ実数になるかというと、
実際、得られる解は位相を除いて等しい。

$\psi^{(1)}$ に対して Berry 接続を求めよう。

$$
\begin{aligned}
|\psi_{\bm q+\delta\bm q}^{(n)}\rangle
&=|\psi_{\bm q}^{(n)}\rangle+|\delta\psi_{\bm q}^{(n)}\rangle\\
&=(1+\delta_n)|\psi_{\bm q}^{(n)}\rangle+\sum_{n'\ne n} \delta_{n'}|\psi_{\bm q}^{(n')}\rangle
A_r
&=i\langle\psi^{(1)}|\frac{\partial}{\partial r}|\psi^{(1)}\rangle\\
&=0
\end{aligned}
$$

と書けるとき、$|\psi_{\bm q+\delta\bm q}^{(n)}\rangle$ が規格化されている条件は、

$$
\langle\psi_{\bm q+\delta\bm q}^{(n)}|\psi_{\bm q+\delta\bm q}^{(n)}\rangle=(1+\delta_n^*)(1+\delta_n)+\sum_{n'\ne n} |\delta_{n'}|^2=1
\begin{aligned}
A_\theta
&=i\langle\psi^{(1)}|\frac{\partial}{\partial\theta}|\psi^{(1)}\rangle\\
&=i\begin{pmatrix}
\sin(\theta/2) e^{i\phi}&
{}-\cos(\theta/2)\rule{0pt}{10pt}
\end{pmatrix}\begin{pmatrix}
\cos(\theta/2) e^{-i\phi}/2\\
\sin(\theta/2)/2
\end{pmatrix}\\
&=0
\end{aligned}
$$

であり、2次の項を落とすと、

$$
\delta_n^*+\delta_n=0
\begin{aligned}
A_\phi
&=i\langle\psi^{(1)}|\frac{\partial}{\partial\phi}|\psi^{(1)}\rangle\\
&=i\begin{pmatrix}
\sin(\theta/2) e^{i\phi}&
\cos(\theta/2)\rule{0pt}{10pt}
\end{pmatrix}\begin{pmatrix}
{}-i\sin(\theta/2) e^{-i\phi}\\
0
\end{pmatrix}\\
&=\sin^2\theta/2=\frac{1-\cos\theta}2
\end{aligned}
$$

が得られる。これは $\delta_n$ が純虚数であることを表し、すなわち $\bm A$ が実数であることを表す。
((もっと簡単に書くと、あるベクトル $\bm v$ がノルムを変えず変化して $\bm v+\delta\bm v$ となったとすると、$$\begin{aligned}&\|\bm v\|^2=\|\bm v+\delta\bm v\|^2=\\&\|\bm v\|^2+2\,\text{Re}\,(\bm v,\delta\bm v)+\|\delta\bm v\|^2\end{aligned}$$2次の微少量を無視すると$$\,\text{Re}\,(\bm v,\delta\bm v)=0$$すなわち、$\delta\bm v$ の $\bm v$ 成分は純虚数でなければならない。ということ。))
Berry 位相:($\theta$ を一定にして $\phi$ を1周させる経路)

得られた形を上記の式へ代入すると、

$$
\begin{aligned}
\dot c^{(n)}(t)
=&c^{(n)}(t)\, i\bm A^{(n)}_{\bm q(t)}\cdot \dot \bm q(t)\\
&+\sum_{n'\ne n}c^{(n')}(t)e^{-i\int^t (\varepsilon^{(n')}_{\bm q(t')}-\varepsilon^{(n)}_{\bm q(t')})dt'/\hbar}\, \frac{\langle u^{(n)}_{\bm q(t)}|\bm\nabla_{\bm q(t)}\hat H(\bm q(t))|u^{(n')}_{\bm q(t)}\rangle}{\varepsilon_{\bm q}^{(n)}-\varepsilon_{\bm q}^{(n')}}\cdot \dot \bm q(t)
\gamma^{(1)}(\theta)&=\oint_{C(\theta)}\bm A^{(1)}\cdot d\bm q\\
&=\int_0^{2\pi}A_\phi\,d\phi\\
&=\pi(1-\cos\theta)
\end{aligned}
$$

を得る。右辺第1項は $n$ 番目の準位にいた電子がそのまま $n$ 番目に居続けるときの位相の変化を表しており、第2項以降は他の準位から $n$ 番目の準位に遷移してくる確率と、その際の位相の変化を表している。
Berry 曲率:

