量子力学Ⅰ/電子の波動方程式 のバックアップソース(No.4)

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[[private/量子力学I/前期量子論]]

#contents
&mathjax();

* 波動方程式 [#kd348ff8]

電子は粒子と波の両方の性質を持つことが分かってきた。

量子力学では電子の波動方程式を考えることで、電子の運動を記述する。
** 電子の粒子性 [#o89d19a4]

電子は水素原子の約1/1000の重さを持つ粒子として振る舞う。

JJ トムソンの実験などでその粒子的な性質は明らかである。

- 運動エネルギーと運動量の関係 &math(E=\frac{p^2}{2m});

** 電子の波動性 [#kb350834]

電子線回折などによって、電子が回折現象を起こすこと、加速度により波長が異なること、などが示された。

- 運動エネルギーと周期の関係  &math(E=h\nu=\hbar\omega);
- 運動量と波数の関係      &math(\bm p=\hbar\bm k);

* 準備:波動を表わす関数 [#l6f89798]

** 速度 $v$ で移動する関数 [#o38ae487]

&math(f(x-d)); は、&math(f(x)); を &math(x); の正方向に &math(d); だけ移動した関数になる。

&attachref(translation.png,,25%);

&math(f(x,t)=f(x-vt,0)); は &math(f(x,0)); が時刻 &math(t); において &math(vt); だけ移動した関数、
すなわち、&math(f(x,0)); の関数が形を変えずに &math(x); の正方向に速度 &math(v); で伝播する関数になる。

** 位相速度 $v$ で伝播する波(一次元) [#ec3d0c6f]

&math(f(x,t)=f(x-vt,0)=\cos(k (x-vt))); は、波数 &math(k); の正弦波が速度 
&math(v); で伝播する関数になる。

&math(f(x,0)=\cos(2\pi x/\lambda)=\cos(kx)); が波長 &math(\lambda);、
波数 &math(k=2\pi/\lambda); の正弦波であることに注意せよ。

&attachref(wave-function.gif);

&math(f(x,t)=f(x-vt,0)=\cos(k (x-vt))=\cos(kx-\omega t)); と書けば、
この関数は時間に対して角振動数 &math(\omega=kv); で振動することが分かる。

速度 &math(v); の波が1周期 &math(T); の間に進む距離が波長 &math(\lambda); だから、

&math(\lambda=vT);

両者の逆数を取って、

&math(2\pi v/\lambda=2\pi/T);

&math(vk=\omega);

を確かめられる。
** 位相速度 $v$ で伝播する平面波(三次元) [#ec3d0c6f]

3次元空間で定義された &math(f(\bm x,t)=\cos(k x-\omega t)); という関数は &math(x); 軸方向に進む平面波を表わす。

以下では、3次元空間内で任意の方向に進む平面波を考える。

&math(|\bm e|=1); のとき、&math(\bm e\cdot\bm x); は &math(\bm x); の &math(\bm e); 方向成分の長さ

&math(\bm e\cdot\bm x=d); という方程式は、&math(\bm e); に平行で、原点から &math(\bm e); 方向に 
&math(\bm d); だけ離れた平面を表わす方程式

したがって、&math(f(\bm x)=\cos(2\pi\bm e\cdot\bm x)); は、
&math(\bm e); 方向に波長 &math(1); の正弦波で、
&math(\bm e); に垂直方向には一定値を取る平面的な波を表わす。
(下図は二次元の場合)

&attachref(2d-wave.jpg,,66%);

&math(\bm k\cdot\bm x=|\bm k|\bm e_{\bm k}\cdot x); と書けるから、
これは &math(\bm x); の &math(\bm k); 方向成分に、&math(|\bm k|); をかけた値になる。

すなわち、&math(f(\bm x)=\cos(\bm k\cdot\bm x)=\cos(|\bm k|\bm e\cdot\bm x)); は、
&math(\bm e); 方向に波長 &math(\lambda=2\pi/\bm k);、波数 &math(|\bm k|); の正弦波を表わす。

さらに、&math(f(\bm x,t)=\cos(\bm k\cdot\bm x-\omega t)); とすれば、
&math(f(\bm x,t)=\cos(k\{\bm e_{\bm k}\cdot\bm x-(\omega/k) t\})); より、
波数 &math(\bm k);、周期 &math(\omega);、速度(位相速度) &math(v=\omega/k); で伝播する平面波を表わす。

