多粒子系の波動関数とボゾン・フェルミオン のバックアップソース(No.4)
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[[量子力学Ⅰ]] * 1粒子系の量子力学の復習 [#vcf8a3db] 量子力学において1粒子の運動は、 粒子の位置を変数とする複素関数(波動関数)が満たす シュレーディンガー方程式により記述された。 粒子の位置:&math(\bm r);~ 波動関数:&math(\psi(\bm r,t));~ 方程式:&math(i\hbar\frac{\PD}{\PD t}\psi(\bm r,t)=\hat H\psi(\bm r,t)); シュレーディンガー方程式は両辺に共通な &math(\psi(\bm r,t)); を除いて考えると &math(\frac{\hbar}{-i}\frac{\PD}{\PD t}(\dots)=\hat H(\dots)); の形をしている。これは前期量子論における &math(\hbar\omega=\varepsilon); という関係に対応しているのであった。 ただし、&math(\hat H); は古典力学におけるシュレーディンガー方程式に現れる 粒子の運動量 &math(\bm p); を &math(\hbar\bm \nabla/i); で置き換えたものである。 シュレーディンガー方程式を解いて得られた波動関数の絶対値の二乗が 時刻 &math(t); に粒子を位置 &math(\bm r); を見いだす確率となる。 その他の物理量 &math(O); の期待値 &math(\langle O\rangle); は、 物理量に対応する演算子を &math(\hat O); として次のように与えられる。 &math(\big\langle O(t)\big\rangle=\int \hat O \psi(\bm r,t)\hat O^\dagger d\bm r); * 2粒子系の量子力学 [#w3265732] 2つの電子の位置座表をそれぞれ &math(\bm r_1,\bm r_2); とする。 2粒子系の波動関数を &math(\psi(\bm r_1,\bm r_2,t)); として、 シュレーディンガー方程式を &math(i\hbar\frac{\PD}{\PD t}\psi(\bm r_1,\bm r_2,t)=\hat H\psi(\bm r_1,\bm r_2,t)); としたならば、これは1粒子系で学んだ内容の自然な拡張となっており、 事実これが正しい2粒子系のシュレーディンガー方程式である。 &math(\hat H); は古典力学における2粒子系の方程式に現れる 2つの粒子の運動量 &math(\bm p_1,\bm p_2); を &math(\bm\nabla_{\bm r_1}, \bm\nabla_{\bm r_2}); に置き換えたものとなる。 シュレーディンガー方程式を解いて得られた波動関数の絶対値の二乗が 時刻 &math(t); に2つの粒子をそれぞれ位置 &math(\bm r_1); および &math(\bm r_2); に見いだす確率となる。 その他の物理量 &math(O); の期待値 &math(\langle O\rangle); は、 物理量に対応する演算子を &math(\hat O); として次のように与えられる。 &math(\langle O(t)\rangle=\iint \hat O \psi(\bm r_1,\bm r_2,t)\hat O^\dagger d\bm r_1\bm r_2); 例: 2粒子がクーロン相互作用しているなら、&math(V(\bm r_1,\bm r_2)=\frac{1}{4\pi\epsilon_0}\frac{e_1e_2}{|\bm r_1-\bm r_2|}); となるから、 &math( \hat H(\bm r_1,\bm r_2,t)= -\frac{\hbar^2}{2m_1}\bm\nabla_{r_1}^2-\frac{\hbar^2}{2m_2}\bm\nabla_{r_2}^2 +\frac{1}{4\pi\epsilon_0}\frac{e_1e_2}{|\bm r_1-\bm r_2|}); である。 * 多粒子系の量子力学 [#ne59b5a9] 位置座表をそれぞれ &math(\bm r_1,\bm r_2,\dots,\bm r_n); として、~ 波動関数を &math(\psi(\bm r_1,\bm r_2,\dots,\bm r_n,t)); とすれば良い。 このときハミルトニアンは例えば次のような形に書けるはずで、 &math( \hat H(\bm r_1,\bm r_2,t)= \underbrace{\sum_{j=1}^n -\frac{\hbar^2}{2m_j}\bm\nabla_{r_j}^2}_{運動エネルギー}+ \underbrace{V(\bm r_1,\bm r_2,\dots,\bm r_n)\rule[-16.5pt]{0pt}{10pt}}_{ポテンシャルエネルギー} ); これを用いてシュレーディンガー方程式はやはり次の形に書ける。 &math(i\hbar\frac{\PD}{\PD t}\psi=\hat H\psi); これまで学んだとおり、1粒子のシュレーディンガー方程式でも 解析的に閉じた解が得られるのは非常に単純な問題に限られており、 そのような場合であっても解を得るには高度な数学を要する。 多体のシュレーディンガー方程式を解析的に解くことはほぼ不可能であるため、 様々な近似を用いて1体の問題に直し、さらに近似を用いて1体の問題を解くことにより、 ようやく実験結果と比較できるような理論的予測を得ることが可能となる。 * 同種粒子の不可弁別性 [#q8a2e6f8]
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