量子力学Ⅰ/3次元調和振動子 のバックアップの現在との差分(No.17)

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#mathjax
&katex();

* 目次 [#p212d2aa]

#contents

* 復習:$x,y,z$ 座標で解いた3次元調和振動子 [#a46a099a]

バネ定数 &math(K=m\omega^2); (&math(\omega); は系の固有角振動数)
バネ定数 $K=m\omega^2$ ($\omega$ は系の固有角振動数)
の3次元調和振動子に対する時間を含まないシュレーディンガー方程式を
&math(x,y,z); について変数分離して解けば、その解は &math(\varphi(x,y,z)=X(x)Y(y)Z(z)); 
の形となり、&math(X(x),Y(y),Z(z)); はそれぞれ1次元調和振動子に対する解となることを
$x,y,z$ について変数分離して解けば、その解は $\varphi(x,y,z)=X(x)Y(y)Z(z)$ 
の形となり、$X(x),Y(y),Z(z)$ はそれぞれ1次元調和振動子に対する解となることを
[[量子力学Ⅰ/調和振動子#y596d643]] で学んだ。

すなわち &math(r_0=\sqrt{\hbar/m\omega}); およびエルミート多項式 &math(H_n); を使って、
すなわち $r_0=\sqrt{\hbar/m\omega}$ およびエルミート多項式 $H_n$ を使って、

 &math(\varphi_{n_xn_yn_z}(x,y,z)=H_{n_x}(x/r_0)H_{n_y}(y/r_0)H_{n_z}(z/r_0)e^{-\frac{r^2}{2r_0^2}});
$$\begin{aligned}\varphi_{n_xn_yn_z}(x,y,z)=H_{n_x}(x/r_0)H_{n_y}(y/r_0)H_{n_z}(z/r_0)e^{-\frac{r^2}{2r_0^2}}\end{aligned}$$

対応するエネルギーは &math(N=n_x+n_y+n_z); を用いて、
対応するエネルギーは $N=n_x+n_y+n_z$ を用いて、

 &math(
$$\begin{aligned}
\varepsilon_{n_xn_yn_z}&=\hbar\omega(n_x+n_y+n_z+3/2)\\
&=\hbar\omega(N+3/2)\\
);
\end{aligned}$$

したがって、エネルギー量子数 $N$ に対する縮退度は次のようになる。

|CENTER:|LEFT:|CENTER:|c
|&math(N=n_x+n_y+n_z);|     &math((n_xn_yn_z));     |縮退度|
|$N=n_x+n_y+n_z$|     $(n_xn_yn_z)$     |縮退度|
|0|(0 0 0)|1|
|1|(1 0 0), (0 1 0), (0 0 1)|3|
|2|(2 0 0), (0 2 0), (0 0 2)|6|
|~|(1 1 0), (1 0 1), (0 1 1)|~|
|3|(3 0 0), (0 3 0), (0 0 3)|10|
|~|(2 1 0), (0 2 1), (1 0 2)|~|
|~|(1 2 0), (0 1 2), (2 0 1)|~|
|~|(1 1 1)                  |~|

* 球座標で解いた3次元調和振動子 [#fe164113]

一方、この問題は球対称なポテンシャル

 &math(V(r,\theta,\phi)=\frac{1}{2}Kr^2);
$$\begin{aligned}V(r,\theta,\phi)=\frac{1}{2}Kr^2\end{aligned}$$

の中での運動であるから、球座標で展開して解けば

 &math(\varphi_{nlm}'(r,\theta,\phi)=R_n{}^l(r)Y_l{}^m(\theta,\phi));
$$\begin{aligned}\varphi_{nlm}'(r,\theta,\phi)=R_n{}^l(r)Y_l{}^m(\theta,\phi)\end{aligned}$$

の形の解が得られる。このとき、

 &math(\varepsilon=\varepsilon_n{}^l);
$$\begin{aligned}\varepsilon=\varepsilon_n{}^l\end{aligned}$$

と表せ、エネルギーは &math(m); の値によらない。
と表せ、エネルギーは $m$ の値によらない。

|CENTER:60|CENTER:60|CENTER:200|CENTER:60|c
|状態|l|m|縮退度|
|s|0|0|1|
|p|1|-1, 0, +1|3|
|d|2|-2, -1, 0, 1, 2|5|
|f|3|-3, -2, -1, 0, 1, 2, 3|7|
|状態|l|$m$|縮退度|
|$s$|$0$|$0$|$1$|
|$p$|$1$|$-1, 0, +1$|$3$|
|$d$|$2$|$-2, -1, 0, 1, 2$|$5$|
|$f$|$3$|$-3, -2, -1, 0, 1, 2, 3$|$7$|

