射影・直和・直交直和 のバックアップの現在との差分(No.5)

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* 目次 [#xf03612b]

#contents
#mathjax
&katex();

* ベクトルの成分 [#x61c2758]

規格化されたベクトル &math(\bm e); に対して、ベクトル &math(\bm x); を 
- &math(\bm e); に平行な成分 &math(\bm x_{\parallel}); と、
- &math(\bm e); に垂直な成分 &math(\bm x_{\perp}); とに分け、
#ref(射影.png,right,around,40%);

&math(\bm x=\bm x_{\parallel}+\bm x_{\perp}); としたい。
規格化されたベクトル $\bm e$ に対して、ベクトル $\bm x$ を 
- $\bm e$ に平行な成分 $\bm x_{\parallel}=x_\parallel \bm e$ と、
- $\bm e$ に垂直な成分 $\bm x_{\perp}$ とに分解して、

&attachref(成分分解.png,,33%);
$\bm x=\bm x_{\parallel}+\bm x_{\perp}$ と表したい。

両辺に左から $\bm e$ をかければ、

&math(\bm x_{\parallel}); は &math(\bm e); と平行なので、
$$\begin{aligned}(\bm e,\bm x)=x_{\parallel}(\bm e,\bm e)+(\bm e,\bm x_{\perp})=x_{\parallel}\end{aligned}$$

&math(\bm x_{\parallel}=x_{\parallel} \bm e); 
が得られ、

と書き直すと、
$$\bm x_{\parallel}=\underbrace{(\bm e,\bm x)}_{\text{大きさ}}\,\underbrace{\bm e\rule[-3pt]{0pt}{0pt}}_\text{向き}$$
$$\begin{aligned}\bm x_{\perp}=\bm x-\bm x_\parallel=\bm x-(\bm e,\bm x)\bm e\end{aligned}$$

&math(\bm x=x_{\parallel}\bm e+\bm x{\perp});
としてこれらのベクトルを求められる。~
(同じことをグラム・シュミットの直交化で行った)

両辺に左から &math(\bm e); をかければ、
この $\bm x_\parallel$ を $\bm x$ の $\bm e$ への正射影と呼ぶ(直交射影あるいは単に射影とも)。

&math((\bm e,\bm x)=x_{\parallel}(\bm e,\bm e)+(\bm e,\bm x{\perp})=x_{\parallel});
$\bm e$ に垂直な光を $\bm x$ に当てたとき、
$\bm e$ 軸上にできる影が $\bm x_\parallel$ 
であるという気持ちが込められている → 「射影」

が得られ、
#clear

&math(\bm x_{\parallel}=(\bm e,\bm x)\bm e);~
&math(\bm x_{\perp}=\bm x-\bm x_\parallel=\bm x-(\bm e,\bm x)\bm e);
*** 注意1 [#he07ef1e]

としてこれらのベクトルを求められる。~
(同じことをグラム・シュミットの直交化で行った)
例えば $xy$ 平面上のベクトル $\bm v=\begin{pmatrix}2\\3\end{pmatrix}$
の「$\bm v$ の $x$ 方向成分 は $\begin{pmatrix}2\\0\end{pmatrix}$ である」と言う場合と
「$\bm v$ の $x$ 方向成分 は $2$ である」と言う場合と があるので、
どちらを指しているのかは文脈から読み取るように。

この &math(\bm x_\parallel); を &math(\bm x); の &math(\bm e); 方向成分と呼ぶ。
*** 注意2 [#r5af3ba1]

*** 注意1 [#s8228082]
規格化されていない $\bm v$ 方向の成分を求めるなら、$\bm e=\bm v/\|\bm v\|$ だから、

複素ベクトルに対しては &math((\bm x,\bm e)\ne(\bm e,\bm x)); なので、
どちらから掛けるかが重要になる。
$$\begin{aligned}\bm x_{\parallel}=(\frac{\bm v}{\|\bm v\|},\bm x)\,\frac{\bm v}{\|\bm v\|}=\frac{(\bm v,\bm x)}{\|\bm v\|^2}\bm v\end{aligned}$$

&math((\bm e,\bm x)=(\bm e,x_\parallel \bm e)=x_{\parallel}); だが、~
&math((\bm x,\bm e)=(x_\parallel \bm e,\bm e)=\overline{x_{\parallel}}); となってしまう。
*** 注意3 [#s8228082]

** 注意2 [#p72a2888]
複素ベクトルに対しては $(\bm x,\bm e)\ne(\bm e,\bm x)$ なので、
どちらから掛けるかが重要である。

特に、この授業では &math((\bm a,k\bm b)=k(\bm a,\bm b)); となる内積の公理を採用しているが、
多くの教科書では &math((k\bm a,\bm b)=k(\bm a,\bm b)); を採用しているため、その差にも注意が必要。
$(\bm e,\bm x)=(\bm e,x_\parallel \bm e)=x_{\parallel}$ だが、~
$(\bm x,\bm e)=(x_\parallel \bm e,\bm e)=\overline{x_{\parallel}}$ となってしまう。

*** 注意4 [#p72a2888]

この授業では $(\bm a,k\bm b)=k(\bm a,\bm b)$ となる内積の公理を採用しているため
上記が正しいが、

$(k\bm a,\bm b)=k(\bm a,\bm b)$ を採用する場合には左ではなく右から掛ける必要がある。

* 射影演算子 [#c9c77b82]

&math(
\bm x_{\parallel}&=(\bm e,\bm x)\bm e
);
$\bm x$ から $\bm e$ に平行な成分 $\bm x_\parallel$ を求める演算、

これは 「数」×「ベクトル」 の形で、「ベクトルのスカラー倍」
として任意の線形空間において正しい形であるが、
$$P_{\bm e}:\bm x\mapsto\bm x_\parallel\text{  あるいは同じことだが  }P_{\bm e}:\bm x\mapsto(\bm e,\bm x)\bm e$$

特に数ベクトル空間においてはこれを
は線形変換であり、$P_{\bm e}$ は射影変換あるいは射影演算子と呼ばれる。

&math(
\bm x_{\parallel}&=(\bm e,\bm x)\bm e\\
&=\bm e(\bm e,\bm x)
);
ある正規直交基底 $A$ の下で射影変換の行列表現を求めよう。数ベクトル $\bm a_A,\bm b_A$ の標準内積に対して、

のように入れ替えると、「n×1行列」×「1×1行列」のかけ算になって、
行列のかけ算として正しい形になる。
(スカラーと1×1行列を同一視するのは1年生で学んだとおり)
$$\begin{aligned}
(\bm a_A,\bm b_A)&=\sum_k^n \overline{a_k}b_k=\begin{pmatrix}\overline a_1&\overline a_2&\dots&\overline a_n\end{pmatrix}
\begin{pmatrix}b_1\\b_2\\\vdots\\b_n\end{pmatrix}={}^t\overline {\bm a_A}\bm b_A=\bm a_A^\dagger\bm b_A
\end{aligned}$$ 

