量子力学Ⅰ/箱の中の自由粒子 のバックアップ差分(No.8)
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[[量子力学I]] #contents * 概要 [#a6588189] シュレーディンガー方程式を解くという問題は一般に非常に難しく、 特に解析的に解ける例は非常に限られている(それ以外は数値的に、あるいは近似的に解くことになる)。 特に解析的な関数として解が得られる例は非常に限られている(それ以外は数値的に、あるいは近似的に解くことになる)。 ここでは最も簡単な2つの例について時間に依存しないシュレーディンガー方程式を解き、 定常的な解を求めることにより、波動関数の一般的な性質を学ぶ。 この節と次の節では最も簡単な2つの例について時間に依存しないシュレーディンガー方程式を解き、 定常的な解を求めながら、波動関数の性質について学ぶ。 時間に依らないシュレーディンガー方程式:~ &math( \left(-\frac{\hbar^2}{2m}\frac{\PD^2}{\PD x^2}+V(x)\right)\psi(x)=E\psi(x) \left(-\frac{\hbar^2}{2m}\nabla^2+V(\bm r)\right)\psi(\bm r)=E\psi(\bm r) ); * 演習:1次元の箱の中の自由粒子 [#kde8bf85] &math(a); を正の定数として、&math(0<x<a); の領域に閉じ込められた電子の定常状態を考える。 このような状況は、上記の範囲内で &math(V(x)=0);、範囲外で &math(V(x)=+\infty); と仮定することで実現され、井戸型ポテンシャルの問題とも呼ばれる。 &attachref(infinity-well.png,,25%); (1) 箱の中の領域での時間に依存しないシュレーディンガー方程式を書き下せ。 (1) 箱の中の領域での時間に依存しない一次元シュレーディンガー方程式を書き下せ。 (2) &math(\psi(\bm r)=Ae^{ikx}+Be^{-ikx}); の形の波動関数が (1) の解となることを確かめ、 &math(k); の値を定めよ。 この式は2つの任意パラメータを含むことから、上記2次微分方程式に対する一般解である。 この式は2つの任意パラメータを含むから、(1)の2次微分方程式に対する一般解である。 (3) 箱の外では &math(\psi(x)=0); となる。その理由を答えよ。 (4) 波動関数の連続性より、箱の内側でも壁面においても &math(\psi(x)=0); でなければならない。 この境界条件を満たすために &math(k); に課される条件を 任意の自然数を表わす変数 &math(n); を用いて書け。 (ポテンシャルの無限大の不連続性を反映して、これらの点で &math(\psi); の1次微分 &math(d\psi/dx); は不連続となる) 以下、&math(n); で指定される &math(k); を &math(k_n);、 対応する波動関数を &math(\phi_n(x));、 対応する波動関数を &math(\psi_n(x));、 対応するエネルギー固有値を &math(E_n); と書く。 このように離散化した固有値や固有関数を指定する指標 &math(n); は 量子数と呼ばれる。 (5) &math(E_n); を求めよ。 (6) &math(\phi_n(x)); を求めよ。ただし、規格化すること。 (6) &math(\psi_n(x)); を求めよ。ただし、規格化すること。 (7) &math(\psi_n(x)); を時間依存性を含む形 &math(\Psi_n(x,t)); で書け。 ** 解答 [#o6def795] (1) 箱の内部では &math(V(x)=0); であるから、シュレーディンガー方程式は &math( -\frac{\hbar^2}{2m}\frac{\PD^2}{\PD x^2}\psi(x)=E\psi(x) -\frac{\hbar^2}{2m}\frac{d^2}{dx^2}\psi(x)=E\psi(x) ); (2) 与式を代入すれば、 &math( \left(\frac{\PD^2}{\PD x^2}-\frac{-2mE}{\hbar^2}\right)\psi(x)=0 -\frac{\hbar^2}{2m}\frac{d}{dx}(ikAe^{ikx}-ikBe^{-ikx})=E\psi(x) ); (2) 代入すれば、 &math( -\frac{\hbar^2}{2m}(-k^2Ae^{ikx}+k^2Be^{-ikx})=E\psi(x) ); &math(\left(-k^2+\frac{2mE}{\hbar^2}\right)\psi(x)=0); &math( \frac{\hbar^2k^2}{2m}\psi(x)=E\psi(x) ); したがって、&math(k^2=\frac{2mE}{\hbar^2}); から &math(\psi(x)\ne 0); となる点が必ずあるはずだから、 &math(k^2=\frac{2mE}{\hbar^2}); すなわち &math(k=\frac{\sqrt{2mE}}{\hbar}); と求まる。 (3) &math(V(x)=+\infty); の点で &math(\psi(x)\ne 0); であれば方程式を満たさないため。 (4) 境界条件は &math(\psi(0)=\psi(a)=0); であるから、 &math(\psi(0)=A+B=0); すなわち &math(B=-A); &math(\psi(a)=A(e^{ika}-e^{-ika})=-2iA\sin(ka)=0); &math(\psi(a)=A(e^{ika}-e^{-ika})=2iA\sin(ka)=0); したがって、&math(n); を任意の整数として &math(ka=n\pi); すなわち、 &math(A=0); では解にならないから &math(\sin(ka)=0); すなわち &math(n); を任意の整数として &math(ka=n\pi); あるいは &math(k=k_n=n\pi/a); という条件が得られる。 であるときに限り境界条件を満たす。 ここで、&math(n=0); は &math(k=0);、 すなわち &math(\psi); が定数となり、境界条件から &math(\psi(x)=0); となってしまい、解にはならない。 また、&math(n); と &math(-n); とは解の符号が変わるのみであるから、 独立な解にならない。 &math(n); を自然数に限ることにより、異なる &math(n); がそれぞれ独立な固有関数を表わす。 そこで、&math(n); を自然数に限ることにより、異なる &math(n); がそれぞれ独立な固有関数を表わす。 (5) (2) の式を &math(E); について解くことにより、 &math(E_n=\frac{\hbar^2 k_n^2}{2m}=\frac{\hbar^2 \pi^2}{2ma^2}n^2); (6) 固有関数は &math(\psi_n(x)=A\sin(n\pi x/a)); の形になる。 &math( \int_0^a|\psi(x)|^2\,dx &=\int_0^a\big[A\sin(n\pi x/a)\big]^2\,dx\\ &=|A|^2\int_0^a\frac{1-\cos(2n\pi x/a)}{2}\,dx\\ &=\frac{|A|^2}{2}\Big[x-\frac{a}{2n\pi}\sin(2n\pi x/a)\Big]_0^a\\ &=\frac{a|A|^2}{2}\\ &=1\\ ); より、例えば &math(A=\sqrt{2/a}); と置けば良く、 &math(\psi_n(x)=\sqrt{2/a}\sin(n\pi x/a)); 絶対値が1となるような任意の定数を掛けても規格化された解を与えることに注意せよ。 (7) &math(\Psi_n(x,t)=e^{-i\omega t}\psi_n(x)); ただし、&math(\hbar\omega=E_n=\frac{\hbar^2 \pi^2}{2ma^2}n^2); より、 &math(\Psi_n(x,t)=\sqrt{\frac{2}{a}}\exp\left(-i\frac{\hbar n^2\pi^2}{2ma^2}t\right)\sin(n\pi x/a)); ** 解説 [#y2411480] 上記の解法を顧みると、境界条件を課したことにより シュレーディンガー方程式の解の一般形に含まれるパラメータが量子数を含む形で書かれ、 その結果としてエネルギー固有値が離散化した。 上記の解法を顧みると、 境界条件を課したことにより解の一般形に含まれるパラメータが 量子数を含む形で書かれ、その結果としてエネルギー固有値が離散化した。 一般に、%%%束縛された電子では%%%「境界条件が固有値を離散化する」状況が共通して現れるため、 このしくみを良く理解しておくこと。 一方で、%%%束縛されていない場合には%%% そのような境界条件が存在せず、 「連続的な固有値」が現れる。例えば全空間で自由な場合の平面波には波数の制限はなく、 エネルギー(運動エネルギー)も任意の値を取りうる。 グラフは左が &math(\psi_n(x));、右が &math(|\psi_n(x)|^2); で、&math(n=1,2,3); を示している。 &ref(infinity-well1.png,,50%); &ref(infinity-well2.png,,50%); &math(n); 番目の固有関数は &math(n); 個のピークと &math(n-1); 個の&ruby(ふし){節};を持つ。 &math(n); が大きいほどエネルギーが高くなるが、ここでは &math(V(x)=0); であるから、 そのエネルギーはすべて運動エネルギーである。 古典論によれば無限大のエネルギー障壁は弾性壁となり、電子は壁の間を一定速度で往復運動する。 そしてこの往復運動の速度が系のエネルギーに相当する。 