ただし、水素原子のところでも見たとおり、ポテンシャルの形状によっては &math(m); 
に対する縮退以外にも、異なる &math(l); を持つ状態が縮退することがある。
ただし、水素原子のところでも見たとおり、ポテンシャルの形状によっては $m$ 
に対する縮退以外にも、異なる $l$ を持つ状態が縮退することがある。

* 両者の関係は? [#i65992c1]

次に見るとおり、

- &math(N=0); の縮退度は 1 → &math(l=0); (縮退度 1 の s 状態)
- &math(N=1); の縮退度は 3 → &math(l=1); (縮退度 3 の p 状態)
- &math(N=2); の縮退度は 6 → &math(l=2); (縮退度 5 の d 状態) と &math(l=0); (縮退度 1 の s 状態) が縮退
- &math(N=3); の縮退度は 10 → &math(l=3); (縮退度 7 の f 状態) と &math(l=1); (縮退度 3 の p 状態) が縮退
- $N=0$ の縮退度は 1  →  $l=0$ (縮退度 1 の $s$ 状態)
- $N=1$ の縮退度は 3  →  $l=1$ (縮退度 3 の $p$ 状態)
- $N=2$ の縮退度は 6  →  $l=2$ (縮退度 5 の $d$ 状態) と $l=0$ (縮退度 1 の $s$ 状態) が縮退
- $N=3$ の縮退度は 10 →  $l=3$ (縮退度 7 の $f$ 状態) と $l=1$ (縮退度 3 の $p$ 状態) が縮退

にそれぞれ対応している。

* 演習:球座標による解の縮退 [#jd93721a]

&math(x,y,z); 座標で変数分離して得られる解と、
&math(r,\theta,\phi); 座標で変数分離して得られる解との関係を明らかにしたい。
$x,y,z$ 座標で変数分離して得られる解と、
$r,\theta,\phi$ 座標で変数分離して得られる解との関係を明らかにしたい。

(1) 3次元調和振動子に対する動径方向の方程式は、
&math(r/r_0=\xi); と書き換え、&math(rR(r)=X(\xi)); と置けば、
$r/r_0=\xi$ と書き換え、$rR(r)=X(\xi)$ と置けば、

&math(
$$
X''(\xi)=\Big[\xi^2-\frac{2\varepsilon}{\hbar\omega}+\frac{l(l+1)}{\xi^2}\Big]X(\xi)
);
$$

となることを示せ。(&math(l=0); のとき、この式は1次元調和振動子の式と一致する)
となることを示せ。($l=0$ のとき、この式は1次元調和振動子の式と一致する)

(2) &math(\frac{d^2}{d\xi^2}\left(\xi^k e^{-\xi^2/2}\right)=\left(\xi^2-(2k+1)+\frac{(k-1)k}{\xi^2}\right)\xi^k e^{-\xi^2/2}); を確かめよ。
(2) $\frac{d^2}{d\xi^2}\left(\xi^k e^{-\xi^2/2}\right)=\left(\xi^2-(2k+1)+\frac{(k-1)k}{\xi^2}\right)\xi^k e^{-\xi^2/2}$ を確かめよ。

(3) &math(X(\xi)=\xi^{l+1} e^{-\frac{\xi^2}{2}}); が
&math(\varepsilon=\left(l+\frac{3}{2}\right)\hbar\omega); に対する固有関数となることを示せ。
(3) $X(\xi)=\xi^{l+1} e^{-\frac{\xi^2}{2}}$ が
$\varepsilon=\left(l+\frac{3}{2}\right)\hbar\omega$ に対する固有関数となることを示せ。

(4) &math(X(\xi)=\left(\xi^{l+1}-\frac{2}{2l+3}\xi^{l+3}\right)e^{-\xi^2/2});
が &math(\varepsilon=\left(l+\frac{7}{2}\right)\hbar\omega);
(4) $X(\xi)=\left(\xi^{l+1}-\frac{2}{2l+3}\xi^{l+3}\right)e^{-\xi^2/2}$
が $\varepsilon=\left(l+\frac{7}{2}\right)\hbar\omega$
に対する固有関数となることを示せ。

