ベクトル空間と線形写像 のバックアップ差分(No.3)

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[[線形代数I]]

#contents

* ベクトルとは? [#lddf658e]

- 縦数ベクトル:&math(\begin{bmatrix}a_1\\a_2\\\vdots\\a_n\end{bmatrix}); 
- 横数ベクトル:&math(\begin{bmatrix}a_1&a_2&\cdots&a_n\end{bmatrix});
- 幾何ベクトル:&math(\overrightarrow{\rm AB});
- そのほかにも様々なものをベクトルと見なせる

直交座標の成分表示で幾何ベクトルを数ベクトルと1対1に対応させられる。

* ベクトル空間とベクトル [#g900c89e]

上記のように、

- &math(k\bm a); (スカラー倍)
- &math(\bm a+\bm b); (和)

が内部で定義されている集合を「ベクトル空間」と言い、~
その要素を「ベクトル」と言う。

詳しい定義は線形代数学IIで学ぶことになる。

** 集合について [#xe9fe451]

集合とは : 「要素」を含む物

集合については、ある要素を含むか、含まないか、が主な興味となる。

&math(A,B); を集合、&math(x); を要素とすると、

- &math(A=\{x_1,x_2,x_3\}); : &math(A); は &math(x_1,x_2,x_3); の3つの要素からなる集合である
- &math(x \in A); : &math(x); が &math(A); に含まれる
- &math(A \subseteq B); : &math(x \in A); なら &math(x \in B); である
-- すなわち &math(A); が &math(B); に含まれる
-- あるいは &math(A); が &math(B); の部分集合である
- &math(A \subset B); : &math(A \subseteq B); かつ &math(A\ne B);

** 演算が「内部で定義されている」ということ [#z8cc3db5]

たとえば、&math(A=\left\{\begin{bmatrix}1\\2\end{bmatrix}, \begin{bmatrix}-1\\3\end{bmatrix}\right\}); という集合を考える。

これは2つのベクトルを含む「ベクトルの集合」であるが、スカラー倍や和に対して「閉じていない」。

例:&math(\begin{bmatrix}1\\2\end{bmatrix}+ \begin{bmatrix}-1\\3\end{bmatrix} \notin A);

したがって、こういう集合はベクトル空間とは言わない。

* n 次元数ベクトル空間 [#y894dd16]

- 実数の集合を &math(\mathbb{R});
- &math(n); 次元(縦)実数ベクトル空間を &math(\mathbb{R}^n);

と書くことにする。

以下では主に実数ベクトル空間について学ぶが、これらを

- 複素数の集合 &math(\mathbb C);
- &math(n); 次元複素数の集合 &math(\mathbb C^n);

に置き換えても、すべての定理が成立することに注意せよ。

* 1次結合(線形結合) [#q7562ea7]

&math(c_1\bm a_1+c_2 \bm a_2+ \dots+c_r \bm a_r = \sum_{k=1}^r c_k\bm a_k); 

の形を &math(\bm a_1, \bm a_2, \dots, \bm a_r); の「一次結合」と言う。

例1:

&math(\bm a, \bm b); の一次結合: &math(3\bm a+\bm b);, &math(\bm a-\bm b);, &math(-2\bm a);

例2:

&math(\bm a=\begin{bmatrix}a_1\\a_2\\\vdots\\a_n\end{bmatrix}\in \mathbb R^n); は、
基本ベクトル &math(\bm e_1, \bm e_2, \dots, \bm e_n); を用いて、
&math(\bm b); を &math(\bm a_1, \bm a_2, \dots, \bm a_r); の一次結合で表せるか?というような問題が出されることがある。これは、

&math(\bm a=\sum_{k=1}^ra_k\bm e_k); 
&math(\bm b=x_1\bm a_1+x_2 \bm a_2+ \dots+x_r \bm a_r = \Bigg[\bm a_1\ \bm a_2\ \dots\ \bm a_r\Bigg]\begin{bmatrix}x_1\\x_2\\\vdots\\x_r\end{bmatrix}=A\bm x);

