解析力学/ハミルトニアン のバックアップ差分(No.2)

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* 一般化運動量(正準運動量) [#o9459a42]
* 目次 [#ace312d0]

カーテシアン座標系($x,y,z$ 座標系)に対してラグランジュの運動方程式は、
#contents

&katex();

* ハミルトニアン力学 [#c0dc4ccc]

ラグランジアンによる力学では $q_k$ と $\dot q_k$ を変数として運動を記述した。

同じ運動を、$q_k$ と $p_k$ を変数として記述しようというのがハミルトン力学である。

** ルジャンドル変換 [#id8f8179]

物理学系がある特性関数(ここではラグランジアン)によって記述されるとする。これは、その特性関数のみの情報から物理学系の運動が完全に決定される、という意味である。

この特性関数をある変数(ここでは $\dot q_k$)で偏微分した値(ここでは $p_k=\partial L/\partial\dot q_k$)を新たな変数とし、元の変数($\dot q_k$)を消去して新たな特性関数を得る変換はルジャンドル変換と呼ばれ、ラグランジアンからハミルトニアンを得る際や、熱力学における各種の特性関数を得る際などに用いられる。

特性関数を $f(v)$ として $p=\frac{\partial f}{\partial v}$ とすると、

$$
\frac{d}{dt}\bigg\{\underbrace{\frac{\partial L}{\partial \dot q_k}}_\text{運動量}\bigg\}=\underbrace{\frac{\partial L}{\partial q_k}}_\text{力}
df=p\,dv
$$

の形になり、力により運動量が時間変化することを表していた。
であるが、新たな関数 $g(p)$ を、

そこで一般の座標 $q_k$ に対して、
$$
g(p)=pv-f(v)
$$

と定義すれば、

$$
p_k=\frac{\partial L}{\partial \dot q_k}
dg=p\,dv+v\,dp-df=v\,dp
$$

も運動量と呼ぶことにする。$q_k$ がカーテシアン座標でない場合には通常の運動量と区別するため特にこれを一般化運動量あるいは正準運動量と呼ぶ。
が得られ、すなわち

このときラグランジュの運動方程式は
$$
\frac{\partial g}{\partial p}=v
$$

となる。このとき $f(v)$ の持っていた物理系の情報はすべて $g(p)$ に含まれているため、$g(p)$ を新たな特性関数として利用できる。この $f(v)$ から $g(p)$ への変換がルジャンドル変換である。

ルジャンドル変換が有効なのは元の変数 $v$ と新たな変数 $p$ との間で1対1の相互変換が可能な場合に限られる。これは $v$ に対して $p=\partial f/\partial v$ が単調増加あるいは単調減少することと同義であり、$f(v)$ が定義域全域にわたり上に凸あるいは下に凸であることと同義である。

** ハミルトニアン [#ife36e14]

ラグランジアンに対して $\dot q_k$ から $p_k$ へのルジャンドル変換を施し、

$$
\dot p_k=\frac{\partial L}{\partial q_k}
H(q_1,q_2,\dots,q_n,p_1,p_2,\dots,p_n)=\sum_{k=1}^n p_k\dot q_k-L(q_1,q_2,\dots,q_n,\dot q_1,\dot q_2,\dots,\dot q_n)
$$

を表すことになり、ラグランジアンの全微分を
これをハミルトニアンと呼ぶ。全微分は

$$
\begin{aligned}
dL
&=\sum_{k=1}^n\left[\frac{\partial L}{\partial \dot q_k}d\dot q_k+\frac{\partial L}{\partial q_k}d q_k\right]\\
&=\sum_{k=1}^n\big(p_k\,d\dot q_k+\dot p_k\,d q_k\big)\\
dH
&=\sum_{k=1}^n\big(\dot q_k\,dp_k+\cancel{p_k\,d\dot q_k}\big)-\underbrace{\sum_{k=1}^n\big(\cancel{p_k\,d\dot q_k}+\dot p_k\,d q_k\big)}_{=\,dL}\\
&=\sum_{k=1}^n\big(\dot q_k\,dp_k-\dot p_k\,d q_k\big)\\
\end{aligned}
$$