(5) (発展)&math(X_n{}^l(\xi)=\left(\sum_{k=0}^n c_k\xi^{2k}\right)\xi^{l+1}e^{-\xi^2/2});
が &math(\varepsilon=\left(l+2n+\frac{3}{2}\right)\hbar\omega);
に対する固有関数となるよう &math(c_k); を定めよ。
(5) (発展)$X_n{}^l(\xi)=\left(\sum_{k=0}^n c_k\xi^{2k}\right)\xi^{l+1}e^{-\xi^2/2}$
が $\varepsilon=\left(l+2n+\frac{3}{2}\right)\hbar\omega$
に対する固有関数となるために要求される $c_k$ に対する漸化式を求めよ。

~

[[● 解答はこちら>@量子力学Ⅰ/3次元調和振動子/メモ#ne558c03]]

** 解説 [#k1911005]

(3) で &math(l=0); とすれば &math(R(r)\propto e^{-\xi^2/2}); となって、&math(N=0); の解に相当する。
(1) において $l=0$ とすれば1次元調和振動子と同じ方程式となる。

(3) で &math(l=1); とすれば &math(R(r)\propto \xi e^{-\xi^2/2}); となって、&math(N=1); の解に相当する。
(3) で $l=0$ とすれば $R(r)\propto e^{-\xi^2/2}$ となって、$N=0$ の解に相当する。

(3) で &math(l=2); とした &math(R(r)\propto \xi^2 e^{-\xi^2/2}); と、
(4) で &math(l=0); とした &math(R(r)\propto \left(\xi-\frac{2}{3}\xi^3\right)e^{-\xi^2/2}); とは同じエネルギーを持ち(縮退しており)、&math(N=2); の解に相当する。
(3) で $l=1$ とすれば $R(r)\propto \xi e^{-\xi^2/2}$ となって、$N=1$ の解に相当する。

(3) で &math(l=3); とした &math(R(r)\propto \xi^3 e^{-\xi^2/2}); と、
(4) で &math(l=1); とした &math(R(r)\propto \left(\xi^2-\frac{2}{5}\xi^4\right)e^{-\xi^2/2}); とは同じエネルギーを持ち(縮退しており)、&math(N=3); の解に相当する。
(3) で $l=2$ とした $R(r)\propto \xi^2 e^{-\xi^2/2}$ と、
(4) で $l=0$ とした $R(r)\propto \left(\xi-\frac{2}{3}\xi^3\right)e^{-\xi^2/2}$ とは同じエネルギーを持ち(縮退しており)、$N=2$ の解に相当する。

(3) で $l=3$ とした $R(r)\propto \xi^3 e^{-\xi^2/2}$ と、
(4) で $l=1$ とした $R(r)\propto \left(\xi^2-\frac{2}{5}\xi^4\right)e^{-\xi^2/2}$ とは同じエネルギーを持ち(縮退しており)、$N=3$ の解に相当する。

(5) のように、一般には 

 &math(X_n{}^l(\xi)=(\xi の 2n 次多項式)\ \xi^{l+1} e^{-\xi^2/2}); 
#ref(3d-oscillator-energies.svg,around,right);
$$\begin{aligned}X_n{}^l(\xi)=\big(\xi\ \text{の}\ 2n\,\text{ 次多項式}\big)\ \xi^{l+1} e^{-\xi^2/2}\end{aligned}$$ 

の形で &math(\varepsilon=(l+2n+3/2)\hbar\omega); に対する固有関数を作れるから&math((n=0,1,2,\dots));、
&math(N=l+2n); となるように &math(l,n); を選べば &math(N); と同じエネルギーを与える。
の形で $\varepsilon=(l+2n+3/2)\hbar\omega$ に対する固有関数を作れるから$(n=0,1,2,\dots)$、
$N=l+2n$ となるように $l,n$ を選べば $N$ と同じエネルギーを与える。

たとえば &math(N=4); なら以下の通り15重に縮退する。
- &math(n=0,\ l=4); の 9 個
- &math(n=1,\ l=2); の 5 個
- &math(n=2,\ l=0); の 1 個
たとえば $N=4$ なら以下の通り15重に縮退する(図中の赤の点線に相当する)。
- $n=2,\ l=0$ の 1 個
- $n=1,\ l=2$ の 5 個
- $n=0,\ l=4$ の 9 個