と表せる。これを「成分表示」と呼ぶ。
を満たす &math(\bm x); は存在するか?という問題と同値である。

例3:

&math(\bm b); を &math(\bm a_1, \bm a_2, \dots, \bm a_r); の一次結合で表せるか?というような問題が出されることがある。これは、
&math(\bm a=\begin{bmatrix}a_1\\a_2\\\vdots\\a_n\end{bmatrix}\in \mathbb R^n); は、
基本ベクトル &math(\bm e_1, \bm e_2, \dots, \bm e_n); の一次結合として、

&math(\bm b=x_1\bm a_1+x_2 \bm a_2+ \dots+x_r \bm a_r = \Bigg[\bm a_1\ \bm a_2\ \dots\ \bm a_r\Bigg]\begin{bmatrix}x_1\\x_2\\\vdots\\x_r\end{bmatrix}=A\bm x);
&math(\bm a=\sum_{k=1}^ra_k\bm e_k); 

を満たす &math(\bm x); は存在するか?という問題と同値である。
と表せる。これを「成分表示」と呼ぶ。

* 一次関係式 [#zc86d62d]
* 一次独立 [#n9fdd841]

&math(c_1\bm a_1+c_2 \bm a_2+ \dots+c_r \bm a_r =0); を &math(\bm a_1, \bm a_2, \dots, \bm a_r); の「一次関係式」と呼び、特に &math(c_1=c_2=\dots=c_r=0); の場合を「自明な一次関係式」と呼ぶ。
与えられた &math(\bm a_1, \bm a_2, \dots, \bm a_r); に対して、
&math(c_1\bm a_1+c_2 \bm a_2+ \dots+c_r \bm a_r = \bm o);
となるのが、&math(c_1=c_2=\dots=c_n=0); の時しかありえないなら、
&math(\bm a_1, \bm a_2, \dots, \bm a_r); を「1次独立である」と言う。

* 一次独立 [#n9fdd841]
- どんなベクトルが与えられても
&math(c_1=c_2=\dots=c_n=0); なら条件を満たすこと
- 与えられたベクトルによっては
&math(c_1=c_2=\dots=c_n=0); でなくても条件を満たすこと

&math(\bm a_1,\bm a_2,\dots,\bm a_r); が非自明な一次関係式を持たないとき、~
すなわち &math(\Bigg[\bm a_1\ \bm a_2\ \dots\ \bm a_n\Bigg]\bm x=\bm o); の解が &math(\bm x=\bm o); しか存在しないとき、~
&math(\bm a_1,\bm a_2,\dots,\bm a_r); は「1次独立(線形独立)」であると言う。
に注意せよ。

すなわち、&math(\bm a_1,\bm a_2,\dots,\bm a_r); が1次独立であるかどうかを調べるには &math(A\bm x=\bm o); を解けばよい。
例:
&math(2\begin{bmatrix}1\\2\end{bmatrix}+(-1)\begin{bmatrix}2\\4\end{bmatrix}+4\begin{bmatrix}0\\0\end{bmatrix}=\bm o);

* 一次従属 [#i67b37db]

一次独立でないことを「一次従属である」と言う。

例:&math(\bm a,\bm b,\bm c); は一次独立か、一次従属か?

例:&math(\bm a,\bm b,\bm c); が一次従属であるとき・・・

* 一次独立と行列の階数 [#m34ed33c]

一次独立の条件は &math(\Bigg[\bm a_1\ \bm a_2\ \dots\ \bm a_n\Bigg]\bm x=\bm o); の解が &math(\bm x=\bm o); しか存在しない、と言っても同じ。

&math(A\bm x=\bm o); が &math(\bm x=\bm o); 以外の解を持つ、というのは、
この方程式の一般解が1以上の自由度を持つ、という意味だから、

- &math(\bm a_1, \bm a_2, \dots, \bm a_r); が一次独立
- それらを並べた行列 &math(A); の階数が列数 &math(n); より小さい
&math((\rank A<n));