と表せることになる。
となり、

** 例 [#baca12be]
$$
\dot q_k=\frac{\partial H}{\partial p_k}
$$

先の振り子の例で言えば、

$$
L=\frac12mr^2\dot\theta^2-mgr(1-\cos\theta)
\dot p_k=-\frac{\partial H}{\partial q_k}
$$

であったから、$\theta$ に対する一般化運動量は、
が成り立つことが分かる。この方程式はハミルトンの正準方程式と呼ばれる。

上記の計算は逆にもたどれるため、この正準方程式はラグランジュ方程式と同値であり、やはり運動方程式を与える。

** 例 [#veca20ae]

実際に上の振り子の例で試すと、

$$L=\frac12 mr^2\dot\theta^2-mgr(1-\cos\theta)$$

$$
p_\theta=\frac{\partial L}{\partial \dot \theta}=mr^2\dot\theta
$$

である。
より、

$$
\begin{aligned}
H
&=p_\theta\dot\theta-L\\
&=p_\theta\dot\theta-\big[\frac12 mr^2\dot\theta^2-mgr(1-\cos\theta)\big]\\
&=p_\theta\dot\theta-\big[\frac12 p_\theta\dot\theta-mgr(1-\cos\theta)\big]\\
&=\frac12p_\theta\dot\theta+mgr(1-\cos\theta)\\
&=T+U\\
&=\frac1{2mr^2}p_\theta^2+mgr(1-\cos\theta)\\
\end{aligned}
$$

となり、ハミルトニアンが運動エネルギーとポテンシャルエネルギーの和、すなわち系のエネルギーそのものを表すこと、そして、$p_\theta$ が $\dot\theta$ を含むため、これで $\dot\theta$ を消去して $\theta,p_\theta$ のみの関数として表せること、を確かめられる。

そしてハミルトンの正準方程式は、

$$
\dot \theta=\frac{\partial H}{\partial p_k}=\frac1{mr^2}p_\theta\ \ \ \to\ \ \ p_\theta=mr^2\dot\theta
$$

$$
\dot p_k=-\frac{\partial H}{\partial q_k}=-mgr\sin\theta
$$

となり、第1式から運動量の定義が、第2式から運動方程式が出る。

これらが質点系や剛体系のハミルトニアンの一般的な性質として成り立つことを以下に見よう。

** ハミルトニアンは座標によらない物理量である [#d447be4d]

ラグランジアンからハミルトニアンへのルジャンドル変換に現れる $\sum_{k=1}^n p_k\dot q_k$ は以下に見るように座標変換に対して変化しない物理量である。

$$
\begin{aligned}
\sum_{i=1}^n p_i\dot q_i&=\sum_{i=1}^n \frac{\partial L}{\partial \dot q_i}\dot q_i\\
&=\sum_{i=1}^n
\sum_{j=1}^n \bigg\{\cancel\frac{\partial Q_j}{\partial \dot q_i} \frac{\partial L}{\partial Q_j}+\frac{\partial\dot Q_j}{\partial \dot q_i} \frac{\partial L}{\partial \dot Q_j}\bigg\}
\sum_{k=1}^n\bigg\{\frac{\partial \dot q_i}{\partial Q_k} Q_k+\frac{\partial \dot q_i}{\partial \dot Q_k}\dot Q_k\bigg\}\\
&=\sum_{j=1}^n\sum_{k=1}^n\bigg[
\bigg\{\sum_{i=1}^n \frac{\partial \dot Q_j}{\partial\dot q_i}\frac{\partial\dot q_i}{\partial Q_k}\bigg\} \frac{\partial L}{\partial \dot Q_j} Q_k+
\bigg\{\sum_{i=1}^n \frac{\partial \dot Q_j}{\partial\dot q_i}\frac{\partial\dot q_i}{\partial\dot Q_k}\bigg\} \frac{\partial L}{\partial \dot Q_j}\dot Q_k\bigg]\\
&=\sum_{j=1}^n\sum_{k=1}^n \bigg\{\underbrace{\frac{\partial\dot Q_j}{\partial Q_k}}_{=\,0} \frac{\partial L}{\partial \dot Q_j} Q_k+\underbrace{\frac{\partial\dot Q_j}{\partial\dot Q_k}}_{=\,\delta_{jk}} \frac{\partial L}{\partial \dot Q_j}\dot Q_k\bigg\}\\
&=\sum_{j=1}^n\sum_{k=1}^n \delta_{jk} \frac{\partial L}{\partial \dot Q_j}\dot Q_k\\
&=\sum_{j=1}^n \frac{\partial L}{\partial \dot Q_j}\dot Q_j=\sum_{j=1}^nP_j\dot Q_j\\
\end{aligned}
$$