* 演習:波動方程式(電磁波の場合) [#p878da3f]

平面波 &math(\bm E(\bm x,t)=\bm E_0\cos(\bm k\cdot\bm x-\omega t)); が電磁波の波動方程式

&math(\nabla^2\bm E=\frac{1}{c^2}\frac{\PD^2}{\PD t^2} \bm E);

を満たすことを示したい。

(1) &math(\nabla^2 \bm E=-k^2\bm E); となることを示せ

(2) &math(\frac{\PD^2}{\PD t^2} \bm E=-\omega^2\bm E); となることを示せ

(3) &math(\nabla^2\bm E=\frac{1}{c^2}\frac{\PD^2}{\PD t^2} \bm E); となるためには 
&math(k); と &math(\omega); の間にどのような関係が必要か

(4) 速度 &math(c); で進む波の周期 &math(T); と波長 &math(\lambda); との間には &math(\lambda=cT); の関係がある(1回振動する間に進む距離が波長である)。&math(\lambda,T); をそれぞれ &math(k,\omega); で書き直して、(3) と同じ式が得られることを示せ

(5) より一般に、任意の関数 &math(f(x), g(x)); に対して、&math(\bm E(\bm x,t)=\bm E_1 f(\bm k\cdot\bm x+\omega t)+\bm E_2 g(\bm k\cdot\bm x-\omega t)); が &math(\nabla^2\bm E=\frac{1}{c^2}\frac{\PD^2}{\PD t^2} \bm E); を満たすことを示せ

* 自由な電子の波動方程式 [#mb727caa]

外力を受けない(自由な)電子の満たすべき波動方程式はどのようなものであろうか?

分かっていることは、

- 運動エネルギーと周期の関係  &math(E=h\nu=\hbar\omega);
- 運動量と波数の関係      &math(\bm p=\hbar\bm k);
- 運動エネルギーと運動量の関係 &math(E=\frac{p^2}{2m});

を満たす平面波になること。これらを組み合わせると、

&math(\hbar\omega=\frac{\hbar^2 k^2}{2m});

という条件が得られる。この条件を満たすような波動方程式を作ろう!

波を &math(\phi(\bm x,t)=\phi_0\cos(\bm k\cdot\bm x-\omega t)); と置いてみると、

&math(\nabla^2\phi=-k^2\phi_0\cos(\bm k\cdot\bm x-\omega t));

&math(\frac{\PD}{\PD t}\phi=-\omega\phi_0\sin(\bm k\cdot\bm x-\omega t));

となって、上の式では &math(\cos);、下の式では &math(\cos); が現れてきてしまうため、
&math(\omega); と &math(k); の間の式にしづらい・・・
&math(\cos); や &math(\sin); は微分により形が変わってしまうのが問題。

微分で形の変わらない関数を使えば波動方程式が作れそう。~
→ &math(\phi(\bm x,t)=\phi_0e^{i(\bm k\cdot\bm x-\omega t)}); と置けば、これも波数 &math(\bm k);、各週波数 &math(\omega); の波動を表わす

&math(\nabla^2\phi(\bm x,t)=-k^2\phi(\bm x,t));

&math(\frac{\PD}{\PD t}\phi(\bm x,t)=-i\omega\phi(\bm x,t));

これらを用いて &math(\hbar\omega=\frac{\hbar^2 k^2}{2m}); の関係を表わすと、

&math(i\hbar\frac{\PD}{\PD t}\phi(\bm x,t)=-\frac{\hbar^2}{2m} \nabla^2\phi(\bm x,t));

これが自由な電子に対するシュレーディンガー方程式である。

* 外力を受ける場合 [#nce852a7]

電子に外力がかかるとき、電子の感じるポテンシャルエネルギーを &math(V(\bm x,t)); とすると、
電子のエネルギーは

&math(\frac{p^2}{2m}\to \frac{p^2}{2m}+V(\bm x,t));

となる。そこで、シュレーディンガー方程式も、

&math(i\hbar\frac{\PD}{\PD t}\phi(\bm x,t)=\left(-\frac{\hbar^2}{2m} \nabla^2+V(\bm x,t)\right)\phi(\bm x,t));

となる。

* シュレーディンガー方程式の有用性 [#rd01a68a]

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