線形代数II/内積と計量空間 のバックアップ(No.2)

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線形代数Ⅱ?

内積

K 上の線形空間 V の任意の2つの元 \bm x,\bm y\in V の間に、 演算 (\bm x,\bm y) が定義され、 (\bm x,\bm y)\in K となるものとする。

この演算が次の公理を満たすとき、内積と呼ばれる。

  1. (\bm x,\bm y_1+\bm y_2)=(\bm x,\bm y_1)+(\bm x,\bm y_2)
  2. (\bm x,c\bm y)=c(\bm x,\bm y)
  3. (\bm y,\bm x)=\overline{(\bm x,\bm y)}
  4. (\bm x,\bm x)\geqq 0 (\bm x,\bm x)=0\Leftrightarrow \bm x=\bm 0

このとき、以下の性質も証明可能:

K=\mathbb R の時は x\in \mathbb R に対して x=\overline x だから (\bm y,\bm x)=(\bm x,\bm y)

1. と 3. より、 (\bm x_1+\bm x_2,\bm y)=(\bm x_1,\bm y)+(\bm x_2,\bm y)

2. と 3. より、 (c\bm x,\bm y)=\overline c(\bm x,\bm y)

4. より ノルム \|\bm x\|=\sqrt{(\bm x,\bm x)}\geqq 0 を定義可能。

内積が定義された線形空間を計量線形空間という。 (ノルム によりベクトルの大きさを測れるようになったということ)

(\bm x, \bm y)=0 のとき、 \bm x\perp\bm y すなわち、 \bm x \bm y は直交するという。

正規直交系

\bm e_1, \bm e_2, \dots, \bm e_k

  • 正規性: (\bm e_i,\bm e_i)=1 つまり \|\bm e_i\|=1
  • 直交性: (\bm e_i,\bm e_j)=0 つまり \bm e_i\perp\bm e_j ( i\ne j )

を満たすとき、正規直交系を為すという。あるいはまとめて、

  • (\bm e_i,\bm e_j)=\delta_{ij}

とも書ける。

正規直交基底

ある基底が正規直交系を為すとき、正規直交基底と呼ぶ。

内積の成分表示

[Math Conversion Error]


を正規直交基底とし、

\bm x=\sum_{i=0}^n x_i\bm e_i \bm y=\sum_{i=0}^n y_i\bm e_i とすると、

&math( (\bm x,\bm y)&=(\sum_{i=0}^n x_i\bm e_i,\bm y)\\ &=\sum_{i=0}^n\overline x_i(\bm e_i, \sum_{j=0}^n y_j\bm e_j)\\ &=\sum_{i=0}^n\sum_{j=0}^n\overline x_iy_j(\bm e_i, \bm e_j)\\ &=\sum_{i=0}^n\sum_{j=0}^n\overline x_iy_j\delta_{ij}\\ &=\sum_{i=0}^n\overline x_iy_i\\ &=(\bm x_{\widetilde E},\bm y_{\widetilde E}) );

を得る。

エルミート共役

m,n 行列 A=\big(\,a_{ij}\,\big) に対して、

  • 転置行列: ^t\!A=\big(\,a_{ji}\,\big)
  • 複素共役: \overline A=\big(\,\overline{a_{ji}}\,\big)
  • エルミート共役: A^\dagger=\overline{^t\!A}=^t\!\overline{A}=\big(\,\overline{a_{ji}}\,\big)

とくに、列ベクトル \bm x=\begin{pmatrix}x_1\\x_2\\\vdots\\x_n\end{pmatrix} に対しては、

  • 転置: ^t\!\bm x=\begin{pmatrix}x_1&x_2&\dots&x_n\end{pmatrix}
  • 複素共役: \overline{\bm x}=\begin{pmatrix}\overline x_1\\\overline x_2\\\vdots\\\overline x_n\end{pmatrix}
  • エルミート共役: \bm x^\dagger=\overline{^t\!\bm x}=^t\!\overline{\bm x}=\begin{pmatrix}\overline x_1&\overline x_2&\dots&\overline x_n\end{pmatrix}

エルミート共役は、次の性質を持つ。

  • \left(A^\dagger\right)^\dagger=A
  • (\bm x,\bm y)=\bm x^\dagger \bm y
  • (\bm x,A\bm y)=(A^\dagger\bm x,\bm y)=\bm x^\dagger A\bm y

対称行列、直交行列 と エルミート行列、ユニタリ行列

A が実行列のとき A^\dagger=^t\!\!A である。

実行列・ベクトルについて複素行列・ベクトルについて
対称行列 ^t\!S=S エルミート行列 H^\dagger=H^{-1}
直交行列 ^t\!R=R^{-1} ユニタリ行列 U^\dagger=U^{-1}

性質:

  • 対称行列 S について (\bm x,S\bm y)=(S\bm x,\bm y)  (実内積)
  • エルミート行列 H について (\bm x,H\bm y)=(H\bm x,\bm y)  (複素内積)

性質:

  • 直交行列 R により内積が保存される (R\bm x,R\bm y)=(\bm x,\bm y)
  • ユニタリ行列 U により複素内積が保存される (U\bm x,U\bm y)=(\bm x,\bm y)

正規行列

A^\dagger A=AA^\dagger を満たす行列を正規行列と呼ぶ。

実対称行列、実直交行列、エルミート行列、ユニタリ行列は正規行列である。

ユニタリ行列で対角化できることと、正規行列であることとは同値であるが、 ここでは証明はしない。


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