さらに内積を行列の積で表わして括弧を外すと、
となることを用いて、

&math(
\bm x_{\parallel}&=(\bm e,\bm x)\bm e\\
&=\bm e (\bm e,\bm x)\\
&=\bm e \{\bm e^\dagger \bm x\}\\
&=\bm e \bm e^\dagger \bm x\\
&=P_{\bm e} \bm x
);
$$\begin{aligned}
(\bm x_{\parallel})_A
&=(\bm e_A,\bm x_A)\bm e_A\\
&=\{\bm e_A^\dagger \bm x_A\}\bm e_A\\
&=\bm e_A\{\bm e_A^\dagger \bm x_A\}\hspace{1cm}\because \{\ \}\,\text{部は}1\times 1\text{行列}\\
&=\{\bm e_A\bm e_A^\dagger\}\bm x_A\hspace{1cm}\because \text{結合法則}\\
&=(P_{\bm e})_A\,\bm x_A\\
\end{aligned}$$

として、行列 &math(P_{\bm e}); とベクトル &math(\bm x); のかけ算の形にできる。
すなわち $P_{\bm e}$ の表現は、任意の正規直交基底 $A$ 
に対して次のように表せる。

ただし、&math(P_{\bm e}=\bm e\bm e^\dagger); である。実際の形は、

&math(
P_{\bm e}&=\bm e\bm e^\dagger=
$$\begin{aligned}
(P_{\bm e})_A&=\bm e_A\bm e^\dagger_A=
\begin{pmatrix}
e_1\\e_2\\\vdots\\e_n
\end{pmatrix}
\begin{pmatrix}
\overline{ e_1}&\overline{ e_2}&\dots&\overline{ e_n}
\end{pmatrix}\\
&=\begin{pmatrix}
e_1\overline{e_1}&e_1\overline{e_2}&\cdots&e_1\overline{e_n}\\
e_2\overline{e_1}&e_2\overline{e_2}&&\vdots\\
\vdots&&\ddots&\vdots\\
e_n\overline{e_1}&\cdots&\cdots&e_n\overline{e_n}
\end{pmatrix}
);
\end{aligned}$$

のように &math(n\times n); 行列になる。

この行列は &math(\bm x); から &math(\bm e); 方向成分を取り出す行列となる。
*** 例 [#p94d13e4]

&math(P_{\bm e}); を &math(\bm e); 軸への射影演算子と呼ぶ。
$\bm x=\begin{pmatrix}x\\y\\z\end{pmatrix}$ の $\bm v=\begin{pmatrix}1\\-1\\0\end{pmatrix}$ 方向成分を求めよう。

&attachref(射影.png,,33%);
$\bm e=\frac{1}{\|\bm v\|}\bm v=\frac{1}{\sqrt 2}\begin{pmatrix}1\\-1\\0\end{pmatrix}$ を用いて普通にやれば、

&math(\bm x); に &math(\bm e); に垂直な光を当てたときにできる影が
&math(\bm x_\parallel); であるという気持ちが込められている → 「射影」
$$
\bm x_\parallel=(\bm e,\bm x)\bm e=\frac{x-y}2\begin{pmatrix}1\\-1\\0\end{pmatrix}
$$

*** 任意の計量線形空間において射影演算子は線形変換になる [#c0638b59]
同じことを射影演算子を求めて行えば、

&math(\bm x&=a\bm y+b\bm z\\
&=a\bm y_{\parallel}+a\bm y{\perp}+b\bm z_{\parallel}+b\bm z{\perp}\\
&=(a\bm y_{\parallel}+b\bm z_{\parallel})+(a\bm y{\perp}+b\bm z{\perp})\\
&=\bm x_\parallel+\bm x_\perp);
$$
P_{\bm v}=P_{\bm e}=\bm e\bm e^\dagger
=\frac{1}{2}\begin{pmatrix}1\\-1\\0\end{pmatrix}\begin{pmatrix}1&-1&0\end{pmatrix}
=\frac{1}{2}\begin{pmatrix}1&-1&0\\-1&1&0\\0&0&0\end{pmatrix}
$$

であり、
$$\begin{aligned}\bm x_\parallel&=P_{\bm v}\bm x\\
&=\frac{1}{2}\begin{pmatrix}1&-1&0\\-1&1&0\\0&0&0\end{pmatrix}\begin{pmatrix}x\\y\\z\end{pmatrix}
=\frac{1}{2}\begin{pmatrix}x-y\\-x+y\\0\end{pmatrix}
=\frac{x-y}{2}\begin{pmatrix}1\\-1\\0\end{pmatrix}\hspace{1cm}\parallel \bm v
\end{aligned}$$

&math(\bm x&=a\bm y+b\bm z); から &math(\bm x_\parallel&=a\bm y_\parallel+b\bm z_\parallel);
$\bm v$ に垂直成分を求めれば、

を導ける。
$$\begin{aligned}\bm x_\perp&=\bm x-\bm x_\parallel\\
&=\begin{pmatrix}x\\y\\z\end{pmatrix}-\frac{x-y}{2}\begin{pmatrix}1\\-1\\0\end{pmatrix}
=\begin{pmatrix}(x+y)/2\\(x+y)/2\\z\end{pmatrix}
\end{aligned}$$

線形演算子である射影演算子を、
ある正規直交基底に対して表現すると、上で求めた &math(P_e); のような行列になる。
これは明らかに $\bm v$ と直交する。

** 射影演算子はエルミート行列になる。 [#tee56cfe]
当然、

上記の「具体的な形」を見て分かるとおり、
$$
\bm x_\parallel+\bm x_\perp=\begin{pmatrix}x\\y\\z\end{pmatrix}=\bm x
$$

&math(\big(P_{\bm e}\big)_{ij}=e_j \overline{e_i});
が成り立つ。

&math(\big(P_{\bm e}\big)_{ji}=e_i \overline{e_j}=\overline{(e_j \overline{e_i})});

より、&math(\big(P_{\bm e}\big)_{ji}=\overline{\big(P_{\bm e}\big)_{ij}}); であり、
射影演算子はエルミートであることが分かる。
** 射影演算子はエルミートになる。 [#tee56cfe]

以下、あるベクトルを「成分」に分ける話を一般化する。
$$\begin{aligned}
(P_{\bm e})_A^\dagger=\big(\bm e_A\bm e_A^\dagger\big)^\dagger=\big(\bm e_A^\dagger\big)^\dagger\bm e_A^\dagger=\bm e_A\bm e_A^\dagger=(P_{\bm e})_A
\end{aligned}$$

* 復習1:線形空間 [#y64f3022]
より、射影演算子の表現行列はエルミートである。

線形空間とは、ベクトルの和とスカラー倍について閉じた集合のことだった。
このとき、任意のベクトル $\bm x,\bm y$ に対して 

- 任意の &math(\bm x,\bm y\in V); に対して、必ず &math(\bm x+\bm y\in V);
- 任意の &math(\bm x\in V,k\in K); に対して、必ず &math(k\bm x\in V);
$$\begin{aligned}
(\bm x,P_{\bm e}\bm y)=(P_{\bm e}^\dagger\bm x,\bm y)=(P_{\bm e}\bm x,\bm y)
\end{aligned}$$

線形空間の例:
が成り立ち、このような演算子はエルミート演算子と呼ばれる。

- ゼロ次元空間 &math(\set{\bm 0}); = 原点のみ
- 1次元空間 &math(\set{\bm p=s\bm a|s\in K}); = 直線的
- 2次元空間 &math(\set{\bm p=s\bm a+t\bm b|s,t\in K}); = 平面的
- ・・・
* 演習問題 [#y3ae2e46]

