射影・直和・直交直和 のバックアップソース(No.2)

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#contents

* ベクトルの成分 [#x61c2758]

ある規格化されたベクトル &math(\bm e); が与えられ、~
別のベクトル &math(\bm x); を 
&math(\bm e); に平行な成分 &math(\bm x_{\parallel}); と、
&math(\bm e); に平行な成分 &math(\bm x_{\perp}); とに分けることを考える。

&math(\bm x=\bm x_{\parallel}+\bm x{\perp});

&math(\bm x_{\parallel}); は &math(\bm e); と平行なので、

&math(\bm x_{\parallel}=x_{\parallel} \bm e); 

と書き直すと、

&math(\bm x=x_{\parallel}\bm e+\bm x{\perp});

両辺に左から &math(\bm e); をかけることで、

&math((\bm e,\bm x)=x_{\parallel});

が得られ、

&math(\bm x_{\parallel}=(\bm e,\bm x)\bm e);~
&math(\bm x_{\perp}=\bm x-\bm x_\parallel=\bm x-(\bm e,\bm x)\bm e);

としてこれらのベクトルを求められる。~
(同じことをグラム・シュミットの直交化の中で行った)

この &math(\bm x_\parallel); を &math(\bm x); の &math(\bm e); 方向成分と呼ぶ。

*** 注意 [#s8228082]

複素ベクトルに対しては &math((\bm x,\bm e)\ne(\bm e,\bm x)); なので、
どちらから掛けるかが重要になる。

&math((\bm e,x_\parallel \bm e)=x_{\parallel}); だが、
&math((x_\parallel \bm e,\bm e)=\overline{x_{\parallel}}); となってしまう。

* 射影演算子 [#c9c77b82]

&math(
\bm x_{\parallel}&=(\bm e,\bm x)\bm e\\
&=\bm e (\bm e,\bm x)\\
&=\bm e \bm e^\dagger \bm x\\
&=P_{\bm e} \bm x
);

ただし、&math(P_{\bm e}=\bm e\bm e^\dagger); である。

この行列は &math(\bm x); から &math(\bm e); 方向成分を取り出す行列となる。

&math(P_{\bm e}); を &math(\bm e); 軸への射影演算子と呼ぶ。

** 射影演算子はエルミート行列になる。 [#tee56cfe]

&math(\big(P_{\bm e}\big)_{ij}=e_j \overline{e_i});

&math(\big(P_{\bm e}\big)_{ji}=e_i \overline{e_j}=\overline{(e_j \overline{e_i})});

より、&math(\big(P_{\bm e}\big)_{ji}=\overline{\big(P_{\bm e}\big)_{ij}});

* 直和 [#u527a7fd]

あるベクトルを「成分」に分ける話を一般化する。

&math(W_1,W_2,\dots,W_r); を &math(V); の部分空間とし、~
各 &math(W_k); の基底をすべて合わせると &math(V); の基底となる場合、~
その基底を &math(B=\langle\bm b_1,\bm b_2,\dots,\bm b_n\rangle); とすると、

&math(
\bm x&=\underbrace{x_1\bm b_1+x_2\bm b_2}_{\bm x_1\in W_1}
+\underbrace{x_3\bm b_3+\ \ }_{\bm x_2\in W_2}
\dots\underbrace{\ \ +x_n\bm b_n}_{\bm x_r\in W_r}\\
&=\bm x_1+\bm x_2+\dots+\bm x_r
);

のように、&math(\{W_k\}); のベクトル &math(\{\bm x_k\}); 
(&math(W_k);成分)の和として一意に表せる。

このような場合に
&math(V=W_1\dot +W_2\dot +W_3\dot +\dots\dot +W_r); と書き、~
&math(V); は &math(W_1,W_2,\dots,W_r); の直和である、という。

具体的な &math(\bm x_k); の値を求めるには、
基底 &math(B); に対する &math(\bm x); の成分をすべて求めないとならないが、
一般にこれはそれほど簡単ではない。

* 直交直和 [#d251a548]

各 &math(W_k); の''正規直交''基底をすべて合わせると &math(V); の''正規直交''基底となる場合、
&math(V=W_1\oplus W_2\oplus W_3\oplus \dots\oplus W_r); と書き、~
&math(V); は &math(W_1,W_2,\dots,W_r); の直交直和である、という。

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