もし準位間遷移が無視できるなら1項目だけ考えれば良く、このとき

$$
\frac{\dot c^{(n)}(t)}{c^{(n)}(t)}
=\,i\bm A^{(n)}_{\bm q(t)}\cdot \dot \bm q(t)
\begin{aligned}
\Omega_{\theta\phi}^{(1)}
&=-2\,\text{Im}\,\langle\tfrac{\partial\psi^{(1)}}{\partial\theta}|\tfrac{\partial\psi^{(1)}}{\partial\phi}\rangle\\
&=-2\,\text{Im}\,\begin{pmatrix}
\cos(\theta/2) e^{i\phi}/2&\rule{0pt}{10pt}
\sin(\theta/2)/2
\end{pmatrix}\begin{pmatrix}
{}-i\sin(\theta/2) e^{-i\phi}\\
0
\end{pmatrix}\\
&=\frac12\sin\theta
\end{aligned}
$$

両辺積分すれば、
Berry 位相:($\theta$ を一定にして $\phi$ を1周させる経路)

$$
c^{(n)}(t)=c^{(n)}(t_0)\,e^{i\int_{t_0}^t \bm A^{(n)}_{\bm q(t)}\cdot \dot\bm q(t)dt}
\begin{aligned}
\gamma^{(1)}(\theta)&=\oint_{C(\theta)}\bm A^{(1)}\cdot d\bm q\\
&=\int_0^{2\pi}\,d\phi\int_0^\pi d\theta\,\Omega_{\theta\phi}^{(1)}\\
&=\pi\int_0^\pi d\theta\,\sin\theta\\
&=\pi(1-\cos\theta)
\end{aligned}
$$

ここで出てくる、ある $\bm q_1$ から $\bm q_2$ へのある決まった経路に沿った積分
のように、この場合には Berry 曲率は $\theta=0,\pi$ を除きゼロではなく、
$\theta$ を $\pi$ にもっていくと $2\pi$ になる。

$$
\begin{aligned}
\gamma=\int_{\bm q_1}^{\bm q_2} \bm A^{(n)}(\bm q)\cdot d\bm q
\end{aligned}
\lim_{\theta\to\pi}\gamma^{(1)}(\theta)=2\pi
$$

は Berry 位相と呼ばれ、これは断熱過程の始点と終点とにおける波動関数の位相差を表す。
これは全パラメータ空間で Berry 曲率を積分すると $2\pi$ に等しいことを示している。

式の形からも分かるとおり Berry 位相は経路のみで決まり、変化速度 $\dot\bm q(t)$ によらず定義される。
これは「十分にゆっくり」変化させる断熱近似の特徴でもある。
** Chern 数 [#qb54a0ce]

一般に、閉じた二次元多様体上における Berry 束(ベリー曲率の面積分)は
$2\pi$ の整数倍に量子化されることが知られている(Chern の定理)。

上の例で $\theta\to\pi$ は積分範囲がパラメータ空間全域にわたっており、この条件が満たされている。(二次元系において「閉じた二次元多様体」はパラメータ空間全体を覆うものしかないということ(?))

また、この「整数値」を Chern 数と呼ぶ。

上記のモノポールの例では Chern 数は 1 である。

グラフェンの例で $\pi$ になっているのは、この積分がブリルアンゾーン全体にわたったもの出ないことが理由で、積分範囲をブリルアンゾーン全体に広げた場合には $K'$ 点の $-\pi$ の Berry 束と足し合わされて全体としてはゼロになる。つまり Chern 数は 0 である。

* Block 波状態に適用する [#zfa33121]

$n$ 番目のバンドにある波数 $\bm k$ の Block 波状態:

$$
\psi_{\bm k}^{(n)}(\bm r)=e^{i\bm k\cdot\bm r}\underbrace{u_{\bm k}^{(n)}(\bm r)}_{\text{周期関数}}
$$

シュレーディンガー方程式:

$$
\begin{aligned}
\hat H\psi_{\bm k}^{(n)}(\bm r)
&=\Big[-\frac{\hbar^2}{2m}\bm\nabla^2+V(\bm r)\Big]e^{i\bm k\cdot\bm r}u_{\bm k}^{(n)}(\bm r)\\
&=e^{i\bm k\cdot\bm r}\underbrace{\Big[\frac{1}{2m}\big(-i\hbar\bm\nabla+\hbar\bm k\big)^2+V(\bm r)\Big]}_{\hat H_{\bm k}}u_{\bm k}^{(n)}(\bm r)\\
&=e^{i\bm k\cdot\bm r}\cdot\varepsilon_{\bm k}^{(n)}u_{\bm k}^{(n)}(\bm r)\\
\end{aligned}
$$