同じ直線的でも、原点を通らない &math(\set{\bm p=s\bm a+\bm b|s\in K}); 
は線形空間にならないのであった。
(1) 三次元複素数ベクトル空間 $C^3$ において、$\bm v=\begin{pmatrix}-1\\2\\i\\\end{pmatrix}$ 方向への射影演算子となる行列 $P_{\bm v}$ を求めよ。また、$\bm x=\begin{pmatrix}1\\0\\1\end{pmatrix}$ の $\bm v$ 方向成分を求めよ。(余力があれば、内積を使って求めた結果と、$P_{\bm v}$ を使って求めた結果とが一致することを確かめよ)

* 復習2:部分空間 [#t397a1fd]
(2) $x$ の2次以下の複素係数多項式空間 $P^2[x]=\{ax^2+bx+c\,|\,a,b,c\in C\}$ を考える。内積 $(f,g)=\int_{-1}^1 \overline{f(x)}g(x)dx$ に対して $x^2+1$ を $3x-i$ に平行な成分と垂直な成分とに分解せよ。(余力があれば、求めた平行成分と垂直成分とが実際に直交することを確認せよ)

線形空間の部分集合 &math(W\subset V); がベクトルの和とスカラー倍について閉じている場合、
&math(W); も線形空間となり、&math(W); は &math(V); の部分空間であるという。

* 復習3:集合の積と和 [#sea08144]
* $n$ 次元空間への射影を考える [#oec8bd2b]

集合 &math(A); と集合 &math(B); の積と和は、
ここまで、あるベクトルに平行な直線(一次元空間)への射影を考えたが、
以下では平面への射影や、もっと一般に $n$ 次元空間への射影を考える。

- 積(交わり):&math(A\cap B=\set{x|x\in A\,\mathrm{かつ}\,x\in B});
- 和(結び) :&math(A\cup B=\set{x|x\in A\,\mathrm{または}\,x\in B});
そのためにまずはいくつか準備を行う。
** 復習1:線形空間 [#y64f3022]

&attachref(積集合和集合.png,,33%);
$K$ 上の線形空間とは、ベクトルの和とスカラー倍について閉じた集合のことだった。

- 任意の $\bm x,\bm y\in V$ に対して、必ず $\bm x+\bm y\in V$~
  ↔ $\bm x,\bm y\in V$ から $\bm x+\bm y\in V$ を導けるということ
- 任意の $\bm x\in V,k\in K$ に対して、必ず $k\bm x\in V$~
  ↔ $\bm x\in V,k\in K$ から $k\bm x\in V$ を導けるということ

** 復習2:部分空間 [#t397a1fd]

線形空間の部分集合 $W\subset V$ がベクトルの和とスカラー倍について閉じている場合、
$W$ も線形空間となり、$W$ は $V$ の部分空間であるという。

$\mathbb R^3$ の部分空間:全体空間が3次元なので部分空間は3次元以下になる

- 0次元の部分空間は原点のみからなる集合 $\{\,\bm 0\,\}$
- 1次元の部分空間は原点を通る直線    $\{\,\bm p=s\bm a\,|\,s\in K\,\}$
- 2次元の部分空間は原点を通る平面    $\{\,\bm p=s\bm a+t\bm b\,|\,s,t\in K\,\}$
- 3次元の部分空間は $\mathbb R^3$ そのもの

同じ直線的でも、原点を通らない $\{\,\bm p=s\bm a+\bm b\,|\,s\in K\,\}$ 
は線形空間にならない。(和やスカラー倍が元の集合からはみ出す)

** 復習3:集合の積と和 [#sea08144]

集合 $A$ と集合 $B$ の積と和は、

#multicolumns
:積(交わり)|
$A\cap B=\{\,x\,|\,x\in A\,\text{かつ}\,x\in B\,\}$~
$A$ および $B$ の両方に含まれる要素の集合~
$A$ キャップ $B$ と読む。($\cap$ は帽子の形)
#multicolumns
:和(結び)|
$A\cup B=\{\,x\,|\,x\in A\,\text{または}\,x\in B\,\}$~
$A$ と $B$ の少なくとも一方に含まれる要素の集合~
$A$ カップ $B$ と読む。($\cup$ はカップの形)
#multicolumns(end)

#ref(積集合和集合.png,center,33%);

~

記号の覚え方:
-「&math(x\in A\,\mathrm{かつ}\,x\in B);」は英語では「&math(x\in A\,\mathrm{and}\,x\in B);」
- And の A と &math(\cap); とは似ている(でしょ?)
-「$x\in A\,\text{かつ}\,x\in B$」は英語では「$x\in A\,\text{and}\,x\in B$」
- And の A と $\cap$ とは似ている(でしょ?)

* 交空間 [#oa2a08fa]
* 以下、$U$ の部分空間 $V,W$ について考える [#i78b84b7]

2つの部分空間 &math(W_1,W_2); の交わり &math(W_1\cap W_2); は無条件で線形空間となり、
交空間と呼ばれる。
$K$ 上の線形空間 $U$ の部分空間 $V,W$ を考え、~
$\{\bm v_1,\bm v_2,\dots,\bm v_n\},$ $\{\bm w_1,\bm w_2,\dots,\bm w_m\}$ をそれぞれの基底とする。~
($\dim V=n,\ \dim W=m$)

練習:部分空間の積(交わり)がベクトルの和とスカラー倍について閉じていることを示せ。
* 交空間 $V\cap W$ [#oa2a08fa]

* 和集合は線形空間にならない [#xd00301e]
2つの線形空間の、集合としての交わり $V\cap W$ は常に線形空間になり、交空間と呼ばれる。

&attachref(ベクトルの成分1.png,,33%);
>証明:~
$\bm x,\bm y\in V\cap W,\ k\in K$ とする。~
$\bm x,\bm y\in V$ かつ $\bm x,\bm y\in W$ であるから、~
$\bm x+\bm y\in V$ かつ $\bm x+\bm y\in W$ また
$k\bm x\in V$ かつ $k\bm x\in W$ ~
すなわち、$\bm x+\bm y, k\bm x\in V\cap W$ であり、~
$V\cap W$ はベクトルの和とスカラー倍に対して閉じている。

2つの1次元部分空間 &math(W_1,W_2); の和は、原点を通る2本の直線を合わせた集合。
交わり $V\cap W$ が空集合になることはない。

この集合から2つのベクトルを取って和を作ると、集合から「はみ出してしまう」。
線形空間は必ず $\bm 0$ を含むから、常に $\bm 0\in V\cap W$ である。

* 和空間 [#i53e231d]
$V\cap W=\{\,\bm 0\,\}$ のとき、$\dim(V\cap W)=0$

和集合を含む最小の線形空間を和空間と呼ぶ
&attachref(1D_cap_2D.png,,25%); 
&attachref(2D_cap_2D.png,,25%);

&math(W_1+W_2=\set{\bm x=\bm x_1+\bm x_2|\bm x_1\in W_1,\bm x_2\in W_2});
* 和集合 $V\cup W$ はベクトル和に対して閉じていないことがある [#xd00301e]

** 和集合は $W_1,W_2$ の基底ベクトルを合わせたベクトルで張られる [#w95305d5]
#ref(1D_cup_1D.png,right,around,25%);

&math(W_1,W_2); の基底を 
&math(B_1=\set{\bm b_{11},\bm b_{12},\dots,\bm b_{1m}});
&math(B_2=\set{\bm b_{21},\bm b_{22},\dots,\bm b_{2n}}); とする。
例えば図のように、2つの1次元空間 $V,W$ 
の和集合 $V\cup W$ は、
原点で交わる2本の直線の形をしている。