ここで求めたエネルギー固有関数は有限の運動エネルギーを持つにもかかわらず「定常状態」を表わし、 確率密度の空間分布は時間によらない。 古典論では「エネルギー障壁」は弾性壁となり、電子は壁の間を一定速度で往復運動する。 一方、上で求めたエネルギー固有関数は有限の運動エネルギーを持つにもかかわらず「定常状態」 を表わしており、確率密度の空間分布は時間によらない。 &math(n=1); が最低エネルギーの状態を表わしており、そのような状態は基底状態と呼ばれる。 これに対して、&math(n>1); は励起状態と呼ばれる。 &math(n=1); は最低エネルギーの状態を表わしており、そのような状態は''基底状態''と呼ばれる。 これに対して、&math(n>1); は''励起状態''と呼ばれる。 興味深いことに、&math(n=1); の基底状態においても系は有限の運動エネルギーを持っている。 &math(E_1=\frac{\hbar^2 \pi^2}{2ma^2}); 基底状態における運動をゼロ点運動、エネルギーをゼロ点エネルギーと呼ぶ。 一般に、電子を閉じ込める範囲が狭ければ狭いほど、ゼロ点エネルギーは上昇する。 * 非定常状態の解 [#k2381f9a] #ref(time-dependent.png,around,right,50%); 非定常状態の例として、初期状態を &math(\Psi(x,0)=C\sum_{k=1}^\infty \frac{1}{k!}\psi_k(x)); と置いてみる。これは右図のように中心から左に寄った位置にピークを持つ分布を表わす。係数 &math(C=1/\sqrt{\big(I_0(2)-1\big)}); は規格化因子で、&math(I_n(z)); は第1種変形ベッセル関数である。 それぞれの &math(\psi_k(x)); の時間発展は &math(\Psi_k(x,t)=e^{iE_k t/\hbar}\psi_k(x)); であり、シュレーディンガー方程式は線型であるから、上の初期状態で与えられる波動関数の時間発展は &math(\Psi(x,0)=C\sum_{k=1}^\infty \frac{e^{iE_k t/\hbar}}{k!}\psi_k(x)); で与えられる。 &math(|\Psi(x,t)|^2); の時間変化をグラフに示せば、 &attachref(time-dependent.gif,,50%); &attachref(time-dependent2.png,,50%); 右は縦軸を時間軸として表示したもので、 赤線は &math(x); 座標の期待値を表わす。 &math(\overline{x}(t)=\int x |\Psi(x,t)|^2dx); 電子が2つの壁にはね返り、振動する様子が見て取れる。 このように、シュレーディンガー方程式を満たす関数群 &math(\Phi_k(x,t)); の一次結合で初期状態を表わせるならば、その状態の時間発展は容易に求められる。 実際には、もしこれが電子の運動であれば、 荷電粒子の加速度運動は光子の放出を伴うため、 徐々にエネルギーを失い最終的には時間に依存しない状態に落ち着くことになる。 ** メモ [#n62d71f3] 上記グラフを表示するための Mathematica ソース: LANG:mathematica Sum[(1/n!)^2, {n, Infinity}] (* output: -1 + BesselI[0, 2] *) psi[x_, t_] := Sqrt[2/(BesselI[0, 2] - 1)] Sum[Exp[I n^2 t] Sin[n Pi x]/n!, {n, 50}] Module[{t = 0}, Show[{ Plot[ Abs[psi[x, t]]^2, {x, 0, 1}, BaseStyle -> {FontSize -> 18}, ImageSize -> Large, PlotRange -> {0, 3}], Graphics[Text["t = " <> ToString[t], {0.8, 2.8}, {-1, 0}]] }] ] anim = Table[ Show[{ Plot[ Abs[psi[x, t]]^2, {x, 0, 1}, BaseStyle -> {FontSize -> 18}, ImageSize -> Large, PlotRange -> {0, 3}], Graphics[Text["t = " <> ToString[t], {0.8, 2.8}, {-1, 0}]] }], {t, 0, 10, 0.02} ]; Export["time-dependent.gif", anim, "GIF"] Show[{ DensityPlot[ Abs[psi[x,t]]^2, {x, 0, 1}, {t, 0, 10}, PlotPoints -> 100, ImageSize -> Large], ParametricPlot[ { NIntegrate[x Abs[psi[x, t]]^2, {x, 0, 1}], t}, {t, 0, 10}, PlotPoints -> 40, ImageSize -> Large, PlotStyle -> {Thick, Red}] }, BaseStyle -> {FontSize -> 18}] * 1次元の箱の中の自由粒子(しみ出す出す場合) [#d98e5d2d] * 1次元の箱の中の自由粒子(しみ出す場合) [#d98e5d2d] 無限のポテンシャル障壁では壁面で &math(\psi=0); となることが境界条件となったが、 有限のポテンシャル障壁では壁面から外へ波動関数がしみ出すため境界条件が変化する。 