より、

$$
\hat H_{\bm k}u_{\bm k}^{(n)}(\bm r)=\varepsilon_{\bm k}^{(n)}u_{\bm k}^{(n)}(\bm r)
$$

すなわち、$u_{\bm k}^{(n)}(\bm r)$ に対するハミルトニアンはパラメータ $\bm k$ を含んだ $\hat H_{\bm k}$ となる。で、$\hat H_{\bm k}$ の形は $\hbar\bm k$ のところを $e\bm A$ (この $A$ はベクトルポテンシャル)に読み替えると磁場があるときのハミルトニアンになることに注目しよう。→ [[電磁気学/電磁ポテンシャルの導入#k13bd197]]

$$
\bm A^{(n)}(\bm k)=i\langle u_{\bm k}^{(n)}|\bm\nabla_{\bm k}u_{\bm k}^{(n)}\rangle
$$

$$
\bm \Omega^{(n)}(\bm k)=\text{rot}\,\bm A^{(n)}(\bm k)
\bm \Omega^{(n)}(\bm k)=\bm\nabla_{\bm k}\times\bm A^{(n)}(\bm k)
$$

$$
\begin{aligned}
\gamma^{(n)}
&=\oint\bm A^{(n)}(\bm k)\cdot d\bm k\\
&=\int_S\bm \Omega^{(n)}(\bm k)\cdot d\bm S\\
\end{aligned}
$$

ブリルアンゾーン(B.Z.)の周囲を回る周回経路の Berry 位相は Berry 曲率を閉じた二次元多様体全域で面積分したものとみなすことができ、Chern 数で表される。

$$
\begin{aligned}
\gamma^{(n)}_{\text{B.Z.}}
&=\int_{B.Z.}\bm \Omega^{(n)}(\bm k)\cdot d\bm S=2\pi\times(\text{Chern数})\\
\end{aligned}
$$

** Berry 曲率と時間・空間反転対称性 [#ef8c7d18]

http://mercury.yukawa.kyoto-u.ac.jp/~bussei.kenkyu/wp/wp-content/uploads/6300-072210.pdf#page=7
を参考に、


Block 状態

$$
\psi^{(n)}_{\bm k}(\bm r)=e^{i\bm k\cdot\bm r}u^{(n)}_{\bm k}(\bm r)
$$

を考える。

系が空間反転対称性を持つ場合、$\bm r\to-\bm r$ と置き換えた

$$
\psi^{(n)}_{\bm k}(-\bm r)=e^{-i\bm k\cdot\bm r}u^{(n)}_{\bm k}(-\bm r)
$$

もシュレーディンガー方程式を満たすが、これは波数 $-\bm k$ に属する状態であるから

$$
\psi^{(n)}_{\bm k}(-\bm r)=e^{-i\bm k\cdot\bm r}u^{(n)}_{\bm k}(-\bm r)\propto e^{-i\bm k\cdot\bm r}u^{(n)}_{-\bm k}(\bm r)=\psi^{(n)}_{-\bm k}(\bm r)
$$

の関係がある。縮退がない場合、この係数(位相差)が1となるゲージを取れば

$$
u^{(n)}_{\bm k}(-\bm r)=u^{(n)}_{-\bm k}(\bm r)
$$

が言え、このとき Berry 曲率は

$$
\begin{aligned}
\bm\Omega^{(n)}(\bm k)
&=-i\bm\nabla_{\bm k}\times\langle u_{\bm k}^{(n)}|\bm\nabla_{\bm k}|u_{\bm k}^{(n)}\rangle\\
&=-i\bm\nabla_{\bm k}\times\langle u_{-\bm k}^{(n)}|\bm\nabla_{\bm k}|u_{-\bm k}^{(n)}\rangle\\
&=-i\bm\nabla_{-\bm k}\times\langle u_{-\bm k}^{(n)}|\bm\nabla_{-\bm k}|u_{-\bm k}^{(n)}\rangle=\bm\Omega^{(n)}(-\bm k)\\
\end{aligned}
$$

となる。そこで Berry 曲率はゲージ不変量であることから、系が空間反転対称性を持つ場合には一般に

$$
\bm\Omega^{(n)}(\bm k)=\bm\Omega^{(n)}(-\bm k)
$$


となることが結論できる。((これ、たぶん2次元の時は正しいけど、1次元や3次元だと結論が変わってくるような???))