* グラフ形状 [#ve6ee106]

&math(X_n^l(\xi)); をプロットした。
距離を $r_0$ を単位として測った動径分布関数 $|X_n^l(\xi)|^2$ をプロットした。

&attachref(spherical_harmonic_oscillation.svg,,ogp); 

上でも述べたように $l=0$ の解は1次元調和振動子の解にもなっているが、
$\varepsilon_n^l=\hbar\omega(2n+3/2)$ となっていることからも分かるとおり、

$$
(\text{1次元調和振動子の}\ n)=2(\text{動径運動量の}\ n)+1
$$

という対応になっている。例えば上の $n=0$ のグラフは、一次元調和振動子の
$n=1$ のグラフの右半分、$n=1$ のグラフは一次元調和振動子の $n=3$ のグラフの右半分と重なる。

球対称な箱形ポテンシャルと同様に、

- n が増加すると振動回数が増える → r 方向の運動量が大きくなる
- l が増加すると角運動量が増える → 遠心力で外側へ寄る
- $n$ が増加すると振動回数が増える → $r$ 方向の運動量が大きくなり振幅も増える
- $l$ が増加すると角運動量が増える → 原点付近の存在確率密度が低下する

エネルギーは &math((l+2n+3/2)\hbar\omega); なので、
n の増加は l の増加の2倍、エネルギーを増やす。
$l,n$ が増加すると運動エネルギーが増えるほか、分布が原点から遠ざかるためポテンシャルエネルギーが増加する。当然、$l$ が増えれば遠心力ポテンシャルのエネルギーも増加する。

n の増加は調和振動子の振幅の増加に当たり、
ポテンシャルエネルギーが大きく増加するためだ。
エネルギーは $(l+2n+3/2)\hbar\omega$ なので、
$n$ の増加は $l$ の増加の2倍、エネルギーを増やす。

* $N=0$ の解 [#d4bfce50]

 &math(
\varphi_{000}(\bm r)
&=\left(\frac{4\pi}{r_0}\right)^{3/4}e^{-\frac{r^2}{2r_0^2}}
&\propto e^{-\frac{r^2}{2r_0^2}}
);
$$\begin{aligned}
\varphi_{\!\!\underbrace{000}_{n_xn_yn_z}}\!\!\!(x,y,z)
&=\Big(\frac 1{\sqrt\pi\,r_0}\Big)^{3/2}e^{-(x^2+y^2+z^2)/2r_0^2}\\
&=\underbrace{\sqrt{4\pi}\Big(\frac 1{\sqrt\pi\,r_0}\Big)^{3/2}e^{-\frac{r^2}{2r_0^2}}}_{R_0^0(r)}\cdot\underbrace{\frac1{\sqrt{4\pi}}}_{Y_0^0(r,\theta,\phi)}\\
&=\varphi_{\underbrace{0,0,0}_{n,l,m}}(r,\theta,\phi)
\end{aligned}$$

は &math(\theta,\phi); に依存しない。
すなわち $n=0$ の解は $1s$ 状態そのものであることが分かる。$s$ 状態の特徴として、波動関数自体が球対称になっている。

一方、&math(Y_0{}^0=1/\sqrt{4\pi}); も &math(\theta,\phi); に依存しないので、
* $N=1$ の解 [#zc579fdf]

 &math(
\varphi_{000}(\bm r)
&\propto e^{-\frac{r^2}{r_0^2}}\,Y_0{}^0\\
);
$N=l+2n=1$ は $n=0,l=1$ を表すから、球座標における解は

と書ける。
$$\begin{aligned}\varphi_{0,1,m}(r,\theta,\phi)\propto\underbrace{\frac{r}{r_0}e^{-\frac{r^2}{2r_0^2}}}_{\propto\, R_0^1(r)}\,Y_1{}^m(\theta,\phi)\end{aligned}$$

すなわち &math(n=0); の解は s 状態であり、&math(\varphi_{000}); に対して &math(\hat l^2=0,\hbar l_z=0); であることが分かる。
と表される。ただし $m=-1,0,1$ である。

* $N=1$ の解 [#zc579fdf]
一方、$x,y,z$ 座標で解いた解は $N=n_x+n_y+n_z=1$ より、$(n_x,n_y,n_z)=(100),(010),(001)$ のいずれかとなり、それぞれ $p_x,p_y,p_z$ 軌道に相当する。