&math(\bm x=\bm x_1+\bm x_2); ただし &math(\bm x_1\in W_1,\bm x_2\in W_2); のとき、
$V,W$ 上から2つのベクトルを取り
$\bm v\in V, \bm w\in W$ とすれば、~
$\bm v, \bm w\in V\cap W$ でない限り、
$\bm v+\bm w\notin V\cup W$ である。

&math(\bm x=\sum_{k=1}^m x_{1k}\bm b_{1k}+\sum_{k=1}^m x_{2k}\bm b_{2k});
すなわち、和集合は必ずしも線形空間にならない

であり、任意の &math(\bm x\in W_1+W_2); を基底を合わせたベクトルの一次結合で表せることが分かる。
#clear
* 和空間 $V+W$ [#i53e231d]

** 和集合の次元 [#iadf0b68]
和集合をベクトル和について閉じるように拡大した線形空間が和空間 $V+W$ である。

基底 &math(B_1,B_2); に含まれるベクトルが一次独立であれば
これは $V$ の元と $W$ の元の和で表せるすべてのベクトルからなる集合である。

&math(\dim (W_1+W_2)=\dim W_1+\dim W_2);
$$\begin{aligned}V+W\equiv\{\,\bm x=\bm x_V+\bm x_W\,|\,\bm x_V\in V,\bm x_W\in W\,\}\end{aligned}$$

となるが、一般には2つの空間の交わりがゼロにはならないため、
$\bm x_V\in V,\bm x_W\in W$ はそれぞれ、$V,W$ の基底 
$\{\,\bm v_k\,\},\{\,\bm w_k\,\}$ の線形結合として表せるから、
$\bm x\in V+W$ は

&math(\dim (W_1+W_2)<\dim W_1+\dim W_2);
$$\begin{aligned}
\bm x&=\bm x_V+\bm x_W\\
&=\underbrace{\sum_{k=1}^n c_k\bm v_k}_{\bm x_V}+
{}\underbrace{\sum_{k=1}^m d_k\bm w_k}_{\bm x_W}
\end{aligned}$$

となる。より正確には、
のように $V,W$ の基底を合わせた線形結合として表せる。

&math(\dim (W_1+W_2)=\dim W_1+\dim W_2-\dim(W_1\cap W_2));
すなわち、$V,W$ の基底ベクトルすべてで「張られる」空間が和空間である。

である。
ここから $\dim(V+W)\le\dim V+\dim W$ が言える。

例:3次元空間に2枚の原点を通る平面 &math(W_1,W_2); を考えると、これらは部分空間である。
2枚が平行ではない場合、これらの和空間 &math(W_1+W_2); は3次元空間全体であり、原点を通る交線が交空間 &math(W_1\cap W_2); である。このとき、
$V,W$ の基底ベクトルを合わせたものが一次独立であるときに限り、
それがそのまま $V+W$ の基底となるから、
$\dim(V+W)=\dim V+\dim W$ となる。

&math(
\underbrace{\dim(W_1+W_2)}_3=\underbrace{\dim W_1}_2+\underbrace{\dim W_2}_2-\underbrace{\dim(W_1\cap W_2)}_1
);
** 和空間の次元 [#iadf0b68]

* 直和 [#u527a7fd]
厳密な証明は省くが、

&math(V); の部分空間 &math(W_1,W_2); の基底を合わせると &math(V); の基底となる場合、
$$\begin{aligned}\dim (V+W)=\dim V+\dim W-\dim(V\cap W)\end{aligned}$$

&math(W_1+W_2=W_1\dot +W_2);
の関係がある。(集合 $A\cup B$ の要素の数 $\#(A\cup B)$ が $\#A+\#B-\#(A\cap B)$ と表せたことに対応する)

と書き、&math(W_1\dot +W_2); を &math(W_1); と &math(W_2); の直和であるという。
これは、$V\cap W$ の基底にいくつかベクトルを加えて $V$ の基底を作成し、
同じ $V\cap W$ の基底にいくつかベクトルを加えて $W$ の基底を作成したならば、
それらすべてのベクトルを合わせると $V+W$ の基底となる、という事実による。

** 成分分解 [#o401c83d]
#ref(2D_cap_2D.png,right,around,25%);
>例:
>
>右図の平面状の $V,W$ の和空間は3次元空間全体となる。また2平面の交線が $V\cap W$ に相当する。すなわち、
>
>$$
\underbrace{\dim(V+W)}_3=\underbrace{\dim V}_2+\underbrace{\dim W}_2-\underbrace{\dim(V\cap W)}_1
$$

&math(W_1\dot +W_2); の基底を &math(B=\langle\bm b_1,\bm b_2,\dots,\bm b_n\rangle); とすると、
#clear

&math(
\bm x&=\underbrace{x_1\bm b_1+x_2\bm b_2+\cdots}_{\bm x_1\in W_1}
\underbrace{\cdots+x_n\bm b_n}_{\bm x_2\in W_2}\\
&=\bm x_1+\bm x_2
);

のように、任意の &math(\bm x\in W_1\dot +W_2); を2つの成分 &math(\bm x_1\in W_1); と &math(\bm x_2\in W_2); とに一意に分解できる。
* 直和 $V\dot +W$ [#u527a7fd]

上記より、$V\cap W=\{\bm 0\}$ のとき、$\dim(V+W)=\dim V+\dim W$ となる。

このとき「和空間 $V+W$ は $V$ と $W$ の直和になっている」と言い、

$$\begin{aligned}V+W=V\dot +W\end{aligned}$$ 

と書く。(プラス記号 $+$ の上に点を書く)

- 直和は新たな演算ではない
- 「~~の場合に $V+W$ は直和となる」「~~の場合には直和にならない」といった文脈で用いられる。
- $V$ の基底と $W$ の基底を合わせると、そのまま $V\dot +W$ の基底になる~
↔ $\dim V+\dim W=\dim(V\dot +W)$~

直和となるのは $V$ と $W$ (の基底)が一次独立なときである。

** 成分分解の一意性 [#o401c83d]

$V\dot +W$ すなわち $V\cap W=\{\bm 0\}$ のときに限り $\bm x\mapsto\bm x_V$ 
の射影演算を定義できる。

というのも、もし $\bm\delta\in V\cap W$ が $\bm\delta\ne\bm 0$ であれば、

$$\begin{aligned}\bm x&=\bm x_V+\bm x_W\\
&=(\bm x_V+\bm \delta)+(\bm x_W-\bm \delta)\\
&=\bm x_V'+\bm x_W'
\end{aligned}$$

のように成分分解が一意に定まらないためだ。

** 線形独立な空間 [#h781440c]

直和は「互いに線形独立な2つの空間」の和空間のイメージになる。

→ $\begin{aligned}\bm x_V+\bm x_W=\bm 0\end{aligned}$ から $\bm x_V=\bm x_W=\bm 0$ を導ける。

** 成分の値はもう一方の空間に依存する [#e7949533]

&attachref(ベクトルの成分1.png,,33%);
&attachref(ベクトルの成分2.png,,33%);
成分分解のイメージは下図のようなものになる。

同じベクトル &math(\bm x); を~
&math(W_1); と &math(W_2); に分解したときの &math(\bm x_1); と、~
&math(W_1); と &math(W_3); に分解したときの &math(\bm x'_1); とは~
異なる値になるので注意せよ。
&attachref(1d_dplus_1d.png,,25%);

