線形代数I/要点/2章B-線形写像 のバックアップ差分(No.1)

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* 写像 [#r6199a82]

ベクトル &math(\bm{x} \in \bm{R}^m); を与えるとベクトル &math(\bm{y} \in \bm{R}^n); を
返すような関数 &math(\bm{y}=\phi(\bm{x})); を考よう。

&math(\bm{R}^m); の部分集合 &math(E \subset \bm{R}^m); があり、これに含まれる点を
1点1点 &math(\bm{y}=\phi(\bm{x})); で写して、移った先の点の集合 &math(F); を考えると、
これは &math(\bm{R}^m); 中に &math(E); で定義される形状を &math(\bm{R}^n); のある
形状に写す操作と考えることができる。

このような意味で、関数 &math(\phi); を &math(\bm{R}^m); から &math(\bm{R}^n); への
「写像」と呼ぶことがある。

また、集合 &math(E); が写像 &math(\phi); で集合 &math(F); に写るとき、これを
&math(F=\phi(E)); と書く。

* 線形写像 [#sbf30899]

ある写像 &math(\phi); が次の性質を持つとき、これを「線形写像」と呼ぶ。

&math(\bm{x}, \bm{y} \in \bm{R}^m);、&math(a, b \in R); として、
- &math(\phi(\bm{x}+\bm{y})=\phi(\bm{x}) + \phi(\bm{y}));
- &math(\phi(a\bm{x})=a\phi(\bm{x}));

あるいは、これらを一まとめにして、

- &math(\phi(a\bm{x}+b\bm{y})=a\phi(\bm{x})+b\phi(\bm{y}));

* 線形写像と行列 [#e12ef835]

&math(\bm{R}^m); から &math(\bm{R}^n); への任意の線形写像 &math(\phi); は、
適当な (m,n)-行列 &math(A); を用いて、

&math(\phi(\bm{x})=A\bm{x});

と表すことができる。

以下にこれを証明する。

&math(\bm{x} \in \bm{R}^m); を &math(\bm{R}^m); の標準基底 &math(\{\bm{e}_i\});、ただし、

&math(\bm{e}_1=(1,0,0,\dots,0));~
&math(\bm{e}_2=(0,1,0,\dots,0));~
&math(\bm{e}_3=(0,0,1,\dots,0));~
. . . .~
~
&math(\bm{e}_m=(0,0,0,\dots,1));~

を使って、

&math(\bm{x}=x_1 \bm{e}_1 + x_2 \bm{e}_2 + x_3 \bm{e}_3 + \dots + x_m \bm{e}_m );

と表す。

すると、線形写像の定義より、

&math(\phi(\bm{x})&=x_1 \phi(\bm{e}_1) + x_2 \phi(\bm{e}_2) + x_3 \phi(\bm{e}_3) + \dots + x_m \phi(\bm{e}_m) ) \\ &=x_1 \bm{e}^\prime_1 + x_2 \bm{e}^\prime_2 + x_3 \bm{e}^\prime_3 + \dots + x_m \bm{e}^\prime_m );

と書くことができる。ここで、&math(\bm{e}^\prime_i=\phi(\bm{e}_i) \in \bm{R}^n); である。

行列 &math(A); を、これら列ベクトル &math(\bm{e}^\prime_i); を横に並べた行列、すなわち

&math(A=\left[\bm{e}^\prime_1\ \bm{e}^\prime_2\ \bm{e}^\prime_3\ \dots\ \bm{e}^\prime_n\right]);

と置くと、

&math(\phi(\bm{x})=A\bm{x});

と書けることが分かる。

このように、線形であるという制約を課した「写像」は定義域に含まれるごく少数の
(正確には次元数と同じ数の線形独立な)ベクトルについての値が分かれば他の値は
すべてそれらの線形結合として求めることができてしまう。

* 合成写像 [#h807e6a2]

行列 &math(A); で定義される &math(\bm{R}^k); から &math(\bm{R}^m); への写像 &math(\phi); と
行列 &math(B); で定義される &math(\bm{R}^m); から &math(\bm{R}^n); への写像 &math(\psi); と
をこの順序で連続して適用した結果得られる &math(\bm{R}^k); から &math(\bm{R}^n); 
への写像は、行列 &math(C=BA); で表すことができる。

このような写像を &math(\phi); と &math(\psi); との合成写像と呼ぶ。

&math(\psi(\phi(\bm{x}))= B(A\bm{x}) = (BA)\bm{x} = C\bm{x});

* 線形写像とベクトル空間 [#e575ef5e]

部分ベクトル空間を線形写像で写すと、移った先も部分ベクトル空間となる。

正確に言うと、

&math(\bm{R}^m); の部分ベクトル空間 &math(E); が線形写像 &math(\phi); で 
&math(\bm{R}^n); の部分集合 &math(F); へ移ったとする。このとき &math(F); は
&math(\bm{R}^n); の部分ベクトル空間となる。

また逆に、

線形写像で写した先が部分ベクトル空間となるなら写す前も部分ベクトル空間である。

正確に言うと、

&math(\bm{R}^m); の部分集合 &math(E); が線形写像 &math(\phi); で 
&math(\bm{R}^n); の部分ベクトル空間 &math(F); へ移ったならば、
&math(E); は &math(\bm{R}^m); の部分ベクトル空間でなければならない。

* 定義域 [#qf68b825]

写像 &math(\phi(\bm{x})); の &math(\bm{x}); として与えることのできる値の集合。

&math(\bm{R}^m); から &math(\bm{R}^n); への写像であれば &math(\bm{R}^m); のこと。

* 値域 [#q709b2c0]

写像 &math(\phi); の定義域全体が &math(\phi); で写される先を値域と呼ぶ。

&math(\bm{y}=\phi(\bm{x})); とすれば &math(\bm{y}); は値域から出ることは無い。

* 上への写像 [#ffc314ea]

&math(\bm{R}^m); から &math(\bm{R}^n); への写像 &math(\phi); の値域が &math(\bm{R}^n); 全体で
あるとき、&math(\phi); を上への写像と呼ぶ。

* 1対1写像 [#ue6f32a4]

&math(\bm{x}_1,\bm{x}_2 \in \bm{R}^m); が &math(\bm{x}_1 \ne \bm{x}_2); であれば
必ず &math(\phi(\bm{x}_1) \ne \phi(\bm{x}_2)); であるような写像を1対1写像と呼ぶ。

* 核(カーネル, Kernel) [#k467800d]

&math(\phi); により &math(\bm{o}); に写される値の集合を &math(\phi); の核と呼び、
&math(\text{Ker}\,\phi); と書く。

&math(\text{Ker}\,\phi={\bm{x} in \bm{R}^m | \phi(\bm{x})=\bm{o}});

である。

* 1対1写像の持つ意味 [#m93819fb]

1対1写像という概念は非常に重要なものである。以下にこれを見ていく。

** 線形写像が1対1であればその核はゼロベクトルのみからなる [#p4f118f1]

つまり &math(\text{Ker}\,\phi=\{\bm{o}\}); である。

また、逆も成り立つ。

** 線形写像が1対1であれば任意の線形独立なベクトルは写った先でも線形独立である [#y98698dc]

また、逆も成り立つ。

** 線形写像が1対1であれば任意のn次元ベクトル空間はn次元ベクトル空間に写る [#sb0a7b41]

これが非常に重要な結論。

階数 (rank) の考え方につながる。

* 階数 (rank) [#t9be340d]

(以下書きかけ)


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