 &math(
\varphi_{100}(\bm r)\propto xe^{-\frac{r^2}{2r_0^2}}
=r\sin\theta\cos\phi e^{-\frac{r^2}{2r_0^2}}
);
両者の関係は、

 &math(
\varphi_{010}(\bm r)\propto ye^{-\frac{r^2}{2r_0^2}}
=r\sin\theta\sin\phi e^{-\frac{r^2}{2r_0^2}}
);
$$\begin{aligned}
p_x:\ \varphi_{100}(x,y,z)&\propto \frac x{r_0}e^{-\frac{r^2}{2r_0^2}}
=\frac r{r_0}\sin\theta\cos\phi \,e^{-\frac{r^2}{2r_0^2}}\\
&\propto \underbrace{\frac r{r_0}\,e^{-\frac{r^2}{2r_0^2}}}_{=\,R_0^1(r)}\cdot\big\{\underbrace{(-\sin\theta e^{i\phi})}_{\propto\,Y_1^1}-\underbrace{\sin\theta e^{-i\phi}}_{\propto\,Y_1^{-1}}\big\}/2\\
&= \frac{-1}{\sqrt2}\big\{\varphi_{0,1,1}(r,\theta,\phi)-\varphi_{0,1,-1}(r,\theta,\phi)\big\}
\end{aligned}$$

 &math(
\varphi_{001}(\bm r)\propto ze^{-\frac{r^2}{2r_0^2}}
=r\cos\theta e^{-\frac{r^2}{2r_0^2}}
);
同様に、

一方、
$$\begin{aligned}
p_y:\ \varphi_{010}(x,y,z)
&= \frac{i}{\sqrt2}\big\{\varphi_{0,1,1}(r,\theta,\phi)+\varphi_{0,1,-1}(r,\theta,\phi)\big\}
\end{aligned}$$

 &math(Y_1{}^0\propto \cos\theta);
$$\begin{aligned}
p_z:\ \varphi_{001}(x,y,z)&= \varphi_{0,1,0}(r,\theta,\phi)
\end{aligned}$$

 &math(Y_1{}^{\pm 1}\propto \pm e^{i\phi}\sin\theta);
の関係があることが分かる。

より、
同じ固有値に属する固有関数の線形結合はやはり固有関数であるため、
これらの $p_x,p_y,p_z$ はすべて $l=1$ の固有関数、すなわち $p$ 状態である。

 &math(
\varphi_{100}(\bm r)\propto re^{-\frac{r^2}{2r_0^2}}\,(Y_1{}^1-Y_1{}^{-1})
);
一方、$p_z$ に関しては $m=0$ の固有関数となるものの、$p_x,p_y$ に関しては $m=1$ と $m=-1$ の状態の線形結合となるため、$\hat l_z$ の固有関数とはならない。
これら2つについて $l_z$ を測定すれば、$1/2$ の確率で $\hbar$ が、
$1/2$ の確率で $-\hbar$ が、観測されることになる(それぞれ $m=+1,-1$ に対応する)。

 &math(
\varphi_{010}(\bm r)\propto re^{-\frac{r^2}{2r_0^2}}\,(Y_1{}^1+Y_1{}^{-1})
);
数学的にはエネルギー固有値 $\varepsilon=(1+\frac32)\hbar\omega$ の固有空間は3次元であり、

 &math(
\varphi_{001}(\bm r)\propto re^{-\frac{r^2}{2r_0^2}}\,Y_1{}^0
);
$$\varphi_{100}(x,y,z), \varphi_{010}(x,y,z), \varphi_{001}(x,y,z)$$

すなわち、&math(N=1); に対応する &math(\varphi_{n_xn_yn_z}); はすべて、
と、

 &math(\frac{r}{r_0}e^{-\frac{r^2}{2r_0^2}}\,Y_1{}^m(\theta,\phi));
$$\varphi_{1,0,-1}(r,\theta,\phi),\varphi_{1,0,0}(r,\theta,\phi),\varphi_{1,0,+1}(r,\theta,\phi)$$