* 直交直和 [#d251a548]
同じベクトル $\bm x$ を~
  $\begin{aligned}V\end{aligned}$ と $W$ に分解したときの $\bm x_V$ と、~
  $\begin{aligned}V\end{aligned}$ と $W'$ に分解したときの $\bm x'_V$ とは~
一般には異なる値になる。

&math(V); の部分空間 &math(W_1,W_2); の''正規直交''基底を合わせると &math(V); の''正規直交''基底となる場合、
すなわち、ある部分空間の成分は、その部分空間だけでは決まらずに、他の部分空間の取り方にも依存する。

&math(W_1+W_2=W_1\oplus W_2);
上で $e$ から $P_{\bm e}$ を求められたのとは違い、$V$ の情報のみから $\bm x_V$ を求めることはできない。

と書き、&math(W_1\oplus W_2); を &math(W_1); と &math(W_2); の直交直和であるという。
$V$ が2次元の時の成分分解のイメージは次の通り。

このとき、任意の &math(\bm x_1\in W_1); と任意の &math(\bm x_2\in W_2); は直交する。&math((\bm x_1,\bm x_2)=0);
&attachref(2D-1D.png,,20%);

* 補空間 [#td0c1fcb]
* 直交する空間 [#he5eb453]

与えられた全体空間 &math(U); を、&math(U=V\oplus W); と表せるとき、
$V$ の任意の元が、
$W$ の任意の元と直交するとき、
$V$ と $W$ とは直交すると言う。

&math(W); を &math(V); の補空間と呼び、&math(W=V^\perp); と表わす。
$V$ のすべての基底ベクトルが、~
$W$ のすべての基底ベクトルと直交することと同義。

全体集合をある空間と補空間へ分解することは、&math(V); に含まれる成分と、
それと垂直な成分とに分解することに対応する。
注意点として、例えば $xy$ 平面からなる空間 $V$ と $yz$ 平面からなる空間 $W$ とは図形的には直交しているが、
$y$ 軸上のベクトル $\bm v=(0,1,0)$ は $\bm v\in V$ かつ $\bm v\in W$ であり、
当然 $\bm v\perp \bm v$ は成り立たないので、$V$ と $W$ は直交する空間とは呼ばない。

&math(V); の正規直交基底を &math(\langle \bm e_1,\bm e_2,\dots,\bm e_n\rangle); とすると、
任意の &math(\bm x\in U); は、
$V,W$ が直交する空間であれば、$V\cap W=\{\bm 0\}$ である。すなわち一次独立である。

&math(
\bm x&=\bm x_V+\bm x_{V^\perp}\\
&=(x_1\bm e_1+x_2\bm e_2+\dots+x_n\bm e_n)+\bm x_{V^\perp}
);
* 直交直和 $V \oplus W$ [#d251a548]

と分解でき、左から &math(\bm e_k); を掛ければ、
2つの空間が直交する時、$V + W$ を $V$ と $W$ の「直交直和」であるといい、

&math(
(\bm e_k,\bm x)&=x_1(\bm e_k,\bm e_1)+x_2(\bm e_k,\bm e_2)+\dots+x_n(\bm e_k,\bm e_n)+(\bm e_k,\bm x_{V^\perp})\\
&=x_k
);
$$\begin{aligned}V+W=V \oplus W\end{aligned}$$ 

となるから、これを元の式に代入すれば、
と書く。

&math(
\bm x_V&=(\bm e_1,\bm x)\bm e_1+(\bm e_2,\bm x)\bm e_2+\dots+(\bm e_1,\bm x)\bm e_n\\
&=\bm e_1\bm e_1^\dagger\bm x+\bm e_2\bm e_2^\dagger\bm x+\dots+\bm e_n\bm e_n^\dagger\bm x\\
&=\big(\sum_{k=1}^n\bm e_k\bm e_k^\dagger\big)\bm x\\
#ref(perpendicular.png,right,around,25%);

このとき、$V,W$ の''正規直交''基底を合わせると $V \oplus W$ の''正規直交''基底となる。

∵ $V$ の正規直交基底は $W$ の正規直交基底とも直交するから

当然、直交直和は直和でもある。

** 直交直和の成分分解 [#d2df2673]

直交直和の成分分解は簡単である。$\{\,\bm v_k\},\{\,\bm w_k\,\}$ 
が正規直交基底であるとすると、

$$\begin{aligned}
\bm x&=\underbrace{\sum_{k=1}^n c_{k}\bm v_{k}}_{\,\bm x_V}
{    }+\underbrace{\sum_{k=1}^m d_{k}\bm w_{k}}_{\,\bm x_W}\\
&=c_k\bm v_k+\underbrace{\sum_{k'\ne k}^n c_{k'}\bm v_{k'}+\sum_{k'=1}^m d_{k'}\bm w_{k'}}_{\perp\bm v_k}
\end{aligned}$$

のように、$\bm c_k\bm v_k$ を取り出せば、残りの部分は $\bm v_k$ と直交するから、
$\bm c_k\bm v_k$ は $\bm x$ の $\bm v_k$ 方向成分である。

すると、上で見た任意の $\bm x$ から $\bm v_k$ 方向成分を取り出す1次元射影演算子
$P_{\bm v_k}$ を使って $c_k\bm v_k=P_{\bm v_k}\bm x$ と書けるから、

$$\begin{aligned}
\bm x_V
&=\sum_{k=1}^n P_{\bm v_k}\bm x\\
&=\left(\sum_{k=1}^n P_{\bm v_k}\right)\bm x\\
&=P_V\bm x
);
\end{aligned}$$

であり、&math(P_V=\sum_{k=1}^n\bm e_k\bm e_k^\dagger); が全体集合 &math(U); 
から &math(V); への射影演算子を表わすことが分かる。
すなわち、

*** 直交直和でない場合には [#wd9d16fb]
$$\begin{aligned}P_V=\sum_{k=1}^n P_{\bm v_k}\end{aligned}$$

&math(
(\bm e_k,\bm x_{V^\perp})=0
);
が $V\oplus W$ から $V$ への射影演算子となる。

が必ずしも成り立たないため、成分への分解はこれほど単純ではなくなる。
数ベクトルに対しては上で見たとおり

** 例1 [#mfbb4345]
$$\begin{aligned}P_V=\sum_{k=1}^n \bm v_k\bm v_k^\dagger\end{aligned}$$

&math(\mathbb R^3); の部分空間として
&math(\bm a=\begin{pmatrix}1\\2\\3\end{pmatrix},\bm b=\begin{pmatrix}-1\\0\\1\end{pmatrix}); で張られる空間 &math(V=[\bm a,\bm b]\in \mathbb R^3);を考える。
である。

&math(\mathbb R^3); から &math(V); への射影演算子を求めよ。
射影演算子は $V$ の情報だけから定まり、
$W$ に依存しないことに注意せよ。

解答:
エルミート演算子の和はエルミート演算子になるから、
$P_{\bm v_k}$ の和である $P_V$ もエルミートである。

&math(\bm b,\bm a); からシュミットの直交化を用いて正規直交系を作る。
(空間が直交しない一般の直和の場合にも「逆基底」を考えることにより、
直交直和の場合とそっくりな形に射影演算子を表すことが可能であるが、ここでは省略する。
→ 発展:[[線形代数II/非直交基底の成分分解]])