この様子を見てみよう。 &math(0<x<a); で &math(V(x)=0); その外で &math(V(x)=V); とする。 箱の中の解は上と同様に &math(k=\sqrt{2mE}/\hbar); として、 &math(\psi(x)=Ae^{ikx}+Be^{-ikx}); 箱の外での時間に依らないシュレーディンガー方程式は障壁高さを &math(V); とすれば、 &math(\left(-\frac{\hbar}{2m}\frac{d^2}{dx^2}+V\right)\psi=E\psi); ただし、電子は箱の中に閉じ込められているため &math(E<V); である。 このとき、 &math(\frac{d^2}{dx^2}\psi=\frac{2m(V-E)}{\hbar^2}\psi); より、 &math(\psi(x)=Ce^{k'x}+De^{-k'x}); ただし、&math(k'=\frac{\sqrt{2m(V-E)}}{\hbar}); が一般解となる。 ただし、&math(k'=\sqrt{2m(V-E)}/\hbar); が一般解となる。 &math(x=\pm\infty); で波動関数がゼロに近づくためには &math(x<0); で &math(D=0);、 &math(x\to\pm\infty); で &math(|\psi|\to 0); より &math(x<0); で &math(D=0);、 &math(a<x); で &math(C=0); でなければならない。 &math(x=0); および &math(x=a); で波動関数 &math(\psi); とその1次微分 &math(d\psi/dx); がどちらも連続であるという条件の下、&math(A,B,C,D); を決定すると、 がどちらも連続であるという条件の下、&math(A,B,C,D); を決定すると 箱の中心を基準として &math(\cos); 的な解と、&math(\sin); 的な解の2種類が現れる。 &math(A+B=C);、&math(ik(A-B)=k'C);、&math(Ae^{ika}+Be^{-ika}=De^{-k'a});、&math(ikAe^{ika}-ikBe^{-ika}=-k'De^{-k'a}); より、 それぞれに対して &math(k); に対する条件は &math((ka/2)^2(1+\tan^2(ka/2))=mVa^2/2\hbar); および &math((ka/2)^2(1+\cot^2(ka/2))=mVa^2/2\hbar); (ただし前者で &math(\tan(ka/2)>0); 後者で &math(\tan(ka/2)<0);)となり、グラフに表わせば &math(|A|=e^{-ika/2}/2,B=Ae^{ika},C=A(1+e^{ika}),D=Ae^{k'a}(e^{ika}+1),\ );&math(-(ka/2)\tan(ka/2)=k'a/2); &attachref(finite-well-energy-levels.png,,75%); &math(|A|=e^{-ika/2}/2,B=-Ae^{ika},C=A(1-e^{ika}),D=Ae^{k'a}(e^{ika}-1),\ );&math((k'a/2)\tan(ka/2)=ka/2); 縦軸の &math(mVa^2/2\hbar); の値によって &math(ka/2); には一般に複数個の解が得られ、 それらが離散化した波数、ひいては離散化したエネルギー固有値を与える。 の2種類の解を持つ。上は箱の中で &math(\cos); 的、下は &math(\sin); 的な解である。 例えば &math(mVa^2/2\hbar=50); においては5つの解を持ち、その形状は次のようになる。 対比のため、&math(V=\infty); の場合も合わせて示した。 波動関数は、そのエネルギー期待値だけ上方にオフセットして表示してある。 &math(-(ka/2)\tan(ka/2)=k'a/2); および &math(-(k'a/2)\tan(ka/2)=ka/2); は &math(\tan); の周期性により飛び飛びの解を持ち、これが離散化したエネルギー固有値を与える。 &attachref(leaking-well-levels.png,,50%); &attachref(noleak-well-levels.png,,50%); ポテンシャルが有限の場合には、障壁から左右に染み出す分だけ箱内部の &math(k); の値が小さくなり、 その分 &math(V=\infty); の場合に比べてエネルギーが低下するが、波動関数の特徴は一致しており、 特に障壁エネルギーよりもずっと小さなエネルギーに対応する波動関数では両者の差は小さい。 現実の物質では障壁は必ずしもこれほど急峻ではなく、不規則な形をしていることが考えられるが、 そのような場合にも境界条件が箱内部の波数を離散化することや、そのエネルギーレベルが ここでの箱形ポテンシャルと類似していることが期待される。 このような理由により、境界条件はしばしば周期的に取られる。 ** メモ [#c46461d9] LANG:mathematica Plot[{ If[Tan[x] < 0, Infinity, x^2 (1 + Tan[x]^2)], If[Cot[x] > 0, Infinity, x^2 (1 + Cot[x]^2)]}, {x, 0, 14}, PlotRange -> {0, 200}, BaseStyle -> {FontSize -> 18}, ImageSize -> Large, PlotLegends -> Placed[{"cos 的", "sin 的"}, Above], AxesLabel -> {ka/2, mVa^2/(2 \[HBar]^2)}] NSolve[x^2 (1 + Tan[x]^2) == 50 && Tan[x] > 0 && 0 < x < 10, x, WorkingPrecision -> 15] (* {{x -> 1.37508316964374}, {x -> 4.09477807780528}, {x -> 6.63585976688118}} *) NSolve[x^2 (1 + Cot[x]^2) == 50 && Cot[x] < 0 && 0 < x < 10, x, WorkingPrecision -> 15] (* {{x -> 2.74319088650076}, {x -> 5.41164383515459}} *) coslike[x_, k_] := Module[{k2 = Sqrt[4 50 - k^2]}, Sign[k] If[x < 0, Cos[k/2] Exp[k2 x], If[x < 1, Cos[k (x - 1/2)], Cos[k/2] Exp[-k2 (x - 1)]]] 10 + k^2 ] sinlike[x_, k_] := Module[{k2 = Sqrt[4 50 - k^2]}, If[x < 0, -Sin[k/2] Exp[k2 x], If[x < 1, Sin[k (x - 1/2)], Sin[k/2] Exp[-k2 (x - 1)]]] 10 + k^2 ] Plot[{ coslike[x, 2 1.37508316964374341419334462792217407823`15.], sinlike[x, -2 2.74319088650075787031867823175879453346`15.], coslike[x, -2 4.0947780778052791609523226938312581713`15.], sinlike[x, 2 5.41164383515459114436056269363192749999`15.], coslike[x, 2 6.63585976688118310914259741089030967404`15.] }, {x, -0.5, 1.5}, PlotRange -> {0, 300}, ImageSize -> Large, BaseStyle -> {FontSize -> 20}, Axes -> {True, False}, PlotStyle -> {Thick, Thin, Thin, Thin, Thin, Thin}, AspectRatio -> 1 ] sin[x_, n_] := If[x < 0, 0, If[x > 1, 0, Sin[n Pi x]]] 10 + (n Pi)^2 Plot[{If[x < 0, 500, If[x < 1, 0, 500]], sin[x, 1], sin[x, 2], sin[x, 3], sin[x, 4], sin[x, 5] }, {x, -0.5, 1.5}, PlotRange -> {0, 300}, ImageSize -> Large, BaseStyle -> {FontSize -> 20}, Axes -> {True, False}, PlotStyle -> {Thick, Thin, Thin, Thin, Thin, Thin}, AspectRatio -> 1 ] * 3次元の箱の中の自由粒子 [#x7f96fce] &math(a,b,c); を正の定数として、&math(0<x<a,\ 0<y<b,\ 0<z<c); の領域に閉じ込められた電子の定常状態を考える。 &math(\psi(\bm x)=X(x)Y(y)Z(z)); のように変数分離できることを仮定すれば、 &math( &-\frac{\hbar^2}{2m}\left( \frac{\PD^2}{\PD x^2}+\frac{\PD^2}{\PD y^2}+\frac{\PD^2}{\PD z^2}\right)X(x)Y(y)Z(z)\\ &=-\frac{\hbar^2}{2m}\left[ \left(\frac{\PD^2}{\PD x^2}X(x)\right)Y(y)Z(z) + X(x)\left(\frac{\PD^2}{\PD y^2}Y(y)\right)Z(z) + X(x)Y(y)\left(\frac{\PD^2}{\PD z^2}Z(z)\right) \right]\\ &=EX(x)Y(y)Z(z) ); &math( \left(\frac{\PD^2}{\PD x^2}X(x)\right)\frac{1}{X(x)} + \left(\frac{\PD^2}{\PD y^2}Y(y)\right)\frac{1}{Y(y)} + \left(\frac{\PD^2}{\PD z^2}Z(z)\right)\frac{1}{Z(z)} =\frac{-2mE}{\hbar^2} ); 左辺の各項はそれぞれ &math(x,y,z); のみの関数であり、右辺は定数である。 任意の &math(x,y,z); に対してこの式が成り立つためには、左辺の各項が定数でなければならない。 すなわち、 &math( &\left(\frac{\PD^2}{\PD x^2}X(x)\right)\frac{1}{X(x)} = \frac{-2mE_x}{\hbar^2}\\ &\left(\frac{\PD^2}{\PD y^2}Y(y)\right)\frac{1}{Y(y)} = \frac{-2mE_y}{\hbar^2}\\ &\left(\frac{\PD^2}{\PD z^2}Z(z)\right)\frac{1}{Z(z)} = \frac{-2mE_z}{\hbar^2}\\ &E_x+E_y+E_z=E ); &math(X(x),Y(y),Z(z)); に対する方程式は1次元の箱形ポテンシャルの問題に帰着して、 &math(X_{n_x}(x)=\sqrt{\frac{2}{a}}\sin(n_x\pi x/a)); &math(E_{x,n_x}=\sqrt{\hbar^2 \pi^2}{2ma^2}n_x^2); 等の解を得る。&math(\psi(\bm x)); の解は量子数 &math(n_x,n_y,n_z); により指定できて、 &math(\psi_{n_x,n_y,n_z}(\bm x)=\sqrt{\frac{8}{abc}}\sin(n_x\pi x/a)\sin(n_y\pi y/b)\sin(n_z\pi z/c)); &math(E_{n_x,n_y,n_z}=\sqrt{\hbar^2 \pi^2}{2ma^2}(n_x^2+n_y^2+n_z^2)); となる。 例えば電子(&math(m=9.11\times 10^{-31}\,\mathrm{kg});) を &math(a=b=c=1\,\mathrm{nm}); に閉じ込めれば、ゼロ点エネルギーは &math(11.3\,\mathrm{eV}); となる。 次の準位は &math(E_{211}=E_{121}=E_{112}=22.6\,\mathrm{eV}); である。 このように異なる量子数に対応する波動関数のエネルギーが等しいとき、 それらの準位は縮退していると言う。この様子を示したのが下図左である。 &math(a=b\ne c); ではこのうちいくつかの縮退が解けて、準位の分裂が生じる。 &math(a=b=c/1.1); としたときのエネルギー準位と、分裂前の縮退した準位との関係を下図右に示した。 &attachref(3d-box.png,,25%); * 1次元の調和振動子 [#l80144e9] 調和振動子のポテンシャルは &math(V(x)=\frac{1}{2}kx^2); であるから、時間に依存しないシュレーディンガー方程式は &math( \left(-\frac{\hbar^2}{2m}\frac{d^2}{dx^2}+\frac{k}{2}x^2\right)\psi(x)=E\psi(x) ); このような方程式を解く場合には、変数を無次元化するのが常套手段である。 すなわち、長さの次元を持つ自由変数 &math(x); を変数変換して、無次元の量 &math(\xi); で記述する。 ここでは、 &math(\xi=\sqrt{\frac{m\omega}{\hbar}}x);, &math(\lambda=\frac{2E}{\hbar\omega}); と置くと良い。ただし、&math(\omega=\sqrt{\frac{k}{m}}); は古典論から得られる角振動数である。 すると与式は、 &math( \left(-\frac{d^2}{d\xi^2}+\xi^2-\lambda\right)\psi(\xi)=0 ); となる。