は同値な条件となる。

一次独立かどうかを調べるには rank を求めてベクトルの数と比べればよい。

例:
&math(\begin{bmatrix}1\\2\\2\end{bmatrix},\begin{bmatrix}2\\1\\2\end{bmatrix},\begin{bmatrix}2\\2\\a\end{bmatrix}); が一次独立になる条件を求めよ。

&math(\begin{bmatrix}1&2&2\\2&1&2\\2&2&a\end{bmatrix}\sim\begin{bmatrix}1&2&2\\0&-3&-2\\0&-2&a-4\end{bmatrix}\sim\begin{bmatrix}1&2&2\\0&1&-2a+6\\0&-2&a-4\end{bmatrix}\sim\begin{bmatrix}1&2&2\\0&1&-2a+6\\0&0&-3a+8\end{bmatrix});

したがって、&math(a=8/3); の時に一次従属であり、そうでなければ一次独立となる。

* A が正方の時 [#p53f7b35]

以下の条件は同値である。

- &math(\bm a_1,\bm a_2, \dots,\bm a_n); が一次独立
- &math(A\bm x=\bm o); の解が &math(\bm x=\bm o); のみ
- &math(\rank A=n);
- &math(A); が正則
- &math(|A|\ne 0);

すなわち、&math(n); 個の数ベクトルが一次独立であるかどうかを調べるには &math(|A|); を計算してみればよい。

* 生成される集合 [#v85dcbc2]
* 一次独立の重要な性質 [#v39c977c]

&math(\{\bm a_1,\bm a_2,\dots,\bm a_n\}); が一次独立なら
その部分集合も一次独立である

∵1列でも掃き出せなければ &math(\rank A<n); となるから

* 一次結合で生成される集合 [#v85dcbc2]

** 直線の方程式 [#v24a633d]

ある &math(\bm a); に対して、&math(\bm p=s\bm a); 
を満たす点の集合は原点を通り &math(\bm a); に平行な直線となる。

(&math(\bm a \ne \o); である限り)

** 平面の方程式 [#f6e0ae26]

ある &math(\bm a,\bm b); に対して、&math(\bm p=s\bm a+t\bm b); 
を満たす点の集合は原点を通り &math(\bm a,\bm b); に平行な平面となる。

(&math(\bm a\ne \bm o);, &math(\bm b\ne \bm o);, &math(\bm a \notparallel \bm b); である限り) 

** 空間図形とベクトル [#x090dd87]

* 線形空間 [#a3d996bb]
* 線形空間(ベクトル空間) [#a3d996bb]

線形代数IIで詳しく学ぶ。線形代数Iでは扱わない。

* 線形写像と表現行列 [#b96978d0]

&math(\bm a\in \mathbb R^n); を与えると &math(\bm a'\in \mathbb R^m); を返すような関数
&math(f:\mathbb R^n\rightarrow\mathbb R^m); を考える。

すなわち &math(\bm a'=f(\bm a));

&math(f); は様々な物が考えられるが、任意の &math(\bm a); に対して、必ず1つだけ &math(\bm a'); が決まることが重要である。&math(\mathbb R^n); のベクトル全てを、対応する &math(\mathbb R^m); のベクトルに変換する、という意味で、このような関数を「写像」と呼ぶこともある。

例:

&math(\bm a=\begin{bmatrix}x\\y\end{bmatrix}\in \mathbb R^2);, &math(\bm a'=\begin{bmatrix}x'\\y'\\z'\end{bmatrix}\in \mathbb R^3);
の時、例えば

&math(\begin{bmatrix}x'\\y'\\z'\end{bmatrix}=f(\bm a)=\begin{bmatrix}2+x\sin y\\2^y\end{bmatrix});

として定義される &math(f); は、&math(x,y); を1組決めれば &math(x',y',z'); が決まるため、&math(\mathbb R^2\rightarrow\mathbb R^3); の写像となる。

* 線形写像 [#t0ef2d8b]

ある写像 &math(f); が線形であるとは、任意の &math(\bm a, \bm b\in \mathbb R^n); および &math(c\in \mathbb R); に対して、

- &math(f(\bm a+\bm b)=f(\bm a)+f(\bm b));
- &math(f(c\bm a)=cf(\bm a));

が成り立つことを言う。


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