&math(\bm e_1=\frac{1}{\|\bm b\|}\bm b=\frac{1}{\sqrt 2}\begin{pmatrix}-1\\0\\1\end{pmatrix});
** 直交補空間 [#td0c1fcb]

&math(
\bm f_2
&=\bm a-(\bm e_1,\bm a)\bm e_1\\
&=\bm a-\bm e_1\bm e_1^\dagger\bm a\\
&=\begin{pmatrix}1\\2\\3\end{pmatrix}
-\frac{1}{2}\begin{pmatrix}-1\\0\\1\end{pmatrix}\begin{pmatrix}-1&0&1\end{pmatrix}\begin{pmatrix}1\\2\\3\end{pmatrix}\\
&=\begin{pmatrix}1\\2\\3\end{pmatrix}-\begin{pmatrix}-1\\0\\1\end{pmatrix}\\
&=\begin{pmatrix}2\\2\\2\end{pmatrix}
#ref(complementary-space.svg,around,right);

);
全体空間 $U$ が $U=V\oplus W$ と表されるとき、
$W$ を $V$ の「直交補空間」と呼び、$W=V^\perp$ と書く。

&math(
\bm e_2=\frac{1}{\|\bm f_2\|}\bm f_2=\frac{1}{\sqrt{3}}\begin{pmatrix}1\\1\\1\end{pmatrix}
);
ある線形空間 $V$ に対してその直交補空間は一意に定まる。

$$\begin{aligned}V^\perp=\{\,\bm x\in U\,|\,\forall\bm y\in V,(\bm x,\bm y)=0\,\}\end{aligned}$$

つまり全体集合を、ある空間と、それに直交する補空間と、に分解することはいつも可能である。

あるベクトル $\bm x$ を $\bm e$ 
に平行な成分 $\bm x_\parallel$ と垂直な成分 $\bm x_\perp$ 
に分ける問題は、それぞれ線形空間 $V=\{\,\bm p=t\bm e\,|\,t\in K\,\}$ 
とその直交補空間 $V^\perp$ の成分への分解を表わしていたことになる。

一方、全体空間 $U$ を $U=V\dot + W$ と表せるとき、
$W$ を $V$ の(単なる)「補空間」と呼ぶ。
ある空間の直交補空間が一意に決まるのに対して、
補空間にはさまざまな取り方がある。


** 直交射影演算子の性質 [#ae98dccc]

$P_V$ が $V$ への直交射影演算子であるというのは、~
任意の $\bm x$ に対して $P_V\bm x=\bm x_\parallel\in V$ かつ $\bm x-P_V\bm x=\bm x_\perp\in V^\perp$ であるというのと同値である

このとき、

- $\bm x\in V$ のとき $P_V\bm x=\bm x$
- $\bm x\in V^\perp$ のとき $P_V\bm x=\bm 0$
- $E=P_V+P_{V^\perp}$ ← ∵$\bm x=P_V\bm x+P_{V^\perp}\bm x=\bm x_\parallel+\bm x_\perp$
- $P_V^2=P_V$ あるいは $P_V(E-P_V)=O$~
∵ $P_V\bm x\in V$ だから、$P_V^2\bm x=P_V\bm x$
- これは、$P_{V^\perp}=E-P_V$ であり、$P_VP_{V^\perp}=O$ であることからも理解できる
- またここから、$P_V$ の固有値は $\lambda^2=\lambda$ を満たす、すなわち $\lambda=0,1$ であることが分かる。
-- 任意の $\bm x\in V$ が固有値 $1$ に対する固有ベクトル
-- 任意の $\bm x\in V^\perp$ が固有値 $0$ に対する固有ベクトル

また、計量線形空間に定義されたある線形変換 $P$ が直交射影演算子となる為の必要十分条件は
$PP = P$ かつ $P^\dagger=P$ である → [[その証明>線形代数II/射影・直和・直交直和/メモ]]

** 例 [#mfbb4345]

$\mathbb R^3$ の部分空間として
$\bm a=\begin{pmatrix}1\\2\\3\end{pmatrix},\bm b=\begin{pmatrix}-1\\0\\1\end{pmatrix}$ で張られる空間 $V=\big[\bm a,\bm b\big]\subset \mathbb R^3$を考える。

(1) $\mathbb R^3$ から $V$ への直交射影演算子を求めよ。

(2) 直交補空間 $V^\perp$ に正規直交基底を定めよ。

*** 解答 (1) [#b1fdc171]

$\bm a,\bm b$ から正規直交基底を作る。

$\bm b$ と垂直なのは $\begin{pmatrix}s\\t\\s\end{pmatrix}$ 
の形のベクトルであることに注意して、
$\bm c=\bm a-\bm b=\begin{pmatrix}2\\2\\2\end{pmatrix}$ とすれば 
これは $V$ 内にあり $\bm b$ と垂直なベクトルである。

これらを正規化すれば、

$$\begin{aligned}\bm e_1=\frac{1}{\sqrt 2}\begin{pmatrix}-1\\0\\1\end{pmatrix}, 
\bm e_2=\frac{1}{\sqrt 3}\begin{pmatrix}1\\1\\1\end{pmatrix}\end{aligned}$$

として正規直交基底が得られる。

したがって、求める射影演算子は

&math(
$$\begin{aligned}
P_V&=\bm e_1\bm e_1^\dagger+\bm e_2\bm e_2^\dagger\\
&=\frac{1}{2}\begin{pmatrix}-1\\0\\1\end{pmatrix}\begin{pmatrix}-1&0&1\end{pmatrix}
+ \frac{1}{3}\begin{pmatrix}1\\1\\1\end{pmatrix}\begin{pmatrix}1&1&1\end{pmatrix}\\
&=\frac{1}{2}\begin{pmatrix}1&0&-1\\0&0&0\\-1&0&1\end{pmatrix}
+ \frac{1}{3}\begin{pmatrix}1&1&1\\1&1&1\\1&1&1\end{pmatrix}\\
&=\frac{1}{6}\begin{pmatrix}5&2&-1\\2&2&2\\-1&2&5\end{pmatrix}
);
&= \frac{1}{2}\begin{pmatrix}-1\\0\\1\end{pmatrix}\begin{pmatrix}-1&0&1\end{pmatrix}
{}+\frac{1}{3}\begin{pmatrix}1\\1\\1\end{pmatrix}\begin{pmatrix}1&1&1\end{pmatrix}\\
&= \frac{1}{2}\begin{pmatrix}1&0&-1\\0&0&0\\-1&0&1\end{pmatrix}
{}+\frac{1}{3}\begin{pmatrix}1&1&1\\1&1&1\\1&1&1\end{pmatrix}\\
&= \frac{1}{6}\begin{pmatrix}5&2&-1\\2&2&2\\-1&2&5\end{pmatrix}
\end{aligned}$$

各射影演算子がエルミート(実数行列では対称)になっていることにも注目。
各射影演算子がエルミート(実数行列では対称)になっていることにも注目せよ。

** 例2 [#tac0cf13]
~

3次元空間に原点を通る平面 &math(x+y+z=0); を考える。
この平面への射影演算子を求めよ。
*** 解答 (1) 別解 [#r5bbcc18]