の形の関数の線形結合で表されることが分かる。
とはどちらもこの空間を張る正規直交基底となっている。
両者を結ぶ上記の方程式は基底の変換に対応し、行列を使えば

同じ固有値に属する固有関数の線形結合はやはり固有関数であるため、
これらの &math(\varphi); に対して、
$$
\begin{pmatrix}
\varphi_{100}&\varphi_{010}&\varphi_{001}
\end{pmatrix}=
\begin{pmatrix}
\varphi_{0,1,1}&\varphi_{0,1,0}&\varphi_{0,1,-1}
\end{pmatrix}
\begin{pmatrix}
{}-1/\sqrt2&i/\sqrt2&0\\
0&0&1\\
1/\sqrt2&i/\sqrt2&0\\
\end{pmatrix}
$$

 &math(\hat H\varphi=(1+3/2)\hbar\omega\varphi=\frac{5}{2}\hbar\omega\varphi);
と書ける。これは正規直交基底から正規直交基底への基底の変換行列であるからユニタリー行列となっている。

 &math(\hat{\bm l}^2\varphi=1(1+1)\hbar\omega\varphi=2\hbar\omega\varphi);
* $N=2$ および $N=3$ の解 [#d984bf3e]

が成り立つ。&math(\hat{\bm l}^2=2\hbar); より、これらは &math(p); 状態である。
$N=2$ の解のうち、

一方、&math(\hat l_z); に対しては、
 $\begin{aligned}\varphi_{200},\ \varphi_{020},\ \varphi_{002}\end{aligned}$ は $l=0$ の解と $l=2$ の解の線形結合で、

 &math(\hat l_z\varphi_{001}=0\hbar \varphi_{001}=0);
 $\begin{aligned}\varphi_{110},\ \varphi_{011},\ \varphi_{101}\end{aligned}$ は $l=2$ の解のみで

であるものの、&math(\varphi_{100},\varphi_{010}); は &math(\hat l_z); の固有関数ではない。
これら2つについて &math(l_z); を測定すれば、&math(1/2); の確率で &math(\hbar); が、
&math(1/2); の確率で &math(-\hbar); が、観測されることになる。
それぞれ表せる。すなわち後者は $d$ 状態に対応するが、前者は $s$ 状態と $d$ 状態の混合、
すなわち $\hat{\bm l}^2$ の固有関数ではなく、
全角運動量を測定すれば 1/3 の確率で $l=0$ を、2/3 の確率で $l=2$ を取る。

&math(\varphi_{100},\varphi_{010}); はそのままでは &math(\hat l_z); の固有関数ではないが、
$N=3$ の解のうち、

 &math(\varphi_{100}+i\varphi_{010}\propto Y_1{}^1);
 $\begin{aligned}\varphi_{111}\end{aligned}$ は純粋な $f$ 状態であるが、

 &math(\varphi_{100}-i\varphi_{010}\propto Y_1{}^{-1});
 他は、$p$ 状態と $f$ 状態の混合となっている。

とすることにより &math(\hat l_z); のそれぞれ &math(m=1,-1); の固有関数となる。
[[詳しい計算はこちら>@量子力学Ⅰ/3次元調和振動子/メモ]]

物理的に見れば、&math(z); 方向に振動する &math(\varphi_{001}); については &math(z); 
軸周りの角運動量はゼロであり、&math(x,y); 方向に振動する &math(\varphi_{100},\varphi_{010}); 
についてもそれら単独ではやはり &math(z); 軸周りの角運動量の期待値はゼロである。
* 正規直交系同士の変換 [#l1680560]

しかし、&math(x); 方向に振動しつつ同時に &math(y); 方向にも振動する場合、
その位相によっては &math(z); 軸周りの角運動量が生じることになる。
ここで見たように、エネルギー量子数 $N=n_x+n_y+n_z=l+2n$ で指定されるエネルギー固有値 $\varepsilon_N$ は $N\ne 0$ に対して縮退しており、その固有空間に取った2つの正規直交完全系が
$\big\{\varphi_{n_xn_yn_z}\big\}$ および $\big\{\varphi_{n,l,m}\big\}$ である。

ここでは &math(\pm i=e^{\pm \pi/2}); をかけて足しており、
物理的には &math(x); 方向の振動に対して &math(y); 方向の振動の位相が &math(\pm \pi/2); 
だけずれていることに対応する。
すなわち、&math(x); が &math(\sin\omega t); 的な振動をするとき
&math(y); が &math(\pm\cos\omega t); 的に振動することになり、
これはすなわち &math(z); 軸の周りの左回り/右回りの円運動に他ならない。
このような正規直交系同士の間の変換はユニタリー行列で表される。