すなわちルジャンドル変換を異なる座標系 $Q_i$ に対して行った場合にも、
得られるハミルトニアンは座標系 $q_i$ で得たものと値が変らない。

** ハミルトニアンとエネルギー [#o50ab229]

ポテンシャルエネルギー $U$ が $\dot q_k$ を含まず、また運動エネルギー $T$ が $\dot q_k^2$ の線形結合の形で

$$
T=\sum_{i=1}^n \frac12m_i(q_1,q_2,\dots,q_n)\dot q_i^2
$$

の形に表されるとき(ここでの $m_i$ は一般に座標の関数であり質量そのものに限定しない)、ルジャンドル変換に現れる上記の項は、

$$
\begin{aligned}
\sum_{i=1}^n p_i\dot q_i&=\sum_{i=1}^n \frac{\partial L}{\partial \dot q_i}\dot q_i\\
&=\sum_{i=1}^n \frac{\partial T}{\partial \dot q_i}\dot q_i\\
&=\sum_{i=1}^n m_i\dot q_i^2=2T\\
\end{aligned}
$$

となり、運動エネルギーの2倍に等しい。

カーテシアン座標系における質点の運動エネルギーはまさに上記の形で $m_i$ を質点の質量としたものに等しいし、剛体系で物体の回転を表す回転角を座標に取った場合にも、その回転エネルギーは上記の形となる。そして上記の項の値は座標系の取り方によらないから、そのような系を異なる座標で表した場合にもやはり $\sum_{i=1}^n P_i\dot Q_i$ は運動エネルギーの2倍に等しい。

すると先のルジャンドル変換は、

$$
H=2T-L=2T-(T-U)=T+U
$$

を表しており、ハミルトニアンは系のエネルギー $T+U$ を $p_k,q_k$ で表したものとなる。

** エネルギーからハミルトニアンを求める [#f0822640]

系のエネルギー $T+U$ が分かっているときに、ここからハミルトニアンを求めることを考えよう。
ここで、$T$ は座標 $q_k$ と速度 $\dot q_k$ の関数、$U$ は座標 $q_k$ の関数であるとする。

ハミルトニアンは系のエネルギーを座標 $q_k$ と正準運動量 $p_k$ で表したものであるから、
$\dot q_k\to p_k$ の変換を行う必要がある。

ここでは

$$
\sum_{i=1}^n p_i\dot q_i=2T(q_1,q_2,\dots,q_n,\dot q_1,\dot q_2,\dots,\dot q_n)\\
$$

を仮定しているので、$2T$ を $q_1,q_2,\dots,q_n,\dot q_1,\dot q_2,\dots,\dot q_n$ の関数として表した際の $\dot q_i$ の係数が $p_i$ である。

上記の仮定に基づけば、$p_i=m_i(q_1,q_2,\dots,q_n)\dot q_i$ となる。ここから得られる

$$\dot q_i=\frac1{m_i(q_1,q_2,\dots,q_n)}p_i$$

を用いて $T$ から $\dot q_i$ を消去することで $H=T+U$ を $q_k$ と $p_k$ の関数にできる。

*** 例 [#aef5e632]

上の振り子の例を取ると、


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