$\bm b,\bm a$ からシュミットの直交化を用いて正規直交系を作る。

$\bm e_1=\frac{1}{\|\bm a\|}\bm a=\frac{1}{\sqrt 14}\begin{pmatrix}1\\2\\3\end{pmatrix}$

$$\begin{aligned}
\bm f_2
&=\bm b-(\bm e_1,\bm b)\bm e_1\\
&=\begin{pmatrix}-1\\0\\1\end{pmatrix}
{}-\frac{1}{14}\cdot 2\cdot\begin{pmatrix}1\\2\\3\end{pmatrix}\\
&=\frac{1}{7}\begin{pmatrix}-8\\-2\\4\end{pmatrix}
=\frac{2}{7}\begin{pmatrix}-4\\-1\\2\end{pmatrix}
\end{aligned}$$

$$\begin{aligned}
\bm e_2=\frac{1}{\|\bm f_2\|}\bm f_2=\frac{1}{\sqrt{21}}\begin{pmatrix}-4\\-1\\2\end{pmatrix}
\end{aligned}$$

$$\begin{aligned}
P_V&=
\frac{1}{14}\begin{pmatrix}1\\2\\3\end{pmatrix}\begin{pmatrix}1&2&3\end{pmatrix}+
\frac{1}{21}\begin{pmatrix}-4\\-1\\2\end{pmatrix}\begin{pmatrix}-4&-1&2\end{pmatrix}\\
&=\frac{1}{14}\begin{pmatrix}1&2&3\\&4&6\\&&9\end{pmatrix}+
\frac{1}{21}\begin{pmatrix}16&4&-8\\&1&-2\\&&4\end{pmatrix}\\
&=\frac{1}{42}\begin{pmatrix}3+32&6+8&9-16\\&12+2&18-4\\&&27+8\end{pmatrix}\\
&=\frac{1}{42}\begin{pmatrix}35&14&-7\\&14&14\\&&35\end{pmatrix}\\
&=\frac{1}{6}\begin{pmatrix}5&2&-1\\2&2&2\\-1&2&5\end{pmatrix}\\
\end{aligned}$$

射影演算子はエルミートになるため、左下部分の計算は省略した。

$P_V$ の形は正規直交基底の取り方によらないことに注目せよ。

*** 解答 (2) [#n59bccf5]
 
$\mathbb R^3$ が3次元、$V$ が2次元なので、$V^\perp$ は1次元となる。

$\bm e_1,\bm e_2$ に垂直なベクトルを1つ挙げれば例えば、$\begin{pmatrix}1\\-2\\1\end{pmatrix}$ 

したがって、

$$\begin{aligned}V^\perp=\Big[\begin{pmatrix}1\\-2\\1\end{pmatrix}\Big]\end{aligned}$$

である。正規直交基底はこれを正規化して、

$$\begin{aligned}\Big\{\frac{1}{\sqrt 6}\begin{pmatrix}1\\-2\\1\end{pmatrix}\Big\}\end{aligned}$$

このとき、

$$\begin{aligned}
P_{V^\perp}&=\frac{1}{6}\begin{pmatrix}1\\-2\\1\end{pmatrix}\begin{pmatrix}1&-2&1\end{pmatrix}\\
&=\frac{1}{6}\begin{pmatrix}1&-2&1\\-2&4&-2\\1&-2&1\end{pmatrix}
\end{aligned}$$

であり、$P_V+P_{V^\perp}=E$ となることが確かめられる。

* 演習 [#tac0cf13]

3次元空間に原点を通る平面 $x+y+z=0$ を考える。
この平面への直交射影演算子を求めよ。
またその直交補空間を求めよ。

** 解答例 [#kee7e633]

*** まず平面内に基底を取る [#l8835428]

この「原点を通る平面」は2次元部分空間となるから、
平面内に2つの一次独立なベクトルを取れば、
それが平面に対応する線形空間の基底となる。

$x+y+z=0$ を満たせば良いから、例えば、 $\begin{pmatrix}1\\-1\\0\end{pmatrix},\begin{pmatrix}0\\-1\\1\end{pmatrix}$
など、条件を満たすベクトルを「&ruby(めのこ){目の子};」で探しても良いが、
どんな場合にも通用する一般的なやり方を使うなら、

$x+y+z=0$ を 
$\begin{pmatrix}1&1&1\end{pmatrix}\begin{pmatrix}x\\y\\z\end{pmatrix}=\bm 0$ 
の形に書いて、掃出し法により係数行列を階段化する。

今の場合は元の
$\begin{pmatrix}
1&1&1
\end{pmatrix}$ がすでに階段行列であり、1列目は掃出しの完了した形になっているから、
掃出しの行えなかった列に対応する $y,z$ をパラメータと見て、

$$\begin{aligned}\begin{cases}
x=-y-z\\
y=y\\
z=z
\end{cases}\end{aligned}$$

すなわち、

$$\begin{aligned}\bm x=y\begin{pmatrix}
{}-1\\1\\0
\end{pmatrix}+z\begin{pmatrix}
{}-1\\0\\1
\end{pmatrix}\end{aligned}$$

とすれば、2つのベクトル $\bm b_1=\begin{pmatrix}
{}-1\\1\\0
\end{pmatrix}, \bm b_2=\begin{pmatrix}
{}-1\\0\\1
\end{pmatrix}$ がこの空間の基底となることが明らかである。

「拡大係数行列にガウスの掃出し法を適用して、
掃出しの行えなかった列に対応する変数をパラメータに置く」
という手順は常に使える汎用的なものであるから、
必ず身につけておくように。
(そうでないと一般解に含まれるパラメータを1つ忘れるといったミスが起きやすい)

*** 基底を正規直交化する [#me88ef96]

これらを直交化するのも暗算で行っても良いが、
シュミットの直交化を使えばどんな場合にも必ず実行できて、

$$\begin{aligned}\bm f_1=b_1=\begin{pmatrix}
{}-1\\1\\0
\end{pmatrix}\end{aligned}$$

$$\begin{aligned}\bm e_1=\frac{\bm f_1}{\|\bm f_1\|}=\frac{1}{\sqrt 2}\begin{pmatrix}
{}-1\\1\\0
\end{pmatrix}\end{aligned}$$

$$\begin{aligned}
\bm f_2&=\bm b_2-\big(\bm e_1,\bm b_2\big)\bm e_1\\
&=\begin{pmatrix}
{}-1\\0\\1
\end{pmatrix}-\frac{1}{2}\underbrace{\overline{\begin{pmatrix}
{}-1&1&0
\end{pmatrix}}\begin{pmatrix}
{}-1\\0\\1
\end{pmatrix}}_{=\,1}\cdot\begin{pmatrix}
{}-1\\1\\0
\end{pmatrix}\\
&=\frac{1}{2}\begin{pmatrix}
{}-1\\-1\\2
\end{pmatrix}
\end{aligned}$$

$$\begin{aligned}
\bm e_2=\frac{\bm f_2}{\|\bm f_2\|}=\frac{1}{\sqrt 6}\begin{pmatrix}
{}-1\\-1\\2
\end{pmatrix}
\end{aligned}$$

途中で、転置されたベクトルの上に線が引いてあるのは
複素共役を取る演算であるが、ここでは実ベクトルなので値は変わらない。

したがって、$V$ の正規直交基底は、

$$\begin{aligned}\{\,\bm e_1,\bm e_2\,\}=\Bigg\{
\ \frac{1}{\sqrt 2}\begin{pmatrix}
{}-1\\1\\0
\end{pmatrix},\ \frac{1}{\sqrt 6}\begin{pmatrix}
{}-1\\-1\\2
\end{pmatrix}\ \Bigg\}
\end{aligned}$$