* $N=2$ および $N=3$ の解 [#d984bf3e]
ここで2つの正規直交系の変換行列 $U$ は [[線形代数IIで学んだ基底の変換行列>線形代数II/基底の変換#lb2f5ba0]] のように、

&math(N=2); の解のうち、
$$
\Big( \varphi_{n_xn_yn_z}\ \varphi_{n'_xn'_yn'_z}\ \dots\ \varphi_{n^{\prime\prime}_xn^{\prime\prime}_yn^{\prime\prime}_z} \Big)=\Big( \varphi_{n,l,m}\ \varphi_{n',l',m'}\ \dots\ \varphi_{n^{\prime\prime},l^{\prime\prime},m^{\prime\prime}} \Big)U
$$

 &math(\varphi_{200},\ \varphi_{020},\ \varphi_{002}); は &math(l=0); の解と &math(l=2); の解の線形結合で、
として定義される。

 &math(\varphi_{110},\ \varphi_{011},\ \varphi_{101}); は &math(l=2); の解のみで
例えば、$N=0$ の

それぞれ表せる。すなわち後者は d 状態に対応するが、前者は s 状態と d 状態の混合、
すなわち &math(\hat{\bm l}^2); の固有関数ではなく、
全角運動量を測定すれば 1/3 の確率で &math(l=0); を、2/3 の確率で &math(l=2); を取る。
$$
\Big(\ \varphi_{\!\!\underbrace{0\,0\,0}_{n_xn_yn_z}}\ \Big)=\Big(\ \varphi_{\underbrace{0,0,0}_{n,l,m}}\ \Big)\Big(\ 1\ \Big)
$$

&math(N=3); の解のうち、
は自明だとしても、$N=1$ の

 &math(\varphi_{111}); は純粋な f 状態であるが、
$$
\Big(\ \varphi_{\!\!\!\!\underbrace{100}_{n_xn_yn_z}}\ \varphi_{010}\ \varphi_{001}\ \Big)=
\Big(\ \varphi_{0,1,-1}\ \varphi_{0,1,0}\ \varphi_{\underbrace{0,1,1}_{n,l,m}}\ \Big)
\ \underbrace{\begin{pmatrix}-1/\sqrt 2&i/\sqrt 2&0\\0&0&1\\1/\sqrt 2&i/\sqrt 2&0 \end{pmatrix}\rule[-20pt]{0pt}{0pt}}_{U}
$$

 他は、p 状態と f 状態の混合となっている。
に対しては、

[[詳しい計算はこちら>@量子力学Ⅰ/3次元調和振動子/メモ]]
$$
U^\dagger U=
\begin{pmatrix}-1/\sqrt 2&0&1/\sqrt 2\\-i/\sqrt 2&0&-i/\sqrt 2\\0&1&0 \end{pmatrix}
\begin{pmatrix}-1/\sqrt 2&i/\sqrt 2&0\\0&0&1\\1/\sqrt 2&i/\sqrt 2&0 \end{pmatrix}=
\begin{pmatrix}1&0&0\\0&1&0\\0&0&1 \end{pmatrix}
$$

を確かめられる。

2つの正規直交系 $\{\phi_i\}$ と $\{\psi_i\}$ の間の変換行列 $U$ がユニタリーになることは以下のように導ける。

$U$ の要素を $u_{ij}$ として、

$$
U=\Big(\ u_{ij}\ \Big)
$$

と置くと、

$$
\begin{pmatrix}\phi_1&\phi_1&\dots&\phi_n\rule[-5px]{0px}{15px}\end{pmatrix}=
\begin{pmatrix}\psi_1&\psi_1&\dots&\psi_n\rule[-5px]{0px}{15px}\end{pmatrix}U
$$

は、

$$
\phi_i=\sum_k \psi_k u_{ki}
$$

の関係を表す。これを使って $\big\{\phi_i\big\}$ の正規直交性を変形すると、

$$
\begin{aligned}
\Big(\phi_i,\ \phi_j\Big)
&=\sum_k\sum_l \Big(\psi_k,\ \psi_l\Big)u_{ki}^*u_{lj}\\
&=\sum_k\sum_l \delta_{kl}u_{ki}^*u_{lj}\\
&=\sum_k u_{ki}^*u_{kj}=\delta_{ij}\\
\end{aligned}
$$

を得るが、これはそのままユニタリーの条件 

$$U^\dagger U=E$$ 

を表している。

~
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