&math(\xi); の大きなところでは &math(\lambda\ll \xi^2); となるから、 そこでは &math(\psi); は近似的に次の方程式を満たす。 &math( \frac{d^2}{d\xi^2}\psi(\xi)=\xi^2\psi(\xi) ); ここから予想されるのは、 &math( \psi(\xi)=H(\xi)e^{\pm\xi^2/2} ); という解の形である。系が &math(x=0); 付近に束縛されていることから、 複号は負を取る。 &math( &-\frac{d^2}{d\xi^2}\big[H(\xi)e^{-\xi^2/2}\big]+\xi^2H(\xi)e^{-\xi^2/2}-\lambda H(\xi)e^{-\xi^2/2}\\ &=-\frac{d}{d\xi}\big[H'(\xi)e^{-\xi^2/2}-\xi H(\xi)e^{-\xi^2/2}\big]+\xi^2H(\xi)e^{-\xi^2/2}-\lambda H(\xi)e^{-\xi^2/2}\\ &=-H''(\xi)e^{-\xi^2/2}+2\xi H'(\xi)e^{-\xi^2/2}+H(\xi)e^{-\xi^2/2}-\lambda H(\xi)e^{-\xi^2/2}\\ &=0\\ ); 両辺を &math(e^{-\xi^2/2}\ne 0); で割れば、 &math( H''(\xi)=2\xi H'(\xi)+(1-\lambda) H(\xi) ); を得る。&math(H(\xi)=\sum_{l=0}^\infty c_l\xi^l); と置いて代入すれば、 &math( \sum_{l=0}^\infty l(l-1)c_l\xi^{l-2}=2\xi \sum_{l=0}^\infty l c_l\xi^{l-1}+(1-\lambda) \sum_{l=0}^\infty c_l\xi^l ); より &math(l\ge 0); において、 &math((l+2)(l+1)c_{l+2}=(2l+1-\lambda)c_l);~ &math(c_{l+2}=\frac{2l+1-\lambda}{(l+2)(l+1)}c_l);~ を得る。この式によれば、&math(c_0); を適当に決めると &math(c_{2n}); が、 &math(c_1); を適当に決めると &math(c_{2n+1}); が、 それぞれすべて決まることになる。 &math(c_0=0); あるいは &math(c_1=0); あるいは &math(2l+1-\lambda=0); が成立すれば、 それより大きな &math(l); に対して &math(c_l); がゼロになるが、 そうでない限り &math(c_l); がゼロになることはない。 &math(c_l); がゼロにならない場合、&math(l\to \infty); において &math(\frac{c_{l+2}}{c_l}=\frac{2l+1-\lambda}{(l+2)(l+1)}\to \frac{2}{l});~ が成り立つ。これは &math(f(\xi)=e^{2\xi^2}=frac{1}{0!}+\frac{2}{1!}\xi^2+\frac{2^2}{2!}\xi^4+\frac{2^3}{3!}\xi^6+\dots); とした時の係数の比と同じであり、このようになっていては &math(H(\xi)e^{-\xi^2/2}); が &math(\xi\to\pm\infty); でゼロに収束するという境界条件を満たさない。 すなわち、&math(c_0); あるいは &math(c_1); のどちらかがゼロであり、 もう一方と同じ偶奇性(パリティ)を持つある &math(l=n); において &math(\lambda=2l+1); が成立することが境界条件から要求され、 その結果 &math(c_l\ne 0); となる項は有限個となる。 - &math(n=0); のとき &math(\lambda=1);, &math(H_0(\xi)=1); - &math(n=1); のとき &math(\lambda=3);, &math(H_1(\xi)=2\xi); - &math(n=2); のとき &math(\lambda=5);, &math(H_2(\xi)=4(1-2\xi^2)); - &math(n=3); のとき &math(\lambda=7);, &math(H_3(\xi)=c_1(\xi-\frac{2}{3}\xi^3)); - &math(n=4); のとき &math(\lambda=8);, &math(H_4(\xi)=c_0(1-4\xi^2+\frac{4}{3}\xi^4)); - ・・・ ここで現れた多項式 &math(H_n(\xi)); はエルミートの多項式と呼ばれる。 * 3次元の調和振動子 [#y596d643]
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