*** 正規直交基底から射影演算子を作る [#hc1e08df]

$$\begin{aligned}
P_V&=\bm e_1\bm e_1^\dagger+\bm e_2\bm e_2^\dagger=
\frac{1}{2}\begin{pmatrix}
{}-1\\1\\0
\end{pmatrix}\overline{\begin{pmatrix}
{}-1&1&0
\end{pmatrix}}+
\frac{1}{6}\begin{pmatrix}
{}-1\\-1\\2
\end{pmatrix}\overline{\begin{pmatrix}
{}-1&-1&2
\end{pmatrix}}\\
&=\frac{1}{2}\begin{pmatrix}
1&-1&0\\
{}-1&1&0\\
0&0&0\\
\end{pmatrix}+
\frac{1}{6}\begin{pmatrix}
1&1&-2\\
1&1&-2\\
{}-2&-2&4\\
\end{pmatrix}=
\frac{1}{6}\begin{pmatrix}
4&-2&-2\\
{}-2&4&-2\\
{}-2&-2&4\\
\end{pmatrix}\\
&=
\frac{1}{3}\begin{pmatrix}
2&-1&-1\\
{}-1&2&-1\\
{}-1&-1&2\\
\end{pmatrix}
\end{aligned}$$

この $P_V$ に任意の $\bm x$ をかければ、

$$\begin{aligned}
P_V\begin{pmatrix}
x\\y\\z
\end{pmatrix}=
\frac{x}{3}\begin{pmatrix}
2\\-1\\-1
\end{pmatrix}+
\frac{y}{3}\begin{pmatrix}
{}-1\\2\\-1
\end{pmatrix}+
\frac{z}{3}\begin{pmatrix}
{}-1\\-1\\2
\end{pmatrix}
\end{aligned}$$

となるが、右辺に現れる3つのベクトルはすべて $x+y+z=0$ を満たしており、
確かに $P_V\bm x\in V$ となることが確認できる。

*** 直交補空間を見つける [#r2a7e72f]

直交補空間 $V^\perp$ は、$V$ の任意の元と直交するベクトルを集めた集合である。

$$\begin{aligned}
V^\perp=\{\,\bm x\,|\,\forall\bm y\in V,(\bm x,\bm y)=0\,\}
\end{aligned}$$

$\bm y\in V$ は $\bm y=y_1\bm e_1+y_2\bm e_2$ と表せるから、

$(\bm x,\bm y)=0$ は $y_1(\bm x,\bm e_1)+y_2(\bm x,\bm e_2)=0$ を表し、
任意の $\bm y$ すなわち任意の $y_1,y_2$ についてこれが成り立つには、

$$\begin{aligned}(\bm x,\bm e_1)=(\bm x,\bm e_2)=0\end{aligned}$$

が必要十分条件となる。すなわち、

$$\begin{aligned}
V^\perp=\{\,\bm x\,|\,\bm x\perp\bm e_1\ \mathrm{and}\ \bm x\perp\bm e_2\,\}
\end{aligned}$$

$V$ のすべての基底と直交するベクトルを集めた集合が $V^\perp$ である。

$$\begin{aligned}\begin{cases}
{}-x+y=0\\
{}-x-y+2z=0
\end{cases}\end{aligned}$$

の係数行列を同値変形して、

$$\begin{aligned}\begin{pmatrix}
{}-1&1&0\\
{}-1&-1&2
\end{pmatrix}\sim
\begin{pmatrix}
1&-1&0\\
0&-2&2
\end{pmatrix}\sim
\begin{pmatrix}
1&-1&0\\
0&1&-1
\end{pmatrix}\sim
\begin{pmatrix}
1&0&-1\\
0&1&-1
\end{pmatrix}
\end{aligned}$$

すなわち、$\begin{cases}
x-z=0\\
y-z=0
\end{cases}$

掃出せなかった列に対応する $z$ をパラメータとすれば、

$$\begin{aligned}\bm x=z\begin{pmatrix}
1\\1\\1
\end{pmatrix}
\end{aligned}$$

すなわち $V^\perp$ の正規直交基底は 
$\Bigg\{\ \frac{1}{\sqrt 3}\begin{pmatrix}
1\\1\\1
\end{pmatrix}\ \Bigg\}$

そもそも $V$ の定義に現れた条件式
$x+y+z=0$ は、
$\Big(\ \bm x,\ \begin{pmatrix}1\\1\\1\end{pmatrix}\ \Big)=0$ と同値であるから、

$V^\perp$ が
$\begin{pmatrix}1\\1\\1\end{pmatrix}$ に平行な1次元空間となることは当然のこととも言える。

* 一般化 [#jaf6d678]

上記は2つの部分空間について交空間、和空間、直和、直交直和を考えたが、
2つ以上の部分空間がある場合にも自然に拡張できる。
以上の話は3つ以上の部分空間がある場合にも拡張できて、以下の通りである。

|交空間  |&math(W_1\cap W_2\cap \dots\cap W_r);      |共通部分|
|和空間  |&math(W_1+W_2+\dots+W_r);                  |拡張部分|
|直和    |&math(W_1\dot +W_2\dot +\dots\dot +W_r);   |一次独立|
|直交直和|&math(W_1\oplus W_2\oplus \dots\oplus W_r);|直交    |
|交空間  |$V_1\cap V_2\cap \dots\cap V_r$      |全空間の共通部分|
|和空間  |$V_1+V_2+\dots+V_r$                  |一般には一次従属な空間たちを内包する空間|
|直和    |$V_1\dot +V_2\dot +\dots\dot +V_r$   |一次独立な空間たちの和空間|
|直交直和|$V_1\oplus V_2\oplus \dots\oplus V_r$|直交する空間たちの和空間  |

たとえば &math(W_1\cap W_2\cap \dots\cap W_r=(\dots((W_1\cap W_2)\cap W_3)\cap \dots)\cap W_r); の意味である。
たとえば $V_1\cap V_2\cap V_3\cap V_4=(((V_1\cap V_2)\cap V_3)\cap V_4$ などの意味であるが、これらの演算子には結合法則や交換法則が成り立ち、$(V_1\oplus V_2)\oplus V_3=V_1\oplus (V_2\oplus V_3)$, $V_1\oplus V_2=V_2\oplus V_1$ などとなる。

直和や直交直和は普通の意味での「演算子」ではなく、和空間の演算子で結ばれる2つの空間が特殊な条件を満たすことを表わしているに過ぎない。
$\cap$ や $+$ が複数の部分空間から新しい部分空間を作る演算子であるのに比べて、
$\dot +$ や $\oplus$ は 「線形空間同士の演算」 ではなく、
和空間を形成する空間が特殊な条件を満たすことを表現しているに過ぎない。

この違いに注意せよ。



* 質問・コメント [#m8a71c0e]

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**誤植 [#o8dbe6da]
>[[通りすがり]] (&timetag(2020-10-12T01:08:35+09:00, 2020-10-12 (月) 10:08:35);)~
~
成分分解の一意性~
δ∈V∩W~

//
- ご指摘ありがとうございます、おっしゃる通りでした。早速修正いたしました。 -- [[武内 (管理人)]] &new{2020-10-12 (月) 16:23:45};

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