一方、系が時間反転対称性を持つ場合、$i\to-i$ と置き換えた

$$
\psi^{(n)*}_{\bm k}(\bm r)=e^{-i\bm k\cdot\bm r}u^{(n)*}_{\bm k}(\bm r)
$$

もシュレーディンガー方程式を満たすが、これはやはり波数 $-\bm k$ に属する状態であるから

$$
\psi^{(n)*}_{\bm k}(\bm r)=e^{-i\bm k\cdot\bm r}u^{(n)*}_{\bm k}(\bm r)\propto e^{-i\bm k\cdot\bm r}u^{(n)}_{-\bm k}(\bm r)=\psi^{(n)}_{-\bm k}(\bm r)
$$

の関係がある。縮退がない場合、この係数(位相差)が1となるゲージを取れば

$$
u^{(n)*}_{\bm k}(\bm r)=u^{(n)}_{-\bm k}(\bm r)
$$

が言え、このとき Berry 曲率は

$$
\begin{aligned}
\bm\Omega^{(n)}(\bm k)
&=-i\bm\nabla_{\bm k}\times\langle u_{\bm k}^{(n)}|\bm\nabla_{\bm k}|u_{\bm k}^{(n)}\rangle\\
&=-i\bm\nabla_{\bm k}\times\langle u_{-\bm k}^{(n)*}|\bm\nabla_{\bm k}|u_{-\bm k}^{(n)*}\rangle\\
&=-i\bm\nabla_{\bm k}\times(\langle u_{-\bm k}^{(n)}|\bm\nabla_{\bm k}|u_{-\bm k}^{(n)}\rangle)^*\\
&=+i\bm\nabla_{\bm k}\times\langle u_{-\bm k}^{(n)}|\bm\nabla_{\bm k}|u_{-\bm k}^{(n)}\rangle\\
&=+i\bm\nabla_{-\bm k}\times\langle u_{-\bm k}^{(n)}|\bm\nabla_{-\bm k}|u_{-\bm k}^{(n)}\rangle=-\bm\Omega^{(n)}(-\bm k)\\
\end{aligned}
$$

となる。3行目から4行目では $\langle u_{-\bm k}^{(n)}|\bm\nabla_{\bm k}|u_{-\bm k}^{(n)}\rangle$ が純虚数になることを使った。Berry 曲率はゲージ不変量であるから、系が時間反転対称性を持つ場合には一般に

$$
\bm\Omega^{(n)}(\bm k)=-\bm\Omega^{(n)}(-\bm k)
$$

となることが結論できる。

したがって、もし系が空間反転対称性と時間反転対称性との両方を持つ場合には、

$$
\bm\Omega^{(n)}(\bm k)=0
$$

となることが結論できる。


以上の議論は縮退がないことを前提としているため、グラフェンのディラック点のように縮退がある点については、時間反転対称性や空間反転対称性が保たれている場合にも、そこで Berry 曲率がゼロでなくなる可能性を残している。

** Zak 位相 [#cc464553]

始点と終点が同じとなる「周回積分」ではなく、ある $\bm k$ から隣のブリルアンゾーンの対応する $\bm k+\bm G$ まで Berry 接続を線積分した値は Zak 位相と呼ばれる。$\bm k$ と $\bm k+\bm G$ は物理的には同じ状態であるから、両者に対する波動関数は位相以外同一のものとなるが、その幾何学的位相差が Zak 位相である。

上で見た通り Berry 曲率 $\bm\Omega$ には

- 系が空間反転対称性($\bm r\to-\bm r$ に対して対称)を持つと $\bm\Omega(-\bm k)=\bm\Omega(\bm k)$ 
- 系が時間反転対称性($i\to-i$ に対して対称)を持つと $\bm\Omega(-\bm k)=-\bm\Omega(\bm k)$ 

という性質があるため、時間反転と空間反転との両方に対称性を持ち、縮退のないバンド中では $\bm\Omega=0$ になり、Berry 位相はゼロになる(磁束密度がゼロの時の磁束に対応)。

一方、そのような場合にも Berry 接続自体は有限になり、Zak 位相が有限となる場合が生じる(磁場がなくてもベクトルポテンシャルは存在する可能性あり)。

この議論は磁場がない空間でもベクトルポテンシャルは有限になっており、その空間での波動関数に影響を及ぼしうるというアハラノフ=ボーム効果(AB 効果)のアナロジーとして